『ホントの王様だ~れだ?』




 いつもならそろそろ寝ようかという時間。ラブの部屋でせつなと美希と祈里が楽しくおしゃべりしている。もう何度目かのパジャマパーティーだ。

「シフォンちゃーん。うん、もうぐっすり寝てるみたいよ」
「子供はお休みの時間やなぁ。あんさんらも、もう寝た方がええんとちゃうか?」
「なーによ、タルトだって子供のクセに」

「そう言えばタルトちゃんっていくつなの?」
「わいか? わいはなぁ……ひい、ふう、みい……内緒や!」
「絶対に、忘れてるでしょ!」

「せや、あんさんらが子供やないっていうなら、アダルトなパーティーゲームやらへんか?」
「なにそれ?」
「男の子と女の子で遊ぶゲームよね?」
「いやらしいゲームならパスよ」
「ふうん、興味はあるわ」

「いやらしいかどうかは王様の気分次第や。その名も『王様ゲーム』高貴な王子様のわいにピッタリやろ? ルールはかくかくしかじかや、どや?」
「うーん、ここにはタルトちゃん以外に男の子はいないし……」
「アタシ達だけならやってもいいわよ」
「面白そうね。私もやりたい」
「決まりだね、じゃあ、クジ作るから! と、その前に……」

「ん? 荷造り用のヒモなんて何に使うんや? ああ、罰ゲームに使うんか。って、なんでわいを縛ってるんやー」
「タルトは男の子だからね。しばらく押し入れで休んでて」
「そんな、発案者はわいなのに、殺生やで~」

 口元もハンカチで縛られて、憐れタルトは押し入れの中に閉じ込められた。

「王様だ~れだ?」
「あたしだね、じゃあ、3番が四つん這いで3回廻ってワンと鳴く」
「3番はわたし、じゃあやるね。クンクン、クンクンクン、ハッ、ハッ、ハッ。ウ~ワンッ、ワンッ!」
「いや……ブッキー、それじゃリアルすぎるから……」
「凄い再現性ね? そういうゲームなの?」
「ちょっと違うような……。じゃ次行くね!」

「王様だ~れだ?」
「わたしみたい。じゃあ無難な告白系で。1番が好きな異性を告白する。恋人じゃなくてもいいよ」
「1番は私ね。好きな異性って、つまり男の人よね? だったら悩むまでもないわ」
「ちょっと待って! せつなが言うとシャレにならないような……」
「だ……大丈夫だよ、美希たん、多分……」
「私が一番好きな異性はお父さんよ。次はタルト……はフェレットだし、カオルちゃんかしら? みんな一体何を想像してたのよ?」
(メビウス様……なんて言われたらどうしようかと思った……)

「王様だ~れだ?」
「アタシね。ちょっと過激に行くわよ。2番と3番がキスをする」
「え~2番のあたしと……」
「3番は私ね。ラブとキスをしたらいいのね?」
「かっ、軽くでいいからね? 舌とか入れたりなんて……恥ずかしくて言えない……」
「舌を入れたらいいのね?」
「ちょ、ちょっと待って、せつな、ん、んん、む~~~!!!」
「5秒……10秒……って、もういいから! ラブが目を回してる!」
「うう……酷いよせつな。これ、今晩夢に見そう。というか変な道に目覚めそう……」
「私はブッキーに言われた通りにしただけよ?」
「わたし言ってない!」

「王様だ~れだ?」
「あたしだね。さっきのお返し。1番が服を脱ぐ」
「1番って、アタシなんだけど、どこまで脱げばいいの?」
「う~ん、ハダカは流石にやりすぎだし、下着かな?」
「そのくらいなら」
「わぁ~美希ちゃん綺麗……」
「罰ゲームにしては堂々としてるわね」
「さっすが現役モデル、慣れてる感じ。ファッションショーって裸みたいな服もあるんだっけ?」
「アタシはちゅう・がく・せい、よ! そんなのあるわけないでしょ!」

「王様だ~れだ?」
「今度はわたし。えーっと、3番が2番に搾乳をする」
「搾乳って?」
「胸をしぼって母乳を出すことよ。ポーズだけでいいから」
「一番キツいの来たわね……」
「ええ~2番って……なんであたしばっかり……」
「ラブの胸を揉んで母乳を絞ればいいのね?」
「あのね、せつなちゃん。出るわけないから、ポーズだけでいいから……」
「大丈夫、私、精一杯頑張るわ!」
「ヤダヤダ、せつな。んっ、んん、あっ! ちょっ、くすぐった……っ、ううう~!」

「ストーップ! 冗談で済まなくなってきたし、このくらいでお開きにしましょ」
「さ……賛成……もうダメ」
「あれ、何か忘れてるような……って、押し入れ、少し空いてる!?}
「いや~隙間からずっと見さしてもうたけど、あんさんら若いな~青春やな~ごうちそうさまやで」
「姿が見えないから、居ること自体スッカリ忘れてたわね……」

「わいのこと忘れるなんてショックやな~。まあでも、スイーツ王国にええみやげ話できたし、差し引きプラスやで」
「そうだね、タルト。仲間外れはよくないよね?」
「やや、なんやピーチはん、目が笑ってへんで?」
「続きをやりましょう! タルトを交えて」

「1番。タルトをくすぐる」
「2番、タルトの毛を10本抜く」
「3番。タルトを……」
「もう堪忍やで~」

 さて、本当の王様(ゲームの支配者)はだぁれ?
最終更新:2020年02月29日 11:05