『月虹譜』6




 ……ひざ立ちのままでベッドを移動し、えれなの顔をまたいだ所で足を止める。
 真下から見上げるえれなの目に、いやらしく濡れた秘部が丸見えになってしまう。
 恥ずかしい。 ―― でも、その恥ずかしさのせいで、さらに淫らな蜜があふれてくる。
 エレベーターが下降を始めた時にときおり尻の辺りからフワァ…と昇ってくる浮遊感にも似た感覚で、カラダが甘く痺れる。たまらなくゾクゾクしてくる。
 まどかはスッと左手を上げ、下唇に手の甲を当てるカタチで、えれなの視線から顔を隠した。ぐしょぐしょに濡れそぼった股間を見せつけている少女が、今の自分の顔だけは見られたくないと思ったのだ。
 左手で顔を隠したまま、ひざをゆっくりと曲げ、腰を下ろしてゆく。
 ゾクッ……。
 息が、くすぐったい。
 敏感な性器を撫でる息遣いに、ぴくん…っ、と腰が浮き上がってしまいそうになった。
 けれど、えれなの両手が、まどかの尻をそっと包み抱えるみたいに優しく固定して、それを止める。
「…………」
 恥じらいで声が出せない。今にも裸身が震えだしそうなのを抑えて、まどかが親友の顔の上に腰を下ろした。
 濡れた恥肉の軟らかさと温かさを顔で受けとめるえれな。 
 ツ…っ、と微かに鼻の奥を刺激してくるニオイ。
(舐められるのって、指でされるのよりも気持ちいいのかな?)
 ……気持ちよくしてあげたい。
 閉じた両まぶたの裏で、まどかの乱れ狂う姿を想うと、もうガマンできない。
 まどかの尻を左右から抱きかかえるえれなの手に、くっ、とチカラがこもる。
 さっそく、言われた通り『掃除』にかかろうとしていた。
「待っ ―― 」
 待ってください、と普段のように言いかけたまどかが、
「待ちなさい」
 と、命令口調で御主人様らしく言い直した。
 素直に動きをとめたえれなに、「……せっかくなので、少しお化粧してあげますね」と言って、右手で自分の太ももを掴み、上半身を支えつつ腰を揺すり始めた。

 大事な親友の顔に、淫らな粘蜜でベトベトになった処女の性器を軟らかにこすりつける。
 鼻、くちびる、あご、頬、左右のまぶた、おでこ……。えれなの顔を卑猥な分泌液で汚していくたび、まどかの精神に今まで感じたコトのない悦びが生じた。
 そして、そんな彼女の秘所もまた、初めて覚えるサディスティックな肉欲に耽り続けていた。
「ほらほら、えれなの顔がどんどん変態らしくなって……。嬉しいでしょう?」
 なまめかしい動きで腰を前後に揺する中で、時々小さな円を描くように腰をくねらせて、まんべんなく愛液を塗りたくる。一通り塗りこんだ後も、もう二度三度、丁寧に腰を使って、えれなの顔を舐めまわすみたいに猥褻な感触を擦りつける。
 愛液がローション代わりとなってヌルヌルと滑りが良い分、もしかすると指でいじられるよりも気持ちよかったかもしれない。
 濡れそぼった処女肉で味わう摩擦感。
 気持ちよすぎる。
(腰、溶けてしまいそう……)
 ぐいっ、と腰にチカラを込め、えれなの顔と秘所の恥肉を深く密着させたまま、前後に腰を揺する。
 鼻という適度な柔らかさをそなえた突起物の上を、愛液のすべりを利用して通過するのが特に気持ち良かった。感じまくっている性器が優しく引っかかった後にヌルッ…と抜けていく感触。その単純な快感に、まどかの腰使いが溺れてしまう。
「ハァ…ハァ…、あああぁぁっ!」
 だんだんと荒くなっていく呼吸に続いて、快楽の喘ぎ声が跳ねた。
 キッ!と視線を強めて、えれなを理不尽に叱りつける。
「えれなっ、あなたの顔はどうしてこんなにいやらしいのですかっ、恥を知りなさいっ!」
 しかし、その強く責める語調が、すぐに弱々しく震えた声に変わる。
「こ…このままでは、わたくしもあなたと同じく、いやらしいメス犬に……ああああっ…、
 だめ…、そんなのいけません……、ああッ、でも……もう腰が……あああッッ!」
 尾骨の辺りから湧いた淫靡な歓喜が『ぞわわっ…』と背筋を妖しく這い登ってくる。
「うぅッッ…!」
 一瞬うつむいて呻いたまどかが、顔を隠している左手を噛んで、快感に流されそうになるのをこらえた。でも、もう限界だった。
 このままだと掃除が始まる前に、気持ちよくなりすぎて腰が崩れてしまいそう……。
「ああ…、えれな、おねが…、―― いいえ、さっさと掃除を始めなさいっ」
「はい、御主人様」
 たっぷり汚された顔で、うっとりと返事するえれな。
 さも愛しげに、愛蜜の滴る秘所へ「ちゅっ…ちゅっ…」とくちづけ。しかし、さんざんじらされたせいか、徐々にキスがせわしくなってゆく。
(いっぱい気持ちよくなって、あたしの御主人様……)
 濡れたキスの音を鳴らしながら性器の周りの愛液を吸い、その跡を拭き取るみたいに、軟らかなくちびるをこすりつける。まどかの腰の震え。感じている反応。もっとたくさんご奉仕してあげたくなる。
 静かに顔を左右に振って、両太ももの内側にも小刻みにキスの音を鳴らしていく。
「ああッ!」
 こそばゆさに弱い部分をくすぐったく吸われて、まどかが腰をなまめかしく揺すった。
「あっ…、だめですよ、えれな、遊んでないでしっかり掃除を……、あっ、あ゛ああっ」
 太ももの内側を『れろ~…』と舐め上げてくる舌の動き。
 気持ちいいけれど、そのじれったさに15歳の少女の裸身が悶える。

「ま…まったく、掃除の下手なメス犬ですねっ」
 まどかが顔を隠していた左手を下ろして、優しくえれなの頭を押さえつける。
 そして、「ここですよ」と微笑を含んだ声で教えつつ甘やかに腰を揺すって、えれなのくちびるに恥蜜まみれの秘貝を擦りつける。
「ンっ…!」
 上擦った声をあげて、ぶるるっ…と尻肉を震わせるまどか。
 処女の秘貝をゆっくりと舐め割る舌の動き。内側の分泌液を「ぢゅぢゅっ…」とすする音が響く。
「あッ、ああっ……ああぁ」
 蜜をすする音が途絶えると、今度は小陰唇に「ちゅっ」と軟らかなくちびるの感触が吸いついてくる。その肉の花弁を上下の歯で、はむっ、と甘く咥えたのも束の間。すぐに離れたくちびるが横に滑って、サーモンピンクの処女粘膜を濡らす愛液を小刻みに吸い上げる。
「ああッ! ああああッ…、あっ! そこっ……あああっ、そこですッ、あっ、すごいっ!」
 まどかが大きく両目を見開いて、喘ぎ叫んだ。
 濡れそぼった秘所で「ちゅちゅちゅっ…」とキスの音が跳ねるたび、まどかの腰もまた、本人の意思とは無関係に跳ね上がろうとする。
 快感の熱で蕩けてしまっている性器を、さらに、こまやかな快感の連続で嬲りあげられていく感覚。気持ちよすぎて、頭がおかしくなりそうだった。
「そうです、そのまま掃除を続けて……ああああっ、そうですっ、すごくいいですっ!」
 愛液に濡れた恥肉を、緩急をつけて不規則なペースで吸いしゃぶられる。
 包皮の上からクリトリスへのソフトなくちづけ。優しく甘吸い。
 でも、すぐにくちびるが離れて、濡れた膣粘膜を、「ちゅちゅちゅちゅっ…」と甘い音の鳴るキスの連続でなぞり上げてくる。そして、まどかの気分が高まると急にじらすみたいな沈黙を挟む。
 ……その沈黙にまどかがガマンできなくなる限界ギリギリまで待ってから、不意に甘吸いされるクリトリス。続いて、包皮の上から軽く当てられた前歯が、スリスリと敏感な肉真珠をこすってくる。
「あぁああ……、えれな、だめっ、わたくし……ああっ、死んでしまいますっ、気持ちよすぎて、もうっ、ああああっ」
 初めての夜、二人で感じあった甘いエクスタシーとは全然違う。
 もっと下品で、本能でむさぼり合うような激しい悦び。
 香久矢家令嬢のたおやかな裸身に、ビクンッ…ビクンッ…と何度も小さな痙攣が走っていた。雪白の肌も上気して、淫らに汗ばんでいる。
「ああああ……、すごいっ、本当に……いいっっ! ああッ……あはああああっっ!」
 まどかの喘ぎ声が突然弾けた。
 秘所を沸かす浅い絶頂感。
 えれなの顔の上で腰が激しくガクガク震え、ほっそりした上半身が崩れ落ちそうになった。
「あああ……、えれな……あああっ、だめです、もお……」
 双眸から涙があふれて、静かに頬を伝う。
 まだ女子中学生なのに、あどけなさの残る性器はもうすっかり快感漬けにされて、卑猥な肉欲に溺れてしまっている。
 まどかの腰の震えが収まるのも待たず、えれなが舌の動きも織り交ぜて、敏感に喘いでいる性器を責めてくる。
「あっ、だめっっ……まだ、だめです……あッ! あっ、あッッ! あっ」
 反射的に上へ逃げようとするまどかの尻を、意外なほど力強く固定するえれなの両手。動けない。まどかがチカラをこめて腰を左右に揺すっても全然振りほどけない。
「待って、どうか1分だけでも……許して、お願いです……」
 少しだけでも息をつこうとするまどかが、「アアッ!」と声を上げて背筋を仰け反らせた。
 舌も、くちびるも、全く止まってくれない。
「ううっ……ひっ、腰の奥……溶けて……あああっ、溶けっ……あああっ! ああッッ!」
 キスで熱く蕩けたクリトリスや小陰唇をこまやかな舌使いで舐め洗い ―― と言っても、わずか数秒で気まぐれに次の場所へ移ってしまうので、まどかの性器は淫らな快楽をたかぶらせた状態で生殺しにされる。
 ……たえられなかった。
 御主人様自ら腰を揺すって、飼い犬にお願いしてしまう。
「い…いじわるをしないで、早く…終わりにして。……ああああっ、それ…続けてッッ!」
 淫蜜でトロトロになった膣穴を集中的に舐め洗ってくる激しい舌使い。
 ―― まるで、キャンディを速く舐めて溶かす記録にチャレンジしているみたいに。
 処女の膣口がさらに熱く蕩かされる。
「うううっ……」
 まどかがうつむいて、軽く下唇を噛んだ。下腹部に込み上げてくる尿意。膣口への激しい舌愛撫が原因だが、気を抜くと本当にえれなの顔の上で漏らしてしまいそう。
「あッッ!」
 まどかの喘ぎ声が跳ねた。
 膣穴の入り口をクニクニと、尖らせた舌先で刺激されている。
 膣内(ナカ)に挿入しようとしているのだと気付いた時には、にゅぷっ…と愛蜜で滑った舌先が、もう既に入ってきていた。
 ―― ゾクっっ。
(えれなっ!)
 快感を押しのけて、愛しさが胸を締め付けてきた。
 まどかは自ら腰を深く沈めながら揺すった。 ―― えれなの舌と性交するために。
「えれなっ、わたくしは……今、お腹で……喜んでいますっ! ここで……!」
 左手でグッと自分の下腹を鷲掴みにする。
 子宮の位置。
 えれなの赤ちゃんを欲しがっている場所。
 尖らせた親友の舌へ処女の肉穴を打ち付けるみたいに、腰を揺する。
「あなたの赤ちゃんなら、わたくし産みますっ、だから……だからっ、あッ! 駄目っっ!」
 さっきの浅い絶頂感よりも全身を強く貫いてくる法悦の歓喜。
 15歳の少女の子宮が甘美にうずいている。
「あああ……えれなぁ、ああ……ああああ……」
 断続的な快感の波に打たれながら、なおも揺すろうとした腰が突然ガクガクッ!と壊れるみたいに崩れた。完全に脱力して、えれなの顔の上にへたり込んでしまう。

 …………えれなの顔の上で、半ば意識が朦朧としていた自分が、いつベッドに横たわったのか覚えていない。ただ、これだけは覚えていた。

 自分の体を抱き包むスラリとした腕の感触。
 やわらかく押し付けられる彼女の身体の感触。
 ―― 太陽の光を浴びた花の匂い。

(えれな……)
 まだぼんやりとした意識のまま、えれなの腕の中で、少しでも彼女のカラダとの接触面積を増やそうと、汗ばむ裸身をモゾモゾ動かす。えれなもまどかを抱きしめたまま、同じように動く。
「だいじょうぶ? 御主人様」
「ええ…」
「じゃあ、今からする? 子作りの練習」
「体力オバケですか、あなたは。……今夜はもう何もしません。このまま寝ます」
 ツンとした態度で答えるまどか。
 寝ると言ったものの、まどかは、この夜を終わりにはしたくなかった。
 朝が来て太陽が昇っても、彼女が想ってくれる限り、月はその隣から去らないというのに。
 まどかの気持ちを察して、えれなが優しく睦言を耳元でささやく。
「まどかは何人ぐらい子供がほしい?」
「ん…、何人とかは考えていませんが……」
 つま先をえれなの脛(すね)に滑らせて、まどかが言い返す。
「二人以上なら、えれなも最低一人は産んでくださいね」
「ハハッ……、うん、いいよ。まどかの子、あたしも妊娠してみたい」
 背中に回した手で、まどかの髪をさらさらと撫でつつ、言葉をこぼした。
「自分がお母さんになるなんて想像したコトもなかったなぁ」
「今度宇宙に行く時、ひかるたちには内緒で、女の子同士でも妊娠できる方法がないか探してみましょう」
「科学の発達した星とかなら 意外と簡単に出来たりして」
「そうですね」
 えれなの肩に口を寄せて、「ちゅ…」と静かにキスを音を鳴らしてから、「もし方法が見つかったら」と続ける。
「勝負しませんか?」
「勝負?」
 まどかが悪戯を思いついた子供みたいな顔で微笑む。
「ええ、勝負です。わたくしが先にえれなを妊娠させるか、それとも、えれなが先にわたくしを妊娠させるか」
「ん~~。まあ、まどかがしたいって言うなら……。よしっ、しよっか、その勝負」
「フフッ、勝負ですから、絶対に手加減してはいけませんよ? ……いいですね? 絶対にですよ」
 子宮が甘く疼くのを隠して、まどかが微笑みながら言葉を付け加えた。
「これは命令です」

 ―― 太陽のそばで、月の時間は続いてゆく。

(終わり)
最終更新:2020年04月07日 22:05