『ミルクガール』/Mitchell&Carroll
ララ「知らない人から、アルトリコーダーの一番下のパーツを貰ったルン」
AI「良かったですね、ララ様。それは、幾つあっても困りません」
ララ「そういえば、私の母が、気になるプリキュア作品があるのだけれど、その名前を忘れてしまったらしいルン」
AI「では、解析いたしますので、特徴を仰って下さい」
ララ「その作品は、“ハグ”がテーマのプリキュアだと言ってたルン」
AI「――解析完了。その作品は、“Hugっと!プリキュア”です。特徴が完全に一致しました。直ぐに判明しました」
ララ「わからないルン」
AI「何が分からないのですか?ララ様」
ララ「私も、ハグプリだと思ったルン。でも、母が言うには、その作品は、色恋沙汰とは無縁らしいルン」
AI「では、ハグプリではございません。ハグプリでは、“輝木ほまれ”なる少女が、あろう事か、妖精に恋をし、そして、見事、玉砕いたしました。ですから、ハグプリではございません。他に何か特徴は仰っておられませんでしたか?」
ララ「その作品は、主人公の髪型が、眉上パッツンらしいルン」
AI「ハグプリです。眉下パッツンはスタプリですが、眉上パッツンはハグプリです。まさかの2年連続パッツンです。自分で切るとパッツンになる確率、82.4949%」
ララ「分からないルン!」
AI「何が分からないのです?」
ララ「私も、ハグプリだと思ったルン。でも、母が言うには、その作品には、挑戦する意欲が足りないらしいルン」
AI「ならば、ハグプリではございません。ハグプリは、渾身の出産シーン、恋愛要素、ジェンダーの問題など、盛り沢山です。最終的に、虐待していた訳でもないのに、母親から赤ん坊を引き離したりするなど、一部、疑問が残ったり、ご都合主義とも取れる箇所もございましたが、それでも、一年間、果敢に挑戦いたしました。シリーズ屈指の挑戦的作品と言ってよいでしょう。年間収入も上々でした。なんなら、具体的な数字をお教えしましょうか?」
ララ「言わなくていいルン」
AI「分かりました。他に何か、その作品の特徴は仰っておりませんでしたか?」
ララ「その作品を観ていると、母は、お乳が張ってくる、って言ってたルン」
AI「ハグプリだからです。ハグプリでは、“はぐたん”なる、きゃわたんな赤ん坊が登場しますので、それで母性本能を刺激され、女性ホルモンの分泌を促し、乳腺を活性化させるという経緯に至ったのでしょう。お母様の乳房を発達させてしまったのは、ハグプリです。ハグプリで確定です」
ララ「分からないルン」
AI「私を困らせないで下さい、ララ様。ハグプリで決まりと言ったら決まりなのです」
ララ「私も、ハグプリだと思ったルン。でも、母は、ハグプリじゃない、って言ってたルン」
AI「それでは、ハグプリではございません。本人が、そう仰っているのですから、間違いありません。私が、母乳の出る仕組みを説明しているのを、どういう気持ちで御聞きなさっていたのですか?ララ様」
ララ「よく解んなかったルン」
AI「もう、何が何だか……」
ララ「父が言うには、その作品は“朝まで生テレビ”じゃないかって……」
AI「その確率は0%です」
完
最終更新:2020年04月07日 22:13