アットウィキロゴ

プリキュア運動会救護班/makiray




「位置について!よーい!」
 パン、っとおもちゃのピストルの音。四人が飛び出した。先頭は なぎさ。
 今日はプリキュア仲間が集合しての運動会である。日頃の行いがいいのか、よく晴れている。
「あたたた」
「最初は なぎさだと思ってたわ」
 トップでゴールしたものの、ゴールを過ぎても止まり切れず、なぎさは次の競技の準備をしていた ひなたに突っ込んだ。ふたり揃って、ゆりを班長とする救護班席にやってくる。
「痛っ」
「我慢なさい」
 鼻の頭で消毒液が染みる。相手がゆりでは反論もできない。ひかりだったらもっと優しくしてくれるのに、と なぎさは思った。
「あー、血が出てる!」
「大した事ないから」
「しみる!しみるっ!」
 ひなたが悲鳴を上げた。消毒が終わると六花が鼻の額に絆創膏を貼る。のどかなら女の子の顔に絆創膏は貼ったりしないよなぁ、とぶつぶつ言いながら、なぎさと一緒に戻っていく。入れ替わりに、のぞみ。
「りんちゃぁん、転んじゃったぁ」
「全く、あんたが騎馬戦の馬の先頭とか。上に乗んなさいよ」
「だってジャンケ――痛いってばぁ!」
「薬はしみるもの!」
 右の肘と左の膝頭を消毒、大きめの絆創膏を貼る。
「はい、次!」
 プログラムは順調に進んでいる。一方で救護班への「来客」も途切れなかった。ゆりたちはてきぱきと作業を進めて、皆を送り出していく。
「なー、今年の救護班、なんであの組み合わせなん?」
「班長のゆりさんが指名したらしいんだけど」
 あかねが耳打ちするように言うと、ラブも小声で答えた。
 ゆり、りん、いつき、六花、いおな。
「どっちか言うたら選手枠やんか」
「だから怪我のこともよくわかるし、ってことみたい」
 確かに、救護班を訪れる者は少なくないのだが、待たされることはない。手際はいいようだ。
「でも、厳しいんだよなー」
「あたし、亜久里ちゃんに怒られちゃったー」
 はるかが肩を落とす。
 救護班は他に、えみると亜久里も加わっている。
「プリキュアたる者、いつも前を向いて歩き続けること。
 前を向いてトラックをしっかり見ていれば転ぶことはないはずです!」
 亜久里の真似をする。
「あたしの傷、大丈夫かな…」
 なおが青い顔をしていた。
「どないしたん」
「えみるちゃんが、傷を完璧に消毒しないで放っておくとどういう風に悪化してどういうことになるか、って詳細に教えてくれてさ…。化膿して…うぅっ…」
「あぁ…」
 真似をする気力もないらしい。その様子を想像して皆が顔をひきつらせた。
「なんで さあやとか あきらさんとかじゃないの? お医者さん志望でしょ? ぴったりじゃん」
 なぎさの声が大きくなる。
「志望してるだけでは素人、というのがゆりさんの意見」
「そりゃそうやろけど」
「ひかるが、いおなに、不注意すぎる、って説教されたって」
 響が腕を組んだ。
「今回の救護班には『癒し』がない」
「治療はしてくれるんだけどね」
「次は祈里ちゃんに入ってもらおう」
「あと、こまちさん」
「今年は怪我せんようにするしかあれへんな」
「慎重に」
「じゃ、みんな」
「ご安全に」

 救護班のメンバーが目くばせをする。りんが親指を立てると、ゆりが頷いた。
「予防に勝る治療なし、なのです」
 えみるが胸を張った。
最終更新:2021年03月13日 23:11