閉幕(?)『オールスタープリキュア!トロピカれ笑顔!春のSS祭り2022』/一六◆6/pMjwqUTk
グランオーシャンの中央に位置する人魚の女王の城。その大広間が、今日はいつにも増して賑わっていた――いや、トロピカっていた。
まなつたちがカラフルな飾りつけを施したこの広間で、総勢70名を超えるプリキュアとその関係者たちによる「オールスタープリキュアお話会」が開催されているのだ。こんなにたくさんの人間が集う祝宴が、この海底の王国で催されたことなんて、これまであっただろうか。
会場が海の中であるにもかかわらず、みんな相変わらずいつもの移動手段で――ロケットや本の扉や、巨大な鳥に乗って来るやらして、会場にやって来た。それでも人魚の女王の力によるものか、魔法の渦潮に行く手を阻まれた者は誰もおらず、海の中でもメンバー全員ラクに呼吸が出来ている。
その結果、全員がいつもの調子でワイワイと話をするものだから、お話会の会場は、「本当にここは海の底なのだろうか?」と耳を疑うような賑やかさ。広い会場は実に楽し気な数多の声に包まれていた。
「う~ん、このヌードル美味しい! 海の中なのにコシがしっかりあって、のど越しスッキリしゃっきり爽快で、まるで『へいらっしゃい!』って掛け声そのものみたいだよぉ」
「このサンドイッチも、パンがふわふわで美味しい……」
「凄いよね~、海の中なのに。このおむすびも、いい塩加減だよ~!」
会場の大テーブルの隅に座って、幸せそうにモグモグと口を動かしているのは、らん、ここね、ゆいの三人。だが大テーブルに所狭しと並べられていた料理は、もうあらかた食べつくされている。
ゆいの隣に座っているマリちゃんことローズマリーは、もうとっくに食事を終えていて、きらら、美希、ゆかりと、何やら美しさについて語り合っている。そしてらんの隣のスペースでは、テーブルにぺたんと座ったメンメンが、難しい顔をして首を捻っていた。
「メンメン、どうしたパム?」
「みんなが話してくれたお話について、考えてたメン」
「コメ?」
パムパムに続いて、コメコメも首をかしげる。
「お話会のテーマが「やる気」と「ご飯」って聞いたときは、全然つながりが無いって思ったメン。でもどっちのお話も、聞いた後に胸の中がポカポカしたり、熱くなったり、笑い出したくなったり……その感じはおんなじだったメン」
「う~ん……意外とつながり、あるんじゃないかなぁ? ほら、美味しいご飯ってやる気てんこ盛りで作るし」
「美味しいご飯を食べるとやる気が出るってこともあるんじゃないかしら」
らんとここねが、思い思いの意見を口にする。いつの間にか美しさ談議を止めてこちらの話に耳を傾けていたらしいマリちゃんが、笑顔でメンメンの顔を覗き込んだ。
「メンメン。お話を聞いた時のカンジ、何か別のことをした時と似てなかった?」
「メン……」
少しの間考えてから、メンメンが笑顔でマリちゃんの方に向き直る。
「美味しいご飯を食べた後の感じ……。らんちゃん家のラーメン食べた時の、あの幸せな満足感……。あれにちょっと似てるメン!」
メンメンの答えに、マリちゃんが満足そうに微笑む。
「いろんなお話を読んだり聞いたりしたときの幸せな気持ちって、ほかほかハートにどこか似てるのかもしれないわね」
マリちゃんの言葉に、らんとここねが納得の笑顔で頷いた、その時。
――ぐぅ~……
会場のにぎやかさにも引けを取らない盛大なお腹の音が、辺りに響いた……。
「あ~、お話の中に出てきた食べ物のこと考えてたら、腹ペコった~!」
「今ご馳走食べたばっかりでしょっ!」
すかさずツッコむマリちゃんの声が、少女たちのワーッという歓声にかき消される。
「は~い! キラパティ☆グランオーシャン店、限定オープン! グランオーシャンの果物を使ったシエルの即興スイーツだよ!」
「チョンギーレに、海の中でも外がカリッと焼けるお好み焼きの作り方、教えてもろてん。みんな、試食してや~!」
両手にお盆を持って登場した、宇佐美いちかと日野あかねの周りに少女たちが群がる。
「こんな綺麗なスイーツが作れるなんて凄いわね。ひとつ頂くわ」
「あ、ローラ! わたしにもちょうだい」
「わたしはお好み焼きもらっちゃおうっと」
「ゆうこぉ、わたしも欲しい~!」
「あたしにも取って~」
「あ……わたしも……」
「ほら、押さない押さない! それにそんなにいっぺんに喋ったら、誰が誰やらわからないでしょ?」
なぎさがみんなを静めようと声を張り上げる。それを聞いて、咲がクスリと楽しそうに笑った。
「誰が誰やら……って言えばさ、あの新人研修の時は面白かったよね」
「なになに? その話、聞きたい!」
「それから、ローラとみのりがとんでもない冒険をしたって話も、まだ続きがあるんでしょ?」
「他にもまだ話してないお話がある人、いるんじゃない?」
「よぉし、じゃあ食べながらまだまだお話聞くぞぉ、けってーい!」
会場が再びワッと盛り上がる。そろそろお開きかと思われたお話会だが、まだもう少し続くらしい。
早速ゲットしてきたお好み焼きに舌鼓を打ち、次のお話に胸を躍らせながら、ゆいは今日聞いた数々の物語を思い起こして、幸せそうな笑みを浮かべた――。
こうしてお話会が終わったその後は、海の中からそれぞれの場所、それぞれの時間に戻っていく少女たち。
来年また、新たなテーマ、新たな場所で、いつもの仲間に新しい仲間を加えて幸せな時間を過ごすその日まで、美味しいご飯をしっかり食べて、やる気全開で参りましょう。
トロピカる時間、デリシャスな毎日が、皆さんと共にありますように!
最終更新:2022年05月09日 21:49