Fresh|Delicious/makiray
「なごみ家へようこそ!」
フレッシュプリキュアの四人がデリシャスパーティプリキュアの三人に会いに来た。場所はゆいの家で、ゆい達が手料理をふるまうことになった。おいしいものが揃ったおいしーなタウンに来て、町には出ずに家庭料理を楽しむ、というのはある意味では最高の贅沢である。デザートにはもちろん、ラブたちが持ってきたカオルちゃんのドーナツ。
「まずは、サラダからどうぞ」
わくわくして待っている四人の前に目にも鮮やかなサラダのボウルが置かれた。美希は目を輝かせたが、隣で「ひっ」と息をのむ音が聞こえた。
ラブがスティックサラダのニンジンを凝視している。
せつなはサラダの上に乗っているスライスされたピーマンから目を背けている。
察した祈里が苦笑した。ふたりはまだニンジン嫌いとピーマン嫌いを完全に克服したわけではないようだった。
「ゆいちゃん…」
ラブがおそるおそる挙手する。
「なぁに?」
「このニンジンなんだけどさ」
「新鮮でおいしいよ」
「熱を加えたほうがいいと思うんだ」
ゆいとらんが顔を見合わせる。
「熱を加えると栄養分が壊れて――」
ここねの発言を遮るラブ。
「食事ってそういうものじゃないと思う」
「え?」
「目で楽しむとか、みんなで一緒に食べるからもっとおいしいとか、そういうものじゃないかな。
理屈をこねまわして計算づくで食べる、っていうのはどうかと思う」
「そう…かしら」
「このピーマンもそうよ」
せつなが突然、声を上げた。
「こういう、スライスして上に乗せただけ、っていう添え物みたいな扱いはピーマンに対して失礼だと思う」
「はにゃ?」
「しっかり味付けをして、たくさんの具材と一緒に加熱されて、それでもまぎれてしまったりせずに、少量でもしっかりと主張する。それがピーマンのすごいところ。それを活かすべきよ」
ゆいが、おぉ、とつぶやいた。
「ふたりの、ニンジンとピーマンに対する愛情がひしひしと伝わってくるわ」
ここねも感銘を受けているようだった。
「よっしゃぁっ!」
らんが立ち上がる。
「ラブちゃんのニンジン愛、せつなちゃんのピーマン愛、この華満らんらんがしかと受け止めた!
ゆいぴょん、中華鍋あるよね?!」
「手伝うよ!」
「おぅ!」
台所に取って返す二人。ザクザクザク、と材料を切り、熱した中華鍋にジャッと油を注ぎ込み、ガランガランと鍋を振る。
「お待たせしました!」
大皿がドンと置かれる。
「ぱんだ軒特製酢豚、フレッシュデリシャススペシャル!」
「これ、酢豚…?」
「ふたりの大好きなニンジンとピーマン、大盛りマシマシだよっ!」
オレンジと緑が皿を覆っている。肉が見えない。
ラブが呆然とし、せつなが青ざめていた。
ごく少量を、加熱して苦味を飛ばし、濃い味付けで本来の風味を隠せば、食べられないことはない…だったのだろうが。美希が自分の眉間をマッサージする。
「いただきます…」
ラブとせつなはあきらめて箸を取った。
「ねぇ、らんちゃん」
祈里が大皿を視き込む。
「酢豚にパイン入れる派?」
第二ラウンドのゴングが鳴った。
最終更新:2022年05月11日 22:43