共助と自助/makiray




「一日も早く、エルちゃんをスカイランドに帰してあげたいんです。先輩の皆様のご協力をお願いします」
「飛んでいけばいいんじゃないの?」
 と言ったのは来海えりかだった。
「っていうか、プリキュアなのに飛べないの?」
 ソラ・ハレワタールの眉間が強張ったのを見た花咲つぼみが、えりかを連れて帰った。
 次に手を挙げたのはルールー・アムールだったが、ドリルとドライバーを持って改造手術を始めようとしたため、ソラは丁重にお断りした。
「わたしが連れてってあげる」
 朝日奈みらいの箒に飛び乗る。魔法の箒は急上昇を続けた。
「う…」
 ソラが唸っている。みらいもやや息苦しさを感じるようになった。
「みらい…さん」
「ぐ…ぐ…」
「ギブです。ギブ!」
 空気が薄くなり、呼吸ができなくなったふたりはすごすごと地上に戻った。
「だったら、ロケット ルン!」
 羽衣ララのロケットに乗り込む。
「AI、ソラシド市の上空をスキャンしてスカイランドの位置を特定するルン」
〈承知しました〉
 それきり沈黙する AI.
「AI?」
〈ソラシド市上空にそのような領域を確認できません〉
「そんなことは!」
「レーダーで探知できるようなものではないのかもしれないルン」
「シロップに頼んでみよう」
 夢原のぞみの提案でシロップが呼び出された。
「スカイランド?!」
 だが、シロップの顔は青ざめている。
「ご存じなんですね!」
「知ってるけど…ごめん。ほかを当たってくれ」
「お願いします! 早くエルちゃんを帰してあげたいんです!!」
「わかるけど…」
「お願いします!!」
 ソラが深々と頭を下げる。
「あそこ、普通の方法じゃいけないんだよ」
「だからシロップに頼んでるのに」
 のぞみが助け舟を出す。
「魔法の薬みたいなのがいるんだよ」
「魔法の薬…ですか?」
「ましろさんが材料を集めて、ヨヨさんが作ってる、あれですよね」
「いや、その人は知らないけど…。
 とにかく、それを翼に塗らないとだめなんだよ」
「そうなんですか。でも、塗れば行けるんですよね。ヨヨさんが一生懸命作ってます」
「あれはだめだ!」
「あれ、って」
「…ル」
「ル?」
「…エル」
「はい。エルちゃんをおうちに返してあげたいんです」
「カエルだよっ!」
 シロップが怒鳴った。
「干したカエルのエキスだけはダメだっ!!」
「そこをなんとか」
「悪い。蕁麻疹が出るんだ。ほかを当たってくれ」
 のぞみが、ははは、と笑いを引きつらせる。ほかの当てはないようだった。
「自分で考えます…」
 ソラはがっくりと肩を落としてとぼとぼと歩き出した。
最終更新:2023年04月24日 23:24