「not satisfied」/◆BVjx9JFTno




熱いのに、寒い。


しんと静まりかえった部屋。
窓の外から、日曜の日差しが差し込む。


遠くに聞こえる、商店街の喧噪。
子供達が駆けていく声。


布団を被ったわたしは、
それを恨めしく思っていた。


ラブちゃんが来るまでは。



熱で寝込んでいるわたしを心配して、
ラブちゃんがお見舞いに来てくれた。


せつなちゃんは、シフォンのお守り。
美希ちゃんは、撮影のお仕事。



ラブちゃんと、ふたりきり。







ずっと押し殺してきた、
ラブちゃんへの想い。



抑えられる、自信がない。



「はい、あーん」
「ちょっと、恥ずかしいよ...」


「いいじゃん、誰も居ないんだし」
「そ...それじゃ...」


口を開ける。


リンゴが口に入る。
甘酸っぱくて美味しい。


「おいしい?」
「うん...!」


「わはー、よかったぁ」


ラブちゃんはいつも、こんな感じで
優しくしてくれる。


じゃれ合いのつもりだろうけど、
わたしは、そう受け取れない。


勘違い、しちゃうよ。







「はい、もう1回。あーん...」


ラブちゃんの顔が、近づく。



わたしは思わず、布団から腕を出して
ラブちゃんの首に絡め、引き寄せた。


ラブちゃんのほおが、
わたしのほおに密着した。


「ちょ、ちょっと、ブッキー...!」


ラブちゃんの、匂い。
胸いっぱいに、吸い込む。


「...き...」
「えっ?...」


「...すき...」



言っちゃった。



硬くなっていたラブちゃんの体が、
ふっと柔らかくなった。


密着しているほおを、
ラブちゃんがやさしくすり動かす。






「あたしも、今日は期待してたんだ...」


「期待って...ラブちゃんには、せ」


ラブちゃんが、わたしの唇に
人差し指を当てた。



そういうことなのね。


下腹部が、きゅんとした。



わたしは目を閉じ、ラブちゃんの
人差し指を口に含んだ。


ゆるりと、舌をまわす。


ラブちゃんのほおが、みるみる赤くなり
瞳に、鈍い光が灯る。



指が引き抜かれ、かわりに
唇が押しつけられた。


角度を変えて、何度も重なる。


軽くあいた唇のすき間から、
ラブちゃんの舌が入ってくる。


わたしの舌で、深く迎え入れた。






パジャマのすそから、
ラブちゃんの両手が入ってくる。


ラブちゃんの手の中で、
わたしのふくらみが踊る。


「んっ...!」


思わず、声が出る。



ラブちゃんの手が、いったん下に降り、
わたしのパジャマをまくり上げる。


熱があるせいか、外気に触れた肌が
ひやっとして、少し震えた。


ふるん、と揺れたふくらみを
ラブちゃんの手が包む。


先端を、舌で弾かれる。


「あっ!...あん!...ラブちゃ...ん!」


自分でも信じられないような、甘い声。



意識とは関係なく、体が反る。
電流のような刺激が、頭の中を真っ白にする。



熱なんか、どうでも良くなった。





ラブちゃんの唇が、這い降りる。
両手が、パジャマのズボンにかかる。


下着と一緒に、ゆっくりと脱がされる。


望んでいたことだけど、
やっぱり、恥ずかしい。


わたしは反射的に、
脚をぴったりと閉じた。



「見せて...」


太腿の内側に、両手が当てられた。
外側に向かって押される。


ラブちゃんの目の前で、
私の両脚が、大きく開かれた。


ラブちゃんに、全部見られてる。


わたしは恥ずかしさのあまり、
顔を両手で覆った。


「すごく、きれい...」


ラブちゃんが吐息を漏らす。






指のすき間から、ラブちゃんを見る。


ラブちゃんの顔が、ゆっくりと沈む。



ぴちゃっ。



耳に届くほどの音。


恥ずかしさと同時に、
耐え難い興奮がわき上がる。


ラブちゃんの舌が周りを優しく這った後、
膨らんでいる突起を拾い上げる。


優しく、何度も、吸われる。


頭の先まで痺れるような刺激に、
わたしの体が、悦びの脈を打つ。


あふれ出る蜜と、ラブちゃんの
舌が奏でる音。


吐息に混じる、甘い声。


さわやかな外の空気とは
あまりに違う室内の空気が、
わたしの体をさらに敏感にする。






わたしは、ラブちゃんの頭に手をあて、
ラブちゃんが愛してくれているそこを
きゅっと押しつけた。


ラブちゃんは、上唇でわたしの突起を
器用に舐りながら、舌先を中に入れ、
味わうように回転させる。


「やああんっ!」


突然、突き上げるような感覚が
わたしを襲い、腰が反った状態のまま
何度か、体が跳ねた。



痙攣が治まっても、乱れた息は
なかなか元に戻らない。


ラブちゃんが顔を寄せる。
おでこが触れあう。



その瞬間、今のわたしと同じように、
ラブちゃんの下で息を弾ませている
もうひとりの姿が、はっきりと浮かんだ。



いつも、こうやってるの...?



満たされたと思った心が、
急速に冷えていく。



後悔だけが、残った。
最終更新:2013年02月16日 21:15