アットウィキロゴ

【アイニキテ】/恵千果◆EeRc0idolE




 皆が寝静まった部屋。戦いの余韻で何となく眠れずにいたせつなは、おもむろにメールを打ちはじめた。


『寝た?』


『寝れないの。せつなも?』


 文面を見てせつなは微笑んだ。可愛いわ…すぐに返信があるところが、やけに素直で。


 せつなはトイレに立った振りをして個室でアカルンを起動する。


 紅い光を浴びて、驚いた美希が叫ぶ。


「もう!びっくりするじゃない!」


 嬉しさを隠しながら怒ったふりをする美希だったが、本当は逢いたかったので顔がにやけている。


「美希…何か顔がやらしいわよ」


「しし失礼ねっ!もーホント、モデル捕まえて何言うんだか…」


 ぶつぶつ言っている美希を尻目に、無言で美希のベッドに入り込むせつな。


「ちょ、ちょっと!いきなり入ってこないでくれる?」


「だって…この部屋、沖縄に比べて寒いんだもの。美希の身体…あったかい」


 フローリングで冷えた脚を美希の脚に絡め、せつなは彼女の腹部に頭をくっつけた。


「しょうがないわね…」


 せつなの頭をいい子いい子しながら、美希は考える。
 アタシ、ペースを完全に乱されてる…。全然完璧じゃない。なのに、それがこんなに嬉しいなんて。


「すーすー」


「ちょっ、せつな!?さすがに寝ちゃったらヤバイわよ!点呼もあるかもしれないし…起きなさいよ!」





「くっくっくっ…」


 声を抑えながら笑うせつな。はめられたわ…悔しいっ!


「もう知らない!せっかくひとが心配してあげてるのに」


 美希はプイっと背中を向けてしまった。


「ごめんなさい、怒らないで美希」


「イヤ!」


「…こっち向いてよ」


 背を向けたままの美希を、せつなが抱きしめる。


「今日、来てくれて嬉しかった。それが言いたくて。怒らせるつもりなんて無かったの。…ごめんなさい、もう帰るわね」


「待って」


 帰ろうとするせつなを、美希の上ずった声が遮る。


「アタシも言いたいコトが…あったかも」


「…なあに?」


「逢いに来てくれて…嬉しかったわ」


 ハニカミながら美希はせつなの額にくちづけた。一瞬の出来事でせつなは呆然としている。



「黙ってないで何か言ったら?照れるじゃない!」


「…違うわ」


「え?」


「キスは…ここにするものよ」


ちゅっ


 今度は美希が呆然とする番だった。


「じゃ、ね。おやすみなさい美希」


 再び深紅の光が部屋を照らし、彼女は居なくなる。


「まったく…」


 くちびるを指でなぞりながら、さっきの記憶を辿り、胸に刻みこむ。
 あのコといると、振り回されっぱなし。
 アタシ、完璧にはまってる。
最終更新:2013年02月16日 21:53