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私は……笑顔が嫌い/ねぎぼう




 黒い装束を纏った少女が未だ充たされていない不幸のゲージを見つめています。

 不幸のゲージを溜めるためにナケワメーケを暴れさせても、そこに必ず現れては
野望を中途で阻んでいくプリキュア。

 赤い妖精の争奪戦でこそ、当初は各個の戦いにて力の差を見せ付けましたが、
チームワークの力の前に撤退を余儀なくされました。個人の力もいずれは……

(貴様とは長い付き合いになりそうだ)

 最初にプリキュアに遭遇したときに言い残した言葉。
そこに秘めた懸念も現実のものになりつつありました。

 懸念を払うために選んだ方法は、
『素顔のプリキュアに近づき、その変身を封じること』

 でも現実には、変身アイテムを奪うどころか手にとることすらままなりません。

 素顔のプリキュアに近づくことはあっけないくらい容易にできたのですが。

 キュアピーチ……桃園ラブ。

 今日もこれから会う約束をしています。

『ヨカッタ、セツナハ許シテクレタ。イイ子ダナ、セツナッテ』

 以前会った時に、本心を晒すサウラーの計略の中で見せた笑顔。

 総統メビウスより戦士を拝命したイースが、その命令を果たすべく
他のパラレルワールドに潜んでいた中で見てきた笑顔の裏には常に罠がありました。

(所詮はメビウス様のものではない薄汚い世界ゆえか……)

 その罠に傷つき、潜り抜けて生き抜いてきた中で、いつしか笑顔は憎しみの対象となっていきました。

 一方で、イース自身も笑顔の裏に罠を張ることを覚えていくのでした。

(あぁ~、早くリンクルンを奪って帰りたい)

 ドーナツカフェでイースがふと漏らした本心。

(リンクルンを奪って……
メビウス様がすべてを決める世界へ、
メビウス様のお役に立つことがすべての世界へ、

計略のための偽の笑顔も必要としない世界へ、

帰りたい……)

 でも本物の笑顔なら??

(ふっ、馬鹿げたことを……)

 不幸のゲージに背を向けると、黒い装束は白いブラウスに変わりました。

(リンクルンが奪えぬなら……せめてその笑顔を奪ってやる)

 せつなは一人ほくそ笑むのでした。

 一番嫌いな笑顔で……
最終更新:2013年11月04日 23:12