『ゆうゆうの“料理は愛情”』/夏希◆JIBDaXNP.g
ゆうこ「どう? 少しは落ち着いた?」
ひめ「ありがとう。ゆうこは私の命の恩人だよ」
ゆうこ「じゃあ、何があったのか教えてくれる?」
ひめ「うん、実はね……」
ゆうこ「そっかー。喧嘩しちゃうくらいに、パンケーキが食べたかったんだ?」
ひめ「あっ、それは……」
ゆうこ「そうよね。うちのおおもり弁当だってパンケーキじゃないのに、幸せそうに食べてくれたものね」
ひめ「うん、すっごく美味しかったよ」
ゆうこ「じゃ、どうしてグラタンは食べてあげなかったの?」
ひめ「私、めぐみのお家で食べたパンケーキがすごく美味しかったから、リボンの焼いたパンケーキも食べてみたかったの……」
ゆうこ「それで、がっかりしたんだ?」
ひめ「そうだけど、それだけじゃなくて……。私ね、優しくしてくれないリボンに、腹を立ててたんだと思う」
ゆうこ「愛情たっぷりのグラタンには、優しさはこもってない?」
ひめ「それは……」
ゆうこ「先に優しくしなかったのはどっちか、わかるよね?」
ひめ「うん……私、謝ってくる……」
リボン「その必要はありませんわ」
ひめ「リボン……」
リボン「ひめがあたくしのグラタンは召し上がらないのに、そちらのお弁当は完食された理由が、わかりましたの」
リボン「ひめ! あたくしが間違ってましたハグッ……」
ひめ「ううん、ちがうの、私が悪いハグッ……」
ゆうこ「はい、そこまで。じゃあこれ、おおもりご飯特製、なかよしコロッケ。二人で仲良く、ね」
大使館への帰り道にて――
リボン「今日は勉強になりましたわ。『料理は愛情』それは召し上がってもらうまでのことをいうのですわね」
ひめ「うん。調理じゃなくて料理。つまり、食べる私も愛情を持たなくちゃね」
ひめ「あーあ、急にリボンのグラタンが食べたくなっちゃった。帰ったら作ってくれる?」
リボン「あたくしはパンケーキが焼きたくなりましたわ」
ひめ「ヤダヤダ、今晩はグラタンが食べたいの」
リボン「もうパンケーキと決めましたの。ひめはワガママを言いすぎですわ」
ひめ「リボンこそ、もっと私に優しくしてくれてもいいと思う」
~仲良きことは、美しきかな~
おわり
最終更新:2014年03月09日 22:21