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「あなたに、ありがとう」/ねぎぼう




 クローバーの生い茂る夏の日の草原。
 かつて占い館があった場所。

 せつなが花を持って現れた。

「かつての私……」

 あの日倒れ伏した場所に花を置く。

 そこにラブが来た。

「ここに来ていたんだね」
「呼ばれている気が、したの」
「あたしも……そんな気がしたんだ」

 手に持っていたドーナツを供える。

「せつなの大好きなドーナツだから、きっとね」
「ラブったら……」

 ラブは手を合わせた。

「もうイースじゃない、って言ってごめんね。
罪を憎んで人を憎まず、だったよね」

 せつなも手を合わせる。

「貴女に戻ることを怖れて……ごめんなさい」

 かつて当たり前のようにその存在を忌避したイースに詫びた。

(ありがとう、出会ってくれて)
(そして、命を引き継いでくれて)

 そう聴こえたような気がした。

「ありがとう、生まれてきてくれて」

 その声に対する返礼。

「帰ろっか、せつな」
「ええ、ラブ」

 後にする二人。

(水晶玉に映っていたのは……出鱈目じゃなかったわね)

 誰にも見えないその微笑みは穏やかであたたかいものであった。
最終更新:2014年07月14日 21:30