欠落オートメーション

【17】欠落オートメーション

F-6市街地。
伏島茂晴は壁に背を預け、ぼんやりと空を眺めていた。

「青いな」

空は青い。殺し合いを見下ろそうがその青さは変わらない。

「よぅ兄ちゃん、そんな所でぼーっとしてたら危ないぜ」
「……」

そこへ茂晴に声を掛ける青い狼獣人の男。傭兵かごろつきのような格好のウォラゴ。
実際彼は盗賊紛いの傭兵団に所属するアウトローだった。

「恨みは無ぇんだけどよ、死んで貰う」

そしてウォラゴは支給されたショートソードを片手に茂晴に襲いかかる。
外見的に一般人だろうから簡単に殺せると踏んだ。
しかしそれは間違いだった。

「ぐ、あ……!?」

次の瞬間には、茂晴はウォラゴの腹に何かを深々と突き刺していた。その動作はとても早くウォラゴは一瞬何が起きたか分からない。

「こっちもあんたに恨みは無むが、そう来るのなら、仕方無い」

そう言い放つと、茂晴はウォラゴの腹に刺していたそれ、マイナスドライバーを引き抜き、次にそれで彼の首を刺し貫いた。

「まじか」

口から血を吐きながらもらした驚愕の言葉が、ウォラゴの遺言となった。

「こいつは貰っておくぞ」

地面に倒れ物言わぬ屍となったウォラゴから茂晴はショートソードを回収し、その場から去った。
彼は殺し合いに乗るつもりでいたが、それ以上に強者と戦える事を期待していた。
その点では今の青狼は期待外れであった。あっさり殺せてしまったのだから。

その一部始終を近くの民家二階窓からこっそり見ていた者が居る。
青い髪に竜の角、耳、翼、尻尾、両手両足を持った半竜族の女性、レカ。
彼女はウォラゴの同僚だった。そこまで仲が良かった訳では無いが。

「あらら、ウォラゴ殺されちゃった……ご愁傷様……まあ少しの間なら忘れないよ。
さあて私も気合入れて行かないと……」

彼女もまた殺し合いに乗るつもりでいた。純粋に優勝狙いである。
ただ、支給品が何とピンクローターであり、まず武器が必要であった。

「……最近ご無沙汰だし、ちょっと、一回位なら……う、あうっ」

まずピンクローターを一度味わってからレカは行動する事にした。


【ウォラゴ  死亡】


【明朝/F-6市街地】
【伏島茂晴】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、マイナスドライバー、ショートソード
[行動指針]殺し合いに乗る。強い奴と会えたら良いな。

【レカ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、ピンクローター
[行動指針]殺し合いに乗る。ちょっとだけピンクローターを……。


《キャラ紹介》
【伏島茂晴】
ふせじま・しげはる
殺し屋の男。24歳位。黒を基調にした格好と言う事以外は普通と言える見た目。しかし戦闘能力は高く近接武器が得意。
強者との戦闘を好む好戦的な一面も。

【ウォラゴ】
盗賊傭兵団に所属する狼獣人。22歳。濃淡の青の毛皮。暴行、殺人、略奪、強姦と何でも行う悪党。

【レカ】
盗賊傭兵団に所属する半竜人。19歳。青い髪に竜の手足と翼、耳と尻尾を持つ。かなりの美女だが同僚のウォラゴ同様の悪党。
ビキニのような露出の多い格好。


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最終更新:2016年09月28日 10:58