47話 出会いは突然、アウトも突然

E-4市街地の一角、路地裏にて鉤丸聖人は第一回放送を耳にし、地図と名簿に放送で得た情報を書き込む。
今まで彼がどうしていたのかと言うと、明朝に女性の爆殺死体を見た後南下し市街地へ。
利用出来そうな人物を捜すも見付からずそうこうしている内に放送の時間になった、と言う経緯である。

「21人、随分死んでるな……しかし放送の間隔わざわざ短くする必要有るのか?」

進行役の柴田が言うには、ルールを少し変更し放送の間隔を6時間から4時間に短縮するとの事。
死者が多いからと言ってわざわざそんな事をする必要性は有るのかと聖人は思う。

「ま、そんな事どうでも良いか」

思いはしたが、柴田の意図など考えても答えが出る筈も無い。
それにまだゲームは終わっていない。自分が生き残る事を優先して考えるべきだ。
聖人は思考を切り替えて、自分の武器の拳銃を持って路地裏を出た。

そして彼が待ち望む他参加者との出会いは数分も経たずやって来た。
彼が望む形などでは全く無いが。

「あっ、発見ー」
「え」

突然の声に顔を向ければ、そこには黒髪の少女。角が見えるので人間では無いのだろう。
但し、角よりも聖人が目を引かれたのは、少女が自分に向けて構えている、銃。

(え、嘘、ちょっと待って)

慌てる聖人。
突然の事に対応出来ず、持っていた二十六年式拳銃を構える事も出来ず、その前に少女の銃が先に火を噴いた。
放たれた銃弾は聖人の右目から彼の頭蓋骨を貫通し、衝撃で聖人は後ろへ吹き飛ばされ仰向けになり、
アスファルトに血と肉片を飛び散らせて息絶える。

本人も何が何だか分からない内の、あっさり、呆気無い死に様であった。

◆◆◆

あっさりでつまらなかったがまあいいと、スカーレットは少年の持っていた武器を回収する。
放送は聞いた。放送時間変更も知った。
禁止エリアも勿論重要だがそれよりスカーレットが気になったのは死亡人数の多さ。
たった6時間で21人も死んだ。自分が殺した者も含めてだが。
他にもやる気になっている人物が大勢居るのだろうか。

「結構死んでるみたい、早くしないと獲物が無くなっちゃうかも……」

うかうかしていると自分が楽しめる分の獲物が居なくなってしまうかもしれない。
今のスカーレットの唯一の心配事と言えばそれである。

「まあ市街地なら人も集まるだろうし、ぶらぶらしてよっと」

とは言え、そこまで切羽詰まった心配、と言う訳でも無い。
一応、自分を除きまだ30人が生き残っているのだから、まだまだ楽しめはするだろう。
スカーレットは適当に鼻歌を歌いながら、次の獲物を探す。


【鉤丸聖人  死亡】
【残り30人】


【日中/E-4市街地】
【スカーレット・ガードナー】
状態:健康
持物:支給品一式、コルトS.A.A(5/6)、.45ロングコルト(8)、スタームルガーP85(7/15)、スタームルガーP85の弾倉(3)、
二十六年式拳銃(6/6)、二十六年式拳銃実包(12)
現状:殺し合いを楽しむ。獲物探し。


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最終更新:2016年08月15日 22:26