~ミストラルシティ・喫茶かざぐるま~
きゅっぱ「まずあたしがなんでここに来たかってところからだね」
にろく「お前は
シュウたちのところにいたんだろ。そんなお前が用事もなくここにくるはずもないからな」
きゅっぱ「あんたの考え通りだよ。今から1週間ほど前になるかね」
~~~
~1週間前・とある都市~
飛行戦艦イミタタティオンの改修作業が完了し、出発の準備をしているきゅっぱたち。
ウルズ「こんなもんか」
きゅっぱ「じゃあいくとするかね」
2人が戦艦に乗り込もうとしたその時!
ババババ!
突如銃声が響き渡る。
ウルズ「なんだ!?」
???「反応を確認!間違いありません!」
EGO隊員のような恰好をした男たちがウルズに対して銃口を向けながら近づいてくる。
???「まさかヘレティスシリーズがこちら側にもいたとはな…各員!気を引き締めろ!」
ウルズ「ヘレティス…だと?」
ヘレティス。その名はウルズが元いた世界の時の名前だ。
きゅっぱ「こいつらEGOの差し金かい?あたしたちを始末する気か!」
EGOの暗部に所属していたウルズときゅっぱ。2人を始末するためにEGOが差し向けた刺客だろうか。
???「一斉射撃!」
ババババ!
男たちは一斉にウルズに向かって射撃を行う。
ウルズ「ちっ!」
ガキン!
両手を交差させ銃弾を受けるウルズ。サイボーグであるウルズの機械の腕は銃弾を弾く。
???「なに!?銃弾が効かない!?そんなデータは…」
???「こちら側のヘレティス1は強化されているのか…」
ウルズ(ヘレティス1だと!?やはり俺の名を知っている…こいつら何者だ?)
???「ならば!」
男たちが武器を取り出そうとしたその時!
ゴゴゴゴ!!
あたりに響き渡る轟音。
きゅっぱ「なんだ!?」
ウルズ「これは!」
???「なに!?」
その場にいた全員が頭上を見上げる。そこには大きな黒い球体が空間を歪ませながら生成されていた。
シュウ「おやおや。これはまた、大変なことになっていますね」
シュウが戦艦から降りてくる。
きゅっぱ「シュウ!」
???「能力者か…かまわん!いくぞ!」
男たちは再び武器を取り出そうとする。
シュウ「やらせませんよ」
シュウが手を男たちの方へと向ける。それに呼応するように黒い球体は男たちの方へと降ってくる。
???「なんだ!?」
男たちの体が黒い球体に包まれる。
???「なんともない…かまうものか!」
???「あれ…」
男たちはウルズたちの元へと走り出す。だがその距離は一向に縮まらない。
???「な…ん…で…」
シュウ「事象の地平から逃れることはできませんよ。…と言っても捕らわれたあなたたちにとっては一瞬のことで理解も追い付かないでしょう」
パチン!
指を鳴らすシュウ。それに呼応するように黒い球体が男たちを取り込み消滅する。
きゅっぱ(何度見てもこいつだけは敵にまわしたくないね…)
この光景をみてまじまじと思うきゅっぱ。
シュウ「さて2人とも。また彼らの仲間が来るかもしれません。急いでここをでますよ」
ウルズ「そうだな…それが先決だ」
3人は戦艦に乗り込む。
ゴゴゴゴ!
轟音と共に離陸する戦艦。戦艦はその都市を後にした。
~飛行戦艦イミタティオン・改『ゲネシス』内部~
シュウ「さて…」
ブリッジに集まるシュウとウルズ、きゅっぱの3人。
シュウ「まずは状況の整理ですね」
何故あのEGOの隊員らしき男たちはウルズたちを襲撃してきたのか。
きゅっぱ「あいつらの狙いはウルズおまえだったんじゃないのか?」
男たちはきゅっぱのことには目もくれずウルズだけを狙っていた。
ウルズ「あぁ。それで間違いないと思う…」
シュウ「ではなぜあなただけが狙われていたのでしょうか?」
ウルズ「それはあいつらの言っていた言葉から推測できる」
きゅっぱ「あいつらの言っていた言葉?」
ウルズ「そうだ。あいつらは俺のことをヘレティス1と言っていた。」
シュウ「ヘレティス1…」
ウルズ「そうだ。それは俺が元々いた世界での名前だ。」
きゅっぱ「なんであいつらはそれを知っていたんだ?」
ウルズ「それはわからない…だがあいつらが俺の居場所を突き止められるということは十也も狙われる可能性があるということだ」
男たちはウルズを見たとき、装置を持っていた。男たちの反応からしてそれはヘレティスシリーズを探すことができる装置の可能性が高い。
シュウ「なるほど。あなたの推論が正しいとするならこのゲネシスで移動しているあなたを狙うより、ミストラルシティにいる十也が狙われる可能性が高いですね」
奴らがヘレティスシリーズであるウルズと十也を狙っているなら、不定期に移動するウルズを狙うよりはミストラルシティという決まった場所にいる十也を狙う方が確実だ。
シュウ「彼らがEGOに関係のあるものなのかも含めて調査が必要ですね。それと十也の方にも手を打った方がよさそうです」
きゅっぱ「だったらあたしがミストラルシティにいくよ」
シュウ「よろしくお願いしますきゅっぱ。では我々は彼らの正体について調べることにしましょう」
ウルズ「あぁ!」
~~~
~ミストラルシティ・喫茶かざぐるま~
きゅっぱ「というわけさ。そして街中で怪しい聞き込みをしているEGO隊員を見つけて尾けてみたらここに来たってことさ」
メルト「それがあなたがここに来た理由ですか」
ナル「そんなことがあったとはね」
きゅっぱ「ここまで来たかいがあったね。おかげで連中の手がかりが手に入りそうだ」
にろく「その連中の1人と思われる男をこの奥の部屋に拘束している」
にろくたちにより拘束された男。それは確かにEGOに所属している人物だった。だがその人物は数年前に死んだはずの人物だったのだ。
にろく(だが不可思議な点はそれだけじゃあない。奴が使っていた武器…)
アージ・アレジェーネが使っていたD・Eブレードのようなエネルギーの剣や盾。それらの技術は出所が不明だ。
にろく(ネオに関連する奴らなのか…なんにしても奴に直接聞いた方が早そうだな)
にろくたちは拘束した男のいる部屋へと入る。
男「…」
縄で縛られ身動きが取れない男がいた。
きゅっぱ「さてなにから聞こうかね」
聞きたいことは山ほどある。
にろく「お前たちはEGOの手の者なのか?なんで十也について調べていた?」
男「…」
男は口を開かない。
ナル「だんまりみたいだね…」
きゅっぱ「そっちがその気ならこっちにも考えがあるよ」
きゅっぱはなにやらガサゴソと道具を取り出す。
にろく「あんまり激しくするなよ…」
メルト「まさか拷問ですか!?ヒェー!」
きゅっぱ「ちょっと刺激が強いかもしれないからあんたたちは外で待ってな。すぐ終わらせるよ」
にろく「なにかあったら困るからな。俺も同席する」
きゅっぱ「まぁ、あんたなら慣れているから大丈夫だろ」
メルト「にろくさんもそういう方なんですか!?お、恐ろしい~~!!」
ナル「ほら行くよメルト」
メルト「は、はい!」
ツバメ「なにかあったらすぐに教えて頂戴ね」
にろく「わかった」
にろくときゅっぱの2人を部屋に残し3人は部屋を出た。
~それから数十分後~
隣の部屋で待機するナルたち。
ツバメ「大丈夫かしら…」
にろくたちを心配するツバメ。
ナル「にろくなら大丈夫だよ」
にろくを信頼するナル。それは2人の絆があってこそだ。
メルト「はぁ~。おいしいコーヒーです~」
メルトがコーヒーの味に感嘆していると…
ボン!
にろくたちのいる部屋から音がする。
ナル「なんだ!」
モクモク!
白い煙がにろくたちのいる部屋の扉の隙間から溢れてくる。
ツバメ「にろく!」
にろくたちのいる部屋の扉を開け中に入るツバメたち!
バン!
勢いよく開かれる扉。そしてその中には…
にろく「くそっ!」
きゅっぱ「まさかこんな隠し玉を持っていたとはね…」
にろくときゅっぱの姿があった。拘束されていた男の姿は見えない。
メルト「無事ですかお二人とも!」
きゅっぱ「あぁ。あたしらは問題ないよ」
にろく「だが奴に逃げられた…」
男は隙を見て隠していた煙球を使い、その隙に逃走したようだった。
ナル「まさか…にろくたちを出し抜くなんて…」
秘密諜報部に所属していた2人を出し抜くほどの男。かなりの手練れだ。
きゅっぱ「すまない…あたしのミスだね」
にろく「いや俺もそこまで読めていなかった。気にするなきゅっぱ」
きゅっぱ「すまないね…」
きゅっぱ「それに手がかりは手に入った」
きゅっぱ「?」
にろくはボタンのような装置と男の隊員証を手に持っていた。
にろく「急な逃走で見落としていたんだろう。」
ツバメ「あと奴が使っていた銃もあるわよ」
ナル「例のエネルギーの武器だね。それを調べればなにか手がかりがつかめるかもしれない。調べてみよう」
男の使っていた武器を調べる一同。
にろく「この銃…おかしい」
メルト「なにがです?」
にろく「弾倉が存在しない」
きゅっぱ「銃弾を詰めるところがないってことかい」
にろく「あぁ。代わりにこんなものが…」
なにやら石材を加工したようなものが装填されていた。それを目にするナル。
ナル「これって!」
メルト「なんですか?」
ナル「わからないのかいメルト?形は違うけど輝鉱石に似ている」
それの材質は輝鉱石に似ていた。手に取って触ってみるとますます似ている。
ナル「まさか人工輝鉱石…いやでもそんなはずはない」
人工輝鉱石。それはもう存在しないはずのもの。それがあるはずはない。
メルト「じゃあ本物の輝鉱石なんじゃあ…」
ナル「輝鉱石をこんな弾倉(カートリッジ)のような形に加工する技術なんて聞いたことがない…」
ツバメ「ボタン型の装置にも小さいけど似たようなのが入っているわね」
ナル「これはいったい…」
きゅっぱ「手がかりをつかむどころか逆に謎が増えてしまったね」
にろく「なら手っ取り早くこっちを当たるか」
男の隊員証を手に取るにろく。
きゅっぱ「そうだね。それが早い」
ツバメ「EGOにいくのね」
ナル「だったら僕も行くよ。この輝鉱石に似た物質のことも気になるしね」
メルト「皆さんの留守はお任せください!」
調べれば調べるほど謎が増えていく男の正体。それはナルのもつ輝鉱石にも関連しているかもしれない。
メルトとツバメを店に残し、にろく、きゅっぱ、ナルの3人は男の正体の手がかりを得るためEGOミストラルシティ支部へと向かうのであった。
to be continued
最終更新:2017年07月16日 21:19