~グリフ大陸・平原~
にろく「なんとか…下山できたな…」
心身ともに疲弊しているにろくたち。
ナル「ここから一番近い都市はEGOグリフ大陸支部だね…」
きゅっぱ「なんとかそこまでいきたいところだが…」
4人の体は限界を迎えていた。ケビン・ロダスの謎を追うために各地を転々とし、それに加え先ほどの謎の襲撃者。
メルト「もう…ダメです…」
ドサッ!!
倒れるメルト。
ナル「メルト…ぐっ…僕ももう限界かな…」
にろく「ちっ…こんなところで…」
きゅっぱ「まだわかっていないっていうのに…」
3人もメルトの後を追うようにその場に倒れる。それだけ彼らの体には疲労がたまっていたのだろう。
ザッザッザッ!
薄れいく意識の中で足音が聞こえる。さっきの奴らだろうか。だとすれば
にろくたちに助かる術はない。
にろく(運がなかったか…)
自らの死を覚悟するにろく。
???「こいつらは…」
???「バトルグランプリの時にいたやつだな。だが知らない顔もいる…」
男と女の声が聞こえる。だがその顔を確認するほどの気力はにろくたちに残ってはいない。
???「こいつらは確かあいつらの知り合いだったんじゃないか?」
???「そうだね。ここで見殺しにするのも気分が悪いし、とりあえずあいつらのところに連れて行こうか」
にろく(あいつら…?いったい…だれのことだ…)
そう考えてるうちに意識を失うにろく。
???「あいつらに貸しが一つできたね。でも4人も担いで帰るっていうのは大変じゃあないか?」
???「それなら問題ない。ちょうどいい話がある。お前には頑張ってもらわないといけないがな」
???「物語をグッドエンドに導くためか?」
???「そういうことだ。俺はあくまで語り部だからな」
???「ちっ!だがしょうがない。お前にも貸しだからな!」
女はなんやかんや言いながらもにろくたちを担ぐ。たった一人で4人を担ぐ。
???「さて。話はちょっと違うが途中からだな。急いで国に戻らないとな。友のために!」
???「あいつらを友というのも微妙だが…」
女は足に力を込める。
???「行ってやるよ!」
女は4人を担ぎながら走る。
???「がんばれよー!」
男はその様子を見て応援する。今はまだ早朝。夕日が沈むまではかなり時間がある。
???「この調子ならグッドエンドを迎えられそうだな…ただ…」
男は一利の不安を口にする。
???「戻ったあとに俺があいつにバッドエンドにされそうだけど…」
そして時は少し遡り~~
~EGO本部・入り口~
十也「ふ~」
ため息をつく十也。
結利「大変だったね~」
十也と結利はクリュセルスでの戦いとタウガス共和国での未知の未元獣との闘いについて本部で調書を受けていた。そして今やっと解放されたのだ。
十也「さーて!ミストラルシティに帰ろうか!」
結利「うん!」
二人はEGO本部を後にする。帰りは行きと同じくEGOの専用車用に乗り、送迎される。
EGO本部とミストラルシティの中間ぐらいの地点へと差し掛かったころ。十也はふと思う。
十也「なんでわざわざ俺たちが本部に召集されたんだろうな」
結利「なんでだろうね?でも本部が召集したかったのは十也で私はおまけだったんじゃあないかな」
十也「俺が?」
結利「うん。ネオのことを倒したのも十也だし、本部は十也に興味を持っているような感じだったよ」
十也「そうかな~」
調書の内容に対して興味がなかった十也にはまったく実感がわかない。
十也「なんにしても平和なのが一番だよな」
それが今の十也が望むことだ。過去にヘレティス2として闘いを強いられていた彼だからこそ強く平和を望むのかもしれない。
結利「そうだね」
結利も似たようなものだ。彼女も起源の
オリジンに自身の親を殺された。そんな彼女も平和を望む。
結利「でも…そのために戦わなくちゃいけないんだよね」
十也「そうだな…」
平和のために戦う。そのために2人はEGOへと所属したのだ。
十也「帰ったらカレンさんに報告しないとな」
結利「うん。本部での調書結果だね!」
ガゴン!!
突如二人の乗る車両が音を立て停止する。
十也「なんだ?」
運転手「すいません。なにか車両に異常があったかもしれません。確認してきます」
運転手は車両を降り、異常の確認を行う。あたりは何もない道路。特に異常は起きないはずだが…。
結利「どうしたんだろうね?」
十也「車両の整備不良とか?」
と2人が会話をしていると…
ザシュン!
運転手「ぐあぁぁ!!」
突如運転手の悲鳴が響きわたる。
十也「なんだ!?」
驚き車両を飛び出す十也と結利。
結利「運転手さんが!」
そこには血を流し倒れる運転手の姿があった。そして…
???「間違えないな…」
その前には運転手を襲撃したと思われる男たちの姿があった。
結利「なにこいつら!?」
男たちはEGOの隊員に似た服装をしている。だがその服の色は黒く、EGOのそれとは違った。
十也「なんなんだ!?」
???「ミストラルシティで情報を掴むことはできなかったが…直接始末する機会ができた。装置の反応からも間違いはない!ヘレティスシリーズ!ここで始末する!」
十也「ヘレティスだと!?」
驚く十也。なんでその名がここで出てくるのだろうか。だが男たちはお構いなしに銃を構える。
???「全隊員!一斉射撃!」
ダダダダ!!
男たちの銃から一斉に銃弾が放たれる。
十也「くっ!『ブラスト・リンカー』!!」
鎧に身を包む十也。
結利「わっ!」
結利を掴みそのまま銃弾を躱す十也。
???「ヘレティス1だけではなくヘレティス2もデータとは違うようだな」
十也「ヘレティス1だと?」
それはウルズの元いた世界での名前。この敵はウルズのことも知っているのだろうか。
十也「お前たち!いったい何者なんだ!?」
???「冥途の土産に教えてやる!俺はEGO特殊戦闘部隊第2隊隊長ケビン・ロダス!ヘレティス2お前を倒す!」
十也「EGOだって!?」
結利「なんでEGOが十也を!?」
ケビン「くらえ!」
ブオォン!!
ケビンは手に持った銃からエネルギーの剣を発生させる。
十也「あれは!?」
アレジェーネが使っていたD・Eブレードという武器に似ている。
ケビン「はあぁぁ!」
ケビンはエネルギーの剣を十也に向かって降りおろす。
十也「やられるかよ!」
結利を掴んでいた手を放す十也。
十也「ブレオナク!」
十也の手の中に槍が出現する。
ガキン!
ブレオナクでケビンのエネルギーの剣を受け止める十也。
ケビン「粒子(マテリアル)ブレードを受け止めるか…だが我々の連携の前には!」
ケビンの後ろから隊員たちが粒子ブレードを構え十也へと襲い掛かる。
十也「くぅ!」
ガン!ガン!
かろうじで隊員たちの攻撃を防ぐ十也。
結利「十也!」
十也「大丈夫だ…かろうじでだけどな…」
ケビン「なかなかやるな。だがいつまでもつかな!」
ケビンたちは再び十也へと攻撃を仕掛けようとする。
結利「やらせないよ!フリント・スラッシャー!」
3本の短剣を連結させブーメランのように飛ばす結利。
隊員「ぐぁ!」
攻撃しようとした隊員たちはフリント・スラッシャーによる攻撃により弾き飛ばされる。
十也「ナイスだ、結利!」
結利「任せて!」
フリント・スラッシャーはそのままケビンを狙い飛んでいく。
ケビン「粒子(マテリアル)シールド!」
ボタン型の装置からエネルギーの盾が展開する。
キン!!
粒子シールドにより弾かれるフリント・スラッシャー。
結利「なにあれ!?」
十也「なんだ?」
初めてみるエネルギーの盾に驚く十也と結利。
ケビン「いくぞ!」
ケビンは粒子シールドを構えながら十也へと襲い掛かる。
十也「ブレオナクで!」
ブレオナクにより盾へ攻撃しようとする十也。
ドクン!!
だがブレオナクが突如消えてしまう。
十也「なっ!?ブレオナク!」
ケビン「好機!!もらった!」
ケビンは粒子ブレードを突き出し、十也へと向ける。
ケビン「死ねぇぇ!!」
十也「まずい!」
結利「十也ぁぁ!!」
粒子ブレードは十也の心臓を捉えている。勝利を確信するケビン。
ドゴォン!
辺りに地響きが起きる。空から隕石でも降って来たような音だ。
ザシュン!!
その後粒子ブレードが突き刺さる音があたりに響く。
結利「そんな…」
ケビン「やったぞ!ヘレティス2を始末した!これで…」
???「おいおい…。そう簡単にやらせるかよ」
ケビン「なに!?」
ケビンの眼の前に立っていたのは十也ではなかった。
十也「お前は…!」
倒れる十也の前にはある人物が立っていた。
ジジジ!!
その人物の左腕に突き刺さる粒子ブレード。先ほど聞こえた地響きはこの人物が空から降ってきた音だったのだ。
コード・ウルズ「十也をやらせるかよ!」
ケビン「お前は!ヘレティス1!」
十也「ウルズ!」
ウルズ「よぉ久しぶりだな十也」
ウルズは右腕でケビンの持つ粒子ブレードを発生させている銃を掴む。
ウルズ「ふん!」
バキャン!!
ウルズの握力で粉々に粉砕される銃。
ケビン「くっ!」
距離を取るケビン。
結利「ウルズ!その左腕…大丈夫なの?」
ウルズ「問題ないさ。俺のこの腕は機械でできている」
ウルズの体はほとんどが機械で構成されているサイボーグだ。
十也「なんでウルズがここに?」
ウルズ「今は説明している暇はない。まずはこいつらを倒してからだ!」
ケビン「ヘレティス1…1か月ほど前…お前を倒しに向かった第3隊が殲滅された。その部隊の無念もここで晴らさせてもらう!」
ウルズ「やはりお前らもあの連中の仲間ってことか。だったら捕まえてその正体暴いてやるぜ!」
ケビン「片腕を失った状態で!ほざくな!全隊員!構え!」
ケビンの合図で銃を構える隊員たち。
ケビン「撃てぇ!!」
ババババ!!
ウルズ「一気に決めるぜ!昇華機構解除!」
バシュン!
ウルズの体が金色に輝く。
キン!キン!
ウルズの体に放たれた銃弾は全て弾かれる。
ケビン「なっ!?」
ウルズ「無駄だ。その程度の攻撃。効きやしないぜ!」
バッ!
ウルズは一瞬の間にケビンたちの前へと移動する。
ケビン「は、速い!!」
ウルズ「はあぁぁ!!」
金色に輝くウルズの蹴りが炸裂する。まとめて吹き飛ばされる隊員たち。
ケビン「ぐあっ!」
ウルズ「これで!終わりだ!」
ウルズの右拳による一撃がケビンの腹部に直撃する。
ケビン「ぐはぁ…」
倒れ込むケビン。
ウルズ「終わりだな…」
結利「すごい…たった一人であれだけの敵を倒しちゃうなんて…」
十也「さすがだぜウルズ!」
ケビン「ふっ…ふふふ…」
不敵に笑うケビン。
ウルズ「何がおかしい?」
ケビン「お前の目的は我々の正体を掴むこと…だな?」
ウルズ「それがどうした?」
ケビン「その目的はかなわない!そしてお前もここで朽ちるのだ!」
ウルズ「なに?…まさか!?」
ケビン「もう遅い!」
ケビンは奥歯を強くかんだ。
カチッ!
何かのスイッチが押された音がする。と次の瞬間!
ドゴォン!!
ケビンとその隊員たちが爆音と共に爆発する。自爆したのだ。
十也「ウルズ!」
激しい爆発に巻き込まれたウルズ。果たして彼は無事なのだろうか…
ウルズ「くっ…」
かろうじで一命を取り留めていたウルズ。だがその体は全身ボロボロだ。
結利「大丈夫?」
ウルズ「なんとか…な。だがやつらの正体はわからずじまいか…」
激しい爆発により跡形もなくいなくなったケビンたち。
十也「奴らEGOの特殊部隊って名乗っていた…」
だとすればEGOが十也を狙っていることとなる。
結利「あいつが言っていたことが本当ならEGOには戻れないよね…」
十也「いったいどうすれば…」
ウルズ「その点は問題ない」
ゴォォォン!!
空気を振動させ上空から戦艦が姿を現す。
十也「これは…?」
ウルズ「俺たちの旗艦だ。とりあえずお前たちをここに招待するぜ」
ウルズにより助けられ戦艦へと乗り込んだ十也と結利。
そしてケビンの言っていたEGO特殊戦闘部隊。いったいその正体は…
to be continued
最終更新:2017年07月26日 22:04