~ミストラルシティ・喫茶かざぐるま~
ガチャ!
店の扉が開く。
ツバメ「いらっしゃいま…あっ!」
にろく「戻ったぞ」
扉を開けて入ってきたのはにろくと
きゅっぱだった。
ツバメ「ナルと
メルトちゃんは?」
にろく「あいつらも無事だ。だがあまりに多くのことが起きた。順を追って話そう」
にろくから事のあらましを聞くツバメ。
ツバメ「アサルトシャドーにトゥアハ・デ・ダナン…レーヴェンズ。なんだか大変なことになっているみたいね」
きゅっぱ「あたしたちも情報の整理が追い付いてないよ」
ツバメ「トゥアハ・デ・ダナンについては十也の槍を狙っているというのはわかったけれど、他の連中についてはその目的が見えないわね」
にろく「そうだな。だがアサルトシャドーは十也のことを探っていた。そして
ケビン・ロダスはネオとつながっていた。このことから奴らはネオに関連する連中だとは思うんだが…」
ツバメ「そのことなんだけど…少しおかしくないかしら?」
きゅっぱ「なにがだい?」
ツバメ「ネオは平行世界で十也を造ったのよね?そして私たちの世界に来てからも十也のことを監視していた。」
にろく「そうだな。ミストラルシティ長官という立場を用いてな」
ツバメ「じゃあそんな彼の残党が十也について今更調べるかしら。もう情報を知り尽くしているでしょうし」
にろく「そういわれると…」
ツバメの言うことにも一理ある。今まで状況証拠でネオに関連する部隊だと思っていたが…
にろく「奴らの正体について別の方向からアプローチする必要があるかもしれないな」
きゅっぱ「そうだね。なんにしてもまたいつ奴らが現れるかわからない以上身を引き締めていかないとね」
ガチャ!
再び店の扉が開く。
ウルズ「よぉ!」
昴「…」
扉を開けて現れたのはウルズと昴であった。
にろく「ウルズ!それと確か…」
きゅっぱ「昴だ。ウルズそいつを連れ出して大丈夫なのか?」
ウルズ「まだ感情が戻る兆しはないが、ちょっと息抜きに外の空気でも吸わせようと思ってな」
ツバメ「それでなんでウルズがここに?」
ウルズ「きゅっぱに用があってな」
きゅっぱ「あたしに?そろそろ艦に戻れってことかい?」
ウルズ「いや艦のほうは問題ない。引き続きアサルトシャドーたちについて調べてもらってほしいそうだ」
きゅっぱからの通信報告でウルズと
シュウも現在の状況は把握していた。
きゅっぱ「そうかい。じゃあ用っていうのは?」
ウルズ「お前にお届け物だ」
ドカ!
アタッシュケースをテーブルに置くウルズ。
きゅっぱ「これは?」
ガチャ!
アタッシュケースを開くウルズ。そこにはきゅっぱの服と
にろくのスーツが入っていた。
にろく「俺のスーツ?」
ウルズ「これからの戦いに備えてだそうだ。見た目は変わらないが防刃、防弾性能を高めた特殊繊維で作られたお前たち用の服だ」
きゅっぱ「助かるね。礼を言うよ」
にろく「俺からも礼を言う」
ウルズ「シュウに伝えておくぜ」
~EGOミストラルシティ支部~
十也「ただいま戻りました!」
結利「同じく!」
カレン「無事だったか!」
カレンのもとに報告に来た十也と結利。事のあらましをカレンへと説明する。
カレン「私のほうでもつかんだ情報がある。アサルトシャドーがEGOグリフ大陸支部を襲撃したそうだ」
十也「グリフ大陸支部を!?なんで!?」
カレン「理由はわからない。だがグリフ大陸支部の迎撃によりアサルトシャドーは撃退されたそうだ。この件からEGO内でもあいつらに対する警戒は強まっている」
結利「あいつらは一体何をするつもりなんだろうね」
カレン「十也を狙い、EGOの支部を襲撃する…EGOに対する恨みでもあるのだろうか」
十也「アサルトシャドー…」
ビービービー!
突如EGO内に警報が鳴り響く。
カレン「なんだ!?」
EGO隊員「長官!ミストラルシティ内に例のアサルトシャドーと思われる部隊が現れました!」
十也「あいつらがここに!?」
カレン「各員出撃せよ!」
~ミストラルシティ・市街地~
AS(アサルト・シャドー)隊員「目的地への転移を完了!これより作戦行動に移ります」
ケビン「各員気を引き締めていけ!対象はミストラルシティ内のEGO支部にいると思われる」
AS隊員「はっ!」
市街地を進むケビンと隊員たち。そんな彼らの前に人影が現れる。
ウルズ「アサルトシャドーか」
きゅっぱ「ここにこいつらが現れるとはね」
昴「…」
ツバメ「でもこれはチャンスかもしれないわね」
にろく「そうだな。ここでこいつらを捕らえてその正体をはかせる!」
それはにろくたちだった。彼らがアサルトシャドーの前に立ちはだかる。
ケビン「おまえはあの時の…」
にろくのほうを見るケビン。
にろく「俺に捕らえられた時のことを覚えているみたいだな。今度こそお前の正体を暴かせてもらうぞケビン・ロダス!」
ケビン「この間のようにはいかん!」
フリアーデス「そうね」
ケビンの後ろから紫髪の女が現れる。
フリアーデス「そろそろ私たちアサルトシャドーの力を見せましょうか」
ゲイン「ヘレティス2を狙ってきたがヘレティス1にも会えるとはな。俺たちはついているかもしれん」
ゲインもその場に現れる。
ウルズ「ヘレティス1…お前たちはなぜその名で俺を呼ぶ?」
ゲイン「何をわけのわからぬことをいっているヘレティス1!お前たちヘレティスシリーズは危険だ排除する!」
ウルズ「何を聞いても無駄か…なら!」
きゅっぱ「捕らえて後から聞けばいいさ!」
戦闘態勢をとる一同。その瞬間!
ババババ!!
にろくたちの背後からアサルトシャドーに向かって銃弾が放たれる。
AS隊員「粒子(マテリアル)シールド!」
ブオォン!
エネルギーの盾を展開し銃弾を防ぐアサルトシャドーたち。
EGO隊員「アサルトシャドーを発見!これより戦闘を開始します!」
十也「みんな!」
そこに現れたのは十也と結利とEGOの隊員たちだった。
フリアーデス「あら。目的のヘレティス2が自ら出てきてくれるなんて」
ゲイン「待っていたぞ!」
十也「
ゲイン・ブレイズ…」
ゲイン「グリフ大陸でのときは邪魔が入ったが今度こそお前を始末する」
十也「やられるかよ!ブレオナク!」
ブレオナクを構える十也。
十也「行くぞアサルト・シャドー!」
ゲイン「ヘレティス2!お前の相手は俺だ!」
ガキン!
十也のブレオナクとゲインのトンファーが激突する。
結利「十也!」
十也「こいつは任せろ!結利は隊員たちとアサルトシャドーの隊員たちを!」
結利「わかった!」
ゲイン「この間のようにはいかんぞ!ヘレティス2!」
十也「やられるかよ!」
ケビン「にろくといったか。おまえにはこの間の借りを返させてもらうぞ」
にろく「この間はまんまと逃げられたが今度はそうはいかない」
きゅっぱ「あたしも加勢させてもらうよ!」
ツバメ「気を付けてね二人とも!」
ウルズ「さ~ていくか!」
ウルズの前に立ちはだかるフリアーデスとAS隊員たち。
昴「…」
昴はウルズの後ろで無言で立ちつくしている。
フリアーデス「ヘレティス1。あなたは危険な存在。ここで死んでもらうわよ」
ウルズの後ろにいる昴に目をやるフリアーデス。
フリアーデス(あの子…この感じもしかして…)
ウルズ(といったもののこれだけの大所帯が相手だ…最初から昇華機構を使えば俺のエネルギーが持たない…さてどうする)
ピピピ!
ウルズの仮面の通信機に通信が入る。
シュウ『ウルズ。アサルトシャドーとの戦闘に入ったようですね』
ウルズ「シュウ!あぁだがちっと数が多いな」
シュウ『問題ありませんよ。今のあなたなら何とかなるでしょう』
ウルズ「根性論かよ!」
シュウ『いえそうではありません。あなたが以前の戦いで負傷して眠っている間に義肢の機能を調整しておきました』
ウルズ「なに!?またか!だがその機能について今聞いている時間はなさそうだ」
ウルズに向かい銃を構えるAS隊員。
シュウ『その点も問題ありません。睡眠学習であなたの脳に散々説明を伝えましたので』
ウルズ「睡眠学習だって!そんなことを…」
シュウ『時間はないのでしょう。頼みましたよウルズ』
シュウからの通信が切れる。
ウルズ「やってみるしかないか…」
目を閉じ集中するウルズ。すると不思議に知らないはずの自身の義肢の新機能についての使い方が頭に湧いて出てくる。
ウルズ「これが睡眠学習の効果ってことか!やってやるぜ!」
AS隊員に向かって接近するウルズ。
AS隊員「粒子シールド!」
ブオォン!
エネルギーの盾を展開するAS隊員。
ウルズは右手を開き掌底のように粒子シールドへと攻撃する。
フリアーデス「掌底?そんな攻撃粒子シールドには…」
ウルズ「『御雷(ミカヅチ)』!!」
バギョォォォン!!
ウルズの右手からすさまじい音があたりに響き、衝撃波が発生する。
AS隊員「なんだ!?」
ボゴボゴボゴ
粒子シールドの発生装置が赤熱化し膨張していく。そして…
ボン!
爆発して壊れる粒子シールドの発生装置。
フリアーデス「なっ!?」
ウルズ「はぁ!」
ドゴォン!
蹴り飛ばされるAS隊員。
ウルズ「これが建御雷(タケミカヅチ)を改良して作った御雷(ミカヅチ)か」
AS隊員「くっ!」
バババ!
ウルズに向かって銃を放つAS隊員たち。
ウルズ「はぁ!『御雷(ミカヅチ)』!」
右手を開き前に構えるウルズ。
バギョォォォン!!
ウルズの右手から衝撃波が発生する。それにより銃弾がすべて防がれる。
AS隊員「なんだと!?」
アサルトシャドーの武器を開発してきたフリアーデスには今の現象が瞬時に理解できた。
フリアーデス「あれは…(おそらく高周波を利用したマイクロ波発生装置。高周波を短い周期で発生させ、対象物体の熱量を暴走させ破壊する装置。この私でも作れるかわからないほどの武器を開発できるほどの人間がいるなんて…)」
フリアーデス「少しこちら側の技術をなめていたようね…気を引き締めていくわよ!」
ウルズ「これならいける!さすがだぜシュウ!」
~~~
にろく「ケビン・ロダス。お前たち…アサルト・シャドーはネオの残党なのか?」
ケビン「ネオ?何を言っている?」
きゅっぱ「ネオのことを知らない…?」
ケビン「我々はEGO特殊戦闘部隊アサルト・シャドーだ。といってもお前たちにはわからないだろうがな」
にろく「それはどういう…」
ケビン「これから死に行くお前たちには関係のないことだ!いくぞ!粒子(マテリアル)ブレード!」
ブオォン!
ケビンの持つ銃の先端からエネルギーの刃が展開される。
ケビン「はあぁぁ!」
粒子ブレードでにろくへと切りかかるケビン。
にろく「くっ!」
ぎりぎりで避けるにろく。
ケビン「まだまだ!」
ケビンの猛攻は続く。連続で襲い来るケビンの粒子ブレード。
ザシュ!
にろく「ちっ!」
にろくの顔をかすめる粒子ブレード。
きゅっぱ「にろく!」
ツバメ「このままじゃあ…」
ケビン「どうした?反応が追い付いていないぞ?」
にろく(以前戦った時よりも動きが早い…これがこいつの本気ってわけか)
ケビン「今の俺はお前ごときに遅れは取らない!覚悟しろ!」
にろく(どうする…俺たちの能力は戦闘向きではない。こいつに勝つためには…)
きゅっぱ「ちっ!しょうがないね!にろく!」
にろく「なんだ?」
きゅっぱ「トリガーオン!」
きゅっぱは指を銃の形に構える。
きゅっぱ「あたしを信頼するならこいつをくらいな!」
にろく(どういうつもりだきゅっぱ…だが今は考えている余裕はない。奴に対抗するためなら!)
にろくがきゅっぱの前に来る。にろくの体に指を突きつけるきゅっぱ。
きゅっぱ「いくよ!トリガーオン!」
バン!
にろく「ぐっ!」
一瞬のけぞるにろく。
ツバメ「にろく!大丈夫なの?」
にろく「あぁ…。問題はなさそうだ。きゅっぱ、いったい何を?」
きゅっぱ「今は説明している暇はない!来たよ!」
ケビンが粒子ブレードを構えにろくへと迫る。
にろく「やはり早い!さっきよりも!」
ケビン「お前の反応速度は見切っている!」
ケビンの粒子ブレードがにろくを捉える。
ケビン「終わりだ!」
にろく「反応が間に合わない!」
シュン!
ケビン「なんだと!?」
にろくはケビンの攻撃をかわす。
にろく「えっ!?」
かわしたにろくもその状況に驚く。
ケビン「まぐれで避けるとは!だが!」
ケビンは再び攻撃を続ける。だがにろくはその攻撃を易々とよけ続ける。
ケビン「そんな!?俺の反応速度を上回るだと!」
にろく「なんだ…俺が奴の攻撃を意識するよりも先に体が動く」
ケビン「ならば!」
ギュィィン!
ケビンの体を覆うように光の線が走る。
きゅっぱ「なんだ!」
ケビン「これが俺専用の武装。神経伝達コネクタ。肉体の反応速度を限界まで上げる!はぁ!」
粒子ブレードを構え襲い来るケビン。その速さは先ほどよりもさらに早い。
にろく「だめだ!追いきれない!」
ケビンの動きに対応できないにろく。
ケビン「死ねぇ!」
ブン!
振り下ろされる粒子ブレード。
ツバメ「にろく!」
スカッ!
粒子ブレードはにろくに当たらず空を切る。
ケビン「なん…だと?」
自身の攻撃が当たらなかったことに驚くケビン。
にろく「今の攻撃…なぜ俺は避けれたんだ…」
だがにろく自身も自分が今の攻撃を避けれたことに驚いていた。
きゅっぱ「にろく!今が好機だよ!奴を!」
にろく「そうだな…この隙は見逃せない!」
ケビンへと蹴りを繰り出すにろく。
ケビン「粒子(マテリアル)シールド!」
エネルギーの盾を展開するケビン。だがにろくはその動きを予期していたかのように瞬時に屈み、盾と地面の隙間からケビンへと足払いをかける。
ケビン「なっ!」
態勢を崩すケビン。
にろく「はぁ!」
ケビンの腹部へと拳を打ち込むにろく。
ケビン「がはっ!」
その場に膝をつくケビン。
ケビン「なぜ…だ?こいつ俺の反応速度を上回るだと…ありえない…」
にろく「俺にも理解できていないがな。それはたぶん…」
きゅっぱを見るにろく。
きゅっぱ「そうさ。ご察しの通りあたしの能力だよ」
にろく「何をしたんだ?」
きゅっぱ「あたしの能力トリガーオンでにろく、あんたの心の引き金を引いたのさ」
ツバメ「それって?」
きゅっぱ「あんたが自身にダメージを負いそうになる時、反射的に肉体が最善の行動をとるようにね」
ケビン「そんな…能力が」
にろく「なるほどな。だからは奴の攻撃を避けれたということか」
きゅっぱ「この事前トリガーは一度発動すれば対象がその状況に陥れば自動的に何度もトリガーが引かれる(と言っても発動回数には限りがあるけどね)。それにあたしのことを信頼している奴じゃあないと事前トリガーは解除されてしまうのさ」
ツバメ「ってことはにろくはちゃんときゅっぱちゃんのことを信頼していたってことね」
にろく「ふっ。まぁそうなるんだろうな」
ケビン「くそ!まだだ!」
ケビンが立ち上がり粒子ブレードを振るう。
にろく「無駄だ」
にろくは軽々とその攻撃を避ける。
ケビン「反射速度を限界まで高めた俺の攻撃を軽々とよけるなんて…」
きゅっぱ「どんなに反射速度を高めようと無駄さ。あんたのはあくまで思考込みの反射速度。思考時間がある限り、肉体を反射だけで動かしている状態のにろくを捉えることはできないさ」
ケビン「くそ…」
~~~
十也「ブレオナクアンカー!」
ブレオナクの刃が勢いよく射出される。
ゲイン「くっ!」
ガキン!
トンファーでそれを受け止めるゲイン。
十也「ホールド!」
ガコン!
ブレオナクの刃が開く。開いた刃がゲインのトンファーを挟み込む。
ゲイン「なっ!?」
十也「これトンファーは封じた!いくぞ!アクセラレートシフト!」
赤熱化する十也の鎧。
十也「決める!」
十也が攻撃をしようとしたその瞬間!
ギュォォン!!
空間が歪む。
十也「なんだ!?」
ゲイン「来たか…」
空間の歪みから駆動鎧(パワードスーツ)が現れる。
十也「あれは…駆動鎧?」
駆動鎧はあたりに向け演説をするかのように言葉を発する。
???「私はEGO特殊戦闘部隊アサルト・シャドー隊長ガーランド・ヴォーゲル」
十也「隊長…じゃあこいつが」
ガーランド「ヘレティスシリーズ。お前たちは我々の目的を達成するのに邪魔な存在だ。ここで抹消する。そしてここミストラルシティを我々の拠点として頂く!」
ミストラルシティでのアサルト・シャドーとの激戦。そしてついに現れたアサルトシャドーの隊長。
彼らの正体。そしてその目的は…
to be continued
最終更新:2017年09月23日 22:48