生命の監視者

~アイラッド村~
ナル「これで鎧人形は全部みたいだね」
にろく「しぶといやつらだったな」
ディック「あれ?アポロンとウルズは?」
ツバメ「ウルズは鎧人形と戦っている間にはぐれたみたいね」
リョウガ「アポロンの奴はさっさと鎧人形を倒して先に行ったぞ」
ナル「ウルズなら大丈夫だろう。僕たちもアポロンを追って進もう!」
ナル(黒の魔導書を奪ってティスシス…レーヴェンズは何をするつもりなんだ…)

~アイラッド村のはずれの岬~
崖のようにそびえたつ岬の上で佇むティスシス。その手には黒の魔導書が握られている。
ティスシス「…来ましたの」
アポロン「ソナタたちは何が狙いだ。世界を混沌に落とし、何を願う」
ティスシス「私たちは何も願いませんの。決めるのはあの方…」
アポロン「ソナタたちは主に従う人形だとでもいうのか」
ティスシス「人形…そうですの」
悲しげな表情を浮かべるティスシス。
アポロン「ならばソナタらの主は何を望む?」
ティスシス「それは…」

ナル「追いついた!」
ナルたちがアポロンのもとへと到着する。
アポロン「来たか」
ディック「俺たちを置いていくなんてひどいぜアポロン!」
アポロン「ソナタたちを信頼しているからこそだ」
ディック「そういうことにしておくぜ!」

十也「みんな!」
十也たちもその場へとたどり着く。
にろく「ウルズ!昴!」
スライと結利に背負われる2人を見て驚くナルたち。
ツバメ「2人とも大丈夫なの?」
ウルズ「死にはしないさ」
昴「ちょっと戦うのは厳しいけどね」
ツバメ「2人は私のそばへ。いざとなったら私の能力で2人は守るわ」
キノ「僕も2人の守りにつくよ」

ティスシス「お兄様たちも来ましたの…」

十也「ティスシス!」
アポロン「先ほどの答え聞かせてもらうぞ」
ティスシス「わかりましたの。でもそれは…」

ブン!

黒の魔導書を海へと投げ捨てるティスシス。
ナル「なにを!?」
突然のティスシスの行動に驚くナル。
ティスシス「私ではなく…あの方がお話ししますの」


ゴゴゴゴ!!

振動する大地。
きゅっぱ「なんだい!?」
トニー「何が起きてるんですか!?」

カッ!

海の中から海を裂くように光が上空へと射す。
ティスシス「来ましたの」

ゴゴゴゴ!!

海の中から巨大な物体が姿を現す。
スライ「なんだこいつは!?」
それは十メートルはあろうかという巨体を持っていた。
結利「植物なの…?でも…」
海の中から植物の触手が絡み合ったように伸びその下半身が構成されている。だがその上半身は鎧を纏ったような姿で仮面をつけた顔のようなものも見える。
???『愚かなる人類…』
キノ「この声…」
ツバメ「まさか…この化物がしゃべっているの!?」
アポロン「まさかソナタが…」
十也「ティスシス…レーヴェンズの親玉なのか?」
???『我は…ツァグレーヴェン。世界の監視者』
にろく「ツァグレーヴェン…」
ナル「世界の監視者だって?」
ツァグレーヴェン『新たな器…未来を創る…それが我の役目…』
ティスシス「そう。そのために私は造られましたの」
ウルズ「なにを言っている?お前はジャーデに造られた…」
ティスシス「多分それは私のモデルとなった人物ですの。私は人間との対話をするために造られましたの」
十也「じゃあおまえはティスシスをモデルに造られたレーヴェンズってことなのか?」
ティスシス「そうですの。だから私の中にお兄様たちの記憶が断片的にあるのも再現されたからですの」
アポロン「まて。ソナタの話はおかしい」
アポロンがティスシスの話を遮る。
アポロン「なぜこの世界のレーヴェンズが並行世界の存在であるティスシスを模倣する」
キノ「アポロンの言う通りだ。レーヴェンズはこの世界の存在。いっていることがおかしい」
ティスシス「なにもおかしくはありませんの」
スライ「まったく意味が分からないぜ」
トニー「どういうことでしょうか」
ナル「…もしや」
なにかに気づくナル。
にろく「そうか。そういうことか」
にろくも気づいたようだ。
アポロン「常識では信じがたいごとだがこれならば納得がいく。お前たちレーヴェンズは次元転移が行えるということか」
ディック「それって!…どういうことだ?」
リョウガ「奴らは自由に並行世界を行き来できるってことだろ」
ツバメ「それならば並行世界のティスシスをモデルにしたというのにも説明がつくわね」
ティスシス「その通り…とは少し違いますの。私たちはできませんの。できるのは私たちの主のみ」
ツァグレーヴェン『そのためには…膨大な力が…必要』
ナル「もしやお前が黒の魔導書を欲していたのは!」
ツァグレーヴェン『我がこの世界に転移するため』
ナル「原初の魔導書の力をそのまま次元転移するための力に使ったのか(だけど黒の魔導書が消滅したわけではなさそうだ…こいつの中から黒の魔導の気を感じる)」
アポロン「人間との対話をするためにティスシスを造ったのならなぜ今地球上のレーヴェンズは人々を襲う」
ツァグレーヴェン『人類の進化は期待できない。星を蝕む存在を…消去する』
昴「人間に見切りをつけたとでもいうのかい?何様のつもりだ?」
ツァグレーヴェン『我は監視者。進化の望めぬ世界は…必要ない』
両腕を振り上げるツァグレーヴェン。その手のような触手がうごめく。
アポロン「対話はできそうにないな」
きゅっぱ「こんな巨大な奴にかてるのかよ!」
十也「やるしかない!」
巨大な触手の腕を振り下ろすツァグレーヴェン。
トニー「ライトニングボルト!」

ドゴォン!

空から雷がツァグレーヴェンの腕に向かって落とされる。だがツァグレーヴェンの攻撃は止まらない。
スライ「シャイニーマジック!フォースキャリア!」
光の結晶を飛ばすスライ。だがそれも巨大なツァグレーヴェンの腕には小さな豆粒がぶつかっているようなもの。まったく意に介さない。

ドゴォン!

地面へと打ち付けられるツァグレーヴェンの腕。
きゅっぱ「こんなのにあたったらひとたまりもないね」
にろく「スライとトニーの攻撃でもまったく止まりもしない…どうする」
巨大なツァグレーヴェンに成す術のない一同。
ツァグレーヴェン『人類よ滅ぶがいい』
再び腕を振り上げるツァグレーヴェン。
十也「くっ!何か打つ手はないのか…」

ドゴォン!!

突如爆発するツァグレーヴェンの腕。
ナル「なにが…」

シュン!

「間に合ったようですね」

ナルたちの前に一瞬にして現れる駆動鎧。
スライ「あんたは!」
スライとトニー、ナル、メルトにはその駆動鎧に見覚えがあった。ミストラルシティでトゥアハ・デ・ダナンと戦った時に会った…
ナル「モニカ長官!」
モニカ「お久しぶりですね」
リヴァーレ「こちらスパーダ3。目標へのダメージを確認」
モニカの後ろに佇むリヴァーレ。その手には駆動鎧が変形した巨大な銃を持っている。先ほどの爆発はリヴァーレの持つ銃から放たれたものであった。
きゅっぱ「なんでグリフ大陸支部がここに?」
スパーダ1「私たちだけではありませんよ」
アルバド「ユニバーサル・ウェポンGモード!」

ドゴォン!

巨大な大砲のような銃を撃ち放つアルバド。その攻撃にツァグレーヴェンの振り上げていた腕が地面へと落ちる。
アルバド「この一撃で貫通しないか…すさまじい強度だな。ならば作戦を変更する!R1、R2!」
ヴァイス「おっけーボス!いくわよ!」
長銃を構えるヴァイス。
ヴァイス「いっくわよ~!!」

ババババ!!

長銃から無数の銃弾がツァグレーヴェンに向けて放たれる。
メルト「そんな小さな銃弾では…あの巨体には」

ボン!ボン!

銃弾はツァグレーヴェンに当たる直前爆発し、辺り一面をスモークが覆いつくす。
アルバド「ユニバーサルウェポンSモード!」
巨大な銃が変形し大剣となり。それを持つアルバド。
レイジ「R1。行きます!」
レイジとアルバドがツァグレーヴェンの腕を走り登りながら攻撃を加えていく。

ダン!

腕を駆け上りツァグレーヴェンの顔の前へと来た二人。
アルバド「決めるぞ!」
レイジ「はい!」
ツァグレーヴェン『小癪な…』

キュィン!

ツァグレーヴェンの目が怪しく光る。次の瞬間!

ドシュン!

ツァグレーヴェンの目からレーザーが放たれる。だが…
レイジ「止まって見えるぞ」
レイジはその攻撃を易々と回避する。だがアルバドの姿が見えない。

アルバド「ぬぉぉぉ!!」

ツァグレーヴェンの上空から大剣を構えたアルバドが落ちてくる。先ほどのツァグレーヴェンの攻撃の際アルバドは自身の能力で腕に力を込め、ツァグレーヴェンから上空へと飛び上がっていたのだ。
アルバド「ユニバーサルウェポンSB(ソードバスター)モード起動!」

ガシュン!!

両刃の大剣が変形し片刃の大剣へとなる。

バシュン!

さらに大剣に仕込まれたブースターが稼働し、落下による速度とあわせて急激に加速する。
アルバド「ぬぅぅん!!」
アルバドはその驚異的な加速による剣のブレを自身の力で制御する。

ズズズズ!!

そのままツァグレーヴェンの体の中心を切り裂くように落下していくアルバド。

ザシュン!

ツァグレーヴェンの体の真ん中に大きな切れ込みが入る。
ディック「すげぇ…」

シュン!

モニカがアルバドが海に落下する直前に拾い上げ崖の上へと降ろす。
レイジ「全弾使わせてもらう!」
レイジは全身に装備した手榴弾や爆薬をツァグレーヴェンの切り裂かれた部分に向かって投げる。

バッ!

ツァグレーヴェンの体を蹴り飛び上がるレイジ。
レイジ「これで!」
銃を構えるレイジ。

バン!バン!

放たれた銃弾が爆薬に命中する。

カッ! ドゴォン!

激しい閃光とともに爆発する爆薬。ツァグレーヴェンが爆発に包まれる。

タン!

崖の上へと着陸するレイジ。
結利「R部隊!なんでここに?」
アルバド「世界中に出現していたレーヴェンズが突如消えたのだ」
モニカ「それでアサルト・シャドーとトゥアハ・デ・ダナンと戦っているあなたたちの応援に向かうことになったのですが…」
リヴァーレ「なにやらとんでもない化け物が現れたみたいだな」
ツバメ「こいつがレーヴェンズの親玉みたいよ」
レイジ「だとすれば一石二鳥、いや三鳥か。いまの隊長の一撃で…」

ツァグレーヴェン『まだ…だ』

爆炎の中からツァグレーヴェンが姿を現す。
アルバド「やはり化け物ということか…」
ヴァイス「まだまだ足りないって感じかしら?」

シュルルル!

ティスシス「あっ…」

ガシッ!

ティスシスがツァグレーヴェンの伸ばした触手に掴まれる。
ツァグレーヴェン『不要な存在…我が力へと…還れ』
ティスシス「私は…」
触手に取り込まれるティスシス。
ツァグレーヴェン『我が従者たちよ…いでよ!』

ヴン!ヴン!

無数の鎧人形たちが現れる。
十也「鎧人形か!」
メルト「すごい数です!」
無数に表れた鎧人形の一部がはアイラッド村の中へと進んでいく。
アルバド「後方部隊の存在に気づいたか!」
リヴァーレ「各員に伝達!そちらに鎧人形が向かった!対処しろ!」
アポロン「これだけの数…我らも気を引きしねばならんな」
ナル「来るよ!」

~アイラッド村~

「うっ…」
目を開ける男。
「ここは…」
なぜ自分が生きているのか不思議だ。確かに自分はあいつと戦い致命傷を負い倒れたはず。自分の腹部を確認する男。
「傷が治ってきている…」
もう助からないほどの傷を負っていたはずなのにその傷が修復してきている。
「皮肉だな…これも能力を得た代償(おかげ)というわけか…」

EGO隊員「うぉぉ!!」

「なんだ?」
突如聞こえた声のする方を見るとEGOの隊員たちがレーヴェンズの鎧人形たちと戦闘を繰り広げていた。だが圧倒的な戦力差にEGO隊員たちは苦戦を強いられているようだ。
EGO隊員「はぁ…はぁ…」
疲弊しているEGO隊員。
鎧人形「…」
その眼前にとどめを刺そうと鎧人形が近づいてきている。
「こいつは…いったい…」
事態を飲み込めない男はふと横を見る。するとそこに何かが落ちているのを発見する。
「これはアーヴァヘイムの…!」
アーヴァヘイムの両碗部がそこに転がっていた。それがあるということはガーランドはもう…。
「…借りるぞガーランド」

ガシャン!

アーヴァヘイムの碗部ユニットを両腕に装着する男。
鎧人形「…」
EGO隊員「う、うわぁぁ!!」
鎧人形が触手を重ねドリルのようにEGO隊員の胸部へと突き刺さそうとする。

ドスン!

大きな風穴が体に開く。
EGO隊員「えっ…?」
だがそれはEGO隊員の体にではなかった。
鎧人形「…」
鎧人形の体に大きな風穴が空いている。そこに突き刺さる男の腕。腕を引き抜く男。鎧人形は力が抜けたように倒れ消滅する。
EGO隊員「お、お前は…!?」
自分を救った男に驚くEGO隊員。だが男はそんなEGO隊員に目もくれない。
「俺はまだ…死ねないらしい。こいつがな」

バッ!

両腕を交差する男。

ヴン!

装着した碗部ユニットの肘部分から粒子ブレードが展開される。
「うぉぉ!!」
男は肘から展開された粒子ブレードをトンファーを扱うように器用に使いこなし次々と鎧人形を倒していく。だが鎧人形の数は多く、一体一体倒していたのではらちが明かない。
「数が多いな…ならば!こいつで!」
手の平を合わせるようなポーズをとる男。

キュィィン!!

その手の中に光の球が形成されていく。
「粒子光弾!!」

ババババ!!

光の球から無数の光の玉が弾丸のように飛んでいく。それらは鎧人形を次々と打ち抜いていく。
EGO隊員「す、すごい…」

ヴン!

男の背後に数体の鎧人形が空間転移してくる。
EGO隊員「危ない!」
「!」
光の玉を放つのをやめ、背後を振り向く男。
鎧人形「…」
鎧人形たちが触手を構え、男へと襲い掛かろうとする。

フッ!

男の姿が消える。
「こっちだ!」
鎧人形の真下へと潜り込んでいた男は手に持った光の球を両手で鎧人形へと押し付ける。
「轟覇咆(ごうはほう)!!」

カッ!

激しい閃光とともに鎧人形たちが消し飛ぶ。
「押し切らせてもらう!」

~アイラッド村のはずれの岬~
十也「くっ…!どれだけいるんだ…」
無数の鎧人形を相手に苦戦する十也たち。
ツァグレーヴェン『終わりだ…観念するがいい…』

ついに現れたレーヴェンズの首領ツァグレーヴェン。だがツァグレーヴェンの繰り出した無数のレーヴェンズに苦戦する十也たち。
彼らに勝機はあるのか。

to be continued

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最終更新:2018年02月07日 22:02