予期せぬ邂逅!潜入ミストラルシティ!

~EGO・タウガス支部長官室~
王黄龍(ワンイーロン)「各地の戦況は?」
EGO隊員「メルディアシールの方は魔導士たちに対して予想以上に苦戦しているようで拮抗している状態です。アルバンダムの方が先に落とせる可能性が高いかと」
黄龍「わかった。ならばそうそうにケリをつけるよ」

パチン!

指を鳴らす黄龍。

EGO隊員「えっ…」
バゴン!

EGO隊員が何かに丸のみにされる。直後…

バシュー!!

丸のみにしたその生物の口から隊員の血があたりに飛び散る。
黄龍「饕餮(とうてつ)。お前の餌を好きなだけ食らってこい。いけ!」
饕餮「……」

シュン!

饕餮はその場から姿を消した。
黄龍(オウリギン新長官…ミゲル長官よりも過激なやり方をするね。加盟国という立場に収まることでEGOと対等な立場でいた国々を理由をつけて屈服させる気とは…)
黄龍「くくく…!!」
黄龍の口から笑みがこぼれ落ちる。
黄龍(混沌を生み出すそのやり方。実に面白いね。私はメルディアシールを落としにでも行きますか)

~ミストラルシティ~
ツバメ「……」
ミストラルシティの中を建物の陰に隠れながら進むツバメ、にろく、結利の3人。
にろく「ずいぶんと街中の警備が厳重になっているな」
結利「ふつうはこんなにEGOの隊員たちはいないもんね」
街中にはいたるところにEGOの隊員たちが巡回警備している。
ツバメ「3人で動いていては目立ちすぎるわね。ここからは別れましょう」
結利「別れるってどうするの?」
ツバメ「私は自社を目指すわ。今の状況を確かめるためにも」
にろく「俺も自分の店の様子を見てくる」
結利「じゃ、じゃあ私はEGOミストラルシティ支部の様子をみてくるよ」
にろく「無理はするなよ結利」
結利「うん!」
ツバメ「じゃあこれからは各々でいくわよ。集合場所は中央公園の噴水前。必ず2人とも来るのよ!」
にろく「あぁ」
結利「任せておいて!」
こうして別行動をとる3人。それぞれに目的地へと向かっていくのであった。

~ミストラルシティ・喫茶かざぐるま~

ガチャ!

かざぐるまの店の扉を開くにろく。中には人の気配はない。
にろく「ここはマークされていないようだな…」
店の前にもEGOの隊員たちの姿は見当たらなかった。
にろく「今のうちに事務所の方も確認しておくか」
喫茶かざぐるまの中にある探偵事務所ヴィントミューレ。そこにつながる扉をにろくが開ける。

ガチャ!

開く探偵事務所の扉。

「待ちかねたねぇ」

にろく「だれだ!?」
いつもはにろくが座っているはずの椅子に何者かが腰かけていた。その女性はにろくが来るのを待っていたかのように会話を続ける。
マオ「元秘密諜報部員№26。ここがおまえの墓場だよ」

~EGOミストラルシティ支部・入口~
結利「う~ん…」
入口は厳重にEGOの隊員たちが警備している。
結利「とりあえず来てみたものの……中には入れそうにはないね」
さてどうしたものかと頭を悩ます結利。すると…
結利「ん…?」
入り口から誰かが出てくる。見慣れぬ女性だ。周りのEGO隊員の対応から見るにそれなりの地位の人物のようだ。
結利「カレン長官に代わる長官さんかな?ミストラルシティ支部の中には入れそうもないしあの人をつけてみるか」
結利は町の中を歩いていく女性の後をつけていくのであった。

~ミストラルシティ・イマヨリザキコーポレーション本社~
ツバメ「…」
会社の中に人の気配はない。
ツバメ「表にあった張り紙を見たところ、今は会社は休業中にしているようね」
ツバメ専用のセキュリティパスを使って内部に侵入したツバメ。
ツバメ「社長室が気になるわね…」
エレベーターを登り、自身の部屋へと向かうツバメ。

チーン!

エレベーターの扉が開く。ツバメの眼前には社長室の扉が見える。
ツバメ「ここに帰ってくるのも久しぶりね…」
ここ最近の事件でなかなかゆっくり自社の仕事に打ち込む暇もなかったツバメ。
ツバメ「もしかすると…もう戻ってこれないかもね」
今彼女たちが相手をしている組織…EGOは世界規模の組織。そんなものを相手に自分たちの力がどこまで通用するのかという不安はある。みんなの前では気丈なツバメでも一抹の不安は隠せない。

パン!

自信の両ほほを手でたたくツバメ。
ツバメ「くよくよしても仕方がないわ!今は前に進むのみよ!」
そう自分に言い聞かせ社長室の扉を開く。

ガチャ!

ツバメ「んっ!」
社長室のガラス張りの窓から朝日が流れ込みツバメはその眩しさに目をつぶる。
ツバメ「ずいぶんと眩しいわね」
久しぶりだからかこの眩しさも忘れていたのかもしれない。それとも…

「この眩しさは勝利の光ですから」

ツバメ「だれ!?」
部屋の中から聞こえる声。

「ふふふ」

声の主は逆光でツバメからはその姿が何者か確認できない。
ツバメ「ここは私の部屋よ!無断で入ることは許さないわ!」
「無断ではありませんよ。ツバメ社長」
ツバメ「えっ!?」
「正当なる手続きを踏んで私はここにいる」

フッ!

部屋を覆っていた光がそれる。逆光で姿が見えなかったその人物の姿がツバメの目に映し出される。

オウリギン「地球を守るもの。EGOとして前長官を殺害した容疑を持つあなたの部屋を調査している」
ツバメ「オウリギン!?なんで!?」
EGOの新長官である彼がここにいることに驚くツバメ。
オウリギン「まさか容疑者であるあなた自身がここに戻ってこられるとは」
その言葉とは裏腹にオウリギンからは驚いた様子は感じられない。
オウリギン「あなたを捕らえるまたとない機会だ」
ツバメ「それはこちらも同じよ!」
一瞬驚いたツバメであったがすぐに冷静さを取り戻し、彼女は行動に移る。
ツバメ「秘密の箱庭『シークレット・ベース』!」
オウリギン「ん?」
ツバメとオウリギンのいる社長室がツバメの能力により隔離される。
ツバメ「もうあなたはここから逃げられない!」
オウリギン「なるほど」
部屋を隔離している空間に触れるオウリギン。
オウリギン「空間を隔離する能力といったところか」
ツバメ「これでもうあなたは仲間を呼ぶこともできない」
オウリギン「だからどうしたというのだ。ツバメ社長。あなたが私を捕らえるつもりか?」
嘲笑するオウリギン。
ツバメ「えぇ。そうよ。はぁぁ…」
構えを取り呼吸を整えるツバメ。
ツバメ「てりゃぁぁ!!」
ツバメの拳がオウリギンの腹部に打ち込まれる。

ドカン!

壁へと吹き飛ばされるオウリギン。
ツバメ「果倉部流免許皆伝者である私の力を舐めないことね」

~探偵事務所・ヴィントミューレ~
にろく「お前はいったい…」
マオ「私は傭兵部隊Dハイヴ隊長のマオ。今はEGOに雇われてガーディアンをやっている」
にろく「ガーディアン!もしやお前が十也とカレンさんをやったっていう…」
マオ「御名答!そこまで知っているってことはあの時逃げた小娘もあんたたちと一緒にいるってことかね。まっ!どうでもいいさ」
にろく「お前はどうやってここに…それよりもなぜ俺がここに来ることを?」
マオ「たまたまさ…(というには出来すぎているかもしれんがね。あの新長官さん。未来でもわかるのかね?)」
にろく「だとすれば俺はひどく運が悪かったというわけだ」
マオ「そういうことね。だから自分の不運を受け入れてもらうわ!」
にろくへと襲い掛かるマオ。
にろく「俺はあきらめが悪いんでね!この不運。乗り越えてみせるさ!」

~ミストラルシティ・裏路地~
人気(ひとけ)がない裏路地を進んでいく女性。

タタタタ!!

その女性に見つからないようにと後をつけていく結利。
結利「こんな人気のない道…いったいどこにいくんだろう…」

「……」

女性の足が止まる。
結利「ん?どうしたんだろう?」

「ここなら人目にもつかない。さぁ任せましたよ」

ズン!

結利の背後に何かが上空から降りてきた。
???「…了解した」
上空から降りてきた駆動鎧は手に持った武器を構える。
???「UW(アルティメットウェポン)展開」
ガドゥ「AISに閉所での実践を覚えさせるいい機会です。さぁ!AISの糧になりなさい!」
結利「この女の人!つけられているのを知ってたの!?くっ!やられるわけには!」
フリントブレードを構える結利。
???「来未結利か…」
駆動鎧は動きを止め結利を見ている。
結利「攻撃してこない?今がチャンス!先手必勝だよ!フリントスラッシャー!」
フリントブレードをつなげブーメランのようにして駆動鎧へと投げつける結利。
???「はっ…!」
反応が遅れた駆動鎧はとっさにその場で防御態勢をとる。
結利「無駄だよ!」

ガキン!

フリントブレードの刃が外れ爆発する。ブーメランのように回転しながら刃が外れ爆発するフリントブレード。

ボン!ボン!ボン!

幾重もの爆発が駆動鎧を包み込みその姿が見えなくなる。
結利「よし!これで!」
ガドゥ「ちっ…(自身の娘の姿でも重ねたか…)まぁいい」

ピコン!

ガドゥは自身の腕の上に電子モニターを展開する。そのモニターを素早く操作するガドゥ。

ピピピピ!!

ガドゥ「アングルフの制御系統を変更。AISに全コントロールを移行」

ブゥン!

激しい爆発の煙の中で駆動鎧の目が怪しく光る。

ビキビキビキ!!

爆発により受けた駆動鎧アングルフのダメージが修復していく。
結利「なにあれ!?」
アングルフ「……」
アングルフは一瞬にして結利との間合いを詰める。
結利「くっ!」
自身の能力で修復した2本のフリントブレードを構え防御の体制を取ろうとする結利。
アングルフ「……」

ガシン!

アングルフはその両手でフリントブレードをつかむ。
結利「な、なにを!?」
アングルフ「……」

ガシュ!!

アングルフは無理やりフリントブレードの柄から刀身を外し握りつぶす。その瞬間!

ボン!

爆発が起き、あたりを白煙が包み込む。
結利「無理やりフリントブレードを!」
粉々になったフリントブレードの刀身。
アングルフ「……」

ギギギギ!!

両腕にダメージを追いながらもアングルフは結利へとつかみかかる。

ガシン!

結利の両腕が捕まれる。
結利「うっ!これじゃあ…」
アングルフ「……」

ビキビキビキ!

アングルフの両腕のダメージが修復していく。
ガドゥ「素晴らしい!自己修復の機能をも織り込んでの行動ルーチン。これほどまでに成長しているとは!」
結利「あっ…うぅ…」
結利の腕が握りつぶされそうな勢いで捕まれている。
結利「このままじゃ…もう…」
アングルフ「……」
ガドゥ「そのままやってしまいなさいAIS!」

ビュオオ!!

突如吹き荒れる突風。

ガガガ!!

結利の腕を掴んでいたアングルフの手が激しい突風により放れる。そのままアングルフは近くの建物へと吹き飛ばされ打ち付けられる。
結利「今のは…?」
ガドゥ「なんだ?」

「これがソナタらの正義か」

青い燕尾の袖のスーツに身を包んだ男。その男がガドゥと結利の目の前に立っていた。

「このような正義は許容できぬ。私が信じる正しきものの力となろう」

そういうと男は結利を守るように彼女の前に立った。
結利「なんであなたがここに?」

「風の知らせだ」

ガドゥ「いいでしょう。我々の邪魔をするというのなら!あなたから先に始末してあげましょう!」
結利「今までの相手よりもだいぶ手ごわいかもよ。それでもいけるの?」

「案ずる必要はない。私がソナタを守ってみせよう」

男は手に持った白い棒状の剣を構え、その剣先をガドゥたちに向ける。

アポロン「このエクス=タクトでソナタらの偽りの正義を裁く!」

to be continued

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最終更新:2019年01月12日 21:41