襲撃魔導都市!!タウガス支部との激闘!

~魔導都市メルディア=シール~
魔導士「はぁ!」

バシュン!

魔導士の杖から放たれる魔導がEGO隊員を襲う。
EGO隊員「ぐわぁ!!」
吹き飛ばされるEGO隊員たち。
メルト「EGOの好きにはさせません!」
メルトと魔導士たちはEGOとの激闘を繰り広げていた。
メルト「うっ…」
膝をつくメルト。度重なる戦闘で彼女にも疲労がたまっているようだ。

「ふぅ。ずいぶんとてこずらせてくれているようだね魔導の民は」

EGOの隊員たちの中からメルトたちの前に現れる男。
メルト「だ、だれですか?」
黄龍「私はEGOタウガス支部長官王黄龍(ワン・イーロン)。おとなしく降伏してもらおう」
メルト「長官自ら…これはまたとない機会です!」
魔導を放とうとするメルト。長官を倒せば敵の戦意も落ちるはず。
黄龍「私がわざわざこうして前線に出てきた意味を考えたほうがいい」
メルト「えっ?」

バッ!

黄龍が羽織っていたマントを投げ捨てる。それによりメルトの視界が防がれる。
メルト「これじゃあ狙いが…」
黄龍「はぁ!!」

ドン!!

マント越しにメルトの体に衝撃が走る。
メルト「きゃぁぁ!!」
すさまじい衝撃とともに吹き飛ばされるメルト。宙にまったマントの裏側で黄龍の掌底が放たれたのだ。

ドサッ!

そのまま地面へと叩きつけられるメルト。その光景を見てまわりの魔導士たちは黄龍を警戒する。
黄龍「魔導の民。まとめてかかってくるがいい」

クイ、クイ

挑発するように右手の指を上へと上げる黄龍。
魔導士たち「『閃光弾(シャングァンダム)』!!」

バシュン!

光の弾を放つ魔導士たち。多数の光の弾が黄龍へと襲い掛かる。黄龍はその両手を交差させ構える。
黄龍「玄武剛盾(げんぶごうじゅん)!!」

ババババ!!

多数の光の弾が黄龍へと直撃する。あたりはその衝撃で煙に包まれる。
魔導士「やったか!?」

ゴォォ……

煙が晴れていく。そこには…

黄龍「この程度の攻撃。私には効きはしない」

無傷の黄龍の姿があった。
魔導士A「なんだって!」
魔導士B「あれだけの攻撃を受けて無傷だなんて…」
黄龍「今度はこちらの番だ」

ダン!

両手を地面へと強く打ち付ける黄龍。
黄龍「勾陣衝波(こうじんしょうは)!!」

ドドドド!!

直後魔導士たちの足元から無数の衝撃波が彼らを襲う。
魔導士「ぐあぁぁ!!」
魔導士たちはその衝撃で次々と倒れていく。
黄龍「他愛もない。魔導の民も所詮はこの程度か。おまえたち拘束しろ」
EGO隊員たちが魔導士たちを拘束しようと彼らに近づく。

フオン

すると彼らのまわりに無数のシャボン玉が地面から現れる。
EGO隊員「なんだ?」

パン!
突如割れるシャボン玉。するとEGO隊員たちを包囲するように炎の檻が形成される。

ゴゴゴ!!

炎の檻に捕らわれ身動きが取れないEGO隊員たち。
黄龍「これは…」

「メルディア=シールをEGOの好きにはさせないよ」

剣を携えた青年が黄龍の前に現れる。
黄龍「音高鳴(イン=ガオミン)…魔導都市の切り札の登場ですか」
ナル「なぜEGOは同盟国であるメルディア=シールを攻撃するんだ?」
黄龍「上の命令ですよ。逃亡した天十也をかくまっている可能性があるとしてね」
ナル「そんな横暴…!通ると思っているのか!」
黄龍「それが通るんですよ。我々EGOは世界を守る組織。それに仇名すものは悪。そう世界が認識するのですから」
ナル「情報操作か…」
黄龍「あなたも天十也をかくまっていた一人としてここで始末して差し上げましょう」
ナル「そうはさせない!」
宝剣を構えるナル。
ナル「『閃光弾(シャングァンダム)』!」
光の弾を放つナル。それと同時に黄龍へと走りだす。
黄龍「無駄だ。玄武剛盾!」
両手を交差させ防御の体制をとる黄龍。
ナル「たぁ!」
光の弾と同時にナルの宝剣が振り下ろされる。

ガキン!

そのすべては黄龍により受け止められる。
ナル「絶対防御の技か…」
黄龍「私の玄武剛盾を打ち破ることはできない!」
ナル「それはどうかな?」
黄龍「なに?」

ボコ!

地面が割れ、そこから現れたなにかが黄龍の足を崩す。

ガッ!

黄龍「なっ!これは…」
それは土でできた手だ。地面から現れたそれが黄龍の足へと攻撃を加え、バランスを崩したのだ。
ナル「『土塊手(トゥカイショウ)』!」

ボコ!ボコ!

地面から無数の土でできた手がバランスを崩した黄龍の体を次々と掴む。

ガシ!ガシ!

黄龍「くっ…」
両手両足を掴まれ身動きが取れない黄龍。
ナル「宝剣で攻撃したのはこの魔導の発動を悟られないためだ。こっちが本命さ」
黄龍「なるほど…」
ナル「あなたが得意とする武術もこれでは使えない。観念してもらうよ」
黄龍「はぁ…」
ため息をつく黄龍。
黄龍「ずいぶんとなめられたものですね。では私の力をお見せしましょう!」
両手を握り、体全体に力を籠める黄龍。

バン!

一瞬黄龍が体を揺らすような動きをしたかと思うと土でできた手は次々に崩壊していく。
ナル「あの状態で魔導を破っただって!?」
想定外の事態に驚くナル。
黄龍「博識なあなたでも知らないこともあるようですね」
土の手を破壊し冷静にその場に立つ黄龍。
ナル「どういう意味だ?」
黄龍「私が極めし六任神拳(りくじんしんけん)のルーツは魔導にあり」
ナル「魔導だって?」
黄龍「えぇ。タウガス共和国内で魔導から派生し、徒手格闘による武術として発展したもの。それが六任神拳です」
ナル「そんなことが…」
黄龍「六任神拳は魔導術を気という形で発現し、魔導のような術式を形成しなくとも特殊な力を発揮するために格闘術に織り込んだもの。その習得難度は尋常ではないが、魔導を使えなくても今のように魔導を破壊することも可能というわけです」
ナル「ルーツが同じなら魔導と同じく相性もあるということ…土の魔導を相殺し、破壊したのか」
黄龍「そういうことです。だが魔導では成しえないことも六任神拳は可能とする!」
右手の指2本を立て印を切る黄龍。
ナル「この感じ…まさか一度に複数の属性の魔導を!」
黄龍「六任として六つの属性へと振り分けた力を一つへと集約する。」
黄龍の足元に魔法陣が出現する。その魔法陣は光となって黄龍の右腕へと収束していく。
黄龍「これが六任神拳奥義。応竜暴拳(おうりゅうぼうけん)!!」

カッ!!

すさまじい閃光が黄龍の右手から発せられる。次の瞬間、右手から放たれたエネルギーの塊が龍を思わせる姿となり、ナルへと襲い掛かる。

ガガガ!!

ナル「くっ!」
宝剣でなんとか受け止めるナル。だが…

ビキビキ!!

ナルの足元の地面が徐々に壊れていく。地面を滑るように徐々に押されていくナル。
ナル「このままじゃ…」

ガッ!

誰かがナルの隣で剣を構える。
ナル「メルト!」
メルト「私も手伝います!」
ダメージが回復したメルトもナルとともに攻撃を受け止める。
黄龍「無駄なあがきだ」

ガガガ!!

メルト「高鳴(ガオミン)様!このままじゃあ本当に…」
ナル「これだけの力…僕たちだけでは…」
黄龍「1人増えたところで無意味だというのに」

「じゃあ1人じゃなければどうだ?」

ガキン!

双剣を構えた男がメルトとナルに加わる。
メルト「あなたは…」
ナル「リョウガ!なんで君が…」
リョウガ「話はあとだ」
黄龍「何人増えようと応竜を受け止めることなど…」
リョウガ「受け止められないならこれで!」

ブン!

リョウガは手に持った剣の片方を黄龍に向けて投げつける。
黄龍「そんな攻撃当たるわけがないだろう」
たやすく投げつけられた剣を躱す黄龍。
リョウガ「いまだ!」

「おう!」

パシ!

何者かが黄龍の背後で投げられた剣を掴む。
ディック「はぁぁ!!」
黄龍「なに!?」

ザシュ!

剣を持ったディックの一撃が黄龍に傷を負わせる。それによりエネルギーの塊の狙いがそれる。その隙に三人は受け流すようにそれを躱す。標的を失った応竜は空の彼方へと消えていった。
黄龍「くっ…さきほどまでだれの気配もなかったのにいつのまに…」
すんでのところでディックの攻撃をかわした黄龍。その傷は浅いようだ。
ディック「ディスコネクト。俺の力だ」
ディスコネクトにより気配を消し黄龍に近づいていたディック。
リョウガ「うまくいったなディック」
ナル「ディック、リョウガ。助かったよ」
メルト「ありがとうございます!」
三人もディックとともに黄龍の前に並び立つ。
ナル「これで形成逆転かな」
黄龍「想定外の事態ですね…予想だにしない援軍が現れるとは」
ディック「EGOの好きにはさせないぜ!」
リョウガ「そういうわけだ」
黄龍「仕方がありませんね…」
両手を上げる黄龍。
メルト「お?降参ですか?」
黄龍「これだけはしたくなかったのですが…」
ディック「降参したくないなんてプライドが高い奴だな!」
黄龍を煽るメルトとディック。

パチン!

黄龍が右手の指を鳴らす。次の瞬間!

ダン!ダン!

空から何かが降ってくる。それは1つ2つではなく数えきれないほどの数だ。
リョウガ「なんだこいつらは?」
???「……」
それは2足で立つ人の骨格を思わせる姿はしているがその外見はあまりにも醜悪と言わざるを得ないような不気味な姿をしている。
ナル「未元獣…じゃない?」
黄龍「これは四凶獣。私が実験の末に完成させた究極の未元獣たちです」
四凶獣「……」
四凶獣たちはナルたちへと襲い掛かる。

ドゴン!

防御しようとも次から次へと襲い掛かってくる四凶獣たちになす術がないナルたち。
黄龍「これを使えばもうメルディア=シールは無事ではすみません。できることなら使いたくはなかったのですがね」
そういいつつも黄龍の顔には笑みがこぼれている。
ナル「これが切り札というわけか」
メルト「ど、どうしましょう!」
ディック「この数…」
リョウガ「おれたちだけじゃあ対処しきれないぞ」
黄龍「ではせいぜい苦しまずに死ねることを祈っていますよ」
そういうと黄龍はその場を後にした。迫りくる四凶獣たちにナルたちの体力も限界を迎えていく。
ナル「万事休すだね」
メルト「ひぇー!こんなところでしにたくありませんよー!!」
絶体絶命の四人。

「死にたくなけりゃついてきな!」

バギョォォン!!

すさまじい衝撃音があたりにこだまする。直後!

ドゴォン!

近くの建物が倒壊する。その衝撃であたりに視界が見えなくなるほどの粉塵が舞い散る。
ナル「なにがおきてるんだ?」
ウルズ「よう!」
粉塵の中現れるウルズ。
ウルズ「この化け物たち…メルディア=シールはとんでもないことになってるな」
ナル「ウルズ!」
きゅっぱ「あたしたちが先導する!みんなついてきな!」
メルト「は、はい~!!」
キノ「ディックも無事だったね」
ディック「キノ!助かった!」
ウルズ「まずはここを脱出する。話はそれからだ!」
ナル(メルディア=シール…いつか必ず取り戻す!その時まで魔導の民たち…無事でいてくれ…)

ウルズたちの助けによりメルディア=シールを脱出した一同。故郷を追われた彼らには安息の地ははない。
つかの間の安息を求め、彼らはEGOを退けた火の国へとむかうのであった。

to be continued

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最終更新:2019年01月30日 22:44