AISを止めろ!EGO激戦決着!

~EGO本部・地下室~
ヴォルケイン(AIS)「いくぞ!」

ガコン!

ヴォルケインの背負う巨大な砲塔が展開される。

ギュゥゥン!!

砲塔の先端に収束していくエネルギー。
ヴォルケイン(AIS)「消えろ!」

ドゴォォォン!!

砲塔から放たれる巨大なエネルギー砲。
十也「みんな!よけろ!」
エネルギー砲を済んでで躱す4人。
レイジ「この駆動鎧は高速移動からの高火力による一撃必殺を得意としている。奴の動きを封じなければ手が付けられない」
先ほどの戦いの経験からヴォルケインの特性を見抜いているレイジ。
ヴァイス「でも…」
手に持った白い長銃シュルゲン・イェーガーでヴォルケインに狙いを定めるヴァイス。だがヴォルケインは高速で動き回りヴァイスの照準は定まらない。
ヴァイス「これじゃあ動きを止めようにも…」
十也「ブレオナクアンカー!」

バシュン!

ブレオナクの刃部分が射出され、ヴォルケインへと狙いを定める。
ヴォルケイン(AIS)「遅い!」

シュン!

ヴォルケインはいともたやすくブレオナクを躱す。
ヴォルケイン(AIS)「はははは!」
高笑いを上げるAIS。
ゲイン「奴を捉えられん!」
ヴォルケイン(AIS)「さらなる絶望をみせてやる」

ボゴン!

地面から2体のヴォルケインが姿を現す。
レイジ「増えただと!?」
ヴァイス「一体だけでも厄介なのに…さらに2体なんて」
十也「だったら!」

ガコン!

ブレオナクの刃が柄の部分へ装着される。
十也「本体を狙う!」
不気味に脈打つAISへとブレオナクを構え斬りかかる十也。

シュン!

ヴォルケインが十也の目の前に現れる。
十也「なっ!」
あまりの高速移動に反応が遅れる十也。

ドゴン!

ヴォルケインの拳が十也に撃ち込まれる。
十也「ぐはっ!」
ヴォルケイン(AIS)「やらせるはずがない。人間の思考回路は浅はかだ」
その場に膝をつく十也。
レイジ「十也!」

シュン!

二体のヴォルケインが十也を囲むようにその場にたたずむ。3体のヴォルケインが十也を取り囲む。
ヴァイス「まずい!十也が!」
ヴォルケイン(AIS)「まずは一人」

ガキン!

ヴォルケインの腕部の装甲が変形し円盤のカッター状となる。

キュィィン!!

高速で回転するカッター。
ゲイン「へレティス2!やむを得ないか…!出てこい!」
ヴォルケイン(AIS)「消えろ!」
その手を十也に振り下ろすヴォルケインたち。
十也「くっ…」

ズン!

十也「…あれっ?」
ヴォルケインのカッターにより切り刻まれるのを想像していた十也は目の前の事態に驚く。
十也「駆動鎧が…倒れている?」
ヴォルケインたちがその場に撃ち伏している。いやよく見ると違う。ヴォルケインたちは何かに上から押し付けられているような様子で立ち上がろうとしていた。
上を見上げる十也。そこには彼の見覚えのある姿があった。
十也「ティスシス!?」
ティスシス「お久しぶりですのお兄様」
ふわりとその場に浮かぶ白髪の少女。
レイジ「あいつはレーヴェンズの!」
ヴァイス「なんであの子が?」
突如現れたティスシスに驚きを隠せない十也とレイジ、ヴァイス。
ゲイン「詳しい説明はあとだ!へレティス6!」
ティスシス「かしこまりましたの」

ジャキ!

どこからともなく取り出した身の丈以上の長さを持つ日本刀を手に持つティスシス。
ティスシス「サクッといきますの」

ザシュ!ザシュ!

ヴォルケインを切断していくティスシス。
ティスシス「これで」
長刀を突き刺すように構えるティスシス。

チャキ!

ティスシス「おしまいですの」

ザシュ!

最後の一体へと長刀を突き刺すティスシス。

バシュゥゥ…

ヴォルケインたちは霞のように消滅する。
十也「なんでティスシスが?」
ティスシス「黒の魔導書の力で私は新たなる生命として生き永らえましたの。今度は…」

チャキ!

長刀を構えるティスシス。
ティスシス「お兄様たちとともに戦いますの。私のパートナーのゲインとともに」
十也「パートナー?」
ゲイン「気にするな。戯言(ざれごと)だ」
ティスシス「恥ずかしがることはありませんのよゲイン」
ゲイン「まったく…調子がそがれるな」
やれやれと首を振るゲイン。どうにもティスシスには毎回調子を崩される。
レイジ「レーヴェンズが生きていたとは…」
ヴァイス「驚きね」
ティスシス「私だけですの。ほかの仲間たちはもう消滅しましたの。あれを除いては…」
目の前を指さすティスシス。彼女が指さす先は…

ドクン!ドクン!

怪しく脈打つAISだ。
十也「あれもレーヴェンズなのか!?」
ティスシス「混ざりもの。正しくは私の同胞を取り込んだ存在ですの」
ゲイン「レーヴェンズと未元獣、その細胞を取り込み人工知能による制御を試みた異物だ」
ヴァイス「こいつがボスを…」
レイジ「AIS…アルバド隊長の仇。今度こそ決着をつける!」
ナイフを構えるレイジ。
AIS「……」

シュルルル!!

AISの周囲の触手がAISを囲んでいく。無数の触手がAISを包み込む。

ゴゴゴゴ!!

地震のようにあたりが激しく揺れる。
十也「うわっ!」
レイジ「天井が!」
地下室の天井が崩れ落ちていく。

ドゴン!ドゴン!

崩壊していく地下室。
ヴァイス「なにあれ!?」
十也たちの前には巨大な球体が鎮座していた。
レイジ「これは…触手か!」
無数の触手が絡まりあい巨大な球体を形成している。

ウジュル!ウジュル!

球体状に絡まりあう触手が不気味にうごめく。
ゲイン「この中に本体が隠れているか」
十也「こいつを倒せば暴走する触手を止められる!」
ティスシス「なら倒すほかに選択肢はありませんの」
ヴァイス「いくわよ!『シュルゲン・イェーガー』!」

バシュン!

ヴァイスの持つ白い長銃から放たれる複数の銃弾。拡散弾のように放たれるそれはAISを覆う触手へと直撃する。だが分厚く何層にも重なった触手はヴァイスの攻撃だけではびくともしない。
ゲイン「これでどうだ!『轟迅弾』!」
ゲインの右腕に装着された腕部ユニットが触手へと放たれる。

ドゴン!

その一撃は触手へダメージは与えるが切断したるには至らない。


ウジュル!ウジュル!

依然として平気な様子でうごめく触手。
AIS「……」

バシュ!

触手が十也たちを突き刺そうと襲い掛かる。
ティスシス「私の後ろに」
ティスシスの後ろに集まる4人。触手はティスシスへと襲い掛かる。

ギン!

ティスシスの目の前で止まる触手。まるで見えない壁でもあるかのように触手はそれ以上ティスシスに近づけない。

シュルルル!

触手がティスシスを覆う見えない壁に沿って進んでいく。

シュルル!

ティスシス「なんですの!?」
触手がティスシスを中心に球体状に展開されている壁ごと彼女を覆いつくす。
ゲイン「へレティス6!」

ブン!

ティスシスを覆いつくした触手が手を振り上げるかのように触手を振り上げる。

ブン!

そのまま地面へと勢いよく叩きつける。

ドスン!ドスン!

何度も地面へと触手を叩きつけるAIS。

ウジュルル!!

ティスシスを覆っていた触手がAISの元へと戻っていく。触手の中から現れたティスシスは…
ティスシス「うぅ……」

フラフラ

ふらつくティスシス。外傷はないが、激しく何度も揺さぶられたせいで平衡感覚を失い気分が悪そうに見える。
ティスシス「ゲイン…しばらく戦えそうにはありませんの…」
ゲイン「休んでいろヘレティス6。あとは俺たちが始末をつける」
ティスシス「お任せしますの。それでは…」

シュン!

光となってゲインの体に入るティスシス。
十也「えっ!?ティスシスがゲインの中に!どうなってるんだ?」
慌て驚く十也。
ゲイン「今は説明している暇はない。状況に集中しろヘレティス2」
十也「あ、あぁ。でもティスシスがいないんじゃ次は防げない」
ヴァイス「防御する術(すべ)がないならやることはひとつね」
レイジ「そうだな。こちらから撃って出るのみだ!」
ゲイン「奴が動く前に攻める!」

ジャキ!

両腕を構えるゲイン。
ゲイン「はぁぁ!!」
アーヴァヘイムの腕部ユニットでAISを包み込む触手へと殴り掛かるゲイン。

ドゴン!

触手は拳撃による攻撃では大したダメージは受けていないようだ。
ゲイン「砕けぬならば断ち切る!粒子ブレード!」

キュィィン!

腕部ユニットの球体が赤く輝き粒子の刃が肘から展開される。

バッ!


両腕を交差するゲイン。
ゲイン「粒子ブレード!最大出力!!」

ヴン!

ゲイン「轟翼鳳(ごうよくほう)!!」

ザシュン!

肘から展開された巨大な刃がAISの触手を切り刻む。

ボドボド…

切り刻まれた触手がその場に落ちていく。
だがゲインの攻撃は触手の中にいるAISの姿をさらけ出すには至らない。
十也「AISを覆う触手をどうにかしないと…」
レイジ「ヴァイス!」
ヴァイス「おっけー!いくわよレイジ!」

ジャキ!

シュルゲン・イェーガーを構えるヴァイス。レイジはシュルゲン・イェーガーの銃口の前に佇む。
レイジ「触手の中の奴を直接叩く!」

シュッ!

超合金性の特殊ナイフを両手で持ちシュルゲン・イェーガーの銃口の先端へ構えるレイジ。
レイジ「『狼の眼(ウォルフス・アーケ)』」
レイジの両目が蒼く輝く。
レイジ「こい!」
ヴァイス「遠慮なく!シュルゲン・イェーガースプレッドモード!」

バン!

ヴァイスの持つ白い長銃シュルゲン・イェーガーから無数の銃弾が放たれる。

キン!キン!

銃口の先端に置かれたナイフに弾が当たり、次々と半分に切断されていく。普通の人間ならば放たれた銃弾をその眼に捉えることなど不可能だ。だがレイジの能力『狼の眼』は眼に映る事象をスローモーションで捉えることができる能力。物体の動きが数万分の一で動く世界を彼はその眼に捉える。常人が見る世界とは違う世界で彼はその身を動かす。

ヒュン!

切断された弾丸はAISを覆う触手に向かって飛んでいく。

バス!

触手の中央に着弾する銃弾。

バス!バス!

十也「弾が全部同じ位置に!」
一点を狙ったかのように同じ場所に着弾していく無数の銃弾。
レイジ「ナイフで射角を調整した。奴を撃ち抜く」
手に持ったボロボロのナイフを捨てるレイジ。

バス!

次々と一点に向け放たれる銃弾は前の弾を次の弾が押し込むように触手の奥深くへと撃ち込まれていく。

バス!バス!

そして…

バン!

触手の中央を貫通する銃弾。
ヴァイス「よし!」
レイジ「奴を貫いたか?」

AIS「……」

ウジュウジュ!

触手が手足を広げるように大きく展開する。
ゲイン「姿を現したか」
AIS「……」

ドクン!ドクン!

怪しく脈打つ球体が触手の中から姿を現す。球体の一部に銃弾が貫通した穴が開いている。そこからなんらかの液体がドロドロと漏れている。
レイジ「さっきの攻撃は効果があったみたいだな」
ヴァイス「自ら現れてくれるなんて好都合ね」

ジャキ!

長銃を構えるヴァイス。
AIS「……」

ボド!ボド!

触手を切り離すように地面に落とすAIS。
十也「なんだ…?」

ウジュウジュ!

触手が変形していく。
ゲイン「こいつは…」
ヴォルケイン「…」
変形した触手は無数のヴォルケインへと姿を変える。
ヴァイス「こんな数相手できるほど余裕はないわね。本丸をたたく!」

バッ!

ヴァイスの前に立ちはだかるヴォルケイン。
ヴァイス「AISは狙わせないってことね」
レイジ「消耗戦になったら勝ち目はない!一気にケリをつける!」
ゲイン「あぁ。リミット解除!」
十也「AS(アクセラレート・シフト)!」

ドドドド!!

ヴォルケインたちと十也たちの激戦が繰り広げられる。その奥にたたずむAISを倒すために。

シュッ!


ヴォルケインたちの合間を縫って誰かがAISの目の前に現れる。
レイジ「終わらせるぞAIS!」

ジャキ!

両腰からナイフを取り出すレイジ。
AIS「……」

バシュン!

AISから触手がレイジに襲い掛かる。
レイジ「見えている!」

バッ!

触手を躱すレイジ。
レイジ「これで!」

ザシュ!

ナイフをAISに突き刺す。

ドボドボ…

AISから血のように溢れ出る液体。
AIS「……」

ドクン…ドクン…

AISの鼓動が次第に弱くなっていく。
ヴォルケイン「…」
十也「なんだ?」

バシャァァ…

ヴォルケインたちが砂のように崩れ落ちる。
ゲイン「やったか」
ヴァイス「レイジ…」
レイジ「アルバド隊長…あなたの仇はとりました」

ゴゴゴゴ!!

激しく振動する地下室跡。
十也「地震!?」
ゲイン「脱出だ。まもなく崩壊するぞ!」
レイジ「速く地上へ!」
十也「あぁ!」

ドゴン!

天井が崩れ落ちていく。
ヴァイス「急ぐわよ!」
地下室跡を脱出する4人。
AIS「……」

ボロボロ…

球体のダメージを追った箇所から液体がとめどなくあふれるAIS。

ドゴン!ドゴン!

AISの周辺の天井も崩落していく。

ドガガガ!!

AISの頭上の天井が崩落する。

ガゴン!バコン!

崩落する地下室跡。無数のがれきに埋もれたそこはもう見る影もない。

~EGO本部・正門前~
バシャァァ…

無数の触手が砂のように崩壊していく。
ツバメ「これは…」
ヒルデ「やったようですね」
結利「あれは…」
結利が倒壊した本部のほうに人影を見る。
ウルズ「やったか十也」
十也たちの帰還だ。彼らは無事地下室跡から脱出したのだ。
レイジ「AISは倒した」
十也「これでEGOとの闘いは終わったんだな」
ツバメ「そうね。もう私たちはテロリストではないわ」
ゲイン「だがどうするつもりだ。EGOが崩壊した今、多くの問題が出てくるぞ」
モニカ「本部が壊滅した以上、態勢をすぐにでも再築しなければなりません。ですがそれだけのことをできる人物が…」

???「それは私が責任をもって行おう」

モニカの前に現れた人物。それは…
モニカ「グリンツ前長官!」
グリンツ「元EGO本部長官としてその責を果たそう」
ツバメ「本部に幽閉されていたの。私たちが見つけたのでそのまま連れ出したのよ。あぁそういえばこの子もね」
チフ「…」
寝ている少女。
レイジ「チフ!」
ヴァイス「無事だったのね!」
ツバメ「後はアポロンたちにも連絡を入れないとね」

~EGOグリフ大陸支部~
キノ「はぁ…はぁ…」
アポロン「くっ…」
ディック「なんていう強さだ…」
疲弊するアポロンたちの前に立ちはだかる赤、青、緑の鬼。
ニーノロータ「これが地縛民の力だ」
ジョルジュ「世界は神の思うがままに」
モリコーネ「哀れな人類に救済を」

ザッ!ザッ!

3人の鬼の後ろから歩いてくる人物。少年の姿をしたその人物はアポロンたちに告げる。
ニコロ「メサイアの直系。その血はこの時代で途絶えるんだ。君たちの旅もここで終焉を迎える」

to be continued

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最終更新:2020年03月08日 15:39