SIDE:3

~EGOミストラルシティ支部地下・データベース兼管理室(元秘密諜報部無機室)~
再びここへと訪れたにろく。
にろく「フォウは自分のことを№4だと言っていた。何か情報があるかもしれない」
諜報部のデータベースを『プラグオン』で検索するにろく。
にろく「みつけたぞ。№4(ナンバーフォー)。こいつか」
フォウのページをみつけるにろく。
にろく「№4。コードネームフォウ。秘密諜報部員。変装による諜報活動を得意とする。能力は不明」
能力が不明ということはどういうことだろうか。諜報部の隊員であればその能力は把握されているはずだ。
にろく「ん?」
フォウのページに記載されている文面に目が留まるにろく。


missinng(行方不明)

彼女は行方不明の表記が成されていた。
にろく「行方不明…あいつは諜報部が解体されるよりも先に抜けたといっていた。なにかが原因で諜報部を抜けたのか…これは…」

※一桁ナンバー(シングルナンバー)について

気になる表記だ。そのページを開くにろく。そこに記されていたのは…

私が諜報部長官になる前に起きた事件。シングルナンバーの反乱について記す。
№1~9の名を持つ諜報員。通称一桁ナンバー(シングルナンバー)。彼らはその名に恥じぬ実力を持っていた。
だがある日、彼らの中で紛争が起きた。№1~4と№5~9が対立し戦いになった。
№1~4はEGOに反旗を翻す。それに立ち向かったのが№5~9だ。
戦いの結果は№1~4の勝利。いや勝利というには血生臭すぎる結果となった。
№5~9はすべて死亡。№1~4は彼らを殺したのち、いずこかへと姿を消した。
№1たちは諜報部を抜ける際にデータベースに細工をしたらしく、彼らの能力に関するデータはすべて消されていた。
諜報部は非合法な組織。表立って彼らを追うこともできないため、彼らの動向を探るのは困難であろう。
依然彼らの行方は不明だがいずれEGOに牙をむくと思われる。注意されたし。
※追伸。現在チョーカーによる識別反応を受信する装置が完成したため、彼らの動向の調査を独自には行えると思われる。

にろく「一桁ナンバー(シングルナンバー)…過去にこんなことがあったとはな。この情報からするとフォウの奴には他に仲間が3人いるのか」
№1、№2、№3。その3人がフォウの後ろにいるであろうと思われる。
にろく「この3人のデータは…」

№3。コードネームサン。諜報員の中でも屈指の武闘派。諜報活動よりも諜報に失敗した際の事態対処に向いている。能力は不明。

№2。コードネームツゥ。諜報能力は諜報員の中でも飛びぬけている。あらゆるものを欺く手腕は他の追従を許さないほど。能力は不明。

№1。コードネームファウスト。最強といっても過言でない諜報員。彼にとってはあらゆる障害が無意味。どんな状況であろうと彼はいともたやすく攻略する。能力は不明。

にろく「能力は全員わからないか。どいつも一筋縄ではいかなそうなやつらだな。フォウを追えばこいつらと対峙する可能性が高い。避けては通れないやつらだ」

ピピ!

にろく「んっ?」

いろいろと資料を検索しているうちに秘密諜報部のデータベースの深部へとアクセスしてしまったようだ。そこには秘密諜報部の成り立ちや初期メンバーなどについて記されていた。
にろく「秘密諜報部の初期メンバー…一桁ナンバー(シングルナンバー)の連中…おかしくないか…」
フォウの姿は20代前後に見えた。あのフォウも初期メンバーならば見た目と年齢が合わない。さらにデータベースをあさるにろく。
にろく「初期メンバーは肉体改造を施された人間たち…フォウの見た目が若く見えるのはそのせいか」
肉体改造により見た目状の年を取っていないようにみえるということらしい。
にろく「これは…」
初期メンバーの中に一桁ナンバー以外の人物がいたようだ。その人物は…
にろく「№0(ナンバーゼロ)。コードネームマーベルアーミー。最初期の実験体。のちのシングルナンバーやエクストラ・ナンバーの元になった。№0は実験の途中に逃走。その行方はつかめず」
№0は逃げる際、研究員を殺害し諜報部のデータバンクを破壊。そのため№0に関するデータはほとんど残っていないようだ。
にろく「行方不明か…今は危惧ばかりしていても仕方がないな。フォウの行方を追うのが先決だ。チョーカーの位置検索…うまくいってくれよ」

ピッ!

にろくのもつ携帯機器に表示される位置情報。
にろく「でたか!」
フォウたちはチョーカーの位置情報機能について知らない。彼女らが諜報部を抜ける前にはなかった機能だからだ。
にろく「フォウ、見つけたぞ…ちっ!」
苦虫をかみつぶしたような顔をするにろく。にろくの持つ携帯機器のモニターにはフォウの位置情報が示されている。だがそこには他に3人の諜報部員の位置情報も同時に表示されていた。フォウとその3人は同じ場所にいる。
にろく「4人勢ぞろいか…」
元秘密諜報部員。その上位メンバーの相手…それも複数となればにろく一人では勝機も見えない。
にろく「場所がわかっても動けないか…今はフォウたちが動くのを待つしかないか。…だが」
にろくの頭をよぎるのはきゅっぱのことだ。彼女はフォウたちと一緒にいる。この機を逃せばきゅっぱに通じる手掛かりは閉ざされるかもしれない。
にろく「今行かなければきゅっぱは…」
探偵として任務を遂行するなら今の状況でフォウたちに接触するのは最善ではない。だが一縷の望みもある。
にろく「きゅっぱはチョーカーのことをしっているはず。それをフォウたちに伝えていないのはなぜだ」
きゅっぱがフォウたちにそのことを伝えない理由があるとすれば、それは迷いがあるからに他ならない。
にろく「きゅっぱ…おまえを必ず捕まえる!そしてその迷いを振り切らせて見せる!」

~ミストラルシティ・ビル屋上~
ミストラルシティのビルの屋上に立つ5人。
フォウ「EGOミストラルシティ支部の長官たちがいない今、この都市を制圧するには最高の機会」
サン「腕が鳴るな!」
ツゥ「ワイらを都合のいいように使ってきたEGOに思い知らせてやる」
ファウスト「始めよう。EGOを制圧し、我らの復讐を果たす」
きゅっぱ「あぁ…」

ザッ!

彼らの前に現れる一人の人影。
フォウ「こりずにあらわれたか」
にろく「お前たちの思い通りにはさせない!」
サン「たったひとりで俺たちを相手にしようとはずいぶんな自信だな」
にろく「そうだな…俺も驚いているよ。こんな無謀な行為を俺ができるなんてな」
ツゥ「№26。あんさんは無謀な行為を勇気と勘違いしとるんとちゃいます?」
にろく「そうかもしれないな…だがそれでも引けないものがある!」
きゅっぱ「にろく…」
ファウスト「内部崩壊し、力が弱まったEGOを制圧するのは今が好機。この機は逃さない。おまえの相手は№98に任せる。30分だ。それで我々はミストラルシティ支部を制圧する」

バッ!

ファウストたちは散開する。
きゅっぱ「あんたの相手はあたしだ」
にろく「きゅっぱ…お前の目を覚まさせる」
きゅっぱ「あたしの相手をしているうちにあいつらはミストラルシティ支部を制圧する。そうなればこの戦いも徒労に終わる」
にろく「そうはならない。準備はしてきた」
きゅっぱ「準備?」
にろく「あぁ。俺も一人じゃないってことだ」

~~
フォウ「さ~て一番乗りは私かな」
ミストラルシティ支部へとへ向かうフォウ。

ボッ!

フォウに向け放たれる光の弾。
フォウ「おっと!」
光の弾を避けるフォウ。
フォウ「なんだい?」
メルト「あなたは私が相手です!」
フォウの前に立ちはだかるメルト。メルトはにろくから協力を受け、きゅっぱを止めるために力を貸すことになった。もちろんバイト代上乗せの条件で。
フォウ「№26の仲間か?」
メルト「あなたたちの居場所は私の探索魔導で把握済みです!もう逃げられませんよ!」
フォウ「たちのってことは…ほかにも仲間がいるようだね。だけど逃げるってのはあり得ない。あんたたちが私たちの邪魔をするっていうなら叩き潰すだけだよ!」

~~
サン「んっ?」
サンの前に立ちはだかる人物。
ウルズ「こいつが元秘密諜報部か。メルトの探索魔導も存分あてになったな」
サン「敵か?なら容赦しないぜ!」

ガッ!

サンとウルズの拳が激突する。
サン「俺の拳を受け止めるとはやるな」
ウルズ「この体で生身の人間に力で負けるきはないぜ」

~~
ツゥ「おや?」
ツゥの前にスーツに身を包んだ片目に眼帯を付けた女性が現れる。
ツゥ「なにか私にようですか?」
昴「そうだな。ここから先は通行止めだ」

ビシッ!

鞭を手に持つ昴。
昴「おとなしく捕まってもらおうか」
ツゥ「えらい怖いお姉さんやなぁ。だけどそのお願いは聴けん相談やわ」
昴「だったら力づくでも止めさせてもらうよ」

~~
ミストラルシティ支部へと走るファウスト。

ゴッ!

彼の眼前に石の壁が出現する。
ファウスト「なんだ?」

「ここから先は僕が通さない」

ファウストの前に立ちはだかる人物。
ファウスト「だれだ?」
ナル「君を止める者。にろくの仲間さ」
メルトから連絡を受け、ミストラルシティに駆け付けたナル。彼がファウストの前に立ちはだかる。
ナル「メルトの姿がしばらく見えないと思ったらにろくのところでバイトしていたとは…。それにまさかこんな事態に巻き込まれているとはね」
やれやれという様子のナル。
ファウスト「君が僕の前に立ちふさがるというのなら容赦はしない」
ナル「遠慮なく。僕も手加減はしませんから」

一桁ナンバー(シングルナンバー)と対峙するメルトたち。そしてきゅっぱとにろく。EGOへと復讐を目論むナンバーズとの戦いが今始まる。

SIDE 3 (Limit30(崩壊までの30分))   Fin

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最終更新:2020年05月17日 12:18