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シャカイナの塔~
ディサイブ「強靭のバインザー…
オリジネイターか。」
レオン「奴の能力『超再生』とかいってましたね」
トニーから聞いた情報では奴の能力は『超再生』。あらゆるダメージを瞬時に回復する能力だ。
レオン「奴に行った戦術が効くかもしれませんね」
ディサイブ「そうだな。それでいくぞ!」
バインザー「俺と戦う算段はできたか?」
レオン「あぁ!いくぞ!聖斧パラシュ!」
レオンの両手に突如斧が出現する。
バインザー「へ~。斧ねぇ。それがお前の能力か」
レオン「俺の双斧(そうふ)をくらえ!」
バインザー「遅いぜ!」
レオンの双斧による攻撃を軽々避けるバインザー。
レオン「は、速い!」
ディサイブ「あの速さ…普通の人間に出せる速さじゃない。」
ディサイブはバインザーの足を見る。彼の足は皮や筋線維がボロボロになっている。
ディサイブ「そうか。奴は肉体への負荷を無視した動きを行うことであれだけの高速な動きを可能としているということか。」
レオン「なるほど。普通の人間ならそれだけの動きをすればもう動くこともできなくなる。だが奴は…」
バインザーの足のダメージが瞬時に回復する。
レオン「その能力で肉体へのダメージをなくしているということか」
バインザー「ご名答だ!だがわかったところで!」
バインザーはレオンの背後に回り込む。
バインザー「対策ができなければな!」
バインザーの拳がレオンを狙う。
レオン「くっ!」
ぎりぎりのところで双斧で防御するレオン。しかしバインザーの拳は重い。レオンはそのまま吹き飛ばされる。
レオン「ぐはっ!」
ディサイブ「この威力…肉体への負荷を完全に無視した力か。」
バインザー「どうだ!お前たちでは俺を倒せはしない!」
レオン「この程度!まだまだ!」
レオンは再び双斧を構え、バインザーに突撃する。
バインザー「ちっ!こりない野郎だ」
レオンは振り上げた双斧をバインザー目がけて振り下ろす。
バインザー「そんな大振り!当たるわけないだろう!」
レオンの双斧を避けるバインザー。双斧は地面に突き刺さる。
バインザー「へっ!間抜けな野郎だ!自分の得物を使えなくするとはな!終わりにしてやる!」
バインザーの蹴りがレオンに放たれる。
レオン「ふっ!聖斧パラシュ!」
突然双斧が消える。
バインザー「なに!?」
レオン「殿下!」
ディサイブ「聖斧パラシュ!」
ディサイブの両手からバインザーに向かって聖斧パラシュが投げ飛ばされる。
バインザー「ぬぉっっ!」
バインザーの両足が2本の斧によって切り落とされる。そのまま投げ飛ばされた双斧をレオンはその手につかむ。
レオン「はあぁ!」
双斧でバインザーの両腕を切り落とすレオン。
ディサイブ「奴の意識外からの攻撃…これで」
レオン「やったか!?」
両腕と両足を切断されたバインザー。だが彼は不敵に笑う。
バインザー「くっくっくっ…」
切り落とされた両腕と両足が元通りにくっつく。
バインザー「俺の『超再生』の前には無駄だ」
ディサイブ「認識外からの攻撃も効かないとは。本当の不死だとでもいうのか…」
レオン「これだけやっても効かないとは…やっかいですね」
ライアードに行った認識外からの攻撃。それがバインザーには通用しない。
バインザー「今度はこっちの番だぜ!」
バインザーがレオンに向かって突撃する。
レオン「ちっ!聖斧パラシュ!」
パラシュの一撃がバインザーの体を両断する。しかしバインザーの体は瞬時に回復する。
バインザー「無駄だっていってるだろうが!!」
バインザーはレオンの顔をつかむ。そしてそのまま塔の壁へと向かってレオンを投げつける。
レオン「ぐぁぁぁ!!」
崩れ倒れるレオン。
ディサイブ「レオン!」
バインザー「次はお前だ!おらおら!いくぜぇ!」
ディサイブ「聖槍ゲイボルグ!」
ゲイボルグの無数の突きがバインザーを貫く。
バインザー「くははは!むだむだぁ!」
バインザーは止まらない。バインザーの蹴りがディサイブを直撃する。
ディサイブ「がっ!」
その衝撃で吹き飛ばされるディサイブ。
バインザー「この程度か?たった二人で残るというからどんなに強いやつなのかと思ったが…とんだ期待はずれだったな!」
ディサイブ「く…そっ…」
偽りのライアードとの戦いで自身の能力『ジ・ラウザー』の真の能力を発動したディサイブ。不完全な能力を無理やり発動した代償か、彼は今自分の力をうまく発動できない状態に陥っていた。
バインザー「さーて!終わりにさせてもらおうか!」
バインザーの拳のがディサイブを襲う。
ディサイブ「ここ…までか」
死を覚悟し目を閉じるディサイブ。
ディサイブ(……?)
なんだ。奴の攻撃がこない?ゆっくりと目を開けるディサイブ。バインザーとディサイブの間には1人の女性が立っていた。
バインザー「お前は…」
その女性はバインザーの一撃をその拳で受け止めている。
ディサイブ(奴の攻撃を素手で受け止めているだと!?いったい彼女は…)
???「ふ~。久々に体を動かしたが調子はいいみたいだな」
自分の体の調子を確認する女性。
バインザー「あれだけ痛めつけてやったのにまだ俺と戦う気が起きるとは…見上げた根性だな!いいぜ!今度は完膚なきまでに叩き潰してやる!」
バインザーと以前戦った女性…。そう彼女は。
カレン「くっくっくっ!」
カレン・ネティスだ。バインザーの宣言にカレンは笑う。
バインザー「何がおかしい?」
カレン「いや、お前の思い違いが面白くてな。」
バインザー「どういう意味だ」
カレン「ここならEGOの誰かが来ることもないだろう…」
女性は着ているジャケットを脱ぎ捨てる。
ズン!
なんという重さのジャケットだ。落ちた地面にくぼみができる。
バインザー「こいつ確か以前俺と戦った時にはこのジャケットを着ていやがった!」
そう以前バインザーとたたかった際は彼女はこのジャケットを着ながら戦っていたのだ。
カレン「私の力を見せてやる!叩き潰すというのはどういうことかっていうのもな!」
バインザー「いいぜ!見せてみろよお前の本気をな!そのうえで俺が、この強靭のバインザーがお前を叩き潰す!」
バインザーの両手から凄まじい速度で連続のパンチが放たれる。しかしカレンはその攻撃をすべてかわす。
バインザー「なに!速い!」
カレン「いくぞ!」
カレンの蹴りがバインザーの顔面に直撃する。
バインザー「ぐはっ!」
地面にたたきつけられるバインザー。
カレン「ほらほら!どうした!その程度か?」
そのままバインザーを蹴り飛ばすカレン。バインザーは部屋の壁まで吹き飛ばされる。
ディサイブ(なんだこの女性は!?肉体強化系の能力なのか…)
バインザー「ちっ!」
バインザーの体には傷一つない。
カレン「貴様の能力『超再生』か。」
バインザー「なんて女だ。この俺の攻撃が全く当たらないなんてな。しかたねぇな!見せてやるよ俺の本気を!」
バインザーは右腕のブレスレットを外す。
カレン「なんだ?」
バインザー「こいつはなぁ。俺たちオリジネイターの力を制限する装置だ。これを外すことで俺たちの能力は真の力を発揮できる!」
ディサイブ(馬鹿な!ということは奴は今まで本気ではなかったということか!)
バインザー「いくぜ!」
カレンの背後に一瞬で回り込むバインザー。
バインザー「おらぁ!」
カレン「ちっ!」
バインザーの攻撃をぎりぎりでかわすカレン。先ほどまでの余裕はないように見える。
カレン「くらえ!」
カレンの蹴りがバインザーの腹部に直撃する。しかし…
バインザー「…どうした?こんなんじゃあダメージにもならないぜ!」
カレン「なに!?」
バインザーにはまったく効いていない。カレンの足をつかみ、投げ飛ばすバインザー。
バインザー「おらよ!」
カレン「かはっ!!」
勢いよく地面にたたきつけられるカレン。
バインザー「まだまだぁ!」
倒れるカレンを蹴り飛ばすバインザー。吹き飛ばされたカレンが壁に当たるよりも先に回り込むバインザー。まるでサッカーでもしているかのように次から次へと高速移動を繰り返しながらカレンを蹴り飛ばす。
バインザー「おらおらぁ!どうした!たいしたことねぇなぁ!これが俺の真の力『強靭』!全てを凌駕する強さだ!」
ディサイブ(速すぎる…目で追うのがやっとだ。だが…このままでは彼女が)
ディサイブ「くっ…」
体が痛い…。手を動かすのもやっとだ。
ディサイブ「聖…鎌アダ…マス!」
ディサイブの手にアダマスが出現する。手にしたアダマスを振りかざすディサイブ。アダマスは任意の地点に攻撃を仕掛けることができる鎌。集中するディサイブ。
ディサイブ「ここだ!」
カレンを蹴り飛ばしながら凄まじい速度で移動するバインザー。突如バインザーの体に切り傷が入る。
バインザー「なに…」
しかし一瞬で傷が治る。
ディサイブ「くっ…やはりだめか…」
バインザー「あいつか…まだいきてやがったか!目障りだ!」
ディサイブの目の前に一瞬で移動するバインザー。
バインザー「テメーは寝ていろ!」
バインザーの拳がディサイブの腹に打ち込まれる。
ディサイブ「がはっ!」
口から血を吐き、意識を失うディサイブ。
バインザー「あの女ももう終わりだろう…」
あれだけの蹴りを受けたカレン。普通の人間ならもう死んでいるだろう。
バインザー「…!!おい…嘘だろ!」
バインザーは後ろを振り向き驚愕した。なんとカレンが立っているのだ。その服はボロボロで顔はうつむいている。
バインザー「ありえねぇ!俺の本気の攻撃をあれだけくらって立っているなんて!だがそんなボロボロの体でなにができる!」
カレン「おまえの真の力…たいしたものだな。まさか私の…反応速度を超えてくるとはな。」
バインザー「今降参すれば命だけは助けてやるよ!」
カレン「降参…だと?」
バインザー「そうだ」
カレン「降参…か」
~EGOミストラルシティ支部~
EGO隊員A「長官!カレン副長官をいかせてよかったんですか!」
ネオ「そうだね~。だれかお供をつけるべきだったかもね。ちょっとかわいそうだったね」
EGO隊員B「そうですよ。まだ副長官は体が回復したばかりだったんですよ!そんな状態では…」
ネオ「いやいや違うよ!そういう意味ではなくてね!」
EGO隊員A「え?」
EGO隊員B「どういうことです?」
ネオ「彼女は普段力をセーブしているんだ。彼女の本気はやりすぎちゃうからね。あんまりそういう光景を人に見られるとEGOとしてはマイナスイメージにつながるからね」
EGO隊員A「普段の副長官で力をセーブしているなんて…」
ネオ「なんやかんや、そういうところはカレン君はまじめだからね!でも、あの飛行島なら人の目にもつかないだろうから…」
EGO隊員B「じゃあかわいそうっていのは…」
ネオ「それはもちろん…カレン君と戦う相手のことさ!」
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顔を上げるカレン。彼女の表情は笑っていた。
バインザー「な!?」
カレン「こんなにも心が躍るのは久しぶりだ!この状況で降参するはずがないだろう!」
バインザー「なんだこいつ!」
カレンの目は輝いていた。まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供の用に。
バインザー「力の差もわからないとはな!終わりにしてやる!」
バインザーの高速の蹴りがカレンの脇腹に直撃する。
カレン「…」
バインザー「へっ!どうだ!んっ…」
なにかがおかしい…。そういえばなぜこいつは俺の蹴りをくらって吹き飛ばない。それに…
バインザー「なんだ!?足が…」
バインザーの足がカレンの脇腹から離れない。
バインザー「これは!」
カレンの足元を見るバインザー。彼女の足が地面に氷で張りつけられている。
バインザー「こいつ!自分の足を氷で固定して!てことは…」
カレン「お前の足も私の体に氷で止めさせてもらった。いくぞ!」
カレンはバインザーの足をつかむ。そして氷の能力を解除するとそのままバインザーを放り投げる。
バインザー「ぬぉぉ!!」
カレン「どんなに早く動けるといっても空中では動きはとれまい。『クリュスタロス』!」
バインザーの体がみるみる凍っていく。
バインザー「なに!?」
カレン「そのまま氷漬けとなれ!」
バインザー「ちっ!」
バインザーは凍っていく体の部分を自らの手で切り落とす。そしてその体は元に戻る。
カレン「そう簡単にはいかないか。ならば…」
バインザー「お前の攻撃では俺には傷がつけられない!氷漬けにもできない!お前の攻撃は通用しないんだよ!」
カレン「それはどうかな?」
バインザー「なに?」
カレン「もうお前に万に一つも勝ち目はない」
バインザー「何を言ってやがる?」
カレン「ここには私とお前の二人しか起きているものはいない。つまりこれから行うことはだれにも見られることがないということだ。お前は死ぬのだからな」
バインザー「へっ!できるもんなら…」
なんだ?言葉が出ない。喉がおかしい…
バインザー「ぐっ…がぁぁぁ!」
バインザーの口の中から氷の塊が飛び出してくる。
カレン「もうしゃべるな。問答するのも飽きた。」
バインザー(こ…こんなもの…)
口から出ている氷の塊を引き抜こうとするバインザー。しかし彼の体は動かない。
バインザー(な…なん…だ)
彼の両腕は紫色に変色し、力が入らない。よくみると彼の両足も同じような状態になっている。
バインザー(なんで…気付かな…かった。それに…俺の能力…が)
カレン「何故?という顔をしているな。これが私の能力『クリュスタロス』だ。限界まで力を発揮すればその力は一瞬で対象の周囲の温度を下げることも可能となる」
バインザー(あ…たまが…考え…がお…れは)
頭が回らない。考えることができなくなる。
カレン「貴様の周りだけを超低温の空間にした。どれだけ強力な再生能力を持っていようが再生するたびに体の細胞が死に続ける。この超低温では次第に思考も失われる」
バインザー(そ…んな…)
カレン「ふ~。なかなか楽しめたぞ、オリジネイター。だがこのミストラルシティはお前たちの好きにはさせない!この私がいる限りな!」
バインザー(く…そ)
カレン「『絶対零度(アブソリュート・ゼロ)』!」
バインザーの体が氷の刃で粉々に切り刻まれる。
カレン「絶対零度の空間で永遠に眠れ!」
超低温の空間で粉々になったバインザーの体は再生せず、粉微塵となって消えていった。
カレン「くっ!」
カレンの肉体のダメージは大きい。上の階に進むのは厳しそうだ。
カレン「あとは彼らに託そう。ミストラルシティの未来を!」
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???「カレン・ネティス。さすがだな、オリジネイターの一人を倒すなんてな」
男はカレンとバインザーが戦いを繰り広げたシャカイナの塔の1階についた。ディサイブ、レオン、カレンの3人は気を失って倒れている。
???「さ~て!俺も俺の役割を果たすとしますかね!」
to be continued
最終更新:2016年10月23日 16:26