危険な邂逅!?ネクストステージはすぐそばに!

~EGO地下・秘密諜報部「無機室」~
俺はPC端末を通してミストラルシティで起きた事件の詳細を報告していた。
オリジネイターとの戦いのこと、能力の可能性のこと、そして地縛民に関すること。

にろく「…以上がこれまでに起きたことのすべてだ」

入力を終えると、PC端末の画面には「Waiting...」と表示された。

にろく(…最近、妙な事件が続く…そして必ずと言っていいほど俺が何かしらの形で関わっている…様々な任務として…)

俺は今まで秘密諜報部からの任務には何の疑いも持たず、与えられた仕事をこなしてきた。
しかし、点と点だった事件が線となってつながり始めた感覚が芽生え始めてから、奇妙な疑問がついて回るようになったのだ。
秘密諜報部は…EGOは…「何」を調べている…

ピピピッ

PC端末の画面が変わり「Go Rest...」の文字が浮かぶ。

にろく(しばらく休め、か。久しぶりの休暇だな)

任務がひと段落したということだろう。俺は部屋を後にする。

ウィィン

開かれた扉の向こう側に、誰かが立っていた。

にろく「!?」

とっさに後ろに下がり相手の様子をうかがいながら考える。

ありえない。無機室に諜報員が入室する際には、諜報員らがお互いに出会わないように入口からすべてが施錠されるため、誰かと出くわすはずがない。
となれば、システムがいじくられたか、何らかの『能力』によるものか。

背丈は大きくはない、女か子供といったところか。
全身を覆うコート、深いフードからはニコリと笑みが垣間見えた。

〇〇「はじめまして。コードネーム26」
にろく「その呼び名を知っているということはお前も諜報員ってことか」
〇〇「あたしはコードネーム98。周りからはきゅっぱと呼ばれているわ」

名乗るや否やこいつはおもむろに右手を突き出し、親指を突き上げ人差し指を俺に向けてきた。
まるで手遊びのピストルを構えるように。

にろく「その行動の意味は?」
地面に手をかざしプラグを出現させ、携帯端末からコードを垂らす。

きゅっぱ「そう構えるないでよ。あたしは話がしただけよ…『トリガーオン』!」
にろく「そうかい。じゃあコーヒーでも飲みながらってのはどうだ?…『プラグオン』!」

パンッパンッ!
無機室に銃声に似た乾いた音がこだました。

~ミストラルシティ・町中~
ナル「さーて今日はにろくが仕事だから暇だなー」

暇といっても忙しいんだ。この町は散歩をするたびにその姿を変える。
昨日まであった小石は向こうの家に飛び上がり、昼寝していた猫は魚をくわえて走りまわってるし。

ナル「最近の事件はなかなかにヘビーだったから和むねぇ」

ふと通りかかった店をちらっと見たら驚いた。
だってそこには喫茶「かざぐるま」があったんだもの。

ナル「…はいってみよう♪」

カラン...コロン...

店員「いらっしゃいませ!こちらにどうぞ!」

そこには明るい雰囲気となったかざぐるまの店内があった。
どうもこれはあの子の仕業みたいだね。

ナル「ツバメちゃん、なかなかやるなー」

さて、ホットコーヒーの味はいかがでしょうか?

カラン...コロン...

〇〇「や、やっと見つけましたよ!」

騒がしい客が入ってきたみたいだ。
若い人が多い地区だと客層も変わってくるんだ。なるほどね。

〇〇「無視しないでくださいよ、ガオミン様!」

んーその呼び方で呼ぶってことは…

ナル「やれやれだよ。メルト、まだ俺は帰らないよ」
メルト「そんな…折角お迎えに上がったのに一瞬で断られるなんて。不幸だー!」

漫画のように膝をおり手を突き落ち込む彼女を無視して、俺は頼んでいたコーヒーを味わう。

ナル「うん♪及第点だね。これなら支店を任せても大丈夫そうだ」
向こうの本店はにろく好みの純喫茶に戻すのもいいかもね。

メルト「本当にだめですか~」
ナル「まだだめだよ。この街の穢れを落とせてないからね」

~少し離れた街角~
キノ「ん…あれはナルと…だれだろう?」

陽気に散歩するナルの後ろをついて回る見知らぬ誰か。
服装からして異国の方だろうか。
見覚えがないから僕が行ったことのない国からきたのかな。

キノ「…とそんなことより。彼らはもうミストラルシティを後にしてしまったのかな」

彼らとは、僕の銃術の師匠であり命の恩人。どうもこの街に来ているらしい。

キノ「彼らとはもうしばらく会っていません。改めてお礼を言いたいのに」

あきらめかけたその時、街角に二人の姿を見つけた。

キノ「ルージュ!ロン!待ってください!」

二人組は僕に気づき足を止めてくれた。
駆け寄ってよく見ると、なつかしさが込み上げてきた。

ルージュ「あー!キノだー!大きくなったね!」
キノ「子ども扱いするのはやめてください。僕だってもう立派な大人です」
ロン「そうはいっても、ちびはなおってないだなぁ」

口では勝てそうにない。この二人とは出会ったその日からこんな関係だ。
いつまでたっても変わらないこともあるんだな…

キノ「それで二人は何の用でこの街に?」
ルージュ「ああ。ちょっと知り合いに会いに来てね」
ロン「知り合い?向こうは何も覚えてなかっただろうがあ」
ルージュ「仕方ないよ。彼らの世界はその程度なんだから」
ロン「キノ、お前はそんなちっぽけな世界にいきてないよなあ」

誰に会いに来たかはともかく、僕は彼らと別れてからたくさんの国を回った。
キノ「広い世界を見てきた自負はあるよ。それでも大きな世界のちっぽけな一部だけどね」
ルージュ「どう?あなたの世界は美しくなったのかしら?」
キノ「うん。美しくない世界もあったけど、僕の世界は煌めいているよ」

首から下げた鉱石をつまみ上げて二人に見せる。

キノ「この鉱石と同じようにね」

ロン「大事にもってたな。えらいぞぉ」
くしゃくしゃと僕の髪をつかみまわす。撫でているつもりなのかな。
彼の指にも同じ鉱石がはめられている。なんだか気恥ずかしい。

ルージュ「そうだ、キノ。あなたこの街を離れるつもりはないの?」
キノ「え?ああ旅は続けるつもりだよ。月が満ちるころには離れるつもりだけど、それがどうかした?」
ロン「あまりここに長居はしないほうがいいってことさぁ」
ルージュ「どうもここにはよくない気が満ちているようなの。」

~無機室~
きゅっぱ「へー結構やるじゃん。ごふっ」

血反吐を吐き倒れる彼(女?)を前にして、俺は尋ねた。

にろく「何が目的だ?どうしてこんな真似を?」
きゅっぱ「いやあ任務は全うしないといけないじゃん。いくら格上相手でもさ」
にろく「お前、どこの諜報員だ?と聞いても答えるはずないか…」

俺は床に落ちている彼(女?)の電子端末に手をかざしプラグを出現させる、端末を使い読み取る。

にろく(!?おいおいこれって…)

そこには秘密諜報部他の支部からであろう、きゅっぱへの任務内容が記されていた。

「ミストラルシティの暗部を暴け。あの街には災厄が潜んでいる」

にろく(やっぱり…この街には何かある。あるに違いない!!)

~遠く離れた草原で~
アポロンボルクはミストラルシティを離れ、分かれ道で立ち止まっていた。

アポロン「ミストラルシティ…稀有な町であった。あれほど多くの力が集まる場所はそうないだろう。大いなる力が胎動することも十分あり得る。善きものも、悪しきものも、果ては…そのいずれでもないものも」

ボルク「難しいことはよくわからないけど、いままでありがとなアポロン!これからは俺自身のロールを見つけるために、国に戻って修行に励むよ!じゃあな!」

ボルクは火の国アルバンダムに戻ることにしたのだ。
国の部隊に入隊して、自国を守りたくなったんだとか。

アポロン(ボルク、ソナタもまた神託のロールを全うするものの一人。いずれまた会いましょう。私は、次なる神の御言葉が降りる時を待つことにします)


ミストラルシティを離れるもの、この街に残るもの。
道を別った彼らであるが、またその道はつながることになる。

細い糸が紡がれて一つの大きな綱となるように。

to be countinued....

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最終更新:2017年09月11日 20:43