~モゴラ大陸・某所~
ボルク「はぁ…はぁ…」
息を切らしながら歩くボルク。その体力は限界を迎えていた。
ボルク「なんとかここまで来たはいいけど…」
火の国を出て彼は各地を放浪していた。
アポロン、キノと共にお尋ね者となった彼に安息の地はなかった。
ボルク「それにあの化物…なんなんだ…」
行く先で度々現れる謎の化物。未元獣だ。それとの戦いも彼の体力を奪っていった。
ボルク「このままじゃあ…」
未元獣「がぉぉぉ!」
突如ボルクの前に複数の未元獣が現れる。
ボルク「げっ!こんな時…にかよ」
もう戦う体力もない。
ボルク「ここまで…か…すまない…アポロン…」
未元獣「がぉぉぉ!」
未元獣たちはボルクに襲い掛かる。
ザシュ!
ボン!
ボルク「なん…だ」
未元獣たちが倒されていく。
ウルズ「うぉぉぉ!」
ボルク「あいつは…!」
コード・ウルズが次々と未元獣を倒していく。
ウルズ「大丈夫か?ボルク?」
ボルク「なんで…おまえが?」
ウルズ「理由は後だ。今はこいつらを倒さないとな」
彼らの前には未元獣の群れが広がっている。
シュウ「やはりここの近くは防御を固めているというわけですか」
ウルズ「そんなことよりどうするんだ?この数…一筋縄ではいかないぜ」
シュウ「あぁ。その点は心配ありません。そろそろ彼が来る頃ですから」
未元獣「がぉぉ!」
未元獣がシュウに襲い掛かる。
ボルク「危ない!」
ザシュ!
未元獣が突如現れた男により倒される。
ボルク「お前は!」
ウルズ(この男…どうやってこいつを…)
シュウ「さぁ。彼も合流してくれたことですし先を急ぎましょう。早くしないと間に合わなくなるかもしれませんよ」
~~~
新たなメンバーを加えたシュウ一行。4人となった彼らは夜も暗くなってきたため野営をすることとなった。
パチパチパチ
火に木をくべたき火をする。建物の光のない場所で、たき火の炎だけが明るくあたりを照らす。
いつ現れるかわからない未元獣にも備えなければならない。
シュウとウルズが夜の見張りをすることとなった。
シュウ「ここまでくれば未元獣たちもそう多くは現れないでしょう」
ウルズ「おい、シュウ。お前はいったい何者なんだ?」
シュウ「私は私ですよ。それにそのセリフはあなたにも当てはまるんじゃありませんか?」
ウルズ「うっ!(こいつどこまで知っているんだ…)」
シュウ「お互い詮索はなしにしましょう。今はこの状況を打破するのが先です」
ウルズ「そうだな。」
シュウ「そこでウルズ。あなたにはいってもらいたい場所があります」
ウルズ「いってもらいたい場所?それはどこだ?」
シュウ「ミストラルシティです」
~数日後・ミストラルシティ~
にろく「久しぶりの任務がこんなタイミングとはな…」
ミストラルシティの街中を一人歩くにろく。彼はEGOへと向かっていた。
にろく(このタイミングでの任務…なにかきな臭いな。)
不安を胸に彼はEGOへと向かうのであった。
~EGO地下・秘密諜報部「無機室」~
にろく「…」
部屋に入った
にろくはその光景を疑った。そこにはにろく以外にも数人の諜報員が集められていた。そこにはにろくの知った顔もあった。
きゅっぱ「…」
にろく「なんでおまえがここに!?」
きゅっぱ「あたしの方が知りたいよ」
彼女らの話によると彼女らの所属している秘密諜報部支部からの連絡でここにくるよう伝えられたという。
きゅっぱ「なんだかきな臭い話さ。前の任務と方向性が急に変わって…」
きゅっぱが以前受けていた任務はミストラルシティの暗部を暴けというもの。それが今度はここに行って指令を受けろというもの。
???「おかしな話だな」
そう語る赤髪の男。彼もどこかの支部の秘密諜報部の人間らしい。
きゅっぱ「あんたコードネームは?」
???「ん?あぁ。俺のコードネームはH1(エイチワン)だ」
にろく「H1?」
数字以外のコードネームを持つものを初めてみる。そういうやつもいるらしい。
きゅっぱ「他の奴らも数字ナンバーね。あんたのコードネーム変わってるわね」
H1「どうせ人から与えられた名前に意味なんてないさ。俺はそれを受け入れるだけさ」
きゅっぱ「ふ~ん」
互いに情報を聞くうちにますますこの状況に不信が募る。今までにない事態ににろくを含めた諜報員たちは疑問を抱き始める。
諜報員64(むし)「今まで別々の支部の諜報員が集められたことはなかった」
諜報員86(はむ)「それどころか同じ支部の人間ですら顔を合わすことはないぞ」
秘密諜報部に所属する人間は互いにその正体を知らないのを原則としている。それが一堂に集められるというのは今までにない。前代未聞である。
H1「なんらかの力が働いているのかもな…」
きゅっぱ「なんらかの力…」
にろく(やはり…この街…なのか)
ピピピッ
PCの端末が起動する。
にろく「指令か!」
きゅっぱ「どんな指令がくるのかしら」
H1「さて…」
PCの端末に文字が表示される。
『みなさんお集まりいただきありがとうございます。突然ですが秘密諜報部の部長は先日お亡くなりになりました』
きゅっぱ「えっ!」
『私は新しく秘密諜報部の部長を務めさせていただくN(エヌ)です』
にろく「N…なにかのコードネームか」
元々秘密諜報部は表には出せないような組織。その目的は謎に包まれているが、そこの部長の正体も俺たちにはわからない存在だ。それが変わったところで何も変わりはしない。
だがこんなくだらないことを報告するために俺たちは集められたのだろうか。
『本題に入りましょう。ここに集められたあなたたちは優秀な人材です』
諜報員33(みみ)「優秀な人材?給料でもあがるのかい?」
『なので』
その次に表示された文面を見て一同は絶句した。
『あなたたちには死んでもらいます』
にろく「……はっ?」
言葉がでない。意味がわからなかった。いつも通りに任務を受けにきたはずだった。それが…なぜ…
きゅっぱ「扉があかない!」
部屋の扉が閉められている。脱出ができない。
諜報員74(なし)「どういうことだよ!死んでもらうって!」
諜報員88(はっぱ)「でもどうやって殺す気…あっ」
突然はっぱの首のチョーカーが爆発する。その衝撃で首から血を吹き出し絶命するはっぱ。
きゅっぱ「嘘だろ…」
H1「チョーカーか!」
秘密諜報部の隊員はその首にチョーカーを装備されている。それは自分の手で外すことはできないようになっている。
無機室の中に響く悲鳴。次々と諜報員たちの首のチョーカーが爆発されていく。それはわざと順番に爆発させ、いつ自分のチョーカーが爆発させられるのかという恐怖をあおっているかのようにも見える。
にろく「なんで…こんな…」
俺がいったい何をした。俺は今まで任務をそつなく全うしてきた。
にろく(そもそもにして秘密諜報部に所属させられたのが間違いだったんだ。俺の夢はかなえられなかったな…)
いつか…いつか自由になる時がくれば…。そんな吐かない願いをかき消すような絶望が今自分を襲おうとしているのだ。逃れられない絶望が。
にろく「なんで!なんでなんだよ!」
きゅっぱ「にろく…」
にろく「くそー!!」
そうしている間にも順々にチョーカーが爆発していく。自分の番がいつ来るかわからない恐怖が彼らを包み込む。
H1「ちっ!なんて恐ろしいことをしやがる」
PCの端末に文字が表示される。
『永遠の自由を君たちに。Go to heaven!』
端末はその文字を最後に反応を停止した。
にろく「永遠の自由…か」
H1「天国で自由に暮らせってか…」
きゅっぱ「ふ、ふざけやがって」
にろくたちを襲う絶望の事態。果たして彼らの運命は…
to be continued
最終更新:2016年11月27日 22:44