~EGOミストラルシティ支部~
ツバメ「状況は?」
EGO隊員「未元獣対策チームの
トニーさんと
スライさんの活躍により敵方の指揮官クラスが撤退した模様。」
ツバメ「スライとトニーはさすがね。やるじゃない」
隊員「ですが2人は受けたダメージも大きくこれ以上の戦闘は不可能と思われます」
ツバメ「わかったわ。2人はよくやってくれた。あとは待機してもらいましょう。残りは他のメンバーで何とかしましょう」
何故かこの戦いの指揮をとるツバメ。それを横で眺めるネオ。
ネオ「ツバメ君…」
本来なら長官であるネオが指揮をとっているはずだが…
ネオ(ツバメ君が未元獣対策チームの指揮をとるためにここに来てくれたのはいいんだけど…いつのまにかうちの隊員の指揮までとり始めてしまった…)
気づいたらこんな状況になってしまっていたのだ。
ネオ「ツバメ君…」
ツバメ「なに?今は大変な状況なの!何か用?」
ネオ「いえ…なんでもないです」
ツバメの気迫に押され何も言えなくなるネオ。
ツバメ「だったら話しかけないでちょうだい!」
ネオ「申し訳ありませんでした…」
気を落とし隅っこの方に座るネオ。
ツバメ「何とかするとはいったけれど…」
スライとトニーの活躍で
コード・スクードの撃退には成功した。残る指揮官クラスはコード・ヴァ―ダンドのみのはず…
ツバメ(この勢い…他にもいるのかもしれないわね)
敵の勢いが衰えないどころか押している地点がある。そこにツバメたちの知らない指揮官クラスの敵がいるのかもしれない。
ツバメ「まずいわね…」
自分の予想していた状況よりもだいぶ劣勢だ。この状況から盤上をひっくり返すには…。
ツバメ(盤上の駒では勝つことができない…くやしいけど…このままじゃ…)
大量の未元獣に狂化未元獣。それを指揮するコード・ヴァ―ダンドとまだ見ぬ指揮官クラスの敵。
対してこちらの戦力は未元獣対策チームとEGOミストラルシティ支部隊員。
ツバメ「コード・ヴァ―ダンドだけでも勝てるかもわからないほどの強敵なのにそれに加え他の指揮官クラス。未元獣対策チームのメンバーがいかに屈強なメンバーといえどこれでは…」
ヴァ―ダンドの能力を封じる力は強力だ。未元獣対策チームのメンバーが総力を結集しても勝てるかは怪しい。
ツバメ(負け戦を…続けるわけには…)
闇雲に戦いを続けても犠牲者が増えるだけ。そんな戦いを続けることはツバメの考えに反する。
ツバメ「全軍に伝令を!」
ツバメは覚悟を決めた。負けるとわかっている戦いを続けるわけにはいかない。全戦闘員に撤退命令を出そうとする。だがその時!
ピピピピ!
支部に通信が入る。
隊員「通信です!」
ツバメ「誰から?」
隊員「それが…」
???「こちらはEGO特殊部隊”R部隊”だ」
ツバメ「R部隊?」
ツバメはその名を聞いたことがある。確かその部隊は最近EGO内部で作られた…
ネオ「ツバメ君!変わって!」
ネオがあわててツバメに変わり通信に出る。
ネオ「すいません。EGOミストラルシティ支部の長官ネオです。どうしてあなたたちがこんなところに?」
???「ネオ長官か。例の物を本部から輸送してきたんだが…なにやら立て込んでいるみたいだな」
ツバメ「例の物?」
ネオ「えぇ。予想外の未元獣の襲撃で…このままではミストラルシティが陥落してしまうのも時間の問題かもしれません」
???「その事態は避けなければならないな。この状況ではあれも使うことはできまい。我々も至急未元獣の対処に加わる」
ネオ「助かります。」
アルバド「ではアルバド・ルドルフ及びR部隊はただいまからミストラルシティの防衛任務につく!状況は逐一そちらに報告する!」
ネオ「よろしくお願いします。」
アルバドとの通信が切れる。
ツバメ「今のは…」
ネオ「ツバメ君。君も知っているだろうが彼はEGO本部の特殊部隊R部隊の隊長アルバド・ルドルフだ。」
ツバメ「えぇ。その名は知っているわ」
アルバド・ルドルフ。EGOの隊員の中でも名が知れている人物だ。各地の紛争や反乱を鎮圧して回っているというEGOの中でも戦闘技術はトップクラスの人物として有名である。
ツバメ「彼が戦闘に参加してくれるのね?」
ネオ「あぁ。そうだね」
ツバメ(盤上外の駒…まだあきらめるのは早いかもしれないわね)
ツバメも予想しなかった援軍。彼らの参戦でツバメにも戦況は読めなくなった。
ツバメ「R部隊の動きも把握して!敵の動きの先を読むわよ!」
~~~
アルバド「うむ」
あたりを見回すアルバド。
レイジ「どうしますか?隊長」
アルバドの後ろにはレイジと狙撃用であろう長銃を携えた女性が佇んでいる。
アルバド「R1は未元獣を倒しながら敵の指揮官クラスを探し出し対処しろ。R2はミストラルシティ支部の情報から残る指揮官クラスの位置を割り出し、狙撃ポイントへつけ。」
レイジ「了解!」
R2「りょうかいよ、ボス!」
アルバド「R3!準備はいいか!」
R3と呼ぶ相手に通信を入れるアルバド。
R3『こちら問題なし。状況クリーン。異常があれば報告します』
アルバド「よし!R部隊、出撃!」
~~~
EGO隊員「くっ」
未元獣「がぉぉぉ!」
隊員「数が多すぎる」
多数の未元獣により次第に追い詰められていくミストラルシティ支部のEGO隊員。
隊員「このままでは…」
アルバド「あきらめるな!」
隊員たちの前にアルバドが現れる。
隊員「あなたは!」
アルバド「俺が先陣を切る。お前たちは後に続け!」
アルバドは手に持った大きなケース型の箱を前に掲げる。
アルバド「Gモード!」
アルバドの声に反応するようにケース型の箱が変形する。それは大型の銃へと姿を変えた。
アルバド「対物超衝撃ライフル!」
未元獣に狙いを定めるアルバド。
未元獣「がぉぉぉ!」
アルバド「ファイア!」
ドゴォン!
アルバドのライフルから弾丸が発射される。通常の銃とは比べ物にならないほどの衝撃音があたりに響く。その弾丸は未元獣の頭を一発で弾き飛ばし、倒してしまう。
隊員「す、すごい!」
未元獣「がぉおお!」
隊員「うわぁ!いっぱい来たぞ!」
複数の未元獣がアルバドを目がけて襲い来る。
アルバド「Sモード!」
アルバドの声に反応し大型の銃が変形していく。それは巨大な剣へと姿を変える。
アルバド「ぬぅん!」
ザシュ!
アルバドは手にした大剣を軽々振るい次々と未元獣たちを倒していく。
隊員「あんな大剣を軽々と…」
アルバドが持っている武器。それはEGO本部で開発された遠近対応型戦闘武装ユニバーサル・ウェポン。巨大な銃と剣に変形するマルチウェポンだ。ひとつの武器で距離を関係なく戦えるという反面その武器には重大な欠陥があった。
それは異常に重いことだ。様々な人物がその武器の試験に挑戦したが誰一人としてまともに使える者はいなかった。アルバド・ルドルフ以外は。
アルバドは能力者だ。彼の能力は『怪力(パワー)』。通常の人間とは比べ物にならないほどの腕力を発揮できる。その力によりユニバーサル・ウェポンを使用することができるのだ。
このことからユニバーサル・ウェポンは実質彼専用のワンオフウェポンとなっているのだ。
アルバド「このまま押し返すぞ!」
隊員「はい!」
隊員たちはアルバドと共に未元獣たちに立ち向かっていく。アルバドが戦線に加わったことで大幅に士気が上がる隊員たち。
アルバド「未元獣どもめ!ミストラルシティは落とさせんぞ!」
~~~
レイジ「目標補足!」
未元獣「がぉぉ!」
レイジの前に立ちはだかる未元獣たち。
レイジ「3…4…5体か」
5体の未元獣がレイジの前に。5対1。この状況は普通の人なら絶望的な状況だ。そう普通の人なら。
未元獣「がぉぉ!」
未元獣たちがレイジに向かってくる。
レイジ「来るか…」
目を閉じ集中するレイジ。
レイジ「いくぞ!」
目を見開きアーミーナイフを取り出すレイジ。未元獣たちがレイジを襲い来る。
レイジ「はっ!」
レイジは次々と襲い来る未元獣たちの攻撃をすべて紙一重でかわす。まるで相手の動きがすべてわかっているかのように。
レイジ「遅い!俺には見えているぞ!」
地面を蹴り飛び上がるレイジ。そのまま未元獣の頭へとアーミーナイフを突き刺す。
未元獣「ぎゃぉぉ…」
レイジ「ます1体!」
未元獣「がぉぉ!」
残りの未元獣がレイジを襲う。
レイジ「はっ!」
アーミーナイフを未元獣の頭部に投げるレイジ。
レイジ「2体目!」
レイジは腰に付けたホルダーから小型のハンドガンを取り出し未元獣の頭部へ複数回撃つ。
レイジ「3体!」
未元獣「があぉぉ!」
残った2体の未元獣がレイジに上空からとびかかる。
レイジ「これで…」
レイジは膝をつきうずくまるような姿勢をとる。
未元獣「がぉぉぉ!」
未元獣たちがレイジに噛みつこうとする。その瞬間レイジはその場から飛び上がり回避する。レイジがいた場所にはピンを抜かれた手りゅう弾がおかれている。
バン!
次の瞬間、爆発する手りゅう弾。その破片が未元獣たちに突き刺さる。
未元獣「ぎゃぉぉ!」
レイジ「終わりだ!」
腰のホルダーから2丁のハンドガンを取り出し未元獣たちの頭めがけて何度も撃ち込むレイジ。
未元獣「ぎゃぉ……」
未元獣たちは倒れた。黒い煙を出し消滅する未元獣。
レイジ「目的は指揮官クラスだ。先を急ぐ」
~~~
未元獣「がぉぉぉ!」
ナル「はぁ…はぁ…」
ディック「次から次へと!」
リョウガ「きりがないぜ!」
ナルたちをとり囲む未元獣たち。そんな様子をビルの屋上から眺める女性。
R2「ありゃりゃ。なんだかピンチなようだね。ど~れ」
R2は狙撃用と思われる長銃を構える。
ヴァイス「このヴァイスちゃんが助けてあげましょうか!いくよ、シュルゲン・イェーガー!」
バン!バン!バン!
未元獣「ぎゃぉ!」
ナル「なに!?」
突然ナルたちをとり囲む未元獣たちが狙撃される。
ディック「EGOか?」
ヴァイス「う~ん。ちょっと数が多いなぁ」
ちまちま狙撃していたのでは埒があかないほどの数だ。
ヴァイス「狙いは定めた!一気に行っちゃいましょうか!シュルゲン・イェーガー!」
バン!
リョウガ「なんだあの弾?」
空からゆっくりと一発の弾丸が落ちてくる。銃から撃ち出したにしてはやけにゆっくりだ。
ディック「狙撃してるやつ…弾を落としたのか?」
そんなことを言っていた次の瞬間。
パン!
落ちてきた弾が爆発したと思ったらその弾は数えきれないほどの無数の弾へと分裂した。散弾というにはあまりに数が多い。
ナル「な、なにこれ!?」
無数の弾はナルたちをとり囲む未元獣たちを次々と撃ち貫いていく。その弾は一つもナルたちに当たることなく未元獣たちに命中する。
ディック「えっ…」
今の攻撃でナルたちをとり囲んでいた未元獣たちは一瞬で倒れたのであった。あまりに一瞬の出来事に驚くディック。
リョウガ「今のはいったい…」
ナル「い、今は詮索している時間もおしいからね。ツバメちゃんの言っていた指揮官クラスの敵を倒すのが先だよ」
ディック「そ、そうだな!」
状況を理解できないままナルたちはミストラルシティの中を進んでいった。
ヴァイス「さすがシューちゃん!今日も絶好調だね!」
長銃に頬ずりするヴァイス。
ヴァイス「さ~て、私も気合を入れて仕事しないとね!」
ミストラルシティの危機に参戦したR部隊。彼らの力は未元獣の脅威からこの街を守り抜く力となるのだろうか
to be continued
最終更新:2016年12月05日 23:18