2011.5.10 現在
M-Tea*3_40-大正十二年九月一日…/私の覚え書 宮本百合子
2011.4.30 第三巻 第四〇号
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録
私の覚え書
宮本百合子
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月末最終号:無料 p.155 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(12項目)p.69
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。
※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
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はみだせ! 週刊ヒポクりィー*
列車は人と貨物を満載し、あぶら汗をにじませるむし暑さにつつまれながら、篠井ぐらいまでは、急行らしい快速力で走った。午前二時、三時となり、だんだん信州の高原にさしかかると、停車する駅々の雰囲気が一つごとに緊張の度を増してきた。在郷軍人、消防夫、警官などの姿がちらつき、手に手に提灯をかざして警備している。福井を出発するとき、前日ごろ軽井沢で汽車爆破をくわだてた暴徒が数十名捕らえられ、数人は逃げたという噂があった。旅客はみなそれを聞き知ってい、なかには、ことさら「いよいよ危険区域に入りましたな」などという人さえある。
五日の暁方(あけがた)四時少しすぎ、列車がちょうど軽井沢から二つ手前の駅に着く前、一般の神経過敏をよく現わした一つの事件が持ちあがった。前から二つ目ばかりの窓ぎわにいた一人の男が、「この車の下に何者かが隠れている。爆弾を持った〔二字伏せ字〕に違いない」と言い出したのであった。なにしろひどい混みようで、とうてい席などは動けないので、遠い洗面所その他はまるで役に立たない。その人は、窓から用をたしたのだそうだ。そして、何心なくひょいと下をのぞくと、たしかに人間の足がいそいでひっこんだのを認めた。自分ばかりではなく、もう一人の者も間違いなく見たというのである。
はじめ冗談だと思ったみなも、その人があまり真剣なのでひどく不安になりはじめた。あの駅々の警備の厳重なところを見れば、まったくそんな事がないとはいわれない。万一事実とすれば、ここにいる数十人が命の瀬戸際にあるということになる。不安がつのるにつれ、非常警報器を引けという者まで出た。駅の構内に入るために列車がしばらく野っぱ〓のまんなかで徐行しはじめたときには、乗客はほとんど総立ちになった。何か異様がおこった。今こそあぶないという感が一同の胸をつらぬき、じっと場席(ばせき)にいたたまれなくさせたのだ。
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宮本百合子 みやもと ゆりこ
1899-1951(明治32.2.13-昭和26.1.21)
小説家。旧姓、中条。東京生れ。日本女子大中退。顕治の妻。1927〜30年ソ連に滞在、帰国後プロレタリア作家同盟常任委員。32年から終戦までに3度検挙。戦後、民主主義文学運動の先頭に立つ。作「貧しき人々の群」「伸子」「二つの庭」「播州平野」「道標」など。
◇参照:Wikipedia
宮本百合子、『広辞苑 第六版』(岩波書店)。
底本
難字、求めよ
林町青山
小南
イキ坂
安積 福島県安積町か。現、郡山市。
芝園橋
糧秣廠 りょうまつしょう、か。
内外ビルディング
本郷座
白札 白タク?
さいや
大滝
啓明会
此那 こんな?
倉知 くらち?
下馬
白山山脈
警言
むしとりホイホイ
どうかこうが → どうかこうか 【か、か?】
薄縁の敷る 【?】
スリーパーズ日記
スイッチ付きの電源タップ、遮光用スクリーンすだれ、断熱用カーテンのライナー、『読売新聞・特別縮刷版』(一四〇〇円)購入。4ポイントぐらいか。文字、細かっ。
陸奥の 忍(しのぶ)の里に 道はあれど
恋という山の 高根しるしも
西行
限りあれば 吹かねど花は 散るものを
心みじかき 春の山風
蒲生氏郷
以上、『郷土資料事典7 福島県』(人文社)より。五月七日、晴れ。南東からの山越えの風。奥羽線ぞいに八重桜の赤い花・桜桃の白い花・つつじ・はなみずき。明日から薬師寺植木まつり。「なにかひとつ」ジャモーサ。
2011.5.9:公開 八面玲瓏。
2011.5.13:更新
秒速、5ミリシーベルト。ベラルーシ。
目くそ鼻くそ。しだひろし/PoorBook G3'99
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- 「初出:同上 」ってどういうことだろうか。『全集』が初出ってこと? -- しだ (2011-05-13 15:35:51)
最終更新:2011年07月25日 14:16