どうもエッジが抜けやすく、不得意なジャンプですが、サルコウの次に習うジャンプかと思います。女子では得意な選手が多いですね。逆に男子ではあまり用いられず、トゥ系が主体です。これは、詳しくは後述しますが、踏み切りの際トゥ系は純粋な脚力をある程度必要とするのに対して、エッジ系は助走の力を利用しやすいからどと思います。
理論的な面
回転力発生はフリップルッツとほぼ同じです。右腰が抵抗となり左腰が回り込む。が、スケーティングエッジの動きと働きが決定的に異なります。
- フリップの場合は、エッジは進行方向にほぼ並行となり、膝のアップで踏み切るときもそのままで、助走の力を受け止めるのはトゥの役目となります。
- それに対して、ループやサルコウなどのエッジ系は、踏み切り動作の開始とともにエッジが弧を描き、ブレードが進行方向に対して垂直近くの角度を持ちます。これによりエッジ自体が抵抗となり助走の力を受けとめ、軸となります。
なので、脚力で飛ぶというより、膝のバネでグッと力を一旦吸収し跳ね返す形になります。トランポリンみたく。体やエッジの角度が正しく保たれていれば、さほど追加で無理な力は必要ありません。力がかかるのに応じて曲げ、受けとめたところでアップすればいいのに対し、フリップの場合は膝の曲げ伸ばしに際してそのような力はかからず、明示的に重心をエッジにかけ、伸ばすという脚力がある程度は必要です。なので、荷重をうまくエッジでコントロールできれば飛びやすいジャンプともいえ、また右軸のままなのでダブルに移行しやすいかもしれません。
エッジコントロールとは、このようにエッジの外力が加わった時に、角度や方向の調整などで力を均衡させることが即座にできること。 よって、荷重をいかにバックアウトにかけ、それをエッジで受けとめられるかがポイントになります。それが難しいんですが。
上体の維持
同じく重要です。いつもの姿勢を保ったまま腰から下が沈んで回り、捻られる形になります。上体が一緒に回ってしまったら軸がずれ回転力は逃げます。感覚的には前をずっと向いたままで足首がまがっていき直角になるような。通常は軽くクロスした状態でバックアウトに乗り、ダウンで踏み切り動作に入りますが、いきなりこれをやろうとしてもなかなかうまくいきません。すぐターンしちゃったり、体も一緒に回っちゃったり。
最初はインスリーから入る
とよいかもしれません。でも、これもターンで止まれること前提です。
- フリーレッグは伸ばしてフォアインからスリー
- ターンするときにフリーレッグをクロス、上体はいつもの姿勢でキープ。
- そこからリズムよくバックアウトに深く乗ります。
- この時、上体をそのまま保つこと。一緒に回っちゃいがちです。軽くダウンするだけでも、エッジは倒れて自然に弧を描きます。
- そのまま待っていれば最終的にトゥに出るので、その時に軽くチョンと爪先を押すように。
これだけで一回転には十分です。その時には既に半回転ぐらいしてますし。
スピードをつけすぎるとエッジを抑えきれずに抜けたり体が回ったりしてしまうので、はじめは小さく。上体は抑えて、膝から下が回っていく感覚を掴みます。慣れてくると、ほんとに自然に回ってくれます。一番自然な回転を体得しやすいんじゃないかな?
クロスからの入り
ある程度降りられるようになったら、クロス状態からの踏み切りを試します。
- モホークなどでバックに。
- そこから左をクロスさせて、右手を後ろに引きながら後ろを見ます。
- 静かに前に向き直すと同時に、軽くアップを取るというか、ちょい背筋を伸ばします。感覚的ではありますが、軽く浮いて、改めて荷重を右アウトに預けるというか。力の方向を感じ、その延長線上に右足を軸として置く、みたく。この時、絶対に上体は回さない。
- うまくエッジが所定の角度をもって置かれれば、膝を柔らかく使って受けとめ、
- トゥに出たところでチョン、と。腕はあまり締めずに輪っか程度に。
- そしてチェック。
右アウトに預ける、ってところがうまく説明できませんが、まずは一回ターンでやってみるのもありかと。ターンも結局エッジに力を預けることですしね。
ダウンで弧を描くについて
ダウンするということは、下方に力がかかるということ。その時エッジが少しでも傾いていれば、例えば6時に左バックイン進行であれば、9時方向にかかる。そのままでは遠心力に負けるのでエッジが内側に倒れる。倒れれば自然と円弧を描く。ループなどは特に、ダウンでエッジ角度の調整、倒れれば回り、回ればより助走の力がかかりまた倒れる。多回転ほど大きな力がかかるので、瞬時に対応できないとすぐ抜ける。
最終更新:2013年02月04日 23:20