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日本の近代建築(上) - (2005/05/13 (金) 22:47:30) のソース

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藤森照信『日本の近代建築(上) ―幕末・明治編―』岩波新書、1993年</p>
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<p><strong>1.地球を東に回って日本へ<br></strong></p>
<p><strong>1)ヴェランダコロニアル様式</strong></p>
<p>ヴェランダのついた西洋館。</p>
<p><strong>・フランス窓</strong></p>
<p>
ヴェランダに面した部屋の壁には窓がつくが、床面から直接立ち上がる。ヨーロッパの南を占めるフランスやイタリアでは普通に使われる。北を占めるドイツやイギリスには少ない。</p>
<p><strong>・鎧戸</strong></p>
<p>日光を遮り風を通す。ドイツには少ない。</p>
<p>・日本ではフランス窓・鎧戸共に使われている。</p>
<p>・ヴェランダの面積が大きく、四面に廻される。</p>
<p>
・ヴェランダを張り出す伝統はヨーロッパには無い。ヴェランダが張り出すのは、ポルトガル、スペインに代わってイギリスがアジア進出の主導権を握る18世紀半ば過ぎから。</p>
<p><strong>理由1:風土病</strong></p>
<p>暑さへの対策。直接日光を防ぎかつ通風を良くする。</p>
<p><strong>理由2:現地人の反撃に備える</strong></p>
<p>
一階を倉庫とし二階を鉄格子の入った居室に当てるという自閉的なものにせざるをえなかった。</p>
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・イギリスでは18世紀から19世紀にかけて、ネオクラシズムやグリークリヴァイヴァルと呼ばれるギリシア、ローマに範を採るスタイルが大流行し、ふつうの住まいや街の建物にまで列柱が張り出した。この時期にちょうど、アジアの外国人居留地でヴェランダが大発生している。</p>
<p><strong>列柱空間(ギリシア)と見分ける方法</strong></p>
<p>
1.二階建ての場合、二階までヴェランダ状になっているかどうか。</p>
<p>
2.広さ。幅が広く時には四周に回り、家全体に占める割合は大きい。</p>
<p>・<strong>ヴェランダコロニアルの分布</strong></p>
<p>
かつてのヨーロッパの植民地や、居留地が置かれた地域。かつ、赤道に近い。</p>
<p>
アフリカ中央の海岸、インド、東アジア、南洋諸島、オーストラリア、カリブ諸島、北アメリカ南部。</p>
<p>インド起源説が有力。</p>
<p><strong>2.地球を西に回って日本へ</strong></p>
<p><strong>2)下見板</strong><strong>コロニアル様式</strong></p>
<p>
イギリスから大西洋を渡り、アメリカ大陸を横切って太平洋まで伝わった。</p>
<p>
木造の骨格に板を張ってペンキを塗るもの。この技術は世界中の木造建築圏で使われている。</p>
<p>
<strong>■下見板張り<br></strong>ヨーロッパ系の板張りの中の水平に張るタイプのもの。板の継ぎ合わせ方から二つに分かれる。</p>
<p>・板自体は<strong>下見板</strong>という。</p>
<p>・分類</p>
<ol>
<li>
ドイツ下見:上の板の端と下の板の端を半分ずつ切り欠き、突き合わせて継ぐ。平らに仕上がる。</li>
<li>
羽重ねのもの:板と板の端部を鳥の羽根のように重ね合わせる継ぎ方。板がわずかに傾き、継ぎ目に段がつく。</li>
</ol>
<p>
・羽重ねの分布:日本、オーストラリアの一部、北アメリカ、カナダ、カリブ海の一部、イギリスの一部、フランスのドーヴァー海峡沿い、スカンジナビア半島。</p>
<p>・羽重ねの起源:イギリスの南東部かスウェーデン。</p>
<p>
・マイナーであり、起源とされる地域でも背の低い農家や商店に限られる。</p>
<p>■下見板ヴェランダコロニアル様式</p>
<p>
日本で「ヴェランダコロニアル様式」と「下見板コロニアル様式」が出会う。</p>
<p>■偽洋風</p>
<p>和風デザインの混用などが起こる。</p>
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