SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「シュガーハート&ヴァニラソウル 48-5」で検索した結果
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シュガーハート&ヴァニラソウル 48-5
『赤ん坊を待ちながら ①』 静がぶどうヶ丘学園に入学してから一週間が過ぎた。 外国人の自分が新しいクラスに馴染めるか当初は不安でしょうがなかったが、 血統的には純然たる日本人である静の大人なしめながらも愛嬌のある面立ちや、変に『外国かぶれ』した雰囲気のないこと、 ニューヨーク育ちでありながらも日本語が堪能なことが周囲に親しみやすさを感じさせおり、 静・ジョースターは『季節外れの転校生』としてクラスでおおむね好意的に迎え入れられていた。 だが、問題がないわけではなかった。 「ねえねえジョースターさーん、静ちゃんって呼んでいいかな?」 「あ、うん」 「『しずしず』とかは?」 「え、それはちょっと、どうだろう」 「今日はあたしたちと一緒にお昼しない? ほら、この学校のこと教えてあげたいし、アメリカの話も聞きたいし」 「うん、喜んで。あ... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 48-2
『復活のビート Part3 ②』 世界の敵を殺す、とブギーポップは言った。 そしてこの場合、殺されるべき敵とは──。 「な、なんだテメエは!?」 赤ん坊を抱えた男が引き攣れ気味に声を荒げる。包丁を握る手がより固く、その指は白くなっていた。 あと一歩でもこっち側に踏み込んだら刺してやるぞ、とでも言いたげな警戒心に満ちていた。 当然の帰結として男の注意はレジカウンターから外れ、その事態の急転に店員の視線が左右に揺れる。 「ちょ、ちょっとブギーポップ」 初佳が当惑したように貴也──今はブギーポップだが──の腕を引いた。 その仕草は、『ブギーポップ』を秋月貴也とは乖離された一人格として扱うことになんの抵抗もないという感じだった。 「なんだね。見て分かるとは思うが取り込み中だ」 「うっせえわよ。アンタ、なんか無茶なコト考えてんじゃない... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 48-1
『復活のビート Part3 ①』 「なにか良くないことが起きるときは──いつもアイツが現れるんだ」 秋月貴也の通う学校には、女の子たちの間だけで囁かれている、ある奇妙な『噂』がある。 それは『ブギーポップ』と呼ばれる死神の噂だ。 そいつは黒のマントに身を包み、メーテルのような筒状の帽子をすっぽり被り、蒼白な顔の唇に黒のルージュを引いた、 とんでもないくらいの美少女(或いは美少年)の姿をしているらしい。 そいつは人知れず夜の闇を歩き、人知れず人を殺す。 その人が最も美しいときに、それ以上醜くならないように一瞬で殺してしまう──そんな殺し屋の話だ。 年頃の感傷的な少女たちにありがちで罪のない、はっきり言ってしまえば下らない都市伝説だった。 で、さて、その「女の子しか知らない」はずのブギーポップの噂を、どうして男である貴也が知ってい... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 48-4
『復活のビート Part3 ④』 器質的に言うなら、ユージンは人間ではなかった。 彼は、ある巨大な『システム』によって作り出された合成人間である。 そのシステムに名前はない。ただ、便宜上『統和機構』と呼ばれることがある。 世界を裏から支配する統和機構のエージェントとして、純粋な戦闘用合成人間として生まれたユージンは、 『天色優』という人間名を与えられて様々な任務に従事していた。 ユージンは優秀なエージェントして、多くの任務をこなし、多くの人間、或いは合成人間を殺してきた。 だが、ある一つの任務をきっかけに、ユージンはその任務自体を放棄して行方知れずになる。 そのシステムにとって合成人間とは文字通り歯車の一部であり、あらゆる側面から合成人間を絶対的に従属させていた。 そのなかで任務放棄は明確な反逆であり抹殺対象となるべきもので、ユー... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 48-3
『復活のビート Part3 ③』 「ったくよ……なんで朝っぱらから……」 「ぼやかないぼやかない」 朝の並木道を、二人の男が歩いていた。 片方は不機嫌が黒のスーツを着て歩いているような、髪を短く切りそろえた大男で、 もう片方は暢気さが滲み出ている、大男よりは幾分趣味のいい服装の、無造作に長めの髪を流している優男風だった。 「頑張ってお仕事しないとねー。ねー、お父さん」 「『お父さん』はやめろと何度も言ってるだろーが! てめぇの脳ミソは藁かなんかか!?」 怒鳴る大男の剣幕を受け流し、優男がへらへら笑う。 「もー、黒ぴーってばホント怒りんぼー」 「この──っ」 こめかみをぴくぴくさせながら優男の胸倉を掴むのへ、その険悪な空気にそぐわない能天気な声が響き渡った。 「あー! 黒鋼がファイをいじめてるー! いーけないんだ、いけないんだー... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 50-5
『迂回と焼菓 ⑦』 「あ、ああ……」 まるで意味を成さない、音だけの呻き声を上げて遠野は宙ぶらりんになっている。 掻き毟るように首の辺りを引っかいていた手も、ついにだらんと力なく垂れ下がった。 “『墓守』を生み出す『能力』が『ダーク・フューネラル』の『能力』だと思っていたのか……お生憎さまだな……” そううそぶく『ダーク・フューネラル』の力が、徐々に強まっていた。 それは、そいつの腕を押さえつけている航の手を今すぐにでも弾き飛ばしてしまいそうなほどに膨れ上がっていた。 “あんなものはただの『食事』の副産物だ……この『ダーク・フューネラル』は…… 遠隔操作型でありながらにして強大なパワーを得るために……ある『エネルギー』を外部から摂取している……” ぱん、とひときわ大きな破裂音とともに、ホルマリン漬けのヤモリが飛び出した。 そこから... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 53-5
静・ジョースターが合成人間ユージンこと天色優と出会い、彼を縁として『異世界人』たる黒鋼、ファイと関わりを持つことになったその一方で、 遠野十和子もまた合成人間ラウンダバウトこと奈良崎克巳と出会い、同じく『異世界人』の小狼、サクラと個人的な関わりを結ぶに至った。 だが、その奇妙な符合に彩られたそれぞれの邂逅は、いまだ何をも意味していない。 水面下でゆっくりと運命の二重の輪が運動を開始していたとしても、表層上にその徴は浮かび上がっていなかった。 彼女たちが出会ったこの街は、彼女たちのその出会いに対し、なにも求めていない。 いずれ世界が彼女たちを必要とするとしても、それはまだ先の話──どれだけ奇妙で不気味な馴れ初めだったとしても、 総括しまうと「友達が増えました」という当たり障りのない表現に落ち着いてしまうだろう。 つまるところ──杜王町は平和だった。 ... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 52-5
『液状と透明 ⑥』 夜が訪れていた。 陽が落ちてなお未練たらしく鳴き続けるひぐらしの声が、時折校舎の中にまで紛れ込む。 そのか細い囁きよりももっと小さく、特殊な歩法によって押し殺したユージンノ足音が階段を降りてくる。 星火がそこを通ったのより一分ほど遅れ、彼は正確にその後を辿っていた。 まだ灯の点いている職員室前を駆け抜け、生徒たちの下駄箱へと差し掛かる保健室の前で、ユージンはそれを発見する。 人間を抱えた人間の姿。 闇に閉ざされ輪郭すらもおぼろげだったが、間もなくそれが誰であるかが明らかになる。 「ブギーポップ……!」 この一分足らずの間になにがあったのか、抱えられる静だけはそのままに、抱えている人物が入れ替わっていた。 だが構うものか、どうせこいつも敵だ。ユージンは心の中でそう呟き、果敢にそちらへ突進する。 必殺の... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 47-5
『初めての友達、そして転校生 ③』 遠野十和子の放った缶コーヒーが宙を舞っていた。 (見えている……? 『透明になったわたし』が……?) そのことに驚いていた静は空中で放物線を描くアルミ缶を受け取り損ねる。こつん、と頭に落ちた。 「ふぎゃ」 「なにやってんのよ、ドンくさいわね……」 十和子は重そうに転がる缶を拾い、タブを開ける。お金は払っていないはずだった。 彼女もその事実に気が付いたのか、首をすくめて言い訳した。 「慈善事業したんだから、こんくらいの報酬があってもいいでしょ」 「ねえ?」とレジカウンターの向こうで縮こまっている店員に声を掛けると、「は、はいい!」を上擦った返事が戻ってくる。 その答に満足したのか、十和子はにんまり笑うと缶に口を付け、一気に飲み干した。 それは見ていて惚れ惚れするくらいの飲みっぷりで、こくこく... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 49-5
『迂回と焼菓 ①』 夕暮れの迫る校舎の中、防音加工を施された壁に囲まれた放送室に強い西日が差し込んでいた。 その光の具合で、長く伸ばされた少女の黒髪はうっすらと茶味を帯びてきらきら光っている。 「つまり……『迂回』の『ラウンダバウト』……それがあんたなワケだ。ねえ、奈良崎克巳くん」 合成人間ラウンダバウト──人間名『奈良崎克巳』は、はっきりと困惑していた。 その原因も馬鹿らしいまでにはっきりとしていた。他でもない、今目の前に立つ少女にがその『原因』そのものだった。 「とすりゃ、あたしもそれっぽく自己紹介とかしたほうがいいのかしら? んん?」 少女は、まるで合コンでもしているかのような気安さでそう言ってのける。 彼女はこの状況を理解していないのだろうか、とラウンダバウトは不可解な不安に襲われた。 『ラウンダバウト』というコードネームを... -
18禁スーパーロボット大戦H -ポケットの中の戦争-
プロローグ 新西暦と呼ばれる時代・・・ 人類は交互に訪れる平和と戦争に飽き飽きしていた。 恒久的な平和を理想とする連邦政府が樹立され世界はひとまずの平和を得たかに見えた。 だが恐竜帝国、ネオジオン軍、邪魔大王国を筆頭に様々な組織や勢力が出現し地球圏は再度混乱に陥った。 人類はこれに対しゲッターチーム、連邦軍、ビルドベース隊を結成し対抗していた。 そんな中、外宇宙から来た存在“バルマー”と名乗る組織が出現。 未知のテクノロジーの前に地球人類は苦戦を強いられていた・・・。 これはそんな中、懸命に生き抜いた若者達の物語である。 第一話 遭遇 初夏。それは非常に暑い日だった。 蝉が鳴き、日差しがきつい。 誰もが軽装で歩き汗をかいている。 道端を1人の男が歩いていた。 彼の名はカツ=コバヤシ。 エゥーゴという組織に入っている男だ。 彼は今新しい任務先に向かっている所だった。 ジオンの残党がい... -
『アギトの会』 (邪神?さま)
AGITΩ』――『アギトの会』総本山にして最強のアギト、津上 翔一の運営するレストラン。 闇の力が恐れたアギトは、今や立派に実社会に馴染んでいた。 全人口の4分の1がアギトの力に目覚め、『アギトの会』は全世界に広がっていた。 アンノウンの居ない今、その力は人類の脅威になるかと思われたがそこまで人間は愚かではなかった。 世界を救ったアギトでありながらレストランを経営する津上を頼る者は後を絶たず、 会員は増え続け最低でも県に一ヶ所は配備されている。 田舎では通会に不便なので市に一ヶ所にしろという要望も多く、配備される日は近い。 会員でないアギトの方が珍しい位だ。 一億坪の広大な土地を耕すアギト達、スタミナといい腕力といい常人とは桁外れである彼等が集まれば、 荒れ果てた荒野も瞬く間に肥えた大地として蘇る、時に掘りすぎて原油や温泉が出るトラブル... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND (さいさま)45-2
《EPISODE7:The hairs on your arm will stand up at the terror》 「The same blue sky in a strange new world...Spinning round,turning round,spinning round...」 薄暗がりの中、呟くような不気味な歌声が低く響き渡っている。 それは、60年代に活躍したとされる“とされる”ミュージシャン崩れのテロリストが歌っていた曲だ。 歌声の主はNew Real IRAのリーダー、パトリック・オコーネル。 ギャラクシアン兄弟のアーマー市警察署襲撃、アンデルセン神父の出現、協力者の電話による激昂。 これらの出来事があった、彼にとっての馬鹿げた呪いの日から一夜が明けていた。 協力者からの電話以来、彼は言葉少なに本拠地(ホーム)の防備を固める命令を下し、あとは自室に 引... -
項羽と劉邦 第8話 「日吉の快進撃」
暗い暗い空間に時折光が走って轟音を響かせる。 遠雷が駆け巡っていた。 遠雷は過大の人民を擁してなおあり余る大地をつんざきながらやがて亀裂を刻みこみ、平原 を駆ける牛馬を奈落へと付き落とす。 その原因が二メートルにも満たない三つの光球であるコトを大地は知らなかった。 天も知らず人の多くを制する楚軍すらも知らず。 赤い光球が青と黄色のそれに追いたてられていた。 それまで成層圏で打ち合っていたそれは何かの拍子で地表に戻ったらしく、グンと低空で疾駆 しながら野や砂漠をソニックブームで滅茶苦茶に破壊し終えた後、雄大な黄河の水面に巨大 なさざなみを迸らせながら徐々に距離を詰めていき、やがて赤い光球に青と黄色のそれが接 触。 猛然と速度を上げた。 行く手には山があり、中腹を一塊の光球が貫いた瞬間大爆発を起こした。 現在のゴビ砂漠の誕生である... -
項羽と劉邦 第9話 「蕭何の指」
「待て韓信。お前いろいろ魔界衆の道具使えるじゃろ。例えばでっかいロボットを出して自動 修復と絶対防御と幻影を見せる霧と無限のミサイルと五千百度の炎で攻めれば……」 「無理よそれ。だってもう韓信の精神は尽きかけている」 「バレましたか。そう。実はいま握っている刀を維持するのが精いっぱい」 なお、彼が魔界衆の道具を発動しているのは胸にかかったある道具による。 その物体が「認識票」だとは、古代中国人の劉邦にはわからない。 ともかくもコレを用いると数多くの魔界衆の道具を際限できるのだ。奴の武装錬金なのだ。 「そう、すでに私の精神力は限界。この魔界衆の残した道具は使えません。いま手に握って いる刀を砕かれたら、私はあなたに対抗する術を失うでしょう」 劉邦は頭を抱え、呂后は笑った。 「終りか」 「終わりよ」 今まさに光線が発射されんとした瞬間、韓信は無表... - @wiki全体から「シュガーハート&ヴァニラソウル 48-5」で調べる