SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ ~紅魔降臨・後~」で検索した結果
-
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ ~紅魔降臨・後~
鮮血の泉と屍の山。 向かい合う少女と男。 夜の世界に足を踏み出したばかりの、産まれ立ての始祖。 想像もつかない程に永い夜を歩んできた、古き吸血鬼。 太陽に背を向けた二匹の獣が、出会った。 「さて。僕が何者なのか、何故ここに来たのか…君はあまり興味がないようだけど、一応は説明しておこうか」 「…一応、聞こうかしら」 「うむ。先も言った通り、僕は可愛い女の子の味方さ!…いや、悪い。そんな冷たい目で見ないでくれ。マジな話 をすると、別にそんな大物ってわけじゃない。ちょっとばかり長生きしただけの、どこにでもいそうな吸血鬼さ」 どこまで信じていいものか、彼はそう嘯く。 「そんな僕がどうしてこんな所にいるかといえば、胡散臭い連中が<ロンギヌスの槍>を手に入れたとか、風の噂 で聞いたもんで、ちょっかいをかけに来ただけ…のはずだったんだが…まさかこんな事になってるとは、思って... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ 幻想郷珍道中・紅魔館へ
不気味に鬱蒼と生い茂る木々。 深く闇に沈む森。 日が落ちた世界を、天体戦士サンレッド率いる一向は紅魔館へ向けて進む。 しかして何とも、夜の世界というのはおどろおどろしい雰囲気だ。 おまけにここは幻想郷。夜は、妖怪達の時間。いつ彼等が牙を剥いて襲ってくるか分かったものではない。 ―――しかしながら、ここにいる面子を見て、それでもなお襲い掛かってくる妖怪がいたとしたら、そいつは勇気 があるのではなくただの自殺志願だろう。 白玉楼の主―――西行寺幽々子。 その護衛役の半人半霊の剣士―――魂魄妖夢。 百年を生きる吸血鬼―――望月ジロー。 そして幻想郷最強クラスの妖怪達とも互角に渡り合う最強のチンピラ―――サンレッド。 向かってくる低級妖怪などがいれば、数秒で消し炭にもミンチ肉にもできるような連中であった。 「あわわ…レッドさ~ん」 「ひええ…兄者~」 そんな中、戦闘力的... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ ~紅魔降臨・前~
<永遠に紅い幼き月>レミリア・スカーレット。 <紅い悪魔>レミリア・スカーレット。 外の世界において最強の吸血鬼はと問えば、百人いれば九十九人が化け物殺しの鬼札(ジョーカー)――― 窮極にして絶対の存在たるアーカードの名を挙げるだろう。 残る一人についても<まあ他の奴はどうせアーカードって言うだろうし俺もそう思うけど、ここは敢えて別の奴に しよっと。俺って異端派!>というへそ曲がりである可能性が非常に高い。 だが。しかし。 幻想郷においては恐らくレミリアこそが最強の吸血鬼であり、至高である。 とはいえ、彼女も最初から最強だったわけでもなければ、生まれた時から吸血鬼だったわけではない。 遥か遠い昔―――500年ともう少し前には、彼女とて人間だった。 とある小さな町の貧しい家に生を受けた彼女は、贅沢はできなかったけれど、それなりに幸福だった。 誰もが羨む美男... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ それぞれの思惑・後篇
巨大な湖の畔に、その館は聳え立っていた。 屋根も外壁も真っ赤に塗りたくられた、悪魔の館―――人はそれを<紅魔館>と呼び、畏れた。 その一室では、悪魔達による饗宴(サバト)が繰り広げられていた――― 「セイヤァッ!」 中国風の衣装を纏い、長い赤髪を振り乱し拳を振るう女性。 まるで舞い踊るように美しい体捌きだ。 更に体内で練り上げた<気>をその拳に込め、可憐な両腕を鉄槌と化す。 「―――烈虹真拳!」 彼女は紅魔館の門番にして拳法の達人<華人小娘>紅美鈴(ホン・メイリン)。 人の身では決して到達できない境地に至ったその絶技を指先一つで受け止めたのは、大吸血鬼レミリア。 「くっ…」 「まだまだね。こんなんじゃ準備運動にもならないわ」 「も…申し訳ありません」 「なら、これはどうかしら?」 背後からの声。 「火符―――アグニシャイン!」 襲い掛かる無... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 天体戦士サンレッドVS風見幽香
天体戦士サンレッド・飛翔形態<プロミネンスフォーム>。 熱く輝く太陽の紅き炎を宿す、サンレッドの戦闘形態の一つ。 速度と機動性、そして飛行能力に特化したこのフォームを装着したサンレッドは、正しく大空の覇者。 炎を纏い空を駆けるその姿は、燃え滾る真紅の流星! 「その姿…どうやら空中戦を御望みのようね」 対して、風見幽香は不敵に唇を歪めた。 「いいでしょう、付き合ってあげる―――」 その背中から、服を突き破って一対の翼が広がった。 仄かに輝く、美しき純白の翼―――それだけ見れば、まるで天使のようだ。 そう―――云わば命を刈り取る、告死の天使。 「そして思い知るがいい。幻想郷の住人に対して、空で闘いを挑む愚かさを!」 紅き戦士と大妖怪が、同時に飛翔する。 両者は烈風を巻き起こしながら空中で幾度となくぶつかり合い、火花を散らした。 天は今、強大な力を有した二匹の獣に... -
天体戦士サンレッド ~血に染まる川崎!真紅の大決戦
いつものようにいつもの如く、神奈川県川崎市。 「―――この世界には<幻想郷>と呼ばれる、夢想と空想を具現化し、具象化した楽園が存在します」 道端を歩きながら語るのは、真っ赤な帽子に真っ赤なスーツ、日傘を差した赤ずくめの男――― 彼の名は望月ジロー。黒髪黒瞳の端正な顔立ちだが、口元には鋭い牙が覗く。 彼こそは望月コタロウの兄にして<銀刀>と恐れられる、既に百年以上の時を生きた力ある吸血鬼だ。 「へー」 気のない相槌を打ったのは赤いマスクだけど格好はいつものTシャツな我らのヒーロー・サンレッド。今日の文字は <東方赤太陽>である。彼はジローに呼び出され、むさ苦しくも男二人で歩いているのだ。 「其処は<神隠しの主犯><遊惰なる賢者>と称される伝説の大妖怪<八雲紫(やくも・ゆかり)>が創り上げし、 人間もそれ以外も、全てを受け入れる理想郷―――鬼に天狗に河童に妖精、果ては神々に至... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 二回戦迫る
~二回戦迫る~ 医務室のベッドの上で、メディスン・メランコリーは目を覚ました。 何故だか、頭がズキズキする。ハンマーでぶん殴られたような鈍痛だ。 「う…うーん…?ここは…」 「気が付いた?」 目を開けると、そこには彼女にとって見慣れた顔があった。 緩いウェーブがかかる、碧の髪。可憐な面立ちには、穏やかな微笑み。 風見幽香―――<四季のフラワーマスター>の二つ名で呼ばれる、大妖怪。 「あれ…幽香?ここ…どこ?」 「医務室。貴女、頭を打って運ばれたのよ」 「頭…?そういえば、嫌な夢を見たわ。赤いチンピラが私に向けて脳天直撃セガサターン…あれ?」 限りなく現実に即していそうな悪夢であった。 「夢にしてはやけにリアルだった…」 「そう…酷く魘されてたわよ。怖い夢だったのね。可哀想に」 「あ…もしかして、ずっとここにいてくれたの?」 「勿論よ」 幽香はにっこりと... -
天体戦士サンレッド ショートショート集2(サマサさま)
神奈川県川崎市より、遠く次元を隔てた先の異世界・ルーンハイム。 悪のデルティアナ帝国は、叛旗を翻した皇子ディランによってその野望を挫かれた。 もうボッコボコのギッタギタにされた。 見てて可哀想なくらいだった。 <もうやめてあげて>最終的にはそんな同情の声が上がる始末だった。 だが、悪は踏んづけても踏んづけても潰えることはない。 それはまるで、頑固でしつこい油汚れのように! 「ふふふ…ディラン。よくぞ決闘の申し出を受けてくれたな。流石は俺の宿敵だ」 セレスティア王国―――王都セイントリア。広場では二人の少年が向かい合う。 二人は全く同じ顔をしていた。 特徴的な銀髪。ややあどけなさを残しながらも端正に整った顔立ち。 違うのは、瞳に込められた意志。 「まだ懲りてなかったか…説教が足りなかったな」 揺るがぬ正義を宿すは、かつてセレスティアの王女ファラと共に神奈川県川... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ ヴァンプと幽香の密約・そしてとある吸血鬼の憂鬱
二回戦第一試合―――サンレッドと風見幽香の死闘。 それは、太陽の戦士の勝利で幕を閉じた。 興奮覚めやらぬ中、サンレッドは両手をゆっくりと下ろし、ようやく息をついたのだった。 『天体戦士サンレッド、一回戦に続いてまたしても大番狂わせをやってのけたぁ!幻想郷最強とも噂される風見幽香 を激闘の果てに捻じ伏せ、準々決勝への進出を決めました!まさに彼こそはドSを越えた超絶ドS――― 真・究極加虐生物サンレッドの誕生だッ―――!』 「フン!」 元ネタ通りに鼻を鳴らしてノリのいい所を見せるレッドさんである。 彼は倒れた幽香を見下ろし、口を開いた。 「どうだ、風見…最初に言った通り、俺の拳がおかしくなるまでボコってやったぜ…」 そう語るレッドの両手からは、ポタポタと血が零れ落ちている。 単に皮が破れているだけではない。折れた骨が、肉を突き破っていた。 「あと、もう少し…もう少しだけ... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 真紅の吸血姫
その時だった。 「面白そうな連中が、面白そうな話をしてるじゃない」 幼くもそれに似合わぬ怜悧な声だった。 「私も混ぜてくれないかしら?」 幽々子は顔を引き締め、障子を開け放つ。 眼前に広がる、優雅な庭園。聳え立つ巨大な桜―――<西行妖>。 その枝に、一匹の蝙蝠がぶら下がっていた。 「盗み聞きとは、趣味が悪いわね」 気分を害したのか、呑気な幽々子にしては少々険のある物言いだった。 「御免遊ばせ、退屈でしょうがなかったもので」 驚いた事に、蝙蝠が返答する。 「…<化身(メタモーフィシス)>」 ジローが呟いた。 読んで字の如く、己の姿をまるで別の何かに変化させる異能力。 「吸血鬼の中でも、魔術に長けた者の得意技ですよ…」 「吸血鬼…?そういやさっきの声、どっかで聞いたような」 そこまで言って、レッドも思い至った。 かつて川崎市に降り立ち、ある意味レッドすら震撼さ... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 全選手入場!
太陽と入れ替わりに、月の光が静かに大地を照らす頃。 燦々と輝く照明が、幻想郷最大トーナメントの舞台である闘技場を明るく彩る。 「いやーしかし、大した盛り上がりだぜ。よくこれだけ集まったもんだ」 既に満員と化した客席の一角で、一人の少女が呆れとも感心とも取れる呟きを漏らす。 真っ黒いトンガリ帽子に、魔法使いが着るような古めかしい白黒の衣装。気の強そうな瞳が印象に残る少女だ。 <普通の魔法使い>霧雨魔理沙(きりさめ・まりさ)―――<楽園の素敵な巫女>博麗霊夢と共に数多くの異変を 解決してきた英傑であり、この幻想郷では知らぬ者はいない悪童である。 <彼女に物を貸したら死ぬまで戻らない>は幻想郷の常識だ。実にジャイアニズム溢れる少女である。 「これだけ大掛かりな催しも珍しいからね…ま、ヒマ人が多いってのもあるでしょうけど」 体調が芳しくないのか、時折小さく咳込みながら... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ 西行寺幽々子VSレミリア・スカーレット
「妖夢さん…彼女は、西行寺殿は、そこまで強いのですか」 「強いか弱いかでいうと…むしろ弱い部類です」 「弱い部類」 それは、少々…いや、相当にまずかろう。 吸血鬼という種族自体が身体能力・戦闘能力に関して地球上に存在する全生命体をひっくるめても上位の存在だ。 更には数々の奇蹟を実現する、無数の特殊能力をも備えている。 銀や日光に代表されるように弱点こそ多いが、それを補って余りあるほどに強く―――カリスマに溢れる。 人間がどれだけ夢想しても届かない神秘を、彼らは星の数ほど手にしている。 だからこそ人は彼等を散々忌避しながらも、魅せられ、時には神々の一柱として信仰の対象にすら祭り上げる。 まして相手はレミリア・スカーレット。 齢500を数える、最強の吸血鬼。 「なら、レミリアと闘って勝てる見込みはないのでは?」 「というか幽々子様がまともに殴り合いなんかしたら、下手すり... -
DB新作 第三話
ーーカプセルコーポレーション 翌日。 グスフにやられたヤムチャ達が担ぎ込まれていた。 その場にはクリリンを筆頭としたZ戦士達がヤムチャの目撃証言に耳を傾けている。 「フリーザ軍の…生き残りだと?」 「孫の事を知っているのか」 「この気は・・・ギニューという人のものですね」 実際にナメック星でフリーザ軍と戦った事があるクリリンと孫悟飯は知っている。 「トランクスと悟天が経験を積むには丁度いい相手かもな」 「気の大きさだけならな」 ピッコロとクリリンが楽観的な表情で会話を始めた。 (おい 悟天 最初からアレでいこうぜ) (念の為に…ね) 少年達がヒソヒソ話を始めてドアから出ようとした。 「おい トランクス!仙豆はいいのか!」 クリリンが呼び止める。 「いいですよ。それは天津飯さんの分です」 そして少年達は駆け足で飛び出し空へと躍り出た。 「俺も行... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND(END ROLL)
Main Theme Music 『The Man Comes Around』 Songs Johnny Cash And I heard as it were the noise of thunder One of the four beasts saying come and see and I saw And behold a white horse There s a man going around taking names and he decides Who to free and who to blame every body won t be treated Quite the same there will be a golden ladder reaching down When the man comes around ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-2
楠木正成率いる河内悪党が、赤坂城にて幕府軍を苦しめていた頃。 彼らほど派手ではないが、護良親王もまた激戦を繰り広げていた。比叡山の僧兵たちを 取りまとめ、自身も積極的に最前線に出て、遠征してきた幕府軍をズタズタに切り崩し、 さんざんに翻弄していたのだ。 幕府軍はそのせいで赤坂城への増援もままならず、ますます苦境に立たされていく。 比叡山延暦寺。平安時代、最澄が天台宗を開いたことで有名な寺だが、いまやここは 護良親王軍の総本部となっていた。 月が雲に隠れ、星も僅かしか見当たらず、墨を流したような闇夜。だが延暦寺周辺は 一晩中篝火が灯され、伝説の猛者・弁慶もかくやと思われる武装した僧兵たちが、 あちらこちらで油断なく警備している。 そんな彼らに守られた寺の最深部、広い寝室にて護良親王は静かに目を開けた。そして、 「……む」 腕の中にいたはずの女がいないことに気付く。彼が目を覚ましたのは、 そ... -
永遠の扉 第085話
「ここが『もう一つの調整体』の眠る場所」 戦士たちが長く狭い通路を抜けると、蒼然たる光に満ちる地下施設に出た。 四角くくり抜かれた空間は軍隊一つが丸々と入りそうである。至る所から豆の木のようにパイ プが床から天井目がけて伸びて時折どくどくと脈打っている。何かの保冷剤だろうか。戦士たち の足もとには白い煙が立ち込め、十六本の足が八つのペースで歩みを進めるたびもわもわと 鋲打たれた鉄板の床を露にする。 (良く歩けるものだ) 部屋について防人へあれこれ説明しながら歩く総角を秋水は半ば呆れる思いで見た。 もっとも全身を血に濡らし自分と千歳の核鉄(斗貴子の物も使っていたが、秋水の出血の勢 いが弱まると同時に返却された。斗貴子自身にもまだ回復が必要なのだ)で止血処理しつつ 大儀そうにふらふら歩いてる秋水こそ「良く歩けるもの」だが。 先ほどの決着後、... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 51-4
「一体、ジュリアン君に何をしたの……!?」 喉を強く絞めつけられながらも、千歳はサムナーに尋ねた。 防人の事、そしてジュリアンの事。サムナーが発した不吉な言葉が頭から離れない。 「さっきも言っただろう。彼が望んでいる“力”を与えただけだ。そう、ホムンクルスとしての 力をね……。シャムロックとパウエルの二人掛かりならば、戦士・ブラボーを抹殺する事も容易いだろう。 おっと、正確には四人掛かりかな? フハハハハハハ!」 不安が絶望へと変わった。ジュリアンはホムンクルスに変えられてしまったのだ。 ならば防人の苦悩も、そして防人が取る行動も自ずと明白になってくる。 それは最悪の結末だ。あの赤銅島の光景が、否が応でも頭をよぎる。 「あ、あなたはどこまで腐ってるの……? イギリスもキリスト教も錬金戦団も裏切って、テロリストや 私達を利用して、ジュリアン君まで……。... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 第三十一話「死せる英雄達の戦い―――破壊神光臨」
「フ―――このような闘いとも呼べぬ茶番、すぐさまケリを着けてくれるわ!」 天に向けて腕を翳し、海馬は咆哮する。 「往け、ブルーアイズ!貴様の力を見せてやるがいい!」 白き龍はその命令を忠実に実行するべく、巨大な口を開く。 「ブルーアイズの攻撃!滅びのバースト・ストリ―――」 「確かにスゲエよ、ブルーアイズ…けどな…そればっかで押し通せると思うんじゃねえ!」 城之内は叫び、一枚のカードを見せ付ける。 「む…!?そのカードは!」 カードがディスクにセットされると同時に、城之内の眼前に巨大な物体―――ゲーム機のコントローラーに酷似した 奇妙な機械―――が現れる。 「―――<エネミーコントローラー>!テメエも知ってるだろうが、このカードはコマンド入力で、相手モンスター を自在に操ることができる!」 言うが早いか、城之内は既にコマンド入力を終えていた。... -
砂糖菓子の流星(ハシさま)
二月も半ばにさしかかろうとしている幻想郷は、太陽が昇っているのにも関わらず、身を切るような寒さに満ちていた。 たくさんの雪が地面に降り積もり、太陽の光を照り返して輝いている。 雲ひとつなく澄み切った青天は、舞い上がればさぞ気持ちがいいだろう。 途中、氷の妖精が楽しげに仲間の妖精達と戯れているのを見た。 彼女ら冬の化身が元気に遊んでいるのなら、まだまだ春の訪れは遠いようだ。 ――そんなことを思いながら、アリス・マーガトロイドは魔法の森の小道を歩いていた。 白い吐息をつき、昨日うっすらと降り積もった新雪の上を、さくさくと耳によい音を立てて。 いつもの服装に、マフラーを首に巻き、手袋をつけ、防寒対策はしっかりとして。 それでもこの寒空の下を歩けば、すぐに頬が真っ赤になってしまう。 ――が、彼女の頬が赤いのは、果たして寒さだけがその理由... -
しけい荘大戦 第二十三話「アンチェインの敗北」
鬼が降臨した背筋より打ち出される打撃は、地上ナンバーワンの量と密度を誇るオリバ の筋肉をもたやすく打ち破る。アンチェインとしての誇りが、失いかけた意識をかろうじ て救った。 巨体に似合わぬ身軽さで、ふわりと起き上がるオリバ。 「へぇ、まだ立てるんだ」 「今のラッシュ、人間の領域ではない。どうやら貴様も父親が踏み越えた一線を越えよう としているようだな」 「あァ、背中(これ)かい? 自分じゃ見えねェけどよ、これが出ちまうと他人を殴りた くってしょうがねェんだ」ファイティングポースを取る刃牙。「アンタは殴りがいがあっ て嬉しいぜ」 人間から鬼に変貌を遂げた少年は、迷わずまっすぐオリバに飛び込む。 怒涛の連撃。無尽蔵の殴打欲を反映する拳が、刃牙という小兵の機敏性によって最大限 の暴威を発揮する。機関銃の連射力と大砲の破壊力のマッチング。金的... -
月の勇者(サナダムシさま)
滅亡寸前の王国があった。 魔王軍の侵略は苛烈にして執拗。すでに城は落ち、国土の大半が焼き尽くされた。 わずかながら逃げ延びた王族は、散り散りとなった兵と国民を集め、各地でささやかな 抵抗を展開する。いくらかの勝利こそ収めたが、戦況を覆すにはまるで至らない。 彼らの集落が発見され、総攻撃を受けてしまえばそれまで。まさに風前の灯。 しかし、彼らは希望を捨ててはいなかった。 王国に古くから伝わる一文。 『国亡びし時、異国より勇者現る。其の者、月を自在に操り、魔を打ち破るであろう』 王国にも月は浮かぶ。もし操ることが可能ならば、さすがの魔王軍とて一日と待たずに 壊滅するはず。もはや人々はこの伝承にすがるしかなかった。 幸い、王家の血を引く者には伝承に相応しい力が備わっていた。 ──異界から無作為に生命を召喚する能力。 平時では使用を禁じられていた能力だが、今は一刻を争うときだ... -
強さがものをいう世界 サナダムシさま 1
「やれ、やれい!」 ぶんぶんと拳を振り上げ、ブラウン管の中にいるヒーローを応援するのび太とドラえも ん。 「あぁっ、まずい、がんばれっ!」 いつしか二人の声は美しく同調し、名門応援団にも匹敵するであろう旋律を奏でていた。 このような声援を受けては、たとえピンチだろうがヒーローが挽回しないわけにはいか ない。傷ついた体に力がよみがえる。 「今だーっ!」 のび太とドラえもん、いや日本中の少年たちの心(ハート)がヒーローに乗り移る。 切り札の大技が炸裂し、大爆発とともに悪者は散った。 「やった、やったぁーっ!」 抱き合う二人。ヒーローの勝利は、すなわち彼らの勝利でもあるからだ。 テレビの前ではあれだけ息が合っていた二人だが、終わってしまえば冷めたものだ。 目をギラギラさせ、まだヒーローのつもりでいるのび太。 早くも熱が下がり、後先のことを考えているドラえもん。 こうなると、... -
P2!~after 10 years~ 52-1
―――そして、ダブルスの試合が終わった頃になって。 「いやあ、よかった!今病院から連絡があってな。眞白の怪我は大したことはなかった。脳挫傷と脊椎損傷、後はちょっと 全員の骨という骨が軒並み粉砕して身体中がありえない方向に折れ曲がって、更にそれが内臓や皮膚を突き破って、出血量 が3000ccを超えちゃっただけだとさ!」 蒔絵の報告を聞き、久瀬北の面々にほっとした笑顔が浮かぶ。この程度の怪我ならば、一週間もすれば完治するだろう。 ちなみにダブルスの山雀(やまがら)・梟宇(きよう)VS紅州青州(こうしゅう・せいしゅう)兄弟は、いちいち書く までもない普通の試合であり、普通に久瀬北が負けたので割愛させていただく。 まあ一応触りだけ書いておくと、グラウンドにクレーターができたり照明が吹っ飛んだり観客に5名の重軽傷者が出たり 山雀がフェンスにめり込んだり梟宇が観客席にめ... -
ドラえもん のび太の新説桃太郎伝46-2
序章・2 ギガゾンビ、再び 異世界の少女、桃華とテラを始めとする四人が出会った瞬間から、少し時間軸をずらして。 ここは未来世界のとある場所。そこには厳重な警備が敷かれた巨大な建物があった。 それはタイムパトロール直轄の刑務所。時間犯罪者のみを集めた特殊施設。 そこで、歴史を揺り動かすほどの大事件が起きようとしていた―――! それは、ドラム缶だった。誰がどう見たってドラム缶だった。言い訳のしようもなくドラム缶であった。 但し、ただのドラム缶ではなかった。全長数十メートルはあろうか。途方も無くデカかった! そして、全身に取り付けられた凶悪な武装の数々。砲門・ミサイル・何でもござれ! 何よりも―――ドリル!腕の代わりなのだろうか、規格外にぶっとい凶悪なドリルが激しく自己主張していた。 そんな途轍もないドラム缶が、今まさにここで、大暴れしていたのである! その猛威の... -
ジョジョの奇妙な冒険第4部―平穏な生活は砕かせない― 52-7
ドドドドドドドドドドド…… ……この耳鳴りは断じて…私の平穏の終わりを示す物ではない……。 現に奴等より優位に立っていた時にも、この騒音は耳にこびり付いていた…。 それに…山岸由花子の髪に触れた今、スイッチを押せば勝敗は決する! 「くらえっ!『第一の爆弾』ッ!」 カチリ、『キラークイーン』の右手にあるスイッチの作動音が聞こえる。 勝った……忌々しいクソカスどもとの戦いに…ようやく終止符を……ッ!? ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…… 小林玉美、彼は誰がどう見ても他人の為に命を掛ける人間ではなかった。 実際その通りで、スタンドを悪用しての金儲けで仕事なんて就こうとも思わなかった。 自分の為なら他人はいくらでも犠牲にしていい。 そんな正義とは程遠い彼は、自分でも信じられない行動を取っていた。 バカな……奴の目... -
~それぞれの思惑・中篇~
幻想郷で最強の存在とは誰か? こう尋ねれば、その答えは十人十色で異なるだろう。 ある者は境界の妖怪・八雲紫の名を挙げるかもしれない。 またある者は白玉楼の亡霊姫・西行寺幽々子と答えてもおかしくない。 紅魔館に巣食う吸血姫―――レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットも、上記の二人に劣らぬ力の持ち主 と目されている。 最強の種族と謳われる<鬼>。その中でも群を抜いた戦闘力の持ち主であり、共に妖怪の山の四天王に数えられる 伊吹萃香と星熊勇儀もこの類の議論では度々話題に上る。 守矢神社が祀る二柱の神性―――天を司る風の軍神<八坂神奈子(やさか・かなこ)>と大地を司る土着神の頂点 <洩矢諏訪子(もりや・すわこ)>も、数多の大妖怪と比して猶、その実力に遜色はなかろう。 上記の二柱神によって核融合の力を与えられた地獄の鴉―――霊烏路空(れいうじ... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ それぞれの思惑・中篇
幻想郷で最強の存在とは誰か? こう尋ねれば、その答えは十人十色で異なるだろう。 ある者は境界の妖怪・八雲紫の名を挙げるかもしれない。 またある者は白玉楼の亡霊姫・西行寺幽々子と答えてもおかしくない。 紅魔館に巣食う吸血姫―――レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットも、上記の二人に劣らぬ力の持ち主 と目されている。 最強の種族と謳われる<鬼>。その中でも群を抜いた戦闘力の持ち主であり、共に妖怪の山の四天王に数えられる 伊吹萃香と星熊勇儀もこの類の議論では度々話題に上る。 守矢神社が祀る二柱の神性―――天を司る風の軍神<八坂神奈子(やさか・かなこ)>と大地を司る土着神の頂点 <洩矢諏訪子(もりや・すわこ)>も、数多の大妖怪と比して猶、その実力に遜色はなかろう。 上記の二柱神によって核融合の力を与えられた地獄の鴉―――霊烏路空(れいうじ・うつほ)も、頭脳はと... -
チルノのパーフェクトさいきょー教室 2 (ハシさま)
◆◆◆ ――あたいは、そのとき。この、澱み、蠢く赫色に見つめられて。 ――どうしてこいつが震えているのか。どうしてこいつがあたいを求めたのか。それを理解して。 ――こいつの『無限に増え続ける程度の能力』と、あたいの『冷気を操る程度の能力』とを掛け合わせて。 ――あたいが最強になり、こいつがあらゆる"こわいもの"から逃れるという取り引きに、あたいは、のった。 ――そのときのあたいは、最強になるという意味も、その先になにがあるのかも、知らなかった。 ――ひとりぼっちのあたいは……大ちゃんを裏切り、またひとりぼっちになってしまったあたいは。 ――最強になるしかない。それしかあたいには残されていない。……そう、思っていたから。 ◆◆◆ 「うう……私の心無い言葉でチルノさんを傷つけてしまいました…... -
星盗人 04
流星、空を切り裂いて──。 などという詩美性の欠片もなく、博麗霊夢の小さな身体は猛スピードで地面に正面衝突した。 「いたた……」 もうもうと立ち込める土埃の中から、腰をさすり立ちあがる霊夢。 見ると、着地点が綺麗な半球上に抉れている。それはまるで、隕石が降ってきた痕のように。 逆Vの字軌跡を描いた急上昇・急降下の終わりのころにはすっかり恐怖心が麻痺していたはずだが、 そのペンペン草一本も生えない円形を目の当たりにすると、さすがに背筋に嫌な汗が垂れる。 「これで『いたた……』で済むってのもアレな話ね。あんたの能力なの、文」 と訊きながら、隣で密着してる烏天狗の少女を押しのける。 「もちろんそうですよ、霊夢さん。この射命丸文の『風を操る程度の能力』で気圧差のクッションを作って霊夢さんを保護したのです。 もっと感謝してくれてもいいんですよ?」 ... - @wiki全体から「天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ ~紅魔降臨・後~」で調べる