SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「脳噛ネウロは間違えない 50-5」で検索した結果
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脳噛ネウロは間違えない 50-5
「──さて、ヤコ。昨日のおさらいだ。 吾代の情報によれば、『辺境人(マージナル)』こと香織甲介がいわゆるアンダーグラウンドの世界の住人である可能性は低い。 つまり、貴様の出番が回ってきたという訳だ」 「……え? わたし?」 「そうだ。『表の世界』は貴様のフォロー範囲内だ。 先日、奴等と遭遇した場所を覚えているな? 貴様が意地汚くも飛鳥井全死のオゴリで昼食を貪っている間、 香織甲介とその連れの小娘──荻浦嬢瑠璃といったな──は飛鳥井全死を探して周囲の店舗に聞き込みを行ったフシがある」 「え、そうなんだ」 「豚のごとく目の前の料理に食らいついていた貴様は知らぬだろうが、香織甲介自身がそのように言っているのだ。 貴様はそこにさらに調査を被せろ。香織甲介が飛鳥井全死の足取りを追ったその道を逆に辿り、奴等の活動半径を突き止め──なんだアカネ。 今、我が輩はこの... -
脳噛ネウロは間違えない 50-3
「こっちです、香織さん。全死さんを見つけました」 荻浦嬢瑠璃の指差した先には、確かに全死の姿があった。 見紛うはずもない。あんな奇抜な服装を平気でできる三十路近くの女など、この世にはそういない。 視点をもっと上のレヴェルへ引き上げればそういう人間など佃煮にするほどいるだろうが、それは俺の知っている世界ではない。 俺にとっての『この世』とは極めて限定された範囲の中の話だ。 「やれやれ。虱潰しに大通りの店を覗いて回った努力がやっと実を結んだわけだ」 俺がため息混じりに呟くと、嬢瑠璃は心外そうに異を唱えてきた。 「絨毯爆撃と言ってください」 「どっちでもいいよ」 とりあえず、嬢瑠璃と肩を並べて全死がいるオープンテラスのカフェへと歩いていった。 「肩を並べて」というのは言葉の綾だ。嬢瑠璃の身長は百四十センチそこそこ、俺の肩より下に嬢瑠璃の頭がある。... -
脳噛ネウロは間違えない 50-1
【常】─I was Born to Kill─ この世界は謎に満ちている、と思う。 ──だからこそ、こいつはこの世界にやってきたのだから。 『ペロ……これは青酸カリ!』 わたしの目の前に大迫力で展開された銀幕の向こう側の世界で、身体は子供頭脳は大人な名探偵が深刻そうな口調でそう告げていた。 「そんなもん舐めたら普通は死ぬんじゃない……?」 わたしは膝に抱えたLLサイズのポップコーンを頬張りながら、たった一つの真実を求め真っ赤な蝶ネクタイが映える不審人物に向けて小声でツッコミを入れた。 その次の瞬間、後頭部に常軌を逸した力が加えられた。 なす術も無く、わたしの頭部は膝の上のバケツ並みの紙容器に押し込められ、顔面が満遍なく醤油バター味で味付けされた。 「はぶっ!?」 「黙れ」 なおも万力のような怪力でわたしの頭を押さえつけ... -
脳噛ネウロは間違えない 50-4
【死】─The Strangers─ 学校が終わると「桂木弥子魔界探偵事務所」に顔を出すのが、最近のわたしの日課になっている。 それが、『あの日』を境にして組みかえられた、わたしの日常だった。 ──わたしの『日常』は一度崩壊している。 わたしの父親は殺された。しかも、『密室殺人』という世にも奇妙な手段によって。 ミステリの世界にしか存在しなかったと思っていた『謎』という概念と、わたしは間近に接してしまったのだ。 それは、今まで信じて疑わなかった『日常』という一つの世界が崩れ去った瞬間だった。 その後、わたしは『謎』を解く(くう)という魔人ネウロと出会い、そいつが『トリック』を暴くことで事件は解決した。 かくして平穏な『日常』がわたしの元に戻ってきた。 だがそれは、決して以前の『日常』ではなかった。 わたしはこの世界の... -
脳噛ネウロは間違えない 50-2
「まいったな。目撃されるのはイレギュラーだ」 ──まったく、ついてない。 その日の夜、俺は全死の持ってきた『仕事』──殺人の依頼に従って有栖川健人という高校生を殺害した。 殺害自体は遅滞も瑕疵も無く完了した。背後から襲って拳大の石で殴殺。まったく楽なものだった。その後が問題だった。 こともあろうに、その犯行現場をリアルタイムで目撃されていたのだ。 全死のもたらす『仕事』は、全死の示したプラン通りに遂行する限りに於いてはまず絶対に露見しない。その点に関しては全死を信用している。 だとしたら、これはいったい何の間違いだろうか。 全死だって人間だもの、時に間違いもするだろう──などといった牧歌的な解釈は即座に消えた。 俺としてもそうであって欲しいのはやまやまだが、飛鳥井全死は間違えない。 つまり『人間』の定義をそこに求めるなら、全死は人間では... -
DBIF49-3
「その後、何とか母さんの家まで戻り、応急手当だけをして皆さんの所までやって来たんです」 苦い表情で締めくくるトランクスを見るベジータの唇の端が持ち上がった。 「面白い。お前を簡単に倒せるフリーザもどきの異星人に、そいつに匹敵するサイヤ人の生き残りか」 「考えてみれば、確かに俺達ナメック星人やサイヤ人と同じく、フリーザにも同じタイプの人間が住む 故郷の星というものはあるはずだ。しかしまさか別の銀河だったとはな」 「しかも本星の奴らはフリーザどころか、トランクス以上の実力者か。そんなの反則だよなあ」 ピッコロの言葉を受けて、クリリンが情けない声で言った。 「その異星人の背後に控える、恐らくはさらに強い異星人と、どうやら複数いるらしいサイヤ人とが 地球を舞台に戦おうとしている、か。つくづく、因縁だな」 疲れたような声でピッコロがつぶやく。実際ベジータ以外の全て... -
メニュー2
更新履歴 10/15/08 保管した本スレが表示されない不具合復旧 とはいえ、原因は不明、なんでしょうね? 10/10/08 トップページのみ。 ごめんなさい忙しくて、全然更新できないです。 不景気いくない。 スターダストさん、ふらーりさん、ありがとうございます。 スレ保管のトラブルの方は現在問い合わせ中。 もう少しお待ちください。 07/11/08 57-172まで。 NBさんの今回の更新が、このWikiの通産666ページ目でした。 さすが不吉を呼ぶブラックキャット 0619/08 トップ頁の現行スレのとこだけ更新。 とりあえず帰ってきました。 スレに書き込めなかったのでこちらで。 スパムフィルタで書き込めないとのことだったので調べてみたら、新たにスパムフィルタが導入されたようです。 とりあえず認証だけに設定して様子見です。 ... -
オーガの鳴く頃に しぇきさま
一日目・その10-(1) 『死から生へ―――白昼夢のススメ』 現在時刻:午後15:30 場所:通学路脇にある草原 (暗い・・・。なんて暗いんだ・・・。) 子供の頃の自分に殴られた圭一は、冷たいものが流れ出てくるのを切に感じながら、 目の前に広がる混沌に体を委ねていた。 当然、委ねた先に待っているのは、逃れる事の出来ない絶対的な死。 そう、帰宅途中の際に起きた突発的な惨事は、最終的に自分自信が殺されるという結果になった。 しかし、今の圭一にとって、死に近づく事はある意味では喜ばしい事だった。 なぜなら、子供の頃の自分が狂った姿を見続けるくらいならば、今の自分は死んでしまった方が楽だと思ったからだ。 いや、むしろ、夢だという願いの方が多く込められていたかもしれない。 そして・・・。今、 「圭一君!!こんなところで寝たら死んじゃうよ!!」 「前原?さっさと起きないと、ここに置いて行っ... -
のび太と雲の王国50-1
「ドラえもーん! 財布の中身が50円しかないよー!」 「はい、バイバインー」 ドラえもんはのび太の50円玉にバイバインをふりかけた。50円玉は倍額の100円 玉になった。 「やっほー!」 のび太は大喜びでコンビニに行った。店長のオヤジがニコニコ笑っている。 「おじさーん! ムーゴーおくれー!」 ムーゴーと100円玉をレジ台に置いた。100円玉は倍額の200円玉になっていた。 オヤジの笑顔が悪魔の形相に変わった。 「こんなお金は使えませんアンド子供にムーゴーは売れませーん!」 のび太はオヤジの機銃掃射をかいくぐって、命からがら家に帰ってきた。 「でや!」 のび太の投げた200円玉はドラえもんの眉間を貫通した。ドラえもんは爆発した。 「なけなしの50円まで使えなくなったじゃないか! ドラえもんのバカ!」 「どれどれ」 ドラ... -
スレ保管ページ
スレの保管ページです。 [[よくわからないけど、これでいい ごめんなさい、私も初めてだったのですがdatのままだと読めないようです。orz html化しなきゃいけないようです。 変な形ですが、しばらくこれでお願いします、後で直すので。 45スレ 46スレ (2007-03-14 10 29 13) 47スレ (2007-04-03 14 05 57) 48スレ (2007-05-04 17 07 49) 49スレ (2007-06-12 01 07 47) 50スレ (2007-08-05 23 42 18) 51スレ (2007-10-18 21 49 55) 52スレ (2007-12-19 08 10 38) 53スレ (2008-01-30 15 18 00) 54スレ (2008-03-10 07 48 36) 55スレ (2008... -
ジョジョの奇妙な冒険第4部―平穏な生活は砕かせない― 第15話
遠目から見れば並んだ僕達は家族に見えるだろう、美人のママにかっこいいパパ。 だから僕は並ばないように距離を取る、少しでも怪しまれるようにして注意を引きたい。 誰かが気付いてくれることを祈りながら……そして、その誰かが助けてくれることを願いながら。 「早人! 速くしないとおいてっちゃうわよ~!」 授業参観でみんながママを「綺麗だね」と羨ましがった。 家に遊びに来た友達はパパの写真を見て「俳優みたい」と褒めちぎった。 でも、僕のパパはパパじゃないんだ……。 「もう! 名前のわりにノロマなんだから!」 「フフフ、そうカリカリしなくてもいいじゃあないか……」 僕を急かすママに笑顔で接するパパの姿をした『奴』を見つめる。 少し前、パパがパパだった頃にこの光景を見れたらどんなにうれしかっただろうか。 僕は多分、望まれて生まれた訳じゃあないのだろう。 ... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ 幻想郷珍道中・紅魔館へ
不気味に鬱蒼と生い茂る木々。 深く闇に沈む森。 日が落ちた世界を、天体戦士サンレッド率いる一向は紅魔館へ向けて進む。 しかして何とも、夜の世界というのはおどろおどろしい雰囲気だ。 おまけにここは幻想郷。夜は、妖怪達の時間。いつ彼等が牙を剥いて襲ってくるか分かったものではない。 ―――しかしながら、ここにいる面子を見て、それでもなお襲い掛かってくる妖怪がいたとしたら、そいつは勇気 があるのではなくただの自殺志願だろう。 白玉楼の主―――西行寺幽々子。 その護衛役の半人半霊の剣士―――魂魄妖夢。 百年を生きる吸血鬼―――望月ジロー。 そして幻想郷最強クラスの妖怪達とも互角に渡り合う最強のチンピラ―――サンレッド。 向かってくる低級妖怪などがいれば、数秒で消し炭にもミンチ肉にもできるような連中であった。 「あわわ…レッドさ~ん」 「ひええ…兄者~」 そんな中、戦闘力的... -
その名はキャプテン 48-3
紫色の目をキラキラ輝かせながら宝箱をいじくり回す18歳の美少女。 しかし、彼女がお金を求める理由を知った今、スタンにそれを注意する事なんて出来なかった。 「グフフ・・・中々の重さねぇ。何が入ってるのかしらぁ~。」 まぁ、花も恥じらう可憐な乙女が『グフフ』なんて言っていいのかは注意したかったが。 カチッ、と音がすると同時にアメジストの様な目の輝きがさらに光を帯びた。 暗闇にも大分慣れてきたのでハッキリとまでは行かなくともそれが分かる。 「さぁ、お宝ちゃ~ん。でておいで~。」 この荒んだ時代、古びた宝箱一つでここまで幸せそうな顔が出来るものだろうか。 帰りを待つ子供たちのために、雀の涙だろうと拾い集めなければならない。 まだ18歳だと言うのに。神が居るというならば、彼女に背負わせている物は過酷過ぎるのではないか。 いや、ある意味そこらの貴族な... -
番外編(カイカイさま)
【番外編】 「今日は、【暑い】と言ったら気温の低下と共に×(カケル)五千弗をチャージするぜ」。 才気溢れる兵藤和也にとっては、22世紀の気温制御装置でさえオモチャ扱いだ。 戦いに敗れ中国領チベットへ留学した友達の赤松剛鬼とは違い、何でもオモチャにする、という意味だが。 「それ、アメリカドルなんだよね?」などと聞き返すのは、のび太だ。 居並ぶのは、体温調節とメンタルの雄・ボクサーの中でも神クラスのモハメド・アライ・Jr。 特攻天女こと瑞希。伝導の問題で、本気になればゲームにならないからお医者さんカバン係を務めるドラミ。 スネ夫の友達のズル木。どんな超人や秘密道具を見ても、驚かないモジャモジャ頭の海藤。 表の世界でも有名な雀士で王国が経営難の動物王・陸奥圓明流の陸奥正憲。メンバーの中でも最年長だ。 今日は、いつもと違うメンバーで集っている。 5000ドルの意味は、表の世界に... -
戦隊者は、基本的に惑星規模の事件に対し強いですからね。
「オリバさんが、受刑者なわけないよね・・・」。何げなく、のび太が出来杉に言う。 帝愛の騒乱、と呼ばれる一連の暴動事件が鎮まってきた頃、のび太は出来杉と裏山にいた。 のび太は裏山を騒乱時に利用しており、通学路で暴動の便乗派から静香を守っていた出来杉を諸共に招待してから、 裏山を元に戻してからも出来杉は時折こうしてのび太と一緒に裏山へ来るようになっていたのだ。 その過程で、龍書文たちのことなどをのび太は話した。 出来杉は、自分はスネ夫が別荘等へ行くときだけでなくドラえもんたちが冒険をしているときもハブられてるなどと 不満げだった。だがまぁ、出来杉は周辺事情などへの理解も優れていて、不満げなのは本心ではなかった。 出来杉は「いや、ビスケット・オリバはまだ免刑になってないよ」。 英語が読めるだけ、C言語がわかるだけではない出来杉は学習ルームを九州のナツミちゃんどころじゃなく活用する... -
武装錬金_ストレンジ・デイズ 52-1
『放課後のデイズ_前編』 武藤カズキが月から帰ってきてから数週間、彼と、その大切な者たちは平和を満喫している。 戦団は規模縮小・活動凍結に向けて動き始め、ヴィクター率いるホムンクルス勢も月面への移住計画を着々と進行させていた。 カズキが駆け抜けていったいった激闘の日々はもはや過去になりつつあり、もうあの少年を戦いに駆り立てるものはどこにもなく、 彼に訪れたささやかな変化、安寧の日々を脅かすものはなにもない。 ──そのはずだった。 _ _ _ ここは銀成市の中央に位置する繁華街の、とあるファーストーフード店。 二階禁煙フロアの奥まったボックス席に、二つの人影があった。 「それで……... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 第十八話「奴隷市場」
「うーん…」 レスボス島を離れ、本土の港町にて。 「ほれほれお客さん!こりゃいい品だよ!悩んでないで買った買った!」 露天商がひしめき合い、大勢の客でごった返す、青空市場。 その一角で、遊戯は並べられている商品を見ては唸っていた。ギンギラギンに輝くアクセサリー。遊戯はその中から 銀の腕輪を手に取り、首を捻る。 「遊戯…お前、それがそんなに欲しいのか?」 オリオンが呆れたように肩をすくめる。 「いや、ボクはそうでもないんだけど、もう一人のボクがね…<もっと腕にシルバーとか巻けYO!>だって」 「あいつ、こういうの好きだもんな」 「へえ、意外とオシャレさんなのね」 城之内とミーシャも興味を惹かれたのか、腕輪をマジマジ見つめる。 「あっそ…じゃあ、買っちまえよ。どうせそんな高いモンじゃねえんだろ?」 と、値段を見てオリオンは目を丸くした。慌てて... -
THE DUSK 第七話 (1)
俺もお前も半生状態にされて落ちていくとこさ。馬鹿になる為に成長し、「何もするな」と教育される。 俺はドラッグが好きな訳じゃない。ドラッグが俺を好きなんだ。 第七話 『DOGVILLE』 放課後の銀成学園高校。生徒玄関からは一日の授業を終えた生徒達が次々に出てくる。 それら帰宅の途につく人の流れの中、校門前では柴田瑠架が携帯電話を片手に佇んでいた。 彼女の指が繰る携帯電話の液晶画面には―― 【芸能】永江衣玖、初の全米ツアー ジャイアンツスタジアムで8万人がフィーバー【キャーイクサーン】 【経済】株式会社湯谷がアメリカのロボット開発企業ウェイランド社を吸収合併 “ウェイランド湯谷”へ 【イベント】ビリー・ヘリントン来日 秋葉原ワンホビ9にゲスト出演 ――等の文字列が現れては消えていく。 外出先で暇な時に見... -
天体戦士サンレッド ~血に染まる川崎!真紅の大決戦
いつものようにいつもの如く、神奈川県川崎市。 「―――この世界には<幻想郷>と呼ばれる、夢想と空想を具現化し、具象化した楽園が存在します」 道端を歩きながら語るのは、真っ赤な帽子に真っ赤なスーツ、日傘を差した赤ずくめの男――― 彼の名は望月ジロー。黒髪黒瞳の端正な顔立ちだが、口元には鋭い牙が覗く。 彼こそは望月コタロウの兄にして<銀刀>と恐れられる、既に百年以上の時を生きた力ある吸血鬼だ。 「へー」 気のない相槌を打ったのは赤いマスクだけど格好はいつものTシャツな我らのヒーロー・サンレッド。今日の文字は <東方赤太陽>である。彼はジローに呼び出され、むさ苦しくも男二人で歩いているのだ。 「其処は<神隠しの主犯><遊惰なる賢者>と称される伝説の大妖怪<八雲紫(やくも・ゆかり)>が創り上げし、 人間もそれ以外も、全てを受け入れる理想郷―――鬼に天狗に河童に妖精、果ては神々に至... -
THE DUSK 第三話 (1)
空を見て! スターマンだよ! きっと僕らに会いたがってるんだね!」 彼は地上に降り立ちたかったが、同時に怖がってもいた。自分が子供達の心を狂わせてしまうのではと。 第三話 『INTERVIEW WITH THE VAMPIRE』 「寄宿舎に着いたのはいいけど……う~ん、どうしよう……」 住み慣れし我が家、それは銀成学園寄宿舎。 その正面玄関前でまひろは仰々しく腕を組んで頭を捻っていた。 眠気を誘う50分の授業を六度耐え切って一日を終え、あとは門をくぐれば、迎えるは週末の夜。 何がそんなに彼女を悩ませるのか。 答えは三つ。 ひとつは―― オドオドとした様子で横のまひろと目の前の寄宿舎を交互に見ている長身の外国人女性。 己が吸血鬼であるという事実をひた隠しにしたままのセラス・ヴィクトリアだ。 もう... -
大長編イカ娘 栄子と山の侵略者 1
「お」 イカ娘が言った。 「どうした、なにか見つけたか?」 「見るでゲソ栄子。でっかいエビでゲソ」 「エビ?」 イカ娘の視線の先には、たしかに大きなエビがあった。――ぬいぐるみだが。 グロテスクなはずの触手は丸っこくデフォルメされ、黒いつぶらな瞳は可愛いと言えなくもない。 「あれで三等を当てればもらえるのでゲソ」 「福引か」 即席の屋台の前に、派手な色合いのスロットマシーンがある。 「スロット……ちょっと魂がうずくな」 「栄子の魂がうずくということは、あれはゲームでゲソ?」 「お前知らないのか。これはこう……あ、一回お願いします」 「はい、500円分のレシートをお見せください」 「こう回して……」 「絵が動いたでゲソ!」 「こう……止める!」 「チェリーが揃ったでゲソ!」 「これが目押しだ」 「おめでとうございます、二等が当たりました!」 ... -
『アギトの会』 (邪神?さま)
AGITΩ』――『アギトの会』総本山にして最強のアギト、津上 翔一の運営するレストラン。 闇の力が恐れたアギトは、今や立派に実社会に馴染んでいた。 全人口の4分の1がアギトの力に目覚め、『アギトの会』は全世界に広がっていた。 アンノウンの居ない今、その力は人類の脅威になるかと思われたがそこまで人間は愚かではなかった。 世界を救ったアギトでありながらレストランを経営する津上を頼る者は後を絶たず、 会員は増え続け最低でも県に一ヶ所は配備されている。 田舎では通会に不便なので市に一ヶ所にしろという要望も多く、配備される日は近い。 会員でないアギトの方が珍しい位だ。 一億坪の広大な土地を耕すアギト達、スタミナといい腕力といい常人とは桁外れである彼等が集まれば、 荒れ果てた荒野も瞬く間に肥えた大地として蘇る、時に掘りすぎて原油や温泉が出るトラブル... -
八十一話「帝国の盾VS南斗の鷲」
~メルビル・宿の一室~ 「明日には出発だ、心残りのないようにしとけぇ。」 「・・・キャプテン、どう思います?」 コーヒーを飲みながら新聞に目を通すホークに、 豆を挽いて追加分を作りながらゲラ=ハが尋ねる。 「シンか、あいつ無駄にプライド高そうだからな・・・連携とれるかどうか。」 「連携・・・本当に仲間になってくれると?」 ゲラ=ハの言葉に反応して新聞を下ろすと、光が目蓋を直撃する。 眩しさで眼をパチパチさせながら、時計を確かめる。 「ん、それの心配か・・・そろそろベアが解決する頃だな。 それ挽き終わったら水筒に入れて、あと昼飯も携帯できる奴用意しとけ。」 用意しとけ、と言って気がついたがゲラ=ハに調理させる訳にもいかない。 コロコロ虫を入れられでもしたら精神的にキツイ。 手にしていた新聞を投げ捨て厨房を借りに行くべく部屋... -
天体戦士サンレッド ショートショート集2(サマサさま)
神奈川県川崎市より、遠く次元を隔てた先の異世界・ルーンハイム。 悪のデルティアナ帝国は、叛旗を翻した皇子ディランによってその野望を挫かれた。 もうボッコボコのギッタギタにされた。 見てて可哀想なくらいだった。 <もうやめてあげて>最終的にはそんな同情の声が上がる始末だった。 だが、悪は踏んづけても踏んづけても潰えることはない。 それはまるで、頑固でしつこい油汚れのように! 「ふふふ…ディラン。よくぞ決闘の申し出を受けてくれたな。流石は俺の宿敵だ」 セレスティア王国―――王都セイントリア。広場では二人の少年が向かい合う。 二人は全く同じ顔をしていた。 特徴的な銀髪。ややあどけなさを残しながらも端正に整った顔立ち。 違うのは、瞳に込められた意志。 「まだ懲りてなかったか…説教が足りなかったな」 揺るがぬ正義を宿すは、かつてセレスティアの王女ファラと共に神奈川県川... -
ジョジョの奇妙な冒険第4部―平穏な生活は砕かせない― 52-5
ドドドドドドドドドドドドドドドド…… うるさい……只の耳鳴りだ………落ち着くんだ吉良吉影…。 一瞬『キラークイーン』を解除し……スタンドの周りの髪の毛から抜け出す。 そして出来るだけ素早く……再び発現させて私本体の髪の毛を……。 この女のスタンドは素早いが……『シアーハートアタック』で反応を遅らせれば希望はある…。 髪の毛数本なら入られても窒息はしない…小さい裂傷なら入れられるかもしれないが…。 「アナタは今、『シアーハートアタック』で攻撃しようとしている。」 …………………ハッタリだ。 「アナタが次に言うセリフは『おいおい、この状況で僕に何が出来るっていうんだい』よ。」 「おいおい、この状況で僕に………ッ!」 …………………嘘だ。 「戦った者の精神を受け継ぐ……ジョースターさんや露伴さん。 康一君…………... -
スーパーロボット大戦DOGEZA ~終焉の土下座へ PART2
宇宙に浮かぶは、何よりも碧く美しき宝石―――地球。 今日も今日とて邪なる欲望を抱き、侵略者が攻めてくる。 それ往け、地球を守る戦士達―――その名も<兜甲児と愉快な仲間達>略してカブコー! 科学・オカルト・努力・根性・熱血・愛・勇気・覚醒・再動・銅鐸・グレンキャノン―――そして土下座。 あらゆる手を尽くして、侵略者共を全滅だ! 「おのれ、カブコーめ…!まあいい、今日の所は挨拶代わりだ。次こそは貴様らの最後だ、はっはっは!」 テンプレ通りのセリフを吐きつつ、実はボロボロにされて涙目で逃げ帰っていく敵。 カブコー、今回も大勝利であった。 そして、戦闘後のミーティングというか雑談。 「今日もノリノリでしたね、万丈さん。あの口上、いつ聴いてもシビれますよ」 「いや、そんな風に言われると気恥ずかしいね…しかし、ノリノリといえば宙に敵う奴はいないだろう。 完全に相手... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 花の妖怪達
―――メディスン・メランコリー。 精巧に作られた人形が魂を持った、付喪神(つくもがみ)に属する妖怪である。 その記憶は、アンティーク・ショップのウインドゥに飾られていた頃から始まる。 母親に手を繋がれてやってきた、一人の少女に抱かれた。 「あなたはメディスン。メディスン・メランコリー!すてきなお名前でしょ?」 名前を貰って、その子の家族になった。 何年かすると、自分と遊んでくれなくなった。 ―――ねえ。どうしたの? ―――もう一緒に、おままごとをしてくれないの? 「もう、いらない」 そして、ゴミ捨て場に置き去りにされた。 だけど、迎えに来てくれると信じてた。 信じてた。それから時間が経った。 それでも信じてた。季節が移った。 まだ、信じてた。年が過ぎた。 理解した。自分は<いらないモノ>になったんだと。 それでも、僅かな希望に縋... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-5
己が倒すべき者、己を倒すべき者、そんな互いの名を確かめ合うように呟き、向かい合う二人。 この瞬間に二人の闘いは始まり、もう次の瞬間には終結を迎えるだろう。 しかも、最早大勢は決している。 再生能力が衰えているとはいえ、気力、闘志共に頂点に達したアンデルセン。 失血死ギリギリの出血量に加え、銃剣や爆薬によるダメージが著しい防人。 いや、防人に関しては“ダメージ”という言葉も生易しい。 その身体は死に瀕している、まさに“瀕死”の状態だ。 あとはその銃剣が、首を斬り落とすのか、心臓を突くのか。 “どう殺されるか”とでも言うべきか。 暗転を始めた視界。寒気の止まらぬ肌。 四肢は萎え、全身全霊の力を込めても、立位を保持して構えを取るのがやっとの身体。 今の防人にあるのは、ただ“闘う”という意志だけである。 “どうやって闘う” “どうやったら勝... -
過去編第007話 「傷だらけの状況続いても」 1-3
文字だけで考えると分かり辛いコトこの上ない!! これでなんで遠くの敵を爆破できるか、ウチ自身慣れるまで苦労した。 えーと。図で考えよう。 ”媒介”は「ハンカチ」としよ。誰でもポケットにしまっとるからな。 で。次のような条件の場合なら。 条件1 ウチと敵の距離は3km。 条件2 ウチと敵の間にはハンカチが等間隔で落ちている。 条件3 敵のポケットにはハンカチがある。(=敵と媒介は同じ地点にいる) 条件4 ウチのすぐ前にもハンカチがある。 条件5 便宜上、前述の「一定範囲」は500mとする。 ※ 媒介を爆破するごとに、「500m以内にある媒介」の前にワームホール出現。 位置関係はこうや。 デッドからの 距離(km) 3.0 ‐┨ハンカチ …… 条件3の「敵のポケットのハンカチ」 . ┃... -
THE DUSK 第零話
――汝が久しく深淵を見入る時、深淵もまた汝を見入るのである。 「私は声を聞いたのだ。深淵から叫ぶ声を。『ベイビー、いついつまでも一緒に眠ろう』と」 第零話 『SALEM’S LOT』 「ときこさん、あんぐりー、まいぶらざー、いえすたでーもーにんぐ。『げっとあっぷ! はりー! はりーはりー! はりーはりーはりー!』」 1年A組の教室に張りのある明るい声が響き渡る。 声の主はクラス一の元気娘、武藤まひろ。 生来活発が売りの彼女らしい教室の隅々まで広がる、いや、隣の教室までも届きそうなくらいに 大きくてよく通る声である。 しかし、その発声の良さに比べると発音の方はひどいものだ。 日本人にありがちなカタカナ英語とでも言うべき発音を、更に斜め上に飛び越えている。 クラスメートには充分通じるだろうが、肝心のアメリカ人がこれを聞... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ 西行寺幽々子VSレミリア・スカーレット
「妖夢さん…彼女は、西行寺殿は、そこまで強いのですか」 「強いか弱いかでいうと…むしろ弱い部類です」 「弱い部類」 それは、少々…いや、相当にまずかろう。 吸血鬼という種族自体が身体能力・戦闘能力に関して地球上に存在する全生命体をひっくるめても上位の存在だ。 更には数々の奇蹟を実現する、無数の特殊能力をも備えている。 銀や日光に代表されるように弱点こそ多いが、それを補って余りあるほどに強く―――カリスマに溢れる。 人間がどれだけ夢想しても届かない神秘を、彼らは星の数ほど手にしている。 だからこそ人は彼等を散々忌避しながらも、魅せられ、時には神々の一柱として信仰の対象にすら祭り上げる。 まして相手はレミリア・スカーレット。 齢500を数える、最強の吸血鬼。 「なら、レミリアと闘って勝てる見込みはないのでは?」 「というか幽々子様がまともに殴り合いなんかしたら、下手すり... -
ジョジョの奇妙な冒険第4部―平穏な生活は砕かせない― 64-1
「追い詰められた鼠ってよぉ……何処に追い詰められてんだろうなぁ………。 もしそれが『袋』のことを言ってるなら、この言葉はテメーのためにあるんだろうぜぇ~~ッ。吉良吉影ぇ!」 忙しく曲がりくねる臭い、駅周辺の商店街を走っている。 そろそろ会社帰りのサラリーマンで道が込む、急いでそこを出ようとする筈だ。 杜王町の交通量は都会に比べれば遥かに少ないとはいえ、影も形も見当たらないわけではない。 それなりに通るところでは通るものだ、しかし彼は躊躇せずスピードを上げた。 殺人鬼を追い詰める為に。 「入り組んだ場所なら撒けるってのは甘いぜ……。 病み上がりだが俺はテメーより長くこの街を走ってきたんだ。 このまま何処までも追い詰め………」 そこまで考えて無意識のうちにブレーキを掛ける。 当然スピードへの恐怖心ではない、事故の直後だが彼は全... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 番外編・良い子のためのカード紹介③
オリオン「さあ、始まるザマスよ」 ミーシャ「いくでガンス」 城之内「フンガー!」 タナトス「マトモニ始メ給ェヨ!」 遊戯「うわああああ!何でいるのさ!?てゆーか千年パズル返してよ!」 海馬「失せろ、この愚神が!」 城之内「ヒィィィィ!悪霊退散悪霊退散!」 タナトス「ソンナ冷タィ態度ヲ取ラナィデクレ。我ハコゥ見ェテモ繊細ナンダ」 オリオン「嘘つけ、この野郎!」 ミーシャ「いくら番外編でも、出ていいキャラと出ちゃダメなキャラがいるでしょう!?」 タナトス「大丈夫ダヨ。ココニィル間ハ殺メルノ我慢スルカラ…」 遊戯「そうでなきゃ困るよ!」 海馬「ええい、もうこいつは無視して始めろ!話が進まん!」 城之内「そ、それじゃあ気を取り直して…今回は第二部のクライマックスに相応しく、大型モンスターが大暴れ したよな!最初は<メテオ・ブラック・... -
HAPPINESS IS A WARM GUN 55-3
都内のとある喫茶店、内装はやや地味めで客の入りも盛況という程ではない。 そんな店内の片隅に“彼”は座っていた。 ポケットだらけのミリタリーコートとカーゴパンツに身を包み、頭はバンダナを巻いた上から キャップを目深に被っている。 更にはサングラスのオマケ付きだ。 端的に言えば“怪しい人物”ではある。 テーブルの上にはケーキ、コーヒー、そしてノートパソコン。 彼はもうしばらくの間、コーヒーカップに指を掛けたまま、ノートパソコンの画面に見入っている。 せっかくのコーヒーが冷めるのも厭わせないものとは何であろうか。 その答えは画面に映し出された、陽も暮れ始めた公園で向かい合う“二人の男”にあった。 一人は、黒のスーツが少しホストを思わせる銀髪の男。 たっぷりと腰を落とした半身の姿勢で、左腕はやや前に出してダラリと下げ、右腕は腰の高さに 落ち着け... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 番外編・良い子のためのカード紹介②
遊戯「バキスレの皆、新年あけましておめでとう!」 闇遊戯「オレ達はまだまだ大変な状況だが、新年くらいは本編を休んで二度目のカード紹介といくぜ!」 海馬「ククク…相変わらず甘いな。我々誇り高き決闘者には、正月も新年もない!それにも気付かずに貴様らは こうして大騒ぎしているというわけだ…実にめでたい奴らよ、正月だけにな。ワハハハハ!」 エレフ「そうだ。アルカディアを滅ぼさねば、私達には穏やかな正月など訪れはせぬ!来年こそは見事に奴らを 打ち倒し、ミーシャとの楽しい正月を過ごすのだ!」 城之内「またコイツらは…とにかく今年もキバッていくぜ!応援よろしくな!」 オリオン「さて、今回はどんなカードを紹介してくれるんだ?」 ミーシャ「この間はモンスター達についてだったから、今回は魔法や罠カードについて知りたいわね」 闇遊戯「OK。ならまずは魔法カードの... -
60分で書く! ③
江田島平八は男塾の塾長になる前、雀荘の店長をやっていた。高田馬場のノース ウエストという雀荘だ。ある日の夜、この雀荘で究極の闘牌が行われた。 「わしゃ打たんぞー!」 江田島は最初、対局を嫌がった。他のメンツはのび太、ドラえもん、アカギとい う顔ぶれで、みんなマナーのマの字も知らない迷惑千万な客だった。江田島も客を いじめるのが趣味だったのでそこに文句はないのだが、アカギにさんざんカモられ たのはショックだった。最後にもう半荘やりましょう、と誘われているのだが、も うアカギとは打ちたくない。始めに10万点もらったとしても絶対に打ちたくない。 「じゃあ100万点あげる」 「そんなもんはいらんわー!」 江田島は雀卓にどっかと座ってサイコロを回した。起家は江田島になった。点箱 にはのび太からもらった100万点分の点棒が山盛りになっている。 ... -
天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊情の宴~ ~紅魔降臨・前~
<永遠に紅い幼き月>レミリア・スカーレット。 <紅い悪魔>レミリア・スカーレット。 外の世界において最強の吸血鬼はと問えば、百人いれば九十九人が化け物殺しの鬼札(ジョーカー)――― 窮極にして絶対の存在たるアーカードの名を挙げるだろう。 残る一人についても<まあ他の奴はどうせアーカードって言うだろうし俺もそう思うけど、ここは敢えて別の奴に しよっと。俺って異端派!>というへそ曲がりである可能性が非常に高い。 だが。しかし。 幻想郷においては恐らくレミリアこそが最強の吸血鬼であり、至高である。 とはいえ、彼女も最初から最強だったわけでもなければ、生まれた時から吸血鬼だったわけではない。 遥か遠い昔―――500年ともう少し前には、彼女とて人間だった。 とある小さな町の貧しい家に生を受けた彼女は、贅沢はできなかったけれど、それなりに幸福だった。 誰もが羨む美男... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-1
《EPISODE4:There s a man going around taking names》 ――イングランド南部 ウィルトシャー州 ソールズベリーの北西13km地点 「着きましたよ。ここが我が錬金戦団大英帝国支部です」 ジュリアンがにこやかに指し示す光景を前に、三人は驚きのあまり呆然と立ち尽くしている。 「ここがって……。おい、こりゃあ……アレじゃねえか……。何て言ったっけ」 なかなかその名称が出て来ない火渡に代わって、千歳がそれを引き受けるように呟く。 「ストーンヘンジ……」 眼前に展開された荘厳かつ奇妙な風景に、三人は圧倒されたままでいた。 円を描くように配置された4、5m程の立石の群れ。 その中心に築かれた巨大な門を思わせる五つの組石。 そして、それ以外には何も無く、只々草原が広がるばかりだ。 “ストーンヘンジ” 紀元前3000年から2500年辺りに造られたとい... -
永遠の扉007-3
第007話 「みんなでお食事」 (3) 「ところで転校生してくるコってどんな名前?」 秋水と並んで寄宿舎へ歩くまひろは、ようやく触れるべき話題を思い出した。 昨晩、彼女は桜花から転校生の世話を頼まれたのだ。 ただし生来の性格から、ついつい聞き忘れていたのだ。 「名前は……」 言いよどむ声の半ばで、乾いた爆音が響いた。 「わ。花火かな? まだそんなに暗くないのに珍しいね」 まひろは水平にした掌を額へ当てて、遠くを見た。 総角の放ったニアデスパピネスの音は、まひろのみならず寄宿舎にも届いた。 距離的には秋水たちよりも近いので、当たり前といえば当たり前だが。 (いまのは一体……?) 食堂にいた斗貴子はとっさに飛び出しかけたが、すぐに何らかの陽動を疑い踏みとどまる。 現在、彼女を含めた戦士勢は「寄宿舎に内通者がいるかどうか見極める」べく行動中。 千歳と斗貴子... -
第095話 「演劇をしよう!! (前編)」 (3)
【銀成学園。屋上】 貴信は床の上にぼんやり座っていた。 客観的にいえば香美があぐらをかいている状態なのだが、一応彼女と体を共有している身である。貴信もまた「座っている」 といえた。 香美の目の前には斗貴子と剛太。まだ来ぬ防人たちについて愚痴をこぼし合っている。 秋らしく床の感触はなかなか涼しい。きょろきょろと落ち付きなく目玉を動かし周囲を見る。一部やけに真新しい床板と 鉄柵が設けられている──屋上につくなり剛太が開口一番指差した。曰くこの前鐶にやられた。1階からここまで吹き飛ば された。修理の跡だ──以外とりたてて特徴のない屋上だ。人気もない。 ただ時おり生徒たちの声が下の方から響いてくる。校舎と校舎の間にある連絡通路からだろう。ここまで斗貴子と剛太に 両脇固められつつ『護送』されてきた貴信だ。当たり前だが屋上に行くためにはまず連絡通路を通り、校舎内... -
18禁スーパーロボット大戦H -ポケットの中の戦争-
プロローグ 新西暦と呼ばれる時代・・・ 人類は交互に訪れる平和と戦争に飽き飽きしていた。 恒久的な平和を理想とする連邦政府が樹立され世界はひとまずの平和を得たかに見えた。 だが恐竜帝国、ネオジオン軍、邪魔大王国を筆頭に様々な組織や勢力が出現し地球圏は再度混乱に陥った。 人類はこれに対しゲッターチーム、連邦軍、ビルドベース隊を結成し対抗していた。 そんな中、外宇宙から来た存在“バルマー”と名乗る組織が出現。 未知のテクノロジーの前に地球人類は苦戦を強いられていた・・・。 これはそんな中、懸命に生き抜いた若者達の物語である。 第一話 遭遇 初夏。それは非常に暑い日だった。 蝉が鳴き、日差しがきつい。 誰もが軽装で歩き汗をかいている。 道端を1人の男が歩いていた。 彼の名はカツ=コバヤシ。 エゥーゴという組織に入っている男だ。 彼は今新しい任務先に向かっている所だった。 ジオンの残党がい... -
涼宮ハルヒの正義、SOS団はいつもハルヒのちキョン48-2
ハルヒの能力によって創り出された世界――――ショッカー基地にやって来た俺達は、 ショッカー軍団の中で一番有名な戦闘員に取り囲まれていた。 その数総勢十数人。 一人一人にまったく個性がなく、その目的の為に命を捨てるその姿は、ある種昔の日本兵を思わせる。 果たして本当に俺達は、コイツ等を相手取って闘えるのか? さっきはグウの言葉に思わず納得してしまったが、いざ相対してみると威圧感や存在感が圧倒的ではないか。 これが悪の軍団――――ショッカーの末端員なのだから、いくら長門やグウといえど、 無事にここから帰れるとは・・・。 「キキ?キキィ!!」 ま、まあ、言葉だけ聞くと完全に猿であるが・・・。 い、今はそれどころではない。 とりあえず戦闘が行える三人にどうするか尋ねなければ。 「長門!グウ!古泉!どうするんだ。完全に囲まれたぞ。どう... -
ドラえもん ギガゾンビの逆襲・2chの特別編(カイカイさま)
「帝愛がつぶれたら、なんで黒川さんが困るのさ?」 のび太のアホっぷりは、変わることがない。 「だいたい、その質屋みたいな会社も繁昌するだけじゃないの?」 21世紀初め、帝愛は未曾有の貸し出しラッシュに見舞われた。 まだ日本国内だけだが、20歳以上の人間の殆どが最寄の帝愛系キャッシングから五万円を借り入れた。 そして、中小企業はほぼ全てが同じく50万円から100万円の融資を依頼してきた。 わけもわからず、その殆どを帝愛側は受けてしまった。帝愛側といっても、それらは全て表の部門だ。 ここからが大変だった。 単に、国民たちが謎の結託を為してそれらを踏み倒すだけならまだ金額的には想定の範囲内である。 だが、そのせいで全員がブラックリスト。既にカード類を持ってる連中も、ブラックリスト。 無事な奴も、融資を断られるまで繰りかえし少額の融資を求めてくる。 表の部門がそうなって... -
猿の手 53-1
黒。 眼に映るのは黒、黒、黒。 己も人も黒を身にまとう。 それが当然だと誰が決めたのだろう。誰も、何も疑問を抱かないのだろうか。 着なければいけないものを着て、来なければならないから来ているのか? 本当に彼女の事を、義妹の事を悼んでいる者が、この黒い集団の中に何人いるというのだ? それに声。そう、声だ。 『ここへ運び込まれた時には既に心肺停止状態でした。おそらく即死かと……。 あっ、あの、御遺体はご覧にならない方が……その、何というか……あまりにも損傷が 激しいので……――』 様々な声が人々の口から、または電波を介して発せられ、斗貴子の耳に捻じ込まれていく。 『運転手の居眠りが原因のようです。業務上過失致死の疑いで現行犯逮捕しました。 殺人罪? うーん、それはちょっとねえ……。まあ、今後の取調べによっては危険運転致死罪... - @wiki全体から「脳噛ネウロは間違えない 50-5」で調べる