SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-3」で検索した結果
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WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-3
《EPISODE6:Everybody won t be treated quite the same》 ――ストーンヘンジ地下 錬金戦団大英帝国支部 大戦士長執務室 「ワハハハハハ! そうかそうか、照星もずいぶんビッシビシやってんだな」 広い執務室にジョン・ウィンストン大戦士長の豪快な笑い声が響き渡る。 「そうなんです。だから戦士長に『こっちへ』って声を掛けられると条件反射で身体が硬くなっちゃって」 すっかり緊張の解けた千歳は、日本の戦団の(主に照星の)エピソードを面白おかしくウィンストンに話す。 ウィンストンと向かい合うようにジュリアン・防人・千歳・火渡は革張りの大きなソファに腰掛け、 談笑に花を咲かせている。 親子程も歳が離れているにも関わらず友人のような気安さで接してくるウィンストンのおかげで、 執務室はまるで戦士達の控室を思わせる和やかな雰囲気に変わっていた。 防人もニコニ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-2
《EPISODE5:The wise man will bow down before the thorn and at his feet》 薄暗がりの中に、男が一人座っていた。 豪奢なソファに似合わないジーンズ履きの普段着姿。 部屋の中でもアルスター・コートを脱がないのは男のこだわりだろうか。 彼の周りでは屈強な男達が、コンピューターとモニターと無線機の海の中でせわしなく 蠢いている。 男は煙草の煙を吐き出しながら、自分と祖国の為に身を粉にする兇暴かつ健気なテロリスト 十数人の群れを見つめていた。 「1番、2番、3番モニターはOKだ!」 「撮影班、警察署内に入りました!」 「ブリギット! 邪魔だから隅の方で遊んでろ!」 「ウィリアムとノエルの視点映像を出せ! 7番と8番だ! 早くしやがれ!」 「とっとと配置に就かせろ! このウスノロ!」 「パトリック、準備が出来たぞ。あと3... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-1
《EPISODE4:There s a man going around taking names》 ――イングランド南部 ウィルトシャー州 ソールズベリーの北西13km地点 「着きましたよ。ここが我が錬金戦団大英帝国支部です」 ジュリアンがにこやかに指し示す光景を前に、三人は驚きのあまり呆然と立ち尽くしている。 「ここがって……。おい、こりゃあ……アレじゃねえか……。何て言ったっけ」 なかなかその名称が出て来ない火渡に代わって、千歳がそれを引き受けるように呟く。 「ストーンヘンジ……」 眼前に展開された荘厳かつ奇妙な風景に、三人は圧倒されたままでいた。 円を描くように配置された4、5m程の立石の群れ。 その中心に築かれた巨大な門を思わせる五つの組石。 そして、それ以外には何も無く、只々草原が広がるばかりだ。 “ストーンヘンジ” 紀元前3000年から2500年辺りに造られたとい... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-3
立場は完全に入れ替わってしまった。 不用意に拳を放てば先程のように迎撃される。 しかし、最早距離とタイミングを計り、時間を掛けて攻略という訳にもいかない。 滴り落ちる血時計は残り時間どころか、現在進行形で防人のパワーとスピードを徐々に 削ぎ落としていく。 (考えろ、考えるんだ……!) アンデルセンの持つ獲物、構え、戦闘スタイル。 これらに現在の己の状況を加味すれば、やはり選択するべきは迫り来る銃剣を避けつつの “カウンター”だ。 それも一撃必倒の威力を持ったもの。 だが、そう上手くいくのか。 アンデルセンはもうこのまま立っているだけでも勝利を奪えるのだ。 直接手を下さずとも、時間の経過が防人を殺してくれる。 しかし―― 「失血死は待たんぞ。そんな優しい真似をこの私がするものか……」 ――アンデルセンのこの一言で条件はす... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 51-3
獅子の如き牙と猛禽類の如き爪を剥き出して、ジュリアンは防人に突進した。 一方の防人はまるで戦意を喪失してしまったかのように佇立している。 「ジュリアン、お前はもう化物なんだ……。もう、大戦士長の愛したジュリアンじゃない……。 もう、俺達と笑い合ったジュリアンじゃない……」 「喰らえェエエエ!!」 眼を伏せうつむく防人の頭部に、研ぎ澄まされた爪を搭載した腕が振り下ろされた。 爪は金属音を立てて弾き返される。当然と言えば当然だが防人は何のダメージも受けていない。 一定量以上の衝撃を与えるとシルバースキンを構成するヘキサゴンパネルが飛び散る筈だが、 それも見られない。 防人自身どころか、装備品であるシルバースキンにすらダメージを与えられずにいる。 しかし、それは何一つ不思議な事ではないのだろう。 ジュリアンは生まれたばかりの赤子のようなホムンクルスだ。... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 46-3
猛スピードで疾走する車さえも震わせるようなアンデルセンの叫びが響く。 次の瞬間、バックガラスが銃剣(バヨネット)の横薙ぎの一撃で砕かれ、無数の細かな破片となって 後部座席の三人に降り注いだ。 「キャアアアアアッ!」 頭部や顔を覆った千歳の両腕を、無数の針に刺されたかのような痛みが襲う。 「千歳!!」 「野ッ郎ォオオ!!」 そしてガラスの破片に気を奪われた一瞬の後、三人の眼に信じ難い光景が飛び込んできた。 それは神の御業か。 いつのまにかアンデルセンの右手に握られた銃剣が数を増していた。 右手には器用にもそれぞれの指の間に二本ずつ、計八本の銃剣が握られている。 「ククッ、ククククク……!」 握る手に力を込めると、アンデルセンは先程にも増して腕を高々と掲げ、身体を捻り反らせた。 (アレを投げるのか!? この距離から!?) 防人は反射的にシルバースキンの... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 49-3
突如、上階から爆発音が響いた。 窓ガラスは細かく震え、靴底からも地鳴りのような振動が伝わってくる。 「上が随分と騒がしいようだ……」 サムナーはわずかに天井を見上げると、またすぐに火渡の方へ視線を戻した。 怒りの形相をこちらに向ける火渡の方へ。 火渡はその場を動かない。 炎に似たる激情の男、火渡でさえも充分すぎる程にわかりきっていた。 負傷を抱えて身体の自由が利かない千歳を人質に取られている。 そして敵は、火渡の速さを遥かに凌ぐ光速の武装錬金を千歳に向けている。 敵? そう、彼はもはや敵なのだ。 指揮官であった筈のサムナーが、今や憎むべき敵となって自分達の命を脅かしている。 彼の意にそぐわない行動を取ればどうなるかは、それこそ“火”を見るより明らかだ。 火渡は充分に自分の置かれた状況を理解していた。 さて、どうするべ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 47-3
《EPISODE10:Voices calling and voices crying,some are born and some are dying》 ――ズーロッパ・トレーディング・ファーム・ビルまであと3分程の車中 「見えてきたな……。アレが目標のビルだ」 ハンドルを握るサムナーが顎で指し示す先には、やや古びた六階建てのビルがそびえていた。 窓からは幾つかの明かりが洩れてはいるものの静寂に包まれており、まるでビル全体が眠っているかのようだ。 だが、それとは対照的に車中の五人には、今回の任務のクライマックスに相応しい緊張が張り詰めていた。 戦闘開始の瞬間が刻一刻と迫っている。 防人と千歳の心臓が早鐘のように打たれる。それは使命感か、高揚感か、恐怖感か。 どちらかというと火渡の方が落ち着いているように見えなくもない。 しかし、それも... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-2
そこは墓場だった。 幾人もの人間達が命を散らせ、二匹の化物(フリークス)が灰と消えた、不吉な場所。 そこは塵芥と化したあらゆる“命”が彷徨う、忌まわしの合祀墓なのだ。 肉と髪の毛が焼ける火葬場の悪臭が充満し、千切れ焦げた無数の肉塊がコンクリートの 瓦礫の中に散らばっている。 New Real IRA本拠、“ズーロッパ・トレーディング・ファーム・ビル”一階ロビー。 防人衛の熱く冷たい闘いの幕が切って落とされた、この場所。 決斗戦斗のすべては、この場所に帰ってきた。結末を決める者達は、この場所に帰ってきた。 「シィイイイイイイイイイイ!!」 「オオオオオオオオオオオオ!!」 天井に大穴を開けた広いロビー。 そこで二匹の獣がぶつかり合う。 爪牙は拳と銃剣。 唸っては爪を立て、吼えては喰らいつく。 だが意外な事に、獅子と虎の... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-1
《THE LAST EPISODE:The whirlwind is in the thorn trees》 大きく構えを取るアンデルセンに向かい、防人は無造作に、放胆にその間合いを詰めていく。 フットワークを使って華麗に追い詰めるのではない。制空圏侵入を警戒しながらジリジリと 詰め寄るのでもない。 ただ“歩いている”だけだ。 「クククッ……!」 最早アンデルセンは歓喜の笑いを隠そうともしていない。 眼前の戦士が己の刃の射程内に入ってくる事が待ち遠しくて堪らないのだ。 『この無手の男が、徒手空拳の敵が、これまでの人生で最高の闘いを以って楽しませてくれる』 防人の全身から発せられる殺気が、アンデルセンにそう確信させているのだ。 『ともすれば自分はこの不倶戴天の仇敵に愛おしさすら感じているのかもしれない』 そんな有り得ない錯覚を起こさせる程に、... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND55-3
《THE EPILOGUE‐2:It s name it said on him was Death, And Hell followed with him》 ――200X年 埼玉県銀成市 銀成駅前通り 頬杖を突いた姿勢は変わらぬまま―― 眺めていた巨大スクリーンのニュース映像は、若く美しい女優が映し出された化粧品の コマーシャル・フィルムに変わっていた。 相変わらず、カフェの他の席ではカップルがお喋りに花を咲かせ、歩道に眼を遣れば家族連れが 満面の笑顔で通り過ぎていく。 「……だいぶ寒さも和らいできたなぁ。もうすぐ春か」 防人は苦い追憶の旅路から醒め、再びこの緩やかで呑気な雰囲気を楽しもうとしていた。 春の訪れを感じ取り、街の風景を眺め、この休日を友人とどう過ごそうかと思案に耽る。 ホムンクルス達はヴィクターを盟主として月に旅立ち... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-5
己が倒すべき者、己を倒すべき者、そんな互いの名を確かめ合うように呟き、向かい合う二人。 この瞬間に二人の闘いは始まり、もう次の瞬間には終結を迎えるだろう。 しかも、最早大勢は決している。 再生能力が衰えているとはいえ、気力、闘志共に頂点に達したアンデルセン。 失血死ギリギリの出血量に加え、銃剣や爆薬によるダメージが著しい防人。 いや、防人に関しては“ダメージ”という言葉も生易しい。 その身体は死に瀕している、まさに“瀕死”の状態だ。 あとはその銃剣が、首を斬り落とすのか、心臓を突くのか。 “どう殺されるか”とでも言うべきか。 暗転を始めた視界。寒気の止まらぬ肌。 四肢は萎え、全身全霊の力を込めても、立位を保持して構えを取るのがやっとの身体。 今の防人にあるのは、ただ“闘う”という意志だけである。 “どうやって闘う” “どうやったら勝... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND54-4
万策は尽きた。 そもそも、最初から武装錬金を使わぬ闘いというのが無謀だったのだ。 絶対の自信を持つ純粋な身体能力も、アンデルセンが連綿と築き上げてきた闘いの機略の 前に打ち砕かれた。 そして、頼みの綱の筈のそのパワーとスピードも、出血多量の影響から失速を続けていく。 それだけではない。能力低下に止まらず、今では機能不全にさえ陥っている。 視点は揺れ動いて一ヶ所に定める事が出来ず、どんなに大きく呼吸しようとも息の荒さは治まらない。 全身の筋肉は己の意思に反して、緊張を解いて弛緩したがっている。 まるで上がりが地獄と決められている双六だ。 終われば死ぬが、賽を振らない訳にはいかず、進行は続く。 己の流す血溜りにしゃがみ込んだままの防人は動けずにいた。 闘いの趨勢は敗北に傾き、肉体は死に向かって突き進んでいる。 それどころか、意識さえも徐々に... - @wiki全体から「WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-3」で調べる