夏影塚3

東方秋狼記・裏


 (※時系列は本編18話くらい)

   その3:僕の理解を超えている


「ひとまず……先のアクシデントには目をつむりましょう」
 ダウナーな空気をまとった少女は、半眼で夏目たちを見て静かに言った。
 緩やかな癖毛をショートボブにした、大人しく上品そうな少女だ。フリルの付いたゆったりとした服のあちこちから伸びるコードに繋がれた目玉がどうしても気になるが。
 あまり活動的には見えないが、彼女の力が恐ろしいものだと夏目は肌で感じ取っていた。アリスも油断無く周囲を観察し、策を練っているようだ。あれほど強気で好戦的だった橋姫に至っては、目が合った瞬間から石化したかのように放心している。生気が全く感じられない。
 少女は押し潰されて大破した高級そうな椅子を一瞥すると、ニヒルに嘆息した。
「……まぁ、不可抗力でしょう」
 責めもしないその言動が、かえって恐ろしい。ここに至って橋姫の膝が震え始めた。
 彼女は一体何者なのか、と疑問に思った矢先、少女と目が合った。
「ああ、気になりますか。『なぜこんなに怯えているのかわからない』ですか。ふんふん、なるほど。夏目さんは私に考えを言い当てられても少ししか驚いていませんね。月雲さんはそれどころではないようですが」
「ちょっと待った。俺、名乗ってないよな?」
 目を丸くしていると、アリスがどこか嫌そうに耳打ちした。
「彼女は心を読む妖怪よ。だから地底でもさらに人気のないところに住んでいるの」
 いつも以上に棘のある物言いだ。
 それだけで、目の前の少女が嫌われ、畏れられている事は理解できた。心を読まれるのが好きな奴なんていないだろう。不都合な考えまで読まれてしまっては、付き合いづらいのは仕方ない。煩悩まで悟られてはたまったものではない。
 彼女は薄暗い笑みを浮かべた。
「それが普通の反応です。嫌われるのには慣れていますから」
「べつに嫌ってないけどな。考えを読まれるのには慣れてんだ」
「……そのようですね。ああ、名前ですか。申し遅れました。私は古明地さとり。ここ、地霊殿の主です。と言っても、他の住人はペットしかいませんけどね」
 これだけ嫌われていれば誰も寄り付かないんだろうな、と夏目は失礼ながら納得した。当然それもさとりには筒抜けなのだが。
「ええ、鬼でさえここには近寄ろうとしません。来客といえば、物騒な巫女や、あなた方のような不意の迷子くらいのものです」
「物騒な巫女、ね……霊夢のことだから、心を読んだらすぐにキレたんじゃない?」
「そう言うあなたも表面上は理性的ですが、心を読まれると案外すぐにキレそうですね。ふんふん、類は友を呼ぶと言いますが、なるほど。よく似ているようで……」
「むッ」
「ああそうそう、七色で華やかな『人形劇』は結構ですが、あの巫女のように物騒なのは願い下げですよ。屋敷が壊れても直してくれる人が来ませんからね……」
 さとりは半眼のまま、手でアリスを制した。
「切実だな……」
「そう、切実だね。壁に穴が開いたままになってるのを見たときは僕もびっくりしたよ」
 そう——なにげなく背後から飛んできた声に、夏目たちは弾かれたように振り返った。『そうしなければならない』と、本能が警告していた。
 視界に映り込むのは、烏羽玉の黒だ。
 年の頃は夏目より少し上くらいか。艶やかな黒髪、黒いスーツ、黒いブーツに黒い手袋。そこまでひたすら黒に包まれながら、なぜか光を浴びているようにさえ見える絶世の佳人が、何気ない体で立っていた。
 肩に烏を乗せ、腕には赤いリボンの付いた黒猫を抱き、至福の表情を浮かべている人物こそ、黒桐仮名その人だった。
 今まで気配を消して立っていたのだろう。仮名に掛かれば、その程度の忍び歩きは呼吸と同じ感覚でできてしまう。黒桐仮名というのはそういう次元で語られる怪人だ。
「ええと、何日ぶりかな、千秋。感動の再会と行きたいところだけど……」
「そうは問屋が卸さないってワケだ」
 バキバキと指を鳴らし、夏目は獰猛に唸った。
 やっと会えた。うれしくて、怪しげな笑みすら漏れてくる。
「ちょっとくらい僕の言い分を聞いてくれないかな」
「断る!」
 何やら事情があるようだが、それはそれ。ここまでのツケを払わせる必要がある。
 幸いにして今の仮名は両手が塞がっている。猫好きの仮名がこのまま猫を放り出す事はあり得ない。ならば今こそ溜まった鬱憤を握り締め、鉄拳をもって制裁する時だ。夏目は瞬時に影の鎧を装備すると、姿勢を低くしたまま抜群の瞬発力で間合いを詰める。仮名の端正なかんばせが間近に迫る。
 打つべし、打つべし、打つべし!
「うらうらうらぁッ!」
 だが、渾身のジャブ三連打を仮名は眉一つ動かさずに避けきった。
 ならばと回し蹴りを繰り出すが、それよりも一歩早く、仮名は高々と跳んでいた。いかなる技か『天井に立って』夏目を見下ろし、黒猫を手放した。
「お燐、お空、ゴー!」
「あいよ!」
「さとりさまのかたきーッ!」
 途端、烏と黒猫がそれぞれ人の姿へと変化し、馬鹿でかい妖力の塊を夏目に叩き付けた。
「げふぅッ!?」
 情けない声を上げて、夏目の体が床にめり込んだ。その頭に片足を乗せながら、仮名がキラキラと輝く目で、勝ち誇ったように見下ろした。
「まだまだ、修行が足りないようだね千秋。まぁ、僕に勝てるはずがないけど」
「畜生……三対一なんて汚ぇぞ」
「違うねッ、これはチームワークの勝利だよ! キミにだってアリスがいるじゃないか。そこのサムライも、見たところ異界能力者だ。つまり『おあいこ』ってヤツさ!」
「その通りだよ黒いの! それに、さとりさまをいじめた罰には軽すぎるくらいさ!」
「そうだそうだ!」
 赤いお下げの少女と、右腕に金色の棒を嵌めた長身の少女は、敵意の籠もった目で夏目やアリス、月雲を睨み付ける。
「そこまでですよ、お燐、お空。私が目をつむると言ったのですから、抑えてください。仮名さんも、面白半分に煽らないでください。その床、誰が直すと思っているんですか?」
 半眼のさとりにそう言われては、威勢のいい三人組もさすがに口を閉じざるを得ない。激昂することが滅多にない主人だが、怒らせると相当怖い事をお燐もお空も知っているのだ。そしてそれは、人をよく見ている仮名にもわかることだった。
 置いてけぼりを喰らったアリスと月雲は互いに顔を見合わせた。
「……まぁ、ともあれ彼女が探していた人というわけか。存外に、はっちゃけた御仁のようだが」
「この前よりも生き生きしてるというか、大人気なさに拍車が掛かってるわね」
 仮名という人物は、見た目だけならばクールかつ高飛車という印象を受ける。
 実際、アリスの家に滞在している間はそのような人柄だったのだ。だが、今の仮名からはそういった様子は感じられなかった。まるで別人のようだ。
「ここに来るまでの間に、いろいろとあったそうですよ」
「へぇ……って、人の思考に割り込まないでくれるかしら……?」
「心が聞こえてしまうものは仕方ありません。ふむ、パルスィさんも仮名さんと出会ったことがあるようですね。ふんふん、二度と会いたくなかったのに、ですか。ご愁傷様です」
「明らかに確信犯でしょ、あなた」
「何のことでしょう。とはいえ、殺しても蘇るというのは気になりますね。でも、まぁ、それくらいでなければ旧都を徒歩で抜けてくることは不可能でしょうし」
「ふむ、つまり僕たちは運が良かった、ということか」
「そのようね。橋姫に苦戦するようじゃ、命がいくつあっても足りないわ」
 しれっと、負けそうになったのを棚に上げるアリスであった。

   ★

 地霊殿は人や妖怪の気配がしない、静かで寂しい建物だ。
 海の底にいるような深い色を基調とした、神殿、あるいは教会のような造りをしている。丁寧に作られたステンドグラスの天窓は息を呑むほどに美しく、神秘的な印象を見る者に与える。
 砕けた椅子を撤去して新たに人数分の椅子を用意すると、さとりは優雅にカップを傾けた。アリスご自慢の紅茶だ。これでなんとか手を打ってもらおう、ということである。
「ふむふむ、自慢するだけあって、たしかに美味しいですね」
 じっくりと香りと味を堪能し、さとりは頬を緩ませた。隣でぐいっと一気飲みしている空と燐はよくわかっていないようだったが。
「うん、美味しいね。ケーキとかほしくなるね。もちろんあるよね」
 何食わぬ顔で地霊殿の住人に混じっている仮名も嘆息し、図々しい要求まで付け加えた。確信を持った目で見られ、アリスは渋々お手製のパインケーキを差し出した。
「心も読まずによくわかりますね」
「僕は鼻が利くのさ。時に千秋、幻想郷旅行はどうだった?」
「どうもこうもあるかよ。いきなり遭難だぞ? シャレになってねぇよ。運良く拾われたから生きてるってだけだぞ」
「なるほど……その人は静流というのですか。あなたの相方さんに似ていますね」
「似てるかぁ? むしろあんたに似てると思うけどな」
「そうだね、妹への接し方も含めて、それなりに似てると思うよ」
 同意する仮名。そこに少しの違和感を覚えて、夏目は胡乱な眼差しを仮名に向けた。
「待て。お嬢のこと知ってるのか?」
「うん。前に来たときは、よく寺子屋に行ってたからね。それで……千秋くん。お人好しのキミはもちろん彼女の影を踏んだね?」
 すぅっと目を細め、見透かすように問うてきた。
「ああ、『踏んだ』ぜ。その様子だと、計画通りなんだろ?」
「計画って言えるような、そんな大層なことじゃないよ。キミなら偶然迷い込んで、偶然静流ちゃんに会う可能性が人より高いってだけさ。要は運任せだ」
「そんなアバウトな目論見で俺を放り込んだってのかッ?」
「あんまし準備の時間がなかったんだよ。それに綿密な計画じゃあキミの『偶然』が発動しないかもしれないじゃないか。いや、むしろこっちの計画が台無しになるリスクの方が大きいよ」
 すでに解説モードに入っている仮名は次いで矛先を月雲に向けた。
「月雲先生。異界能力者っていうのは言っちゃえば他の法則を持っちゃった人のことなんだ。だから普通じゃ考えられない制約を持ってることもある」
「ふむ……?」
「例えば千秋は確率が狂ったような偏り方をする。普通の人は意識しなければ運命という道から大きく外れないけど、千秋はボーっとしてると大脱線してあさっての方向に行ってしまうんだ。投げたボールがどこへ飛ぶかわからない世界って困るでしょ?」
「たしかに、それは困るかもしれないな」
 とてもいい加減だが、それは的を射た説明だった。
 夏目の能力は、影を立体化させることでも、境界を越えるということでもない。ここの住人風に言うならば、『確率を狂わせる程度の能力』だ。完全な0%でなければ確率は狂ってしまう。博麗大結界も、誰かが通れた以上は0%ではなく、通ろうと決めればランダムで通ってしまえるのだ。夏目の影は作用点である。
 ただし自分の確率にしか影響しないので、越境には渡るべき向こう側の目印、ランドマークが必要となる。今回は白紙のスペルカードがその役割を果たしたわけだ。
「しかし、なんとも抽象的な説明だな。僕の理解を超えている……」
「だんだん理解できるようになるさ。人間っていうのは適応力の高さがウリなんだから。考えるな、感じろ、だよ」
 あちょーっ、とカンフー風のポーズを決めて仮名は言う。それを見た空が真似をしているが、どうせ数分で忘れるだろうと誰もが気にも留めなかった。その時点で、どうして後に地霊殿にカンフーブームが起きることが予想できようか。
 閑話休題。
「それで? 影を踏んだとか言ってたけど、どういう関係があるの?」
「どういう理屈か、千秋は近々死ぬ人がわかるのさ」
「そんなまさか。死神じゃあるまいし」
 あからさまに信じていないアリス。疑いの目を向けられた夏目は少し考えると、月雲を指さした。
「月雲先生はとんでもない速さで綺麗な絵が描けるだろ? これは練習の成果だよな? 俺の場合はあの世で修行したから、あの世の技能が身に付いたってわけらしい。つっても、殺される人しかわからないんだがな」
「選り好みする技術ね……」
「悪かったな。とにかく、そういうヤツの影を踏むと、頑張れば避けられる程度になるんだ。まぁ、あとはそいつ次第だけどなぁ」
 ギリギリ通り抜けられる抜け道を作る程度の手助けだが、その差は大きい。
「なんとも適当な能力ですね」
「さとりさま、適当じゃなかったらあたいの死体が無くなっちゃうよ」
「その発想はなかったわ」
 物騒なことをさらりと言う赤毛の猫妖怪、火焔猫燐に、さとりもさらりと返す。
 ずいぶんと大勢になったものだ。
 パルスィは隙を見て逃げ出してしまったが、それでも七人。実のところこれだけの人数でテーブルを囲むのは、幻想郷に来てから初めてのことだ。
 仮名は椅子に深く腰掛け、足を組むと、
「話を戻すよ。三ヶ月前、偶然ここに迷い込んだ僕は、山の上の神様に頼まれて、異変の本当の原因を探っていたんだ。静流ちゃんとはその時に何度か顔を合わせたんだけど、結論だけ言えば、幻想郷中に張り巡らされた悪意の中心にいるのが、静流ちゃんだ」
「話が飛躍してねぇか? たしかに死相が出てたけどよ、なんでそう繋がんだ?」
「さとりやアリスには言ったけどね、怨念が大暴れしたこと自体は実験でしかないのさ。信頼できる鑑定では、月雲先生の持ってる黒鏡は未完成品。完成すれば異界能力者を作ることも容易らしい。そんな怖い代物を作る人が、怨念鳴動して怪獣一匹なんて異変を起こす? ありえないね! まだ異変は終わってないのさ」
「つまり、月雲さんみたいな能力者を量産するのが目的って事? でもそれこそ静流とは関係ないじゃない」
「うん、関係ない。そもそも半端な能力者にやられるほど妖怪は弱くないしね。せいぜい陽動に使える程度かな。頭のいい魔術師なら、そうするだろうさ。だって外からわざわざ妖怪退治に来る意味もないんだからさ」
「そうですね。幻想郷ができた経緯はそもそも私たちの時と同じ……異端の者を封じ込めようという策ですから。外の人間にとって、妖怪退治はすでに完了しているようなもの」
 さとりは半眼のままに言った。
 かつて、忌み嫌われた妖怪たちは地底へと隔離された。行き来を制限し、不干渉を決め、地上の妖怪たちは安寧を得た。つい最近、怨霊が地上へ湧き出る異変を燐が起こすまでは、何をしようともしなかった。
 それは外の人間にも言えること。今さら何をしようというのか。
 さとりやアリスの視線を受け、仮名は目を閉じて嘆息した。
「……あくまで推測だけどさ。全ては静流ちゃんを殺すための盛大な仕掛けなんだ」
 静かに告げられた、あまりに突拍子もない結論に誰もが息を呑んだ。
 馬鹿馬鹿しい。たった一人の少女を殺すために、そこまで手の込んだことをする馬鹿がどこにいるというのか。そう言い返そうとしたアリスも、仮名の真剣な目には言葉を呑み込むしかなかった。
「幻想郷には秋の神様がいるよね。秋静葉に穣子。秋の終焉と豊穣をそれぞれ司ってる。人間の秋姉妹……静流と瑞穂という名前は、それになぞらえて付けられたそうだよ。だから人里でもあの双子は特別な存在なんだ。もしもその中で終わりを象徴する静流を特殊な方法——イニシエーションを通じて殺せば、瑞穂に神威が発現して『終わりのない豊穣』が残ることになる可能性は高い」
「……ねぇ、そんな馬鹿なこと、本気で起こせると思ってるの?」
「普通は無理だろうね。でも、あの家系は特別さ。あの子の先祖は過去にココを封鎖した術師の一人なんだ。名は土御門実篤。彼は人の寿命を越えて今も生きる怪物だ。それだけの素質が受け継がれていれば十分可能さ」
 さとりは胸元の第三の目で仮名を見据え、ゆったりと頷いた。
「なるほど。あなたの心は嘘を吐いていないようですし、私は信じますよ。うちのお空も後天的に神の力を入れ込まれた存在ですからね、それなりの器があれば可能でしょう」
「うにゅ?」
「ですが……それのどこに問題が?」
 一拍置いて、さとりはそう尋ねた。目つきは穏やかだったが、暗い光をたたえている。
 その冷たさに、夏目は背筋が凍るような錯覚に襲われ身震いした。
 だが、そんな恐ろしげな雰囲気はすぐに霧散した。彼女は納得したように息を吐き、わかりました、とだけ言った。
 不満げにアリスが声を上げる。
「何がわかったのよ?」
「その土御門という男は、神を作る計画のために幻想郷の隔離に参加したという事です。そこまでする以上、きっと計画のためには手段を選ばないでしょう。月雲さんのような方を多く生み出し、おそらくは手ずから条件の揃った双子を用意することさえ。力があればそれが可能なことはわかりますよね、アリスさん? あなただって魔界神に——」
 さとりの言葉を遮るように疾風が吹き、その喉元に上海人形の槍が突き付けられた。
 普段は見せることのない極端な無表情を顔に張り付かせ、アリスが立ち上がっていた。
 あまりにも急な臨戦ムードに、空も燐も反応できなかった。月雲と夏目はただ唖然と事の成り行きを見守るだけである。
「これ以上、私の中に入らないでくれるかしら……?」
 冷たく乾ききったアリスの声。
 誰もが思った。地雷を踏んだのだと。
 幻想郷ではかなり温厚な方だが、それは決して、怒らないという意味ではない。そしてそういう人ほど、概して激しい怒りを表すものである。
 一触即発の空気に、誰もが身動きを封じられた、その時。緊迫した状況を打ち破るように、突如として現れた黒い鉤爪が、上海人形の騎士槍を貫いた。
 それが仮名の指先から真っ直ぐ伸びているとわかると、アリスの目が驚愕に見開かれた。
「な……ッ!?」
「僕も、食事中の物騒は願い下げだよ」
 いつも通りの透き通った穏やかな声で、仮名は囁くように言った。
「弾幕ごっこなら、あとで嫌ってほど付き合ってもらうからさ。今は矛を収めてくれると嬉しいな」
 いかなる魔術か、それだけでアリスはあっさりと引いてくれた。
 ほっと胸をなで下ろす夏目だったが、さとりのどこか引きつったような顔を見て認識を改めた。
 何か、えげつないことを考えてやがる。
 そう思ったのは月雲も同じようで、わずかに頬を引きつらせながら、二人は顔を見合わせるのだった。

 一時間後、月雲を異界能力に慣れさせるべく、地霊異変もかくやというほどの弾幕戦が繰り広げられたのだが、それは別の話である……

   ★

 その頃、一人の少女が幻想郷の土を踏んでいた。
 彼女の名前はハル。
 夏目の相方その人である。


言い訳

 全然出てこない連中はこんな事をしてました、というのが夏影塚。
 むしろ本編でこういう話を書きたかったのは秘密。




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最終更新:2011年05月06日 12:05
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