バトルROワイアル@Wiki内検索 / 「003」で検索した結果

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  • 003
    003.嘘付きは商人の始まり  薄暗い森の中を、一人の少女が走っていた。  長いスカートと、首からかけた大きなズタ袋。♀商人であった。  彼女は、走る。時折、枯れ枝を踏み折るパキリ、という音を聞きながら。  草を書き分け、時には足に擦り傷を作りながらも。  木々の隙間に、彼女は白い外套の端を見た。  ぱっ、と安堵したような表情を作る。目を潤ませ、鼻をぐずつかせる。  そう、それはまるで、誰かに助けを請う幼子の様に。 「たぁすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」  叫ぶ。出来るだけ、哀れみを請う様に。  白い外套の主…♂ハンターが、こちらを向き、驚いた様に動きを止めていた。  それめがけて、更に走り…そのすこし前で、木の根に足を引っ掛けて、転ぶ。  …彼女は、狩人が自分のほうに急いで近づいてくる音を聞いていた。 「おいっ、大丈夫...
  • 2-003
    003.殺せぬ騎士 胃の内容物を吐き戻しても、なお治まらぬ気持ち悪さに♀騎士は膝をついて咽び込んだ。 唇は冷水にでも浸かったように血の気が失せて青褪め、苦酸っぱい唾液が黄身がかった糸を引いて垂れ落ちている。 両手はえずきを抑えこもうとして仕損じて、反吐塗れだった。 「は、はは……」 悪臭を漂わせる掌を見つめながら、彼女は力なく笑った。 「はは、ははは……なんて――なんて無様」 彼女は騎士だ――いや、騎士だったと言うべきか。 少なくとも、これから起きる殺し合いを恐れるあまりに反吐をぶち撒ける臆病者を騎士だとは彼女自身が認めまい。 「うくっ……申し訳……ありません……お父様――」 情けなさに溢れる涙を堪えることも出来ず、彼女は出奔同然で別れた父親の顔を思い出した。 王都プロンテラで下級貴族の次女として生まれ、過去の戦役で華々しい戦果を挙げた父親の...
  • 004
    ...目次 進む 003 目次 005
  • 002
    ...01 目次 003
  • 詳細情報女性
    ...騎士 <初出:2-003話> =特徴= [容姿]csf 4j0i8092(2-075)      美人(2-038)←細いつり目、高い鼻、細い眉      赤みを帯びた黒色の瞳(2-134) [口調] [性格] [備考]殺人に強い忌避感とPTSD(2-003)      刀剣類が持てない(2-003)      笑えない(2-075)      ♂モンクのラッパー口調を通訳できる(2-186) =所持品= S1シールド(2-003) 錐(2-071) =状 態= 現在位置 E-6(2-186) パーティー ♂モンク(2-038) =戦 闘= F-7で♀剣士に襲撃される(♀剣士死亡)(2-075) 030.♀WIZ <初出:2-029話> =特徴= [容姿]WIZデフォの銀色(2-029) [口調] [性格] ...
  • 目次
    ... ♂アコライト 003.嘘付きは商人の始まり ♀商人、♂ハンタ 004.狸 ♀商人 005.決意 ♂アサシン 006 ♂プリースト 007.弱さ ♀プリースト 008.悪人と ♀プリースト、♂ローグ 009.お約束 ♂アルケミスト 010.憤怒 DOP 011.利用 ♂WIZ 012.狩る者、狩られる者 ♀ハンター、♂商人 013.究極の知能の融合 ♀セージ、♂アーチャー、♀アルケミスト 014.正義の拳 ♂モンク 015.運の無い男 深遠の騎士子、♂シーフ 016.仮初の安息 ♀アコライト 017.NO~NO~チガウデショー ♀アサシン 018.泉 ♀ローグ、♀マジ 019.獣 ♀ローグ 020.天才の代償 ♂セージ 021.神の思...
  • 第二回目次
    ... 島の東部 003.殺せぬ騎士 ♀騎士 東南部の森の中 004.指名 ♂アサシン 島の南部 005.暗殺者の美学 ♀アサシン 不明 006.夢の島 ♂騎士、♀プリースト、バード、ダンサー、♂ローグ 不明 007.地獄の煉火 ♀剣士、♂ノービス 島の西部 008.楽園 ♂WIZ 島の北端 009.ゲーム ♀スパノビ 不明 010.死ぬべき場所 ♂クルセイダー 不明 011.森中模索 ♂モンク、♀ノービス、♀シーフ、♂アーチャー 不明 012.電波少女 ♂ハンター、♀アーチャー 不明(森) 013.商人の生きる道 ♂商人 E-5→G-4 014.惨劇開幕10分前 GMジョーカー、♂ローグ 不明 015.神罰の拳 ♀モンク 北東の浜...
  • 035
    035.選択肢  きゃりっ。♂アサシンは、不意に、自分の足元からそんな音を聞いた。  足をどけてみると…そこには、一枚のコイン。10000z金貨だった。そして、それは表を向いている。  一瞬、どうしてこんな高級貨幣が道端に転がっているのか、と考えてしまうのは貧乏人の性というものだろう。  それを拾い上げ、土を払って、しげしげと見つめる。  まーちゃん等は、意外と質量のあるこれを思いっきり投げつけて、相手を撲殺するのかもしれない。  世に言うメマーナイト、である。嗚呼、ブルジョワジー。  金の力万歳に万歳三唱。大合唱。  それはともかく。 「俺が持っていても、意味は無い」  というのだけは、確かだ。 「さて、随分と歩いてきた」  既に、砂漠と思しき地形はあっと言う間に超えてしまった。  距離感が妙な気がするのは…まぁ、深く...
  • 詳細情報男性
    ...♂スーパーノービス 003.♂剣士 004.♂マジシャン 005.♂アーチャー 006.♂アコライト 007.♂シーフ 008.♂商人 009.♂騎士 010.♂WIZ 011.♂ハンター 012.♂プリースト 013.♂アサシン 014.♂BS 015.♂クルセイダー 016.♂セージ 017.バード 018.♂モンク 019.♂ローグ 020.♂アルケミスト 001.♂ノービス <初出:2-007話> <死亡:2-007話> =遺 品= スティレット→♂マジが拾う(2-054) 青箱 1個(焼失)(2-007) =状 態= ♀剣士に殺害される(2-007) 死体位置 島の西部(2-007)燃え尽きた小屋(C-7)(2-054) 死体、所持品は完全に燃え尽きる(2-007) 002.♂スーパーノービス <初出:2-031話> =特徴=...
  • 034
    034.現在と過去と 「異常無し、と…」 オレは木に上り、木の葉に身を隠しつつ周囲を見渡していた。 ここはミョルニール山脈に模されたような場所の近くの花畑… どうやらここらの花の蜜は栄養豊富らしく、植物も動物も全てが大きい。 どうやら何か準備をするようで、オレは見張り役を言い渡された。 どんなことでも、今は自分の修練が役に立つことが嬉しい。 セージの女は相当場慣れしているようではあったものの、 得物――例えば魔詞の連ねられた本のような物がなければ、100%の力は出せないという。 アルケミストに至っては魔物との戦闘すらろくに経験がないらしい。 「ま…そういうわけで戦力になれるのはオレだけ…か」 これから何を行うのかは一言も告げられなかった。 もちろん、GMに盗聴されてでもいたら全てがパーになってしまうことぐらい低Intのオレにもわかる。 周...
  • 038
    038.喪門神 「ふふふ」 BSとモンクの戦い、否BSの一方的な虐殺の一部始終を見てGM秋菜はようやく満足げな笑みを浮かべた 参加者をアリーナに集めた時点でマーダーの素質がありそうな数人の精神に少しばかり細工をした 精神だけではない、たとえマーダーの素質があろうとも非力な製造型では彼女を到底楽しませることなどできない だから、BSに至っては体組織にまで手を加えた、無理な改造のために完全に精神は壊れてしまったがGM秋菜には気にもならない些細なことだった 「でも、皮肉なものですよね。かつて最強の座から引きずり下ろされたBSが現環境下最強の一角であるモンクを瞬殺だなんて♪」 戻る 目次 進む 037 目次 039
  • 033
    033.定時報告 「こんにちわっ、GM秋菜です♪みんな元気に殺し合い、してるかなー?」 間の抜けた声と音楽が擬似現実空間に響く。 「ここで、残念ながらゲームから敗退してしまった人の名前を読み上げまぁす♪ ♂ハンターさん ♂商人さん ♂シーフさん ♀マジシャンさん ♂セージさん 以上5名…あらら、どうにも少ないですねぇ~…誰も殺したくないなんて甘い言葉は通用しませんよ~♪ でも、ちゃんと殺しまわってくれてるひともいるみたいだから安心安心♪ あ、そうそう…忘れるトコでしたー、秋菜、反省。 これから禁止区域を発表します~。 今からいう区域にいる人は、30分以内に離れないとBANしちゃいますよ~♪ 港町アルベルタ 沈没船 砂漠の町モロク ピラミッド周辺 山岳の町フェイヨン 以上です~、さぁ、みなさん頑張って行きましょう~♪」 残り45名 ...
  • 037
    037.闇 俺は・・・誰だ・・・ ♂BSは記憶を失っていた、覚えている言葉はGMという女が言っていた「突然ですが殺し合いをしてもらいます」 の言葉だけだ。 俺は誰だ・・・思い出そうとしても闇が広がり頭が痛くなる。何も考えたくない。 「殺す」 殺せばいいのか?わからない、ただ俺の記憶にあるのは殺せと命じられたこと 「コロス」 もう考えるのも面倒だ、全員殺す 「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス  コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス...
  • 032
    032.死んだふり ♂ノービスが草むらの中に倒れていた。 「………………」 ぴくりとも動かず、まるで死んでいるかのように。 そう、死んだふりだ。 ノービスのみが使える、ある意味無敵の防御スキル。 ♂ノービスは♀ノービスと同時期に初心者修練場から巣立った仲間だった。 友達と呼べるほどの仲ではなかったかもしれないが、右も左もわからない♂ノービスにとっては唯一の知り合いだった。 その♀ノービスが目の前で殺された。 初めて見る人の死だった。 同時に♂ノービスは絶望に襲われた。 自分の戦闘能力では誰にも勝てない、 もし誰かこのゲームに乗らずに脱出方法を考えている人がいたとしても自分は何の役にもたたないと感じていた。 …………ふりではなく、いっそ本当に死んでしまおうか。 一瞬そんな考えがよぎった。 天国には♀ノービスもいるだろう。 怖い思いをし...
  • 030
    030.リベレーションの意味を持つ者 今しがた己の槍で屠った♂シーフを冷ややかに見下ろしながら黒衣の騎士は現状把握に努めた 世の中には古木の枝という魔の眷属を呼び出す品物が存在する、それによって呼び出されたことは想像に難くない だが、空間の雰囲気というべきものが何か違和感を感じる かつて戦ったGM橘の作り出した紛い物の空間に酷似しているのだ 「とりあえず元凶は管理者か……」 事情は判らない、だが倒すべき敵だけは判った GMの意図せず所でワイルドカードが場に伏せられた <深淵の騎士→深淵の騎士子> <参照先:深淵の騎士子スレ 戻る 目次 進む 029 目次 031
  • 036
    036.狂気 「くっ、もう5人も犠牲者がでてるのかっ、急がなくては」 ♂モンクはGMを倒すべくGMの元へと急ぐ。 「奴らが倒れればこの無益な戦は終わるはずだっ…む!?」 そこに1人の男が立ちはだかった、その男は巨大なカートを引いていた 「BSか…、俺はアンタらとやりあうつもりはない、引いてもらえないか?」 「……」 彼は答えなかった、争うつもりはないのだろうか?そう思ってた矢先カートを担ぎ上げ♂モンクに襲い掛かった 「くっ…やめろっ、無理にやりあう気はないっ!」 そう説得するも彼は攻撃を止めなかった 「ちいっ、仕方がない、殺しはせんっ、だが暫く眠っていてもらうぞ。はっ」 ♂モンクは♂BSに発勁を放った、吹っ飛ぶ♂BS、しかし♂BSは何事も無かったかのように立ち上がった 「……」 「なっ…こいつ強...
  • 031
    031.クールに 冷静な判断力。大魔法を操る魔力ではなく、それこそが自分の持つ最大の武器だと彼女は自負していた ポータルで馴染み深いゲフェンに似た街へ落ち着いた彼女は、まず人目につかない屋内へと逃げ込んだ そして荷物を広げて判断を下すため現状の把握を始めた 所持品は食料、赤ポーション、そして二つの青い箱 この箱の中から何が出るか……まず使えるものが出る可能性は低いだろう だが、それでも開けてみないことには何も始まらない 「開けてびっくり玉手箱……と」 まず大きな箱から出てきたのは見事な反りを持った東洋の剣だった 「何、これ?」 手に取ってみようとその柄を手にした瞬間、びりり!と魔力が彼女の体を走る 「!?」 思わず地面に放り投げた刀が、がらんがらんと地面を転がった 「……ムラサマブレードってヤツかしらね」 ...
  • 039
    039.愛する人へ 「……やはり、乗っている奴が居るな」 当然といえば当然だが、と、♂ウィザードは溜息を吐いた。 放送で発表された死者は5人。早いうちに死ぬと予想していたハンターや商人、マジシャンが死んでいた。 そしてやはりプリーストやアサシン、騎士などは死んでいない。 ウィザードは数刻前に隠れ家になりそうな廃屋を見つけていたが、離れなくてはならなかった。 なぜならそこは、GM秋菜の放送で”禁止区域”と指定されたフェイヨンだったのだ。 折角街の中まで入ったというのについていない。 ウィザードは頭の中によく知った”本当の世界”の地図を思い浮かべる。 南のアルベルタには逃げれない。 必然的に目的地はプロンテラの周辺になった。 東の森に逃げるという手もあったが、仮にその森に繋がる区域を禁止されてしまったら…閉じ込められて終わりだ。 「…砂漠越え...
  • 103
    103.君泣きたもうことなかれ ♂アサシンが我に返ると、周りには誰もいなかった。 そう、彼の大切な♀プリーストさえも。 俺は・・・何をしていたんだろう。彼女はどこへ行ったんだろう。 記憶をたどろうとするも、脳内に小さな羽虫がわんわんとたかっているようで思考がまとまらない。 俺たちは、そう、町に向かっていた。 彼女は怯えて疲れきっていて、ゆっくりと休める場所が必要だったから。 彼女が歩き易いように、危険を承知で街道沿いに歩いた。 そこで二人組の集団に出くわした。♀剣士と♂ノビ。 あとは断片的な記憶しか残っていない。 手練れた印象の♀剣士に狙いを定め、走った。 回避不可能な間合いまで一気に距離を詰め、両の獲物を一閃。 後頭部を狙った一撃はしかし光の壁に阻まれた。 前のめりに転り逃れようとする♀剣士を追い、更に間合いを詰めて、 振り上げた刃の先に、さらめ...
  • 2-039
    039.伝説のクホり師 断崖絶壁のすぐそばに灯台がある。 そしてその上で一人の男がタバコを銜えたそがれていた。 「クホホ・・・・・・ついに俺もこんなところに駆り出されちまったか」 妻の顔がもう一度みたい。 そして昔、戦闘BSを目指すという勘当した娘にももう一度会いたい。 もう一度会うことができたらあの時の事を詫びたい。 「あいつ元気してるかなぁ・・・・・・」 幾多の冒険者達の武防具をクホっても罵倒や怨嗟の声を浴びても 悠然としていた鍛冶屋の姿は実はナイーブな一面もあるのだ。 最もこんな状況下だからなのかもしれないが・・・・・・。 「あいつワンパクだったからな・・・・・・」 子供の頃から姉御肌で近所のガキ大将をやったりしていた。 そのくせして弱い者虐めは絶対にしなかった。 力はあったし、不器用さから言っても俺の後を継ぐよ...
  • 2-033
    033.脱出計画 どうしよう。50人で殺しあって最後の一人になったものだけが生き残れる、だなんて。 自分にはそれはきっと無理だ、能力の面でも、気持ちの面でも。 「そうなると・・・ここからこっそり脱出するしかないのかな・・・。」 管理者がやすやすそれを許してくれるとも思えないが殺し合いの頂点に立つより確実だと思えた。 「まず海岸線を歩いてみるかな・・・。周りに他の陸地でもあれば・・・。」 しかし、それを見つけたところで脱出できるというわけでもないが。なんにせよ何か手がかりをつかまなければならない、脱出の。 こんなところで死ぬわけには行かないのだ。私にはまだやり遂げてない夢があるのだから。 (あ、そういえば支給品確認してなかったわね・・・。) 青い箱にいれられているアイテムを確認する。 (おお、愛用してた装備がまさか2つも出てくるなんて運がいいじゃない私も。) 箱...
  • 2-032
    032 追いかけっこ ♀WIZはロザリオを拾い上げ、立ち上がった。 そして、林を抜けて海を目指して進む。 海岸線を歩けば、人に出会えるかもしれない。 でも、その者が、ゲームを楽しんでいたらどうしようか? あまつさえ夢のように、精神操作されていたら? そんなことも♀WIZは頭に浮かんだが、一つの所に何もせずにいるよりは動いた方がいいと思ったのだ。 「・・・ちょ、オーラWIZかよ?!」 「ああ、やっぱり僕の命運はここで終わるんだ。あははは・・・・」 木立の奥の林からから出てきた♀WIZを見て、♂プリーストと♂シーフは思わず叫んだ。 オーラの身から繰り出されるであろう、極まった魔法を食らったらいくらなんでもひとたまりもないはずだ。 「逃げるぞ、♂シーフ」 「ちょ、え、ええええぇぇ?!」 荷物もシーフもまとめて小脇に抱えると♂プリーストは走り出...
  • 203
    203.激闘プロンテラ南フィールド 後編 八回目の打ち込みを回避する♂ローグ。 最初に遭遇した場所からは随分と離れてしまっていた。 すぐに九回目が襲いかかる。 それを斧の届く距離から離れながらスチレで弾き、体勢を崩させつつ更に逃げる。 これを延々と繰り返して時間を稼ぐ♂ローグ。 『くそっ、なんだってこープロ南にゃ木が少ねえんだよ!』 ♂ローグはそう愚痴りながらも、最善を目指す。 城壁側には確か木々が茂っていたはずだ。そこまで騙し騙し引っ張って行くしかない。 深淵の騎士と♀ローグとの相性はお世辞にも良いとは言えない。 これにバドスケのサポートが入れば、♀ローグは倒せない相手ではないであろうというのが♂ローグの読みだった。 もちろん♀ローグも同じ事を考え時間稼ぎをしているだろうが、♀ローグは足止めの事も考えなければならない。 バドスケと深淵の騎士子が一緒になってこ...
  • 2-031
    031 ボーイミーツガール 「ハアハア・・・・・・あたいとしたことが・・・・・・」 左腕の出血は服の切れ端で縛って血を止めているが それにしても血が流れすぎた。 「あの♀マジ!絶対に許さないんだから!」 隠れていた♀マジにいきなりコールドボルトを撃たれ 追いかけるも見失った。 「はは、接近戦なら誰にも負け・・・・・・ないの・・・・・・に」 彼女は製造BSではなく戦闘BSであった。 鍛えられた技の数々は参加者でも上位ランクに食い込むであろう。 だが・・・・・・ その技を発揮する前にリタイアを向かえることになってしまうだろう。 このままでは。 「う・・・・・・目がクラクラしてきた・・・・・・どうしよう・・・・・・」 目の前に小屋を見つけ、そこに転がり込むようにして入った。 そして大の字になりハアハア・・・・・・と荒い息を整える。 ...
  • 2-034
    034.真理を求めるもの 単純に、これは運が悪かったと言うしかない。 魔力を制限された今の状況を把握するために、ちょっと茂みに向かってコールドボルトを試し撃ちしただけだったのだが、まさかそこに人がいるとは思いもよらなかった。 * * * 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」 どこをどう走ったかなんて、よく分からない。 気がつけば鬱蒼と繁っていた森の木立はまばらになっていて、ボクは膝まである草が生えた草原にたどり着いていた。 「た、助かったの……?」 辺りを見回しても、さっきの♀BSが追いかけてくる気配は無い。 念のため、探知の魔法を唱えてみたが――誰かに見つかるかも、という考えはちっとも浮かばなかった――やはり、近くに身を潜めている人間はいないみたい。 その事実が、ボクは柔らかな草の上にしなしなとへたりこませる。 「くぅっ」 瞬間、全身に擦れたような痛みが...
  • 2-035
    035.日常との別れ とりあえず、傷の手当てをしなくては。 ♀BSは、魔術師に撃たれた左腕の傷口をそっと窺った。 スパノビのヒールのおかげでなんとか止血はできたが、傷口は おせじにも癒えたとはいえず、おまけに痛みも戻ってきた。 このままにしておくことはできない。 不幸中の幸いか、凍傷はまぬがれたらしい。 後ろから左腕を弾いた魔力の衝撃はかなりの強さだったので、 おそらく高レベルのコールドボルトだったはずだ。 運が悪ければ凍って砕けてしまうか、一生動かなくなるかするだろうに この程度で済んだのは奇跡としか言い様がなかった。 「あの♀マジ……絶対許さん……でもレベル低かったみたいでよかった」 「ぼず、おで、おで……」 ♂スパノビは、♀BSを癒そうとしきりにヒールを繰り返す。 「もういいって、血は止まったし、助かったよ」 もう何度目か...
  • 2-030
    030. 罪無きイノセンス 大きな木の幹に体を委ね、力無く座り込むローグの少女。怪我をして、辛そうにしている経緯はこうだ。 突然こんな殺人ゲームに放り出され、何、何? と彼女が現状を理解する間もなく、GMジョーカーのポータルにより送り出された森の中(彼女が知るはずはないが、地図上の位置的にはD-4に当たる)には、丁度自分と同じ、ローグの男が降り立っていた。多少気が緩み、あー一緒だろーぐさんだ、と話しかける彼女を無視して男ローグは支給された小箱をぱかりと開くと、その中に入っていた包丁でいきなり斬り付けてきた。左肩から胸にかけて鋭い痛み、鮮血が舞った。多分狙いは喉だったのだろうと後から思い直すとぞっとする。 あたふたと何とか逃げながら、こっちも何か対抗できるものがなきゃ、とあせあせ開けた青箱から出たのはハエの羽。次の瞬間、今度は背中に激痛。縦一文字に斬られたようだ。最早迷って...
  • 2-037
    037 遭遇、そして同行 鳥が、教えてくれた。 近くに居る『誰かの存在』 身を隠す場所を求めて…走り続けて… 気配が消え、彼女は一度足を止めた。 ふぅ、と安堵の息を吐く。 「もう…追ってきてないよ…ね?」 そう思いつつも、鞄の中から取り出したスパナを片手に持った。 戦うのは怖い、人なんか殺せない。 …でも、死にたくない。 生きて帰って…自分のパートナーとも呼べる鷹に会いたい。 そう、彼女が思った時だ。 ―消えたはずの気配の主が彼女の前に現れたのは。 「これはこれは…また、モルモットを見つける事が出来るとは…」 ♀ハンターが振り返ったとき、そこには♂ウィザードが居た。 その手に握られているのは…血が付着したコンバットナイフ。 見たところ…♂ウィザードに目立った切り傷などは無い。 ―この人はゲームに乗って…既に誰かを襲ってる… ...
  • 2-103
    103 間者【明け方】 諸君はアナベルツ教国をご存知であろうか? フレイアを信仰している宗教国家であり軍事国家である。 ちなみにミッドガルド王国の主神はオーディン。 シュバルツバルド共和国と神聖ミッドガルド王国が同盟国で あるなら、アナベルツは敵対国だ。 アナベルツ教国はミッドガルド王国の東に位置する。 まあ、二つの国が対立する原因は色々あるが 一番の理由は宗教の違いであろう。 アナベルツは教国と名がつく通り教皇を頂点とする熱心な宗教国であり 異教国のミッドガルドを討ち果たそうとするのは自然の成り行きであった・・・・・・。 更なる薀蓄を披露することもできるがスペースが足りないことは必至なので物語に入ろう。 * もうすぐ日の出を迎える時刻。 いつもの霊廟のごとき地下室でGM橘とGM森は密談していた。 「おいおい、どうなってるんだ?♂騎士...
  • 2-203
    203.ふぁると♀スパノビだけがともだちさ [2日目夜] これは夢? それともまぼろし? ううん、そんなことない! ほかの誰にもわからなくたって、あたしにはわかる。 空をすべる大きなつばさも、するどい鉤型のくちばしも、切り裂く爪も、強靭なあしゆびも、すぐに思い描ける。 どんな闇夜だって、たとえ目が見えていなくたって、声さえ聞けば、あたしにだけはわかるの。 だからあたしは、おおきな声で大好きな彼の名を呼んだ。 「ふぁる!」 あぁ、ふぁる。やっぱり来てくれたんだ。来てくれたんだね。それもこんなところまで。 つばさや尾羽が、あんなにぼろぼろになってるのに。そうまでして、来てくれたんだね。 だったらもう、あたしもがんばるしかない。覚悟は決まったわ。 相手が鳥を嫌う羽虫の女王なら、あたしはその虫を食べて生きてきた、猛禽の娘よ! ふぁるとふたりなら、できないこ...
  • 2-036
    036 暗い森の小屋  幸いにして、森の中に半ば埋もれる様にして立っていたその小屋の中には、申し訳ばかりの中身が入った救急箱が置かれていた。  ♂騎士は、その汚い小屋に据えられていたベットに上半身を包帯でぐるぐる巻きにして横たわっている。  手当てと言うには余りに稚拙なそれは、♀プリーストが他の二人を制して彼女自身で巻いた物だった。  ベットに縋りつくようにして、緊張の糸が切れて眠っている彼女を見ながら詩人はピュウ、と口笛を吹く。  踊り子は、と言うと唇を苦笑めいた形にしていた。  彼は、幸せな男だ、とダンサーは思う。詩人は一体何を考えているのか軽薄そうな顔を貼り付けたままだった。  やがて、一度呻きを上げたかと思うと、♂騎士が目を覚ました。  踊り子が体を起そうとした彼の胸を、首を振りながら押さえる。 「ぐ……っ、ここ…は?確か俺、ローグに撃たれて…...
  • 2-038
    038.生臭坊主 on the Tree  ―――まぁ、なにはともかく。自分が死んでしまうことだけは避けねばならん。  巨木の頂上、森の頂とも呼べる場所。幹に背をもたれ、座禅を組み(『息吹』と呼ばれる、異国に伝わる一種の瞑想法である)、ほけー、と雲を眺めながら、♂モンクはじっと考え込んでいた。  尻の下には、衣服が汚れぬように広辞苑・・・もとい、黙示録。苔むした巨木の枝葉はじめりと湿っており、直に座ると尻が濡れてしまう。だから、座布団代わり。  神をも恐れぬ行為と呼ばれるやもしれんが、異端の神なぞ知ったことではない。俺が信じるのは、この拳に誓った神のみ。それ以外の神なぞ便所紙すらの価値もないわけだ。と、勝手に言い訳するのは、やはり伝説の武器に対する敬意に他ならないのだろうか。いやはや、それはさておき、だね。今考えるべきはこの広辞・・・黙示録のことではなく。これからど...
  • 007
    007.弱さ あと一回だけの癒しの祈りでこの悪夢のようなゲームから逃げることが出来る だが司祭の少女には死ぬ覚悟も戦いに身を投じる覚悟も無かった 最後の祈りを挙げることも出来ずただ蹲り嗚咽を上げるだけであった ♀プリースト デッドリースケービューラ[1]一個 獲得 小青箱未開封 戻る 目次 進む 006 目次 008
  • 006
    006. 見ず知らずの場所へ飛ばされて、一体何時間が経ったのだろうか。 地図の横にある名簿の中で自分が知る名前は一つしかなかった。 聖職者である自分が人を殺めることにはやはり躊躇いがある。 しかし見ず知らずの他人に命を奪われるのはもっと嫌だ。 考えても仕方ない、そう思いながら俺は支給品の青箱を開けてみた。 中から出てきたのはチェイン。 運がいい、自分が一番扱いなれた武器だ。 気を良くした俺は、もう片方から盾でも出てくれれば、そう思って箱を開いて見たのだが、出てきたのはへこんだ鉄の鍋。 まぁこんなもんだろう。 ため息をついたその瞬間、1度目の放送が流れ始めた。 ♂プリースト チェイン1個・へこんだ鉄の鍋1個 獲得 戻る 目次 進む 005 目次 007
  • NG2-03
    親馬鹿の駆け引き 初夏の日差しが目に眩しい。 私は揺り椅子でパイプをふかしながら表の通りを見ていた。 たくさんの子供が元気に遊びまわっている。 しかし子供だけなのだ、元気な者は。 大人は一様に沈んだ表情をしており露店の数もまばらである。 昔のような喧騒はどこにもない。 「騎・・・・・・団・・・・・・殿」 遠く彼方の島に居る娘の事を思い出す。 娘は生き延びているだろうか? 「・・・・・・士・・・・・・長・・・・・・殿」 いや、彼がついている。きっと大丈夫なはずだ。 「騎士団長殿!」 瞬間現実に引き戻された。 「あ・・・・・・ああすまん・・・・・・どうしたんだね?」 彼は私の右腕である副騎士団長である。 元は下級貴族の出であるが素晴らしい戦功の数々により ここまで上り詰めてきた。 そして彼もまた一人娘...
  • 005
    005.決意 荒涼とした砂漠の中、一陣の砂埃と共に、漆黒の影が走っていた。 気がつくと彼はここにいた。 奇しくもそこは彼の生まれ故郷に酷似していた。 しばらくの間、彼はただ呆然と立ちすくんだ。 頭が混乱して、耳の奥がぐわんぐわんと鳴り響いていた。 GM秋菜と名乗る女が説明したルールはひどく胸糞悪いものだった。 ゲーム自体は殺しを生業とする彼にとって決して不利なものではない。 名前も知らない哀れな♀ノービスの死も、彼には見慣れた光景だった。 ただ、彼は嫌だったのだ。 ギルドの依頼でもなく、何かよく分からないものに乗せられて 納得できないままに他人を殺めるのが。 どう、すればいいのだろう。 このゲームに乗るか、反るか。 決めかねて困惑した彼の脳裏にふっと浮かんだのは、青髪の♀プリーストだった。 まだ彼が駆け出しだったこ...
  • 009
    009.お約束 ♂アルケミストは迷っていた 戦わなければ死ぬ、それは判っていた しかし生き残り故郷に帰り着いたとして、自分になにがある? 伝承の中の人工生命を操る錬金術師に憧れ、来る日も来る日もただひたすらに知識を追い求めた だが人工生命ホムンクルスの実験は幾度と無く失敗し、彼を信じてくれるものはもう居なかった 更に王国から直々に人工生命の創造は不可能である、と発表された日の絶望を彼は忘れていない 生きるも絶望、死ぬも絶望。ならばその絶望の道に誰かを道連れにしてやろうか 街中で商売をすることが主な商人や、非力なアコライトなら自分でもなんとかなるだろう だが職業暗殺者や狡猾な狩人を前にして自分が生き残る確率は? ほぼゼロ それがホムンクルスが世に広まる日を信じて知力を高め続けた彼の結論だった ならば他人と組み少しでも生存率を上げるということは...
  • 008
    008.悪人と  あれから、どれくらい経ったのだろう。  一時間かもしれず、あるいは五分と経っていなかったのかもしれない。  時間の経過は、ずっと蹲っていた彼女には、よくわからなかった。  涙は、枯れない。今も尚、流れている。  死の匂いがする法衣の生地が、涙で黒く湿っていた。 「おい」  誰かの、声。♀プリーストは、顔を上げた。  そこには、一人の男の姿。木漏れ日が逆光となり、大まかな輪郭しか見て取れない。  嗚呼。私は、ここで人生を終えるのか。  確信にも似た想像。剣が、光に照らされて輝いていた。  それは、男が女の頬に、直刃の抜き身。ツルギを突き付けている光景だった。  片や、酷く目つきの悪い、顔に火傷のある男。♂ローグ。  片や、目を閉じると、胸の前で手を組んだ女。♀プリースト。  それは、静かな、光景だった。...
  • 001
    001.狂気の夜明け  そこは、外界と隔離された空間だった。  とはいっても、別に地中の洞穴であったり、絶海の孤島である訳ではない。  有り体に言って、そこには外界への空間的繋がりの無い何処かであった。  無論、そんなものが自然に存在する訳は無い。  GM。神の御使い。様々に呼び習わされる何者かが、始まろうとしている狂った茶番の為に作り上げた箱庭だった。 「こんにちわっ、GM秋菜です♪今回、栄えあるイベント参加者に選ばれたみなさんには、突然ですが殺し合いをしてもらいます」  白い服を着た女が、言う。  その一言に、狭く、暗いホールの中に鮨詰めに座らされている、雑多な一団が大きくざわめいた。  幼い姿の者。奇妙に痩せた男。気高い聖職者。力強い騎士。その他諸々。何一つ統一性はない。  しかし、その顔という顔には一様に激しい困惑が浮かんでいた。 「...
  • 200
    200.激闘プロンテラ南フィールド 中編 ♀ローグは目標目がけて一直線に走る。 それを少し遅れて追う♂ローグ。 その行き先に気付いて♂ローグは♀ローグの真意を測りかねた。 ♀ローグの走る先、そこには♂BSが居たのだった。 ♂BS、そして対する深淵の騎士子もバドスケもかなり消耗しているように見えた。 ♀ローグはそんな♂BSに向かって駆け、その足音に気付いたそちらを見もせずに当てずっぽうでブラッドアックスを振る。 もちろんそんな甘い攻撃の通用する♀ローグではない。 スライディングの要領であっさりとそれをかわして♂BSの横をすり抜ける。 ♂BSにとってはそれだけで済んだ。 だがそれだけで済まないのは深淵の騎士子だ。 ♂BSの体が邪魔になって♀ローグの姿は完全に死角になっていたのだ。 『♀ローグだとっ!?』 スライディングから立ち上がり、勢いそのままに深淵の騎士子に...
  • 2-100
    100 蟲 ・・・びちゃ。 月明りの差し込む室内にて。 床に転がる首の無い男。彼の動かない筈の肉体が、血溜まりの中でびくんびくんと何度か跳ねた。 びちゃ。ごり・・・ごり。 何かを貪る様な音と共に、びくびくと跳ねる。その度に未だ乾き切っていない血溜まりは飛沫をあげた。 ・・・・・・ぺちゃり。 ・・・・・・・・・・・・ ・・・ずる。ずる。 ・・・・・・・・・・・・ 数時間後。 その室内に、首の無い男はもう居らず。彼が転がっていた筈の位置には赤黒い染みの広がりと、骨の欠片と思しき白い破片だけが残されていた。 そして扉の外まで、延々と血の跡。 浜辺には、何かが這い擦ったような跡。 大臣の腹の中から帰った寄生虫、屍を喰い成長して何処かへ ※アルギオペの亜種。特別枠関係無し、BR参加者とは見なされないが、本能のまま人は襲う...
  • 100
    100.対狂人戦 ♀剣士と♂ノビの二人は聖カピトリーナ修道院を後にし、衛星都市イズルートを目指していた。 そこの船を使えないかという淡い期待に賭けての行動であった。 敢えてプロンテラを迂回したのは、そこには人が集まりやすいという理由である。 「ねえ師匠。今晩はもーそろそろ野宿ですか?」 ♂ノビの暢気な声が聞こえる。♀剣士も淡々とした口調でそれに答える。 「もう少し急ごう。他の連中に食料奪い尽くされる前に、私達で確保しなければな」 「はいっ! いや~それにしても師匠は冷静ですね~。頼もしい限りですよ♪」 にこやかにそう言う♂ノビ。だが、♀剣士は表情を曇らせた。 「……少年、ここが何処だかわかるか?」 「はい?」 いきなりの質問に♂ノビは素っ頓狂な声をあげる。 だが、♀剣士は至って真面...
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    43話までUP。あとNG関係もいくつか。登場人物とか直したいけど#contents構文が上手くいかん… -- ボ ス ケ テ 2005-11-10 14 29 10 何か、萌え板死んでるっぽい? -- 名無しさん 2005-11-12 11 46 40 今さらですが、第一回の目次を修正。(性別の表記漏れ) -- 名無しさん 2005-11-15 12 59 18 ↑おつかれれい。久々に読み返して、♂アルケミのギャップに悶えた。 -- 名無しさん 2005-11-15 19 12 06 第2回ROワの76話から97話までをUP完了 NGもちょこちょこ -- 名無しさん 2005-11-17 15 21 24 忍者の参考(アサシン物語}のリンクが切れていたので修正しました -- 名無しさん 2005-11-21 03 13 11 Webレンタルサービスの方か...
  • 2-004
    004.指名 朝早くからギルドマスターの呼び出しを受け、まだ重い瞼を何とか開いてマスターの部屋に向かった シュッ 部屋のドアを開けるなり、いきなりナイフが飛んできたが避けるのは簡単だった 「朝の挨拶にしては物騒じゃないか、マスター?」 言っても無駄だと思いながらも抗議はしたが、予想通りマスターは抗議を無視し話を切り出した 「♂アサシン、BRを知っているか?」 「王国がやってる趣味の悪いお遊びだろ興味はないね」 いつもの事だと思いながらもため息を吐きながら不機嫌に答えた 「お前、ちょっとその趣味の悪い遊びに行って来い。  過去3回行われたBRではアサシンギルドから優勝者が出ていない  そろそろ王国のお偉方に俺達は命を扱うギルドだと言う事を思い出してもらう必要がある」 「何で俺が? 俺が勝ち残る保証はないぜ」 当然の疑...
  • 2-008
    008.楽園 島の北端―――岩が点在する浜辺に、その男はいた。 波音が響き渡る明るい砂浜には不釣合いなマント。 加えて直射日光に砂からの照り返し。 汗が噴出して然るべき暑さだというのに、男には一筋すらそれが見当たらなかった。 「殺し合い…ですか」 まるで月一つ見えない暗闇のような黒髪。 生気のない土気色をした肌が、更に男の雰囲気を暗くしている。 「ふっ…」 思わず笑いが漏れた。 いつもなら魔術師が集うあの塔に近づくだけで、まるで汚物を見るような視線をぶつけられる自分。 それが何故いきなり呼び出されたのか、これで納得がいった。 実に簡単だ。単純に邪魔だから、この機会に始末してしまおうということ。 頭の固い年寄りどもにしてみれば、またとない好機だったのだろう。 だが… 「ちょうど良いですね」 以前から、人体の研究はしてみたかった。 しかし一般常識とい...
  • 2-002
    002.ご利用は計画的に 「あーもー、こんチクショウめ」 その職業らしからぬ豪快さで、どかっと地面に腰を下ろして女アコライトは自分の支給品を眺めていた 節約して飲めば二日分程度の水に控えめに食べれば4食分ほどのパンと干し肉、この島のものらしい地図、その他細々とした雑貨の品数点 そして最後に入っていた支給品、二つの青箱のうち一つは速度増加ポーションらしいビンが2本、もう一つが武器ならよかったのだが 「こんなモノどーしろっつーのよ」 それはとても戦いには使えそうに無かった 元々モンク志望ゆえに武器は無くとも素手での戦いには自信はあった。それでも武器になりそうな物はあった方が良かったのだが だがしかし、これは… 「くぅ~ん」 つぶらな黒い瞳の子犬が膝の上から彼女を見上げていた どうするーア○フルー♪ そんな曲が頭の中を流れる ...
  • 2-005
    005 暗殺者の美学 見上げれば雲ひとつない晴れ空。 チリチリとアタシを焼く初夏の日差しに思わず立ちくらむ。 アサシンであるアタシはどうにも直射日光というやつが嫌いだ。 とりあえず木立に身を隠して、置かれた状況でも考えるとしようかね。 ピエロ帽のGM、アイツの言葉を信じるなら、ここは無人島。 渡された地図を見てもそれが分かる。 亀島に似ているけどこんな島は見たことがない。 そして、始まったのは1人になるまでの殺し合い。 なんでこんな殺し合いをしなきゃならないのかは分からないけど、 ここから脱出する手段が見つからない限り殺し合いは遅かれ早かれ始まる。 理由はこの首輪。 この首輪がある以上、アタシたちはうかつな行動ができない。 逆うことで爆発するということは、ヤツらはアタシたちをどこかで監視しているということで、 いつでも任意の...
  • 2-009
    009.ゲーム 「ふむぅ、どうしたものですか…」 幼さの残る顔付きと、それとは裏腹に落ち着いた口調。 少女の服装はノービスに近いものだが―それとは違うもので。 その服装は、スーパーノービスと呼ばれている者が身につける服だった。 少女は座り込み支給された鞄をがさごそ、と漁る。 「ん、食料と水とコンパスと地図…古く青い箱…に似たケースが2つ」 中に入っているアイテムを冷静に数え、少女はそれらを取り出した。 食料を均等に数日分に分けて、コンパスと地図を自分の右隣に。 古く青い箱に似た、ケースを2つ並べ…じっくりとそれを見つめる。 元々、ギャンブル精神は全然無い少女だが、今は開けるしか道が無い。 ここで何が出るかによって、自分の運命は大きく変わるんだろう。 「…普段、愛用してるスティレットが出てくれたら嬉しいんですけど」 そう呟きつつ、少女は1つ目ケ...
  • 2-000
    プロローグ 神聖歴1026年―― ルーンミッドガッツ国王トリスタンⅢ世急死。 英明な君主として知られるトリスタンⅢ世の逝去は世界に大きな衝撃をもたらした。 トリスタンⅢ世はいまだ世継ぎに恵まれておらず、一国の王としてはまだ若かったために後継者も定めていなかったのである。皇后イゾルデ以外に側室も持っていなかったことが裏目に出たと言えよう。 当面はイゾルデが摂政として国王を代理し、大臣や騎士団がそれを補佐することになった。 ところがすぐに問題が表面化する。重要な意志決定にもたつくのだ。 大臣同士の意見が食い違った場合、それまではトリスタンⅢ世が即断を下していた。しかしお飾りである皇后イゾルデにそれだけの決断力はなく、議論によって最良の結論を導こうにも政治に絶対の解などない。意見の対立が個人間の感情的対立へと広がるに至って、国政は悪化の一途をたどった。 国...
  • 2-001
    001 惨劇開幕 「れぃでぃーすえぁーんどじぇんとるめーん! 紳士淑女も老若男女も善人聖者も悪漢悪女も、ようこそいらっしゃいましたぁッ!」 まるで喜劇役者を思わせるような大仰な身振りで、赤青白のピエロ帽をかぶった男が一礼した。裾の長い純白の装束をはためかせ、何が楽しいのか壇上を踊るように跳ね回る。まるで西の果てにある廃墟の古城に住まう道化の悪魔のように。 男は浪々と歌うように続けた。 「ここは絶海の孤島にして脱出不可能の大舞台。怜悧果断なる女王イゾルデ様のオペラハウスにして、陛下の慈愛に満ちた処刑場。さあさあ、此度四度目の公演となりますは、総勢五十の愚者たちによる悲劇と喜劇の狂想曲にてございます」 五十人。ピエロ帽が言うように、年齢も性別も職業もバラバラの人々が石造りの広間に集められている。 精悍な顔立ちの剣士、狩人の女性、盗賊風の男や賢者に聖職者――その全てが、信じられ...
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