バトルROワイアル@Wiki内検索 / 「2-142」で検索した結果

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  • 2-142
    142.目覚めは恐怖と共に うおっともクホっとも取れる小さな悲鳴が浅い眠りの中の鼓膜を揺さぶり、枕代わりの敷石から頭をずり落として♂アコライトは目を覚ました。 一日目の夜は、合流したホルグレンと情報を交換しながら何とか安全そうな岩場を確保し、互いに見張りを交代しながら眠りについたのだが、この島で安全を約束してくれる場所なぞある筈もなかった、という事に彼等が気付くのは、少し遅過ぎた。 何が起きたのかと辺りを見回すと、♂アコライトから少し離れた岩陰の向こうで、見張りをしていたはずのホルグレンが、こもった声を上げながら転がりまわっている。悲鳴の主は彼のようだった。 夢でも見ているかのようにその光景を眺めていた♂アコライトだが、やがてぐったりとなりびくびくと痙攣を始めたホルグレンの姿で漸く理解した。何者かに、襲われているのだ。 「ホルグレンさん・・・!?」 ――助けなければ! ...
  • 詳細情報特別
    ... 死体位置 G-6(2-142) 思考 生きて帰って家出した娘に会いたい(2-039) 寄生虫に襲われ死亡(2-142) 048.工務大臣 <初出:2-040話> <死亡:2-098話> =特徴= [容姿]NPC(PvPドアマン)(2-040) [口調] [性格] [備考] =遺 品= 馬牌(残4)(2-040)→♂ローグに奪われる(2-066) 青箱(2-040)→♂ローグに奪われる(2-066) =状 態= 首輪の爆発により死亡(2-098) 死体位置 小屋(I-5)(2-076) 寄生虫入り保存食を食べさせられた(2-066) →死体は孵った寄生虫に食われる(2-100) 049.淫徒プリ <初出:2-047話> =特徴= [容姿]女装している(2-047) [口調] [性格]策士(2-047) [備考]...
  • 2-140
    140 ♂WIZの思考(嗜好) [第2回定時放送後] GMジョーカーによる2回目の茶番が終わる。 1回目は9人、2回目は8人。一昼夜で、すでに17人もの人間が還らぬ魂となってこの島をさまよっていた。 片眼鏡(モノクル)を左目に煌めかせた黒髪の男が、ふぅーっと大きなため息をつく。 ため息の理由など推して測れよう。彼にとってみれば貴重な実験体が17体も失われたのである。 魔術師ギルドが、ただ禁じられている研究内容であるという理由だけで稀少な異端学派の書物を焚書にしたときも大いに嘆いた彼ではあったが、 今回の失望はそれ以上であった。 未だひとつの献体も入手できず、無為な時間を過ごしたことに気付いた彼は苛立ちを消すためであろうか、 左手のスティックキャンディをぺろり、ぺろりと舐めながら、なにかを思案しているようであった。 おそらくはこれから先の方針を考え...
  • 2-148
    148.殺人者VSファルコン 「この・・・・・・トリ公が・・・!」 ♂ローグは、全身に作った細かな傷口に苛々していた。どれも浅いものだし痛み自体は気になる程ではないが、相手ははじめに矢が一発掠ったきり無傷、自分はこの有り様。一方的にやられっぱなしなのが、彼にとっては癪だった。 とはいえ、彼の対峙している相手――ファルコンは、標的が小さい上に動きが素早く、何より空を自分の領域とするその攻撃は、360度立体的な軌道から成り、未だに掴めない。このまま攻撃を外し続けると、無駄撃ちしてしまった矢もバカにならない。 人間様より狩り辛いじゃねぇかよ、と♂ローグは吐き捨てた。 だが、こいつは野性の動きではない。自分を狙っている人間を恐れず、逃げるどころか挑発に乗るように攻撃を仕掛けてくるとは。 何より、野鳥は鳥のくせに滑稽なヘアバンドをつけていたりはしない。 「・・・・・・オイ...
  • 142
    142.短距離ランナーと長距離ランナー 切れ間無い鋼のぶつかり合う音に♀ローグは恍惚の表情を浮かべる。 「良い、あんたとても良いよぉぉぉぉぉぉ」 砂かけや石投げは難なく回避されサプライズアタックやバックスタブを繰り出そうにもハイディングする暇すら無く、明らかに♀ローグが不利であった。 それにも関わらず♀ローグは笑っていた。 「楽しいっ楽しいよ!この感覚初めてだよ!」 何故こんな生き方を知らなかったのだろうか、知っていたならばうんざりしたつまらない毎日を送らずに済んだというのに。 狙いの甘い切り返しを的確に見切り弾き返し逆に攻勢に出る。 「あはははは、どうしたの、さっきから黙ってるけど。あんたは楽しくないの?」 興奮状態にあった♀ローグは気がついていなかった、彼女が攻めに回ってからまったく鋼のぶつかり合う音がしなくなったのを。 両手をだらりと下げ細やかなステップだ...
  • 2-147
    147.ツインテール  グラリスは、雷で木に叩き付けられた。  本来の威力は弱まれど、人を弾き飛ばすには一番良い魔法である。 「人を殺める事はしたくはなかったのですが……命を狙うというのであれば……容赦しないわ」  魔法を放った人物、すなわち♀WIZはグラリスを睨みつけて叫んだ。  足元には右肩を斬られた♂シーフが横たわり、♂プリが手当てしていた。 「……傷は浅いですね、骨にも到達してませんから。ヒールで傷はふさがると思います。咄嗟に傷が深くならないように避けたんでしょうね。あの剣激をこの程度の傷で済むなんてすごいですよ」  ♂セージのその言葉にホッとしながら、♀WIZは視線をグラリスから離さない。  木に叩きつけられながらも、死ぬほどの威力がないことを確認してグラリスはずれた眼鏡を直しながら立ち上がった。 「威力が弱まっているとはいえ……さすがはオーラをまとった...
  • 2-145
     145 鉄面皮  面白く無し、と♂クルセイダーは鉄面皮の裏で考えていた。  原因は目の前の二人、である。  彼はさも当然の様に(彼にはそう見えた)声をかけて来た♂モンクに応じ、一時彼らと共に座り込んでいた。  僧兵曰く、彼を治療したいと言った♀騎士に感謝しろ、と言う事らしかった。  今更口にするまでも無いが、ここは殺戮の庭である。  だと言うのにだ。これは一体なんたる偽善か、そうでなければ愚鈍であろうか。  彼は勿論、冷静ではある。  意識ははっきりとしているし、殊にこのゲームにおいてならば彼に勝る経験を積んだ者などいるまい。  例えば、只殺すだけでは最後まで生き残る事は出来ない、と理解している点。  他にも、諸々の生存論理がある。  しかし──正直に言えば、彼は眼前の♂モンクと♀騎士が妬ましかった。  直ぐにでも切りかかりたくはあったが、彼の...
  • 2-141
    141 この出会いは幸運か不運か 「ふむ……闇雲に歩いたところで器に辿り着けるわけでも無し、かと言って羽虫どもではアテにならぬ。難儀なものよな」 ミストレスは艶のある紫の髪の一房を指に絡めて、落胆を吐息に混ぜた。妙齢の美女が――しかも露出の高い♀WIZの姿で――憂いに顔を陰らせる光景は、普通の男ならば心奪われるに違いない。 さもありなん。彼女は人に近しい姿をとってはいるが、人を惑わす魔性の存在だ。もし能力低下の呪を受けてなければ、否、呪いがあろうとも彼女が真の器を得ていれば、人虫問わず異なる性をもつものたちを残らず虜にすることも出来よう。 それ故に、彼女の異能を常人並に押し込めた呪いの強大さが窺い知れた。 「道化めが」 憎々しさを吐き捨てて、髪をいらう指を解き、繊手を横一文字に振り払う。 バジィッ、と濡れた布を叩きつけたような異音が響き、ミストレスの横手にあった若木が...
  • 2-146
     146 Miscalculation グラリスは勝機を焦ったための誤算に歯噛みした。 ♂シーフは自らの誤算のために高い代償を払った。 ♂プリーストは軽率な一言が招いた誤算を悔やんでいた。 ♀ウィザードは気のゆるみからの誤算を打破しようとした。 そして、♂セージにとっての誤算は…。 「小川が近くにありましたね。汲んできたらどうですか?」 「うん、そうするね?」 ♂セージを見上げていた少女は♂シーフの提案を受けて小川の方向へと駆け出していった。 最初の同行者である♂セージに声を掛けてから駆け出すまでの時間、わずか数秒。 普段の♂セージならば諧謔の効いた一言も言おうものだが、♀ウィザードの話を反芻していた今の状態ではダメともいいとも応えることは出来なかった。 そして、はたと気づいた時には少女の背中は木立の中へと消えていった後であった。 「お...
  • 2-144
    144 Goodbye my princess 毎日の日課だった弓の練習。 それを終えて家に戻ると、家族みんながおいしいご飯を作って待っててくれた。 あたしはそのころはまだ弓が上手で、パパにもパパの友達にも、いつも褒めてもらってた。 厳しいけれど、強くてかっこよかったハンターのパパ。 優しくて、自慢できるくらいきれいなダンサーのママ。 弓の腕はからっきしだったけど、いつも綺麗な声で歌ってくれたバードのお兄ちゃん。 あたしはみんな、大好きだった。 なのに。 いきなり現れた綺麗なおねえさんが――綺麗で怖い女王蜂が、あたしのしあわせを全部奪っていった。 あんなに強かったパパは、虫の兵士たちに全身を刺された。 あんなに綺麗だったママは、あいつが撃った雷で、真っ黒になった。 最後まであたしを庇ってくれたお兄ちゃんは、虫に喉を食い破られた。大好きだった歌声も...
  • 2-149
    149.騎士として [昼頃] (本当に大丈夫か、こいつ) ぼんやりとした様子で歩く♂アルケミストを見て、♂騎士は思った。 ――こんな時に襲われたらどうするつもりなんだ。やっぱり俺が守ってやるしかないのか。 男を守る趣味はないんだが、先ほど守ってやるなんて言ってしまった手前そうするしかないんだろう。 しかし男としてどうなんだ、それは。男を守る俺も、男に守られるこいつも。 第一なんなんだこいつは。ぼーっとしやがって、騎士として守る気もおきないっての。 今から数時間ほど前。 二人はあの惨劇の起こった場所へ、♀クルセイダーを埋葬するために戻っていた。 安らかに眠る彼女はまるで笑っているかのようで。♂騎士は少しそれを羨ましく思った。 他でもない彼の手で殺された♀プリーストは、笑顔とは程遠い絶望に染まった表情をしていたから。 ♀クルセイダーの体を♂アルケミス...
  • 2-143
    143 世界せーふくの才能 [2日目午前中] 「あーあ、とんだ無駄骨だったわね」 とげとげしい口調による悪ケミの攻撃が開始される。 忍者は彼女の苦情に対し軽く謝罪を済ませ、なだめると、先ほどまで自分たちが調査していた白い塔を見上げた。 ひゅーひゅーと吹きはじめた風の勢いにまかせるようにして、灰色の雲があわただしくこちらに近づいてくる。 「雨が降るかもしれないね」 嫌な色の雲を見て、そうこぼしながらも忍者の思考は別へ向かっていた。 風の音に混じった、けれど卓越した聴力を持つ忍者ならばこそ判別することのできるノイズ。 キーンと三半規管を不快に揺らす超高周波の音。 その音は忍者にとって聞き馴染みのある音であった。 (間違いない、これは訓練砦の制御装置が発する音だ。それもかなり強い) けれど忍者はそのことを口に出して伝えることができない。...
  • NG2-14
    NG 最低な屑野郎(放送直後) 「あなた、ここで何しているの?!」 ひっ!という声とともに♂騎士は頭を抱え後ろ向きになりガクガク震え始めた。 私達一行は放送直後に偶然♂騎士を見つけたのだ。 「私は何をしているのって聞いてるんだけど」 髪を掴み無理矢理こちらに引き戻す。 「ちょいと乱暴はやめてあげなよ。可哀想じゃないか」 ♀BSが同情した声で私を責める。 「お、おで、い、いいやつ」 ♂スパノビはにこやかに♂騎士に向かって語りかけたが 逆にひぃぃぃぃという声とともに♂騎士はまた頭を抱え込んでしまった。 ♂スパノビは傷ついたような顔になりシュンとしてしまった。 「あなた、♀プリをどうしたの・・・・・・?」 そう問いかけると同時に私は草陰に落ちた血糊のついたナイフを 見つけた。 まさか・・・・・・。 「あなた、もしかして♀プリを...
  • 詳細情報男性
    ...の限界を越え、錯乱(2-142)→気絶(2-152) ジルタスの死のショックにより内面に変化?(2-156)→狂気を帯びる(2-160) ♀ノビに殺害される(2-197) =戦 闘= I-5で♂ローグに襲われ、逃走(2-076) G-6で寄生虫に襲われる(2-142) ジルタスの仇討ちのため、グラサンモンクに襲いかかる(2-197) G-7で♀ノビに殺害される(2-197) 007.♂シーフ <初出:2-024話> =特徴= [容姿]栗毛(2-024) [口調] [性格] [備考]習得スキル ハイディング(2-024)      盗作ローグ志望でちょっと頭が良い(2-060)      両親を失った過去を持つ(2-187) =所持品= 多めの食料(2-024) イグドラシルの実(2-187)→♂騎士、♀Wizに使用(2-188)...
  • 2-114
    114.Devotion 私は、弱かったんだろうか。 薄れてゆく意識の中で、♀クルセは思っていた。 喉からひゅうひゅうと空気が漏れ、熱いものが流れ出していく。 私はここで死ぬんだ。 あなたを守ると言ったのに。 暖かな血と共に、命が流れ出していく。氷のように冷たい死が、全身を犯していく。 あの夜の底よりもなお暗い闇が、自分を飲み込もうとしている。 怖い。 鼻歌を歌いながら、道化師がやって来る。 怖い怖い怖い 9人分の死体をぶら下げて、後ろに4人を引っ立てて、鎌を担いでやって来る。 怖い怖い怖い怖い怖い そしてゆっくりと告げる。さあ♀クルセさん、お迎えに上がりましたよ。 怖い助けてこんなの嫌お父様お母様どうして死にたくない誰か――!! ぽつ、と胸に熱が広がる。ぽつ、ぽつ。 闇に包まれていた私の意識が一気に開けた。 ♂アルケミさんが泣いている。私を...
  • another2-14
    another 目覚め 首筋の冷たい感触は彼に避けられない死を感じさせた。 押し当てられたカタールの刃は命を奪う死神の鎌で、死神は彼の背後で、彼をあざけるように笑っていた。 「安いねぇ。あんたの命は安すぎるよ。そんな安物を買ったアタシはなんて不幸なんだろうね」 男が意外に思うほど、死神の声は美しくやわらかな女性の声だった。 抑揚にどこか底意地の悪さが見え隠れするあたり、この女はもしかするとひどく若いのかもしれない。 男はそう思った。 けれど男は後ろを振り向くこともできず、顔を確認することもできないので、しかたなく悪態をつくことにした。 どうせ自分の命は女の思うがままなのだ。いっそ怒らせて、憤怒の表情をさせて殺された方が幾分かは気も晴れよう。 気分が晴れたところで殺されるのだから意味はないということを考えないようにして、男は口を開いた。 「...
  • 詳細情報女性
    現在の状態  詳細情報 男性冒険者 女性冒険者 特別枠参加者 その他の人物 021.♀ノービス 022.♀スパノビ 023.♀剣士 024.♀マジシャン 025.♀アーチャー 026.♀アコライト 027.♀シーフ 028.♀商人 029.♀騎士 030.♀WIZ 031.♀ハンター 032.♀プリースト 033.♀アサシン 034.♀BS 035.♀クルセイダー 036.♀セージ 037.ダンサー 038.♀モンク 039.♀ローグ 040.♀アルケミスト 021.♀ノービス <初出:2-011話> <死亡:2-197話> =特徴= [容姿]髪型 ノビデフォ(2-011) [口調] [性格] [備考]死んだふり使用可(2-050) =遺 品= ポイズンナイフ(2-174)→♂ローグに奪われる(2-197) 包丁(♂ローグの手向け品)(2-197) ...
  • 2-150
    150.地図 例えば、 少しでも禁止区域に入れば即死に至るこの島において、 「ちょっとぉ……本当にこっちで合ってるんでしょうねぇ?」 その禁止区域を教えてくれる地図を持たずに歩き回る馬鹿が居るだろうか? ヨタヨタと傷ついた身体を引きずりながら、前を行く子犬に♀アコは問い掛けたが、子犬はあどけない顔で振り返って頭の上に『?』を浮かべただけだった。 「うぐっ……期待なんかしてないわよ……」 がっくりとうなだれながら♀アコは呟いた。 「まぁ……あたしの方向感覚に比べるとマシ……なのよね?」 自分の方向感覚の無さにはほとほと呆れる。それ故に自分よりマシな方向感覚を持つであろう子犬に先導させて歩いていた。 荷物を残してきた崖の上を目指して何時間歩いたのだろうか。 あたりは砂浜から密林めいた景色へと変わっていた。 「ねぇ…あたし、こんなにも泳いだっけ?...
  • 2-133
    133 ミッシング・マップ [第2回定時放送より30分以内] ざざぁと静かに打ち寄せる波が、心を落ち着かせてくれる。 海は穏やかだ。晴天にきらめく日差しも心地よい。 隣ではデザートウルフの子供が暢気に、砂浜をごろごろと転がり回って遊んでいる。 その空間だけを切り取るならば、そこはとても平和な空間であった。 しかし。 「・・・・・・困った」 傷はまぁいい、雀の涙ほどの効果ではあるがヒールで多少痛みは和らいだ。強調する部分は「多少」。 いつの間にか昇っていたお日様が、服もある程度は乾かしてくれている。強調する部分は「ある程度は」。 彼女――♀アコライトはたった今、GMジョーカーの定時放送が流れてきたことによって目を覚ましたのだが、問題はその定時放送だった。 新たな禁止エリアが発表された。♀アコライトもすぐに地図を確認しようとしたのだが、そこで地図は♂クルセイダ...
  • 2-115
    115.Land Seeker 放送後の島の最南端… 海を見下ろす岬の先端に、闇色の半径4メートル程の球形が形成されていた。 月光が皓々と辺りを照らす中、周囲の闇より遙かに暗いそれは、見方によっては底が見えぬ穴のようにも見えるだろう。 そしてあまりに不自然な『それ』の中心に、 「むう、こんなものかの」 やや不満げに眉を顰ませる女性…ミストレスはいた。 背の薄く光る蜻蛉のような4枚の羽と赤く輝く双眸は、彼女が人外であることを物語っている。 リーン…リーンリーン…… 波の音に混じって流れる高周波音…羽から発する震動音にあわせるように闇色の何かは形を変える。 時には空に浮かぶ雲のように、時には海底の砂泥のように。 …変幻自在なそれが何なのか語るまでもないだろう。 苦手な者(例えば♀ローグ辺り?)が間近で見たら卒倒すること請け合いである...
  • 2-172
    172.ヒューマンエラー [2日目午後・雨~夕方] 「先程、♀アコライトの件で少々おかしな点が報告されているのですが。」 部下のGMの報告に、顔をしかめるGM森。 彼は自室で日課の筋トレに励んでいる所だった。 「今、俺は勤務時間外だぞ。後にできんのか。」 「ですがもしかしたら…異常事態かもしれません。至急GMジョーカーに報告して頂きたいのですが…」 はぁとため息をつくと両手にもったダンベルを下ろし、アゴで示して報告を促す。 「何か問題でもあったのか?」 「問題…かどうかは判りませんが。  まず現状報告ですが、♀アコライトの首輪の反応は通常通り。  彼女の発言もライフパターンも問題無く記録できています。  また彼女が所持していた地図はD-8地点から移動していない所を見ると、おそらく地図を携帯していない様です。  それに関してはD-8地点...
  • 2-161
    161.忘れ去られた男 [雨の降り出す前] 「うーん、おかしいな。全然誰にも会えないよ」 少女がひとり、首をかしげながら丘の上を歩いていた。 身に着けている服はマジシャンの衣装である。 しかし、おしげもなく肌を露出させるマジシャンの衣装に反し、少女のからだはひかえめである。 『まったいら』という表現こそかろうじて避けられるものの、少年が女装しているように見えなくもないほどであった。 あれからどれくらいの時間がたったのだろうか。 ♂マジシャンの怪我に動揺し、走り出した少女は、誰とも会うことができないままに時間だけを費やしたことで、いまや落ち着いていた。 あわててひとりになってしまったことは軽率だったかな、なんて思いながらも、はぐれてしまった♂マジシャンと再会することすらできず、 しかたなしに少女はひとりで丘の上を歩いていたのである。 それにしても...
  • 2-184
     184.破戒 二日目宵の口  父親が死んだ。  不思議と、余り悲しいとは思わなかった。  世辞にもいい父親ではなかったけれど、多分そのせいでは無いと思う。  きっと、そのせいじゃない。  きっと──きっと、そのせいなんかじゃない。  言い聞かせるように何度も言葉を転がす。  そのくせ♀BSは、一しきり酒でも煽りたい様な気分だった。  二度目のサヨナラにも乾杯だ。丁度、先程まで雨も降り注いでいて。  ひどく寒い。回復したとはいえ、体力は普段に比べれば落ちているのだし。 「お天道様も泣いてたのかね」  呟いた。彼女とその同行者は立木の影で雨をしのいでいた。  結局、♂ハンターには追い付けなかった。山歩きへの慣れの差であった。  酷く暗い。彼女以外には誰も何も口にしなかった。  正直に言えば、彼女もまた彼らを責める事が出来る様な状況ではな...
  • 2-110
    110.眠れ、愛しき人よ 【朝方】 森の中に埋もれるようにして建つ小屋。 一度は激情に駆られて逃げ出したその場所に、♂騎士は今一度足を踏み入れた。 「♀プリ……」 床に広がる夕陽のように赤い血。倒れ伏す相棒――愛しい彼女。 中の様子は血が乾いているという違いこそあれ、彼に悪魔が降りた夕暮れのままだった。 転がる彼女の遺品――少女の日記と未開封の青箱。 それを拾い上げ、彼は自分の胸に抱きしめた。 そして、魂なき♀プリーストに視線を戻す。 一人倒れる彼女は、本当に孤独で、寂しそうで―― 「ごめんな、こんなところに一人にして。……寂しかったろ」 ゆっくりと彼女を抱き上げる。 氷のように冷たい体が、彼女の死を♂騎士に改めて認識させた。 「……馬鹿だな、俺」 わかっている。殺したのは他の誰でもない、この自分だ。 木陰に遮られることなく、日の光を...
  • 2-178
    178.紅の騎士 [2日目夕方(雨が上がる前)] 雨が降れば、移動をしようとする人間は減る。 だがそこを狙って、あえて移動をして他人を襲おうとする人間もいる。 そのような人間が、雨をしのぐに最適であろう集落を狙うのは当然のことだ。 ♂騎士も、もちろん警戒を怠ってはいなかった。 だからこそ逃げ場のない小屋の中ではなく、雨宿りの場所を軒先へと移したのだ。 しかし――かつての恩人が、彼を襲うなどとどうして想像できようか。 命の恩人との再会を喜んだ彼が、あっさりと♂クルセイダーの接近を許してしまったのも無理はなかった。 「気づいたか。なかなかの反応だ」 奇襲を避けられたというのに、眉一つ動かさずに♂クルセイダーは静かに呟いた。 「……俺は、警戒してたからな」 避けた、とは言っても深い傷にはならなかったというだけだ。♂アルケミストは血の滲む肩口を抑え、顔を歪めた。...
  • 2-105
    105 梟【深夜~明方未明】 ほっほう。 礼には及ばない。ただ教えただけさ。この道を真っ直ぐ進むと、魔術師風の優男と遭遇するだろう、とね。歩みは遅いしこの位置からはどんどん遠ざかっている。出遭いたくなければ君達のほうが歩みを止めればいい。今のところ、ほかには付近に人はいないからね。 何、我々は鳥だ。渡鳥達を伝わるからね、我々の情報網と、その伝達の速さは君達の想像以上なのさ。 ほっほう・・・話には聞いているよ。鷹想いの心優しきハンターがひとり、この島に迷い込んでいる、とね。 だから・・・安心しなさい、夜はわたしのような一部の夜行性の梟達しか活動はしていないが、夜が明けさえすれば。 この島にいるすべての鳥達は、君の味方だ。 我々にできる事など限られてはいるが、せめてその限りの中では君を助けてみせよう。 ・・・ほっほう、名前かい。人は皆、相手を理解するために名前を訊くね。...
  • 2-137
    137 姉妹[第2回放送前] どうしようもないほどの悪夢。ううん、違う。これは現実。忘れようとしても忘れられないあたしの過去。 首を鎖につながれ、翼をもがれた一羽のあわれな大鷲がオリの中で好奇の視線にさらされている。 人の姿をしているのに口から出る言葉はたどたどしく、鳥と話すときにだけその口はなめらかに動いた。 サーカスの観客はそんな大鷲の一挙手一挙動に沸き返る。けれどそれは決して喝采ではなくて、嘲笑に過ぎない。 そう、あたしはただの見世物だった。 観客の受けが悪ければその日の食事はパンのひとかけらすら与えられず、鞭打たれ、 団員の虫の居所が悪ければ、熱湯をかけられ、蹴られ、唾を吐き捨てられた。 そのうちにあたしは人をまともに見ることができなくなり、 月日が流れ、あたしは人を見るだけで知らずガクガクと震えるようになっていた。 そんなある日のこと...
  • 2-126
    126 プライベート・レッスン?  [2日目・早朝] G-5に位置する、砂地交じりの草原。 そこにまばらに生える木の下に、♂ハンターと♀アーチャーは座っていた。 だがその様子はいつもと少し違っている。 いつも過剰なほどに♂ハンターにくっついている♀アーチャーが、珍しく彼に背を向けて座っているのだ。 不機嫌そうに頬を膨らませながら。 「なぁ、いいかげん機嫌を直してくれないか」 「王子様が悪いんですよ! 嫌がるあたしに無理矢理あんなことさせるからっ」 「えーと…誤解を招く言い方はやめてね……」 +++ 事のはじまりは今から少し前。 危険区域のこともある。定時放送が流されるまで下手に動かないほうがいいだろう、という考えから二人は未だにG-5にいた。 「荷物の確認も、弓のメンテナンスもした。  他に、放送を待つ間何かすることはないかね。……そ...
  • 2-170
    170.小さな運 [2日目夕方] しとしとと降り続く雨が男の体を濡らしていく。 ゆっくりと男は歩を進めながら、時折あたりを警戒する。 男はわずかに痛むコメカミを右手で軽く抑えながら歩いていく。 男の左手には鞘に収められた獲物、ブレストシミターが握られている。 (運が・・・よかった、な) ♂クルセははずせば武器を諦めるつもりでシミターをグランサモンクに対し投じた。 シミターが運良く奴にあたれば最良、外れて木にあたり剣の魔力が発動すればそれもまた良し。 投擲自体には自信はあった、しかしシミターはグラサンモンクに当たることはなかった。 (不幸中の幸い、といったところか・・・) だが天は彼に味方した。 投じたシミターはグラサンモンクのすぐ横にあった木に突き刺さり、そして剣の魔力が発動した。 だ...
  • 2-175
    175.雨と葛藤 ♂マジは迷っていた。 あの狂った♂Wizが……正しい方向を教えてくれたとは…限らない……! …だが……彼としても…実験を遂行するには……俺が死んだら困るはずだ… 考えろ…考えろ……! しと…しと… 気がつけば雨が降っていた。 いくつもの分岐をあらゆる角度から考え、しかしいまだ結論は出ない。 ……俺を殺さないように配慮したと考えれば……♀マジと遭遇できるように正しいことを教えただろう…… しかし♂Wizが逆の方向で別の人影を見かけたとすれば……万一を思って別方向にいかせるかもしれない…… 大体……俺と♀マジを組ませたら……自分に反抗するという可能性を考えているかもしれない…… いや…もしかしたらまだ奥の手を……そもそもマジシャン2人で勝てる相手ではないかもしれない…… …ぐっ……時は刻一刻と過ぎていく…… この隙に……♀マジが移...
  • 2-122
    122 Encount! 「うぅー、お腹が痛いー」 後ろから聞こえてくる情けない声を無視して♂セージは森の下生えを踏みしだき枝を払う。 手にしているのは支給品のソードブレイカー。本来はこんな山刀のような所業に使うものではない。 武器に魂があるならば泣いていることだろうが、そんなものにまみえる機会があれば謝っておこうと結論付けた。 形跡が残るような歩き方はしたくないのだが、後ろの♀商人の体調を考えると致し方ないか、とも思う。 「ぅうーー」 朝食を食べて歩き出してしばらくしてから続いている重低音のうなり声の原因は全くの自業自得であった。 とはいえ、見捨てていけるほど♂セージは冷血漢ではなかったようで、いつもより多少険しい顔をしつつも 彼女を気遣って道を作り作り行軍することになっているのだ。 「たーすーけーてー…」 「自業自得です。その腹痛は...
  • 2-162
    162.野良犬の往く先[二日目午後(雨の降り出す前)] しくじった―― 全身を苛む雷撃の痺れと背中を走る痛みよりも、仲間の存在に気付けなかった己の凡ミスが口惜しくて、ひび割れた眼鏡の裏でグラリスは涙を零していた。 (なんて……なんてこと……) 細かい裂傷だらけの身体は、関節のあちこちから油の切れた機械のように軋みをあげている。一歩進むごとに全身が焼けた鉛を流し込まれたみたいに痛みと重さを増してゆく。 増してくる身体の重さに比例して、意識にも段々と靄がかかる。恋人の抱擁めいた優しい睡魔に、疲労の溜まった膝が勝手に屈しそうになった。 (寝るなっ。シャンとしなさいっ!) 強く唇を噛み、グラリスは睡夢の園に堕ちかけた意識を強引に引きずり上げた。口内にじわりとにじむ血が粘っこい唾と混ぜ合わさって喉に絡み付く。熱を帯びた肺が野良犬みたいに荒く掠れた息を吐いた。 (……野良犬か。...
  • 2-164
    164.女王の往く道 [2日目午後(雨前)] 忌々しい道化が。どのようにして血祭りにあげてくれようか。 麗しき女王蜂は、苛立ちを隠すこともせずに歩を進めていた。 殺気と怒りの色に、彼女を取り巻く羽虫たちも脅えるように距離をとっていた。 「この狭くもない島の中で器を早々に見つけ出すとは。さすが貴女と言うべきですかねぇ」 背後から聞こえた声は間違えるはずもない。憎き道化のものである。 ミストレスの殺気が一気に膨れ上がる。常人ならば一目見ただけで脱兎のごとく逃げ出すだろう。 「道化よ。器にまで封呪を施すなどという姑息な手を使いおって……よほど殺されたかったとみえる。  むざむざ殺されにくるとは都合がよいわ。おぬしには一瞬の死など生ぬるい。じわじわとなぶり殺しにしてくれようぞ」 ばちばちと音を立て、ミストレスの手に魔の雷が収束する。 それを見てもジョーカーは...
  • 2-123
    123 イレギュラー [1日目深夜] ジョーカーは、島の南東部に広がる岩場の上にいた。 「おやおや……こんなことになっていたとは」 切り立った岩の並ぶ中に、地面が赤く染まった一角がある。天に向けて鋭く突き立った 岩の中ほどに、その首輪の持ち主は百舌の早贄のごとくぶら下がっていた。 ゲーム開始時点から一度も動いていなかったその反応が先ほど消え、不審を抱いて来てみれば この有様だ。万に一つの偶然、と言うしかない。ランダムで開いたポータルの先は不安定な岩の上。 状況を把握する間もなくバランスを崩し、そのまま少し下の岩にグサリというわけだ。 音声記録には悲鳴と衝撃音、その後には苦しげな息遣いだけが残されていた。鋭い岩に体を貫かれ 身動きもとれず、ただ死を待つだけだったのだろう。この時間まで生きていたのは、急所だけは外れていたからか。 「まあ、50名のうちには違いありませ...
  • 2-124
    124 素敵な朝を  朝日に急かされて、私は目を覚ます。  何時もの一日がまた始まる、って心のどこかで信じながら。  けれど。この悪夢はまだ覚めていないらしい。  開いた眼に移るのは、プロンテラの町並みじゃなくて。  私のしたぼく──、子バフォでも無くて。  痩せた、黒い頭巾に半ば包まれた顔。  それから、朝日と海から吹く風に揺れている遠い木々だった。 「やあ、お早う」  と彼が悪ケミに言う。 「ん…おはよ」  寝ぼけた頭で答え、それから自分が見張りの途中で眠ってしまっていた事に悪ケミは気づいた。  さっ、と顔が青くなり、続いて言い訳が幾つも電光石火に閃いて、けれども自分が言い訳がとても下手だと言う事に思い至った。  頭がぐしゃぐしゃして──実際、手入れもせずに一日動き回ったのだ。どのような惨状になっているかなんて考えたくもなかった。 そこの...
  • 2-157
    157.相容れぬ殺戮 何人もの手練れの暗殺者。 罠に加えてモンスターの放たれた大部屋。 壁の見えない複雑な迷宮。 アサシンギルドに存在するあらゆる障害を越え、3人の男がアサシンギルドマスターの前に立っていた。 鋭い眼光を3人に向け、まずギルドマスターが言葉を発する。 「……随分と派手にやってくれたようだが、女王の親衛隊がわざわざ何の用だ」 それを受け、そのうちの一人の男が一歩前に出る。 一礼し、胸に手を当て話す。 「いえ、我々はGM……親衛隊ではありません。 その使い走りとでもお考え下さい」 別の一人が前に出て、続ける。 「GMジョーカーの命により、昨日より♂アサシンのBR参加前の行動を調査しておりました」 もう一人が前に出て、同じように続ける。 「BRの機密を王国の者より聞き出した者がいます。 そして、その...
  • 2-119
    117 助祭の失敗~拝啓何某様リターンズ 一日目 深夜  拝啓神父様。  何となく何処かで聞いた事のあるような文句でごさいますがお加減如何でしょうか?  ♂アコライトです。  先に襲撃者によって離れ離れになった同行者達との合流も果たせず、また彼らの安否も容として知れない事に 僕自身も苛立ちを覚えるばかりでありますが、そもそもからしてこの殺人ゲームに巻き込まれると言う悲運に見舞われ、 また僕一人では何一つ出来る事とて無く只、夜明けと皆を待ちながらじっとしているのみでした。  ところが。  突然がさりと僕の前の茂みがなったかと思うとそこから思いもかけなかった来訪者がやってきたのです。  一瞬、先に出合った珍妙な弓手二人か、はたまた僕の下僕などとお名乗りになられた美しい人かとも思いましたが、 もしその方々であれば、まさかむさ苦しい顔で筋肉で張らし切った服を着て...
  • 2-180
    180.剣よりも強い物[2日目昼~雨] 時を数時間ほどさかのぼる。 『ここへ来るまでに、遠目にですが集落らしき物を見かけました。彼の傷も治療したいですし、そこまで戻りませんか』 グラリス撃退後、♂シーフの傷が浅いことを知りつつも♂セージは言った。 まず急ぐべきことは筆記具の入手。その為には他の参加者と遭遇する危険を承知で人家を探さざるを得なかったのだ。 彼が見た集落はすでに大半が禁止区域になったようだが、まさか禁止区域に全体が収まるはずもない。はみ出ている部分も当然あるだろうし、北から来た♀Wizや♂プリ達は民家の気配さえ目にしていなかった。 当然の選択として♀Wiz一行は東へと向かう。 そして、彼が言っていたよりもかなり手前で民家を見つけた。 そのころには空色が怪しくなりつつあったこともあり、彼らは安全策を採ってそこへ向かった。 …地図上ではF-3...
  • 2-189
    189.デバッガー 森の頂ともとれるその場所には、一本の巨木がそそり立っていた。 木は樹齢がどれほどなのか検討もつかないほど雄大で、多少の雨風ではびくともしそうになかった。 木根の太さも半端ではなく、それがうねるように地面を這っているさまは、誰が見ても圧巻であり、自然の力というものを肌で感じずにはいられない光景だった。 根っこが作った天然のうろもやはり相当に大きく、人が二人はいってもまだお釣りがくるほどの空間となっており、 雨をやり過ごす二人にとってこれ以上の避難所はないと言って良かった。 ♀スパノビと♀ハンターの二人は紆余曲折の末に、最初に雨避けをしたこの場所までもどっていたのだった。 雨宿りのために他の誰かがこの木に近づいて来る危険は考慮しないでもなかったが、むやみやたらと歩いて回れるような天候ではなかった。 ♀ハンターの鳥と会話ができるという能力の...
  • 2-167
    167.ギャンブル[2日目昼] それは突然の邂逅だった。 大きな起伏の頂点へたどり着いた瞬間に起きた、お互いにとって必殺距離での。 一方はゲームに乗っており、もう一方もそのことを知っていた。 にもかかわらず、戦端は開かれなかった。 双方がお互いの実力差を正確に認識し、狩る側と狩られる側があまりにもはっきりしていたから。 「さて、あまり手を取らせないでいただけるとありがたいのですが」 その死神じみた男は言った。 こいつだ。こいつが♀マジの言っていたキ○ガイWizに違いない。 ♂マジは背筋を冷や汗が流れ落ちるのを感じた。 「キキキ。丸焼きト八つ裂キ、毒デ悶死のどレがイイ?」 「私に毒を使うスキルはないですよデビルチ君」 なんだ。なんなんだこいつは。 恐怖と混乱で思考が斜め上へと走り出す。 どうしてデビルチなんて連れているんだ。 召喚?召喚したのか?...
  • 2-168
    168.託す者 雨音がパタパタと耳朶を打つ。 雨を避ける為にダンボール箱を被りながら移動する悪ケミをちらりと見やり、忍者は苦笑する。 まるでダンボール箱から足が生えているようだ、と。 「雨宿り出来る場所を探した方がいいんじゃないかい?それじゃあとっさの時に動くのも難しいよ?」 その言葉にダンボール箱ならぬ悪ケミは足を止め箱の中で何やらごそごそとすると、にゅっと1枚の紙片を突き出す。 『時間が無いの。出来るだけ早くモンクを探さなきゃでしょ。夜になる前に何とかしないと何時遅われるか判らないし』 『♀モンクは1日目で居なくなっちゃったから♂モンクを見つけないと。首輪が外せる事が判れば、みんな殺し合う必要が内って判ってくれるはず』 なるほど。誤字は多いが言っている事は至極まっとうだ。 しかし…と忍者は内心続ける。 (指弾の使い手は明ら...
  • 2-176
    176.女郎蜂 [2日目夕方] 草の匂い立つ雨あがりの草原を、憮然とした足取りで歩くひとりの青年がいた。 青年は雨の中でもずっと歩いていたのであろうか。衣服の上から下まですべてがこれ以上は水を含めないほどに濡れていた。 丈夫な白麻でできた羽織り着も、綿糸を編みこんだ褐色の上着も、動きやすさを追求した短めの下裾着も、 靴の中、果ては下着までもすべて、イズルードの海にでも飛びこんだあとのように、ぐっしょりと濡れていた。 その状態は、ハンターである青年にとって動きにくい以外のなにものでもなかった。 雨上がり、熟れた稲穂の色に染まった西の空を仰ぎながら、さきほどまで大木のしたで雨をやり過ごしていた女がいた。 女のからだつきは、まだ少女のそれであり未成熟ではあったが、ただよわせる色香は少女とは思えないほど艶っぽかった。 ほっそりとした身体のラインを鮮やかなほどに浮き彫...
  • 2-191
    191.麗しき毒女 [2日目宵の口] 「さて、これからどう行動していきましょうか・・・」 ♀アルケミストは淫徒プリの言葉を軽く聞き流しながら考える。 最優先は自分だけが生き残ること。 他の人間がどうなろうと知ったことではない。 他者は私に利用されるためにある。 そして現状のPTは何処かしら危険な雰囲気だ。 生き残るためには、このPTに居続けることと離れることの損得を考えねばならない。 「♂アサさんは♂WIZに殺されて・・・私はなんとか逃げ切って・・・それで・・・」 「それじゃ♂WIZは危険ってことかねえ」 「おで・・・こわいんだな・・・」 ♀ノービスが自分にあった出来事を語っている。 ♀BSと♂スパノビがそれぞれの反応を示していた。 気になるのは♀BSの声に覇気がないことだが、父親が死んだことだしそんなこともあるだろう。 そんなことは別...
  • 2-121
    121 再会 [早朝] それは東の空が黒を白く塗り替え始めた二日目の早朝の話。 森から僅かに外れた木々がまばらに生えた丘の上を、1組の男女が歩いていた。 男の方は頭からフードを被っているため、髪型は分からない。 けれど身につけている服の様子から男がアサシンであることは明らかであった。 周囲を探る眼光の鋭さから、彼が数々の修羅場をくぐってきたアサシンであることも想像に難くはない。 一方の女はというと、金髪を美しくなびかせた絶世の美女、からはほど遠いが、一般にはかわいい系に分類される顔立ちである。 冒険者が一度は袖を通す服、ノービス服を着ていることから彼女がノービスであることは間違いないと言えよう。 真剣に辺りを見回し、突然の外敵に備え警戒している♂アサシンの表情とは正反対のあどけない表情が、 彼女が女性というより少女と表現すべき年齢であることをなんとなく...
  • 2-155
    155.誤算 ♂WIZは慎重に後をつけていた。距離を十分に取り、姿を見られぬように木々を盾にする。 ♂WIZが追いかけているのは、♂アサシンと♀ノービスである。慎重にならざるをえないだろう。 時折、♂アサシンと♀ノービスが話し合う。距離を空けているので、声は当然聞こえない。 口元もかすかに動いているのが分る程度である。だが、その度に立ち止まるので、 遅々として進まない。かれこれ一時間は彼らを追跡しているが、今だ森の中である。 「また、おしゃべりですか・・・。見た目よりも随分仲がいいのですね。」 ♂WIZはつい一人ごちてしまう。だが、それも仕方ない。この殺しあうための島で、 一時間に6回も立ち止まって、しゃべっているのである。♂アサシンの戦闘力を見た後では、 この事は意外と言うほかない。 「しかし、このペースでは、あの二人が他の者たちと出会...
  • 2-199
    199.鳥使いと虫使いと [定時放送後] 「…え、なに?」 日も落ち、視線の通らなくなった森の中。 野営の支度になるべく乾いた落ち葉を探していた♀ハンタが突然声を上げた。 木の枝で周囲をカモフラージュしていた♀スパノビも即座に立ち上がり、辺りへ警戒の視線を飛ばす。 その耳に遠くでギャアギャアと複数の鳥が鳴き交わす声が届いた。 「鳥さんですね?何か居ますか」 「…ううん。それが…よくわかんないの」 ♀ハンタは虚空へ向かってちちち、と舌を鳴らすような声を出し、首を傾げる。 「なんだか、怖いモノ?があっちにいる…らしいんだけど」 彼女は北を指さした。 「殺人者ですか」 「うう~ん」 ♀スパノビの問いに♀ハンタの首の傾きが深くなる。 「たぶん…違うと思う。…細かい質問は難しいからよくわからないけど…」 「なるほど」 鳥の言葉が分かると言っても限度はあるんです...
  • 2-187
    187.The Cold Equations  目の前には死に体を晒した一組の男女がいる。  一人は、以前出会いながらも道を違えた♂騎士。全身に無数の傷を負って血の海にその身を横たえている。ちょっと見ない間に痩せこけた頬も、細かく震える紫色の唇も彼が逃れられない死神の手につかまっていることを明白に示している。それはいくら止血をしても換わらない事実なのだろう。  もう一人は、この島に来てからずっと一緒に行動してきた♀ウィザード。♂プリーストの手によって止血されたとはいえ手足に走る裂傷が痛々しい。が、それ以上に痛々しいのは全身をくまなく覆う無数の凍傷だ。間違いなく冷却系の大魔法ストームガストによるものだ。こちらもどうして生きていたのか不思議なくらいの惨状を呈している。  そこまで考えて、♂シーフは思考の方向を変えた。逆に生きていたほうがつらい現実というものがある。縁の深い人間は...
  • 2-117
    118.花【二日目早朝】 今日もつき合わせちゃってごめんね。 あぁ、彼女の声が聞こえる。 私はまだ半人前だけど……お祈りだけは忘れたことがないんだ。 そう言う彼女の笑顔はとても清らかで。 いつか……立派なプリースト様になれるといいんだけど。 大丈夫、君なら慣れるさ。その清らかな笑顔を持つ君なら。 あは、でも君と一緒ならきっと出来そうな気がするよ。 そう、君の笑顔は人に安らぎを与えるんだ。 なんでだろ……君といると、安心する……。 なのに何故― 天の神様、どうか今この私の願いを聞き届けてください― 何故君が― 私の心の中にいる全ての人物をどうかお救いください― どうして君が― そして……どうか彼の願いをかなえ― そんな奴に殺されなければならない― 彼は朝...
  • 2-153
    153.誤解が生んだ赤い結末 ご主人様、無事でいて!! そう願いながら駆けつけたわたしの視界に映ったのは、一人の男と地に伏せたご主人様。 あの男がご主人様を……! ジルタスはその勢いのまま止まらずに鞭を振るう。 射程ギリギリで放たれたそれは、寸前まで男の居た地面に乾いた音と共に叩きつけられる。 グラサンモンクは予見していたように飛び退くと、即座に指弾を放つ。 男の周囲に浮かんでいた光の球の一つが一直線に飛んでくる。 ジルタスも走りながら返す鞭で軌道を逸らし華麗に受け流した。 そのまま再度鞭を振りかざす。今度は十分に男を捕らえられる距離だ。 ――パシィッ! 手ごたえはあった。だが首を狙ったそれは惜しくも男の左腕に巻きついたのみに終わった。 それでも十分なダメージだ。巻きついた鞭は左腕にがっちりと食い込み、肘の先から地面に血が...
  • 2-130
    130 GMの疑念[放送直前] 『つまり、貴方は夢の中でこの幸せゲームらしきものを主催していた、と言う事ですか』 『え、ええ。そう言う事になりますね。…所詮夢の出来事ですけど』 「ふむ…」 文書化された盗聴記録を読み終え、GMジョーカーは切れ長の目をゆっくり閉じた。 椅子に深々と背を預け、机に脚を乗せて天井を振り仰ぐ。 そのまま長い沈黙が流れた。 「どうしました?彼女が疑わしいのは間違いないと思いますが」 記録文書を持ってきたGM橘がせっつく。 しかしGMジョーカーは視線を下ろそうともしない。 「これで全部ですか?」 「全部とは?」 「彼らの会話ですよ」 何か物足りなそうに言うジョーカーに、GM橘は少々いらだたしげな顔をした。 これだけあれば充分ではないのか。 「前半は分かりません。私が聞いたのは報告があってからですから。それ以前の部分については...
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