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特許法第七二条

(他人の特許発明等との関係)
第七二条
特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。
(改正、平八法律六八)

旧法との関係 三五条三項
趣旨
 本条は、発明について特許がされた場合であっても、その発明が他人の特許発明、特許実用新案、登録意匠等を利用するものであるとき、又は特許権が他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、その他人から実施承諾を受けなければその特許発明を実施することができない旨を規定したものである(なお、特許権と商標権とが抵触する場合の調整規定は、平成八年の一部改正により商標法において立体商標制度を導入したことを伴い追加したものである)。旧法でもこのような調整規定を設けていたが、それにもかかわらずしばしば誤解されて、特許された発明はすべてなんらの制約もなく実施することができるものと思われがちである。たとえば、甲が合金Xを生産する機械を発明して特許を受け、その後乙がその機械によって合金Yを生産する方法を発明して特許を受けたとしても、乙は合金Yを生産するために甲の特許に係る機械を自由に使用することができるわけではなく、乙は自己の特許発明を実施するためには甲からその機械を使用することについての実施承諾を得なければならない。このことは特許発明と登録実用新案又は登録意匠との関係でも同じである。ただ意匠については、単に利用する場合のみならず、権利が相互に抵触する場合もある。特許権と特許権または特許権と実用新案権については相互に抵触する場合は拒絶されることになっており、過誤により特許または登録がされた場合も無効にされるわけであるが、特許権と意匠権とは質的に異なるものを権利の客体としているので抵触するような内容のものについても一応それぞれの権利を付与し、ただ、その実施にあたっては後に出願した者について制約を加えることとしたのである。たとえば、自転車のタイヤに特殊な凹凸を付することがタイヤの磨耗を少なくさせるということで特許権の対象となり得る場合において、同じ凹凸を付することが視覚にうったえ美感をおこさせるときは意匠権の対象ともなり得るのである。また、特許権と商標権についても抵触する関係があり得る。たとえば、物品の形状自体に関する発明が特許権の対象となり得る場合において、その物品(商品)自体の形状を表示する立体商標が商標権の対象ともなり得るのである。これらの場合において権利者が異なるときは後願者の許諾を得なければ実施することができないというわけである。
 本条のような規定がおかれている結果、他人が実施について許諾をしない限りは、その特許発明は実施することができないことになるが、それでは、せっかくの発明も実施できないことになるが、それでは、せっかくの発明も実施できないままうずもれてしまい技術の進歩にとって好ましいことではないので、特許庁長官に通常実施権の設定の裁定を請求することができる場合があることとしている(九二条)。(青本第17版)
最終更新:2009年11月08日 20:39
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