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特許法第一〇〇条

(差止請求権)
第一〇〇条
特許権者又は専用実施権者は、自己のと特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の破棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。(改正、平一〇法律五一)

旧法との関係
趣旨
 本条以下一〇六条までの規定は、特許権又は専用実施権の侵害に関する規定である。旧法においては特許権侵害があった場合の民事上の救済に関しては三五条二項(現行法の一〇四条に該当する)がある程度で、専ら一般法としての民法の規定の適用によってのみ救済措置が講じられていたのであるが、現行法においては特許権の特殊性にがんがみて、民法の特別規定として数カ条にわたる新しい規定を設けた。
 そのうち、本条は差止請求権に関して規定したものである。一項は特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれのある者に対し、その侵害の停止又は予防の請求をすることができる旨を規定したものである。このような請求権は別段の規定がなくても旧法においても認められていたところであり、その意味では当然のことを明確にしたものということができる。
 二項は、いわば一項の請求権の行使の態様を規定したものである。しかし、二項の請求は常に一項の請求を前提として行われるものであるが、逆に一項の請求をする場合は常に二項の規定による具体的な請求の態様を示さなければならないものではない。
 なお、平成一〇年の一部改正において、二項における「権利の行為を組成した物」が、一〇二条一項においても同義であることを明らかにする改正を行った。
[字句の解釈]
1 <侵害の行為を組成した物>刑法一九条一項一号において「犯罪行為を組成した物」という場合と同じように、その侵害行為の必然的内容をなした物をいう。たとえば、苛性ソーダの製造機械に特許が与えられている場合に、その機械を使って苛性ソーダを製造し他人の特許権又は専用実施権を侵害した場合は、その権利は侵害行為を組成した物である。ところが、特許が苛性ソーダの製造方法に対してされており機械については特許されていない場合は、機械は侵害の行為を組成したものではなく侵害の行為に供した物ということになる。なお、「侵害行為を組成した物」のカッコ内に「物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。」としたのは、右の例でいえば苛性ソーダの製造方法に特許がされている場合は、その特許権の効力はその方法により製造された物にもおよぶので、その製造された物に対しても差止請求権を行為することができるものとしたのである。
2 <その他の侵害の予防に必要な行為>たとえば、担保の提供などがあげられる。(青本第17版)
最終更新:2009年11月27日 07:13
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