(生産方法の推定)
第一〇四条
物の生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物の同一の物は、その方法により生産したものと推定する。
旧法との関係 三五条二項
趣旨
本条は、特許が方法の発明についてされている場合にその方法の発明の侵害を防止するため一定の条件の下に立証責任の転換をする旨を規定したものである。
特許権侵害訴訟においては、他の場合と同様、その侵害の事実があったことの立証は別段の規定がない限り原告がしなければならないことはいうまでもない。しかし、方法の発明について特許がされている場合に、ある行為がその方法を侵害してされたものであるということの事実を立証することは容易なことではない。たとえば、物質Aと物質とを高温度で化合せしめ一定時間の後急速に冷却して物質Pを製造する方法に特許がされている場合に、結果物である物質Pそのものを較べてもそれが上記の特許に係る方法によって製造されたものかどうかは容易に判断し難く、それを製造した工場を較べても高温度で化合した事実とか急速に冷却した事実とかはその痕跡をとどめないのが常である。このような事情にかんがみ、その特許になっている方法によって生産される物が日本国内において公然知られていない物(すなわち、新規な物)であるときは、その物の同一の物はその方法によって生産されたものと推定しようというものである。物が公然と知られていない場合に限られるので、その物についても特許される可能性がある場合が少なくなく、しかも物自体について特許を受けていれば上記に説明したような立証の困難ということは生じない。なお、本条の規定は、侵害の罪を判断するに当っても適用されるものと解される。
[字句の解釈]
<公然知られた>二九条参照(青本第17版)
最終更新:2009年11月27日 07:17