(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)実意商
第一〇五条の六
秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記録部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。
2 前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
3 前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記録部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。
(本条追加、平一六法律一二〇)
旧法との関係 当該条文なし
趣旨
本条は、平成一六年の裁判所法等の一部改正により新設された規定であり、訴訟記録の閲覧等の請求の当事者への通知及び閲覧等の制限を規定したものである。
訴訟記録から営業秘密の漏洩の防止に関しては、民事訴訟法九二条の規定による第三者の閲覧等の制限があるところ、同条では、当事者による閲覧等は禁止されていないため、秘密保持命令の名宛人となっていない使用者等が当事者の代理人又は使者として閲覧等の請求を行うことが考えられ得る。
そこで、一項は、秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録について、①民事訴訟法九二条一項の決定(営業秘密に係る秘密記載部分の閲覧等の請求を当事者に限定する決定)がされている場合において、②(a)当事者から民事訴訟法九二条一項の秘密記載部分の閲覧等の請求がされ、かつ、(b)その請求の手続をおこなった者が、当事者等、訴訟代理人又は補佐人のうち当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、民事訴訟法九二条一項の申立てをした当事者(秘密記録部分の閲覧等の請求をした者は除く。)に対し、その請求後直ちにその請求があった旨を通知し、その請求の手続を行った者に対する秘密保持命令の申立ての契機とすることができるようにしたものである。
秘密保持命令が発せられた訴訟に係る訴訟記録について秘密記載部分の閲覧等の制限決定がされている場合には、①当該秘密保持命令の対象である営業秘密に係る秘密記載部分の閲覧等が制限されているのが通常であると考え、②仮に別の営業秘密に係る秘密記載部分の閲覧等が制限されている場合でも、その秘密記載部分は当該秘密保持命令の対象である営業秘密に係る秘密記載部分と重なり合うのが通常であると考えられ、③仮に両者の間に重なり会う部分が全くない場合が例外的に観念され得るとしても、それを認識することは裁判所書記官におは極めて困難であるため、そのような場合も含めて裁判所書記官から当事者への迅速な通知を義務付けることにより当事者に秘密保持命令の申立てを行う機械を確実に保障することが、営業秘密の保護の観点から合理的であると考えられる。
二項は、一項の場合において、秘密保持命令の名宛人となっていない者が秘密記載部分の閲覧等の請求の手続を行ったときは、その者に対する秘密保持命令の発令を得るのに必要な期間(閲覧等の請求があった日から二週間。その期間内にその者に対する秘密保持命令の申立てがあったときは、その申立てについて裁判の確定までの間)、閲覧等を制限することとしたものである。
三項は、一項及び二項の規定の例外を定めるものであり、一項の請求をした者に民事訴訟法九二条一項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて、営業秘密の保有者である同項の申立てをしたすべての同意があるときは、これらの規定を適用しないこととしたものである。(青本第17版)
最終更新:2009年12月02日 12:57