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特許法第一〇五条の七

(当事者尋問等の公開停止)実
第一〇五条の七
特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であつて当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによつては当該事項を判断の基礎とすべき特許権又は専用実施権の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。
2 裁判所は、前項の決定をするに当たつては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。
3 裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面を提示させることができる。この場合において、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない。
4 裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。
5 裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。
(本条追加、平成一六法律一二〇)

旧法との関係 該当条文なし
趣旨
 本条は、平成一六年の裁判所法等の一部改正により新設された規定であり、営業秘密が問題となる特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における尋問の公開停止の要件及び手続を規定したものである。
 一項は、裁判所は、(1)特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当事者等(一〇五条三項の「当事者等」と同義)がその侵害の有無についての判断の基礎となる事項であって当事者の保有する営業秘密に該当するものについて当事者本人等又は証人として尋問を受ける場合においては、(2)(a)その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、(b)当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによつては当該事項の判断の基礎とすべき特許権又は専用実施権の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、(3)裁判官の全員一致ににより、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる旨を定めるものであり、二項以下とともに、憲法の認める範囲内で公開停止の要件及び手続を定める規定である。
 二項は、公開停止の決定がされるか否かは、営業秘密の保有者である当事者及びその相手方に重大な影響を与える事柄であり、公開の法廷で十分な陳述ができない事情の有無は陳述する当事者等の意見を直接聴かなければ適切な判断をし難いことから、裁判所は、一項の決定をするに当たっては、あらかじめ当事者等の意見を聴かなければならないことを定める規定である。
 三項は、二項に基づいて当事者等の意見を聴く場合、一〇五条の手続きに準じて、裁判所は必要があると認めるときは、当事者等が陳述すべき事項の要領を記載した書面を提出させることができることを定める規定である。そして、この書面はインカメラ審理の場合と同様に、何人も開示を求めることができないこととされている。
 四項は、侵害行為の立証の容易化と保護とのバランスを図る観点から、裁判所は、三項後段の書面を提示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に開示することができることを定める規定である、書面を提出させるkとができるものとしている理由は、①裁判所が公開停止の決定をする際には営業秘密の内容を理解する必要があるが、陳述の対象となる技術的事項等については書面で特定する方が理解が容易になると考えられ、また、②営業秘密の内容については事前に相手方が知らないため、本項に規定する意見を聴く場合に相手方にその内容を知らせる手段として書面がより適切な手段と考えられるからである。
 五項は、裁判所法七〇条の特則として手続全体を書き切る趣旨で、①尋問を公開しない場合には、公衆を退廷させる前にその旨を理由とともに言い渡さなければならず、②当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならないことを定める規定である。(青本第17版)
最終更新:2009年12月02日 12:59
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