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特許法第一一〇条

(利害関係人による特許料の納付)実意
第一一〇条
利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、特許料の納付することができる。
2 前項の規定により特許料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

旧法との関係 六七条
趣旨
 本条は、利害関係人による特許料の納付について規定したものである。旧法は「利害関係人ハ特許料ヲ納付スヘキ者ニ代ワリ納付スルコトヲ得」とのみ規定していたが、この旧法の規定により納付した者の法律上の地位については説が分かれる。すなわち、利害関係人による納付は事務管理の観念にもとづくものであるとする説と、債務の代位弁済の観念にもとづくものであるとする説である。しかし、いずれの説によるも十分なる説明をすることができない場合が生ずる。まず特許権者が反対の意思表示をした場合であるが、このような場合は債務の代位弁済の観念においても事務管理の観念においても利害関係人は納付することができない。ところが、特許権については質権又は実質権が設定されているような場合には、その質権者又は実施権者が特許権者の意に反して特許料を納付することも認められるべきである(放棄の場合に質権者又は実施権者の承諾が必要であることとの均衡からいっても)。一項はこの点を明確にするため利害関係人は特許権者の意に反しても納付することができる旨を明らかにした。次に特許権者の意に反して特許料を納付した場合の求償関係であるが、通常の債務の代位弁償の場合は一〇万円の債務を弁済すればそれによって債権者が受ける利益は一〇万円であるのに対し、特許料納付の場合は五万円の特許料を納付したとしてもその納付によって維持される特許権の価値(ひいては債権者の受ける利益)は一万円にも達しない場合もある。このような事情をも見越して特許権者が特許料の納付を怠っているのにもかかわらず、利害関係人が意に反して納付をし、しかも特許権者に対し五万円の求償をするのは公平に反するといわざるをえない。二項において納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができるとしたのはこの理由による。民法七〇二条において管理人が本人の意思に反して管理をなしたときは本人が現に利益を受ける限度においての費用の償還を請求することができると規定しているのは、本条二項と同趣旨であるが、この民法七〇二条の場合ははじめから本人の意思に反していることが明瞭な場合ではなく、はじめは「義務なく他人のために事務の管理を始めた」(民法六九七条)ところ結果として本人の意思に反した場合である。
 なお、本条の文意から明らかなごとく、利害関係人は特許権者の了解のある場合も特許料の納付をすることができ、この場合は特許権者が現に利益を受ける限度においてではなく、費用のすべてについて償還を請求することができる。(青本第17版)
最終更新:2009年12月05日 12:02
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