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特許法第二条

(定義)
第二条
この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為(改正、平六法律一一六、平一四法律二四、平一八法律五五)
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為(改正、平一四法律二四)
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為(改正、平六法律一一六、平一四法律二四、平一八法律五五)
四 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。(本項追加、平一四法律二四)

旧法との関連 三五条
趣旨
法律に用いられる主要な用語の意義をあらかじめ明確にしておくことは法律をわかりやすくし、解釈上の狭義を少なくするという上できわめて重要なことである。戦後に制定された法律においてこのことに着目し、一カ条特別に定義に関する条項を設けて、あるいは法文中随所で必要に応じ、そこで用いられる用語の定義をすることを慣例としている。本条の規定もこのような趣旨から設けられたものである。このうち、一項の発明の定義は最も重要なものであるがそれだけにいろいろ問題のあるところである(後述)。二項の特許発明の定義は別段説明を要しないであろう。
 三項の「実施」については、旧法では「製作」、使用、販売、拡布」という用語を使っていたが、その内容をより明確にするため昭和三四の改正で「生産し使用し譲渡し貸し渡し譲渡若しくは貸渡のために展示し又は輸入する行為」と改められた。なお、旧法において、輸入は一二九条の罰則において規定されており、三五条においては規定されていなかったが、発明の実施の一つと考え、ここに規定された。
 また、譲渡若しくは貸渡しの申出は、TRIPS協定二八条で特許により与えられる排他的権利として販売の申出が規定されたことを受けて、平成六年の一部改正により追加されたものである。この「申出」は、発明に係る物を譲渡又は貸渡しのために展示する行為だけでなく、カタログによる勧誘やパンフレットの配布などを含む行為であるため、本項において従来の展示を含むものとして規定された。
 平成一四年の一部改正では、三項一号において、「物(プログラム等を含む。以下に同じ。)と定義することにより、以降の条文において「物」に「プログラム等」が含まれることが明確化された。また、改正前の三項では、ネットワークを通じたプログラム等の提供行為が発明の実施に含まれることが明確でなかったため、従来の「譲渡」、「貸渡し」に加え「(プログラム等の)電気通信回線を通じた提供」を加え、この点の明確化が図られた。そして、譲渡及び貸渡しに、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含めた行為をまとめて「譲渡等」と呼ぶとされた。ここで「電気通信回線を通じた提供」が含まれる場合を、「物」が「プログラム等」である場合に限ったのは、「物」が有機体である場合には、その電気通信回線を通じた提供自体が観念できないからである。なお、平成一四年の一部改正に伴い、三項二号及び三号にも若干の文言上の修正が加えられた。
 四項は、平成一四年の一部改正において新設されたものであり、「プログラム等」の定義を規定するものである。
 平成一八年の一部改正において、発明の「実施」行為に「輸出」を追加した。これは、経済のグローバル化の進展により、我が国の産業財産権侵害品が国境を越えて取引される事例が増大する等模倣品問題の国際化・深刻化に鑑み、国内の製造や譲渡の段階では差止めができない場合にあっても、輸出者が判明した場合には、国内で行われる行為であり、我が国の工業所有権の効力を直接的に海外における譲渡等の行為に対して及ぶものではないため、属地主義には反しない。
字句の解釈
1 <発明>発明の定義をすることのむずかしさは、各国の特許法学者が指摘しているところであるが、その定義の内容如何が特許法における基本問題に係わるものであることも争い得ない事実である。各国の特許法において別段の定義を設けず、学説判例によってその内容を明らかにしているもののようであるが、現行法においては、今後も学説批判例にゆだねざる得ない面もすくなくないが、幾分でも法文上明確なものとして争いを少なくしようという趣旨から、このような定義を設けた。
2 <自然法則を利用した>欧文文字、数字、記号を適当に組み合わせて電報用の暗号を作成する方法については、自然法則を利用していないので特許法にいう発明とはいい難いという趣旨の判例がある。
3 <創作>二九条一項各号及び二項に規定する発明の新規性及び進歩性との関係が問題になるが、本条にいう創作は発明時を基準として考えられるものであり、しかも主観的に新しいと意識したものという程度の軽い意味であるをもって足るものと考えられる。これに対し二九条の新規性及び進歩性の問題は特許出願時を基準として判断される問題であり、しかも客観的なものでなければならない。
4 <高度なもの>このような語が用いられたのは主として実用新案法における考案との関係からである。すなわち現行法においては実用新案法における考案も発明と同様自然法則を利用した技術的思想の創作であるとしているが、発明は考案に含まれる部分のうち技術水準の低い裾の部分は包含しないという趣旨である。ただ、これは特許要件としてのインベンティブ・ステップを示すものではない。
5 <電気通信回線>有線であるか無線であるかを問わない。光ファイバによる通信網も含まれる。ただし、「回線」については、両方向からの通信を伝送するための無線又は有線と解されており、一方向にしか情報を送信できない放送網は「電気通信回線」には含まれない。しかし、このことをもって、放送網を通じたプログラム等の提供があった場合にこれが発明の実施に含まれないことを意味するものではない。平成一四年の一部改正前の「譲渡、貸渡し」という規定であっても、プログラム等の情報財をCD―ROM等の記録媒体を介さずに提供する行為は包含されると整理されていたところ、同改正は、特に双方向のネットワークを通じた提供行為が含まれることを明確にするためのものである。したがって、放送については、明確化されていないものの従来どおり「譲渡、貸渡し」に含まれると解釈される。
6 <プログラム等>プログラムの定義は、情報処理の促進に関する法律(昭和四五年法律第九〇号)におけるものと同じであり、プログラムの定義としては法律上最も一般的なものである。
7 <電子計算機による処理の用に供する情報>電子化などの手法により直ちにコンピュータによる処理に用いることが可能な状態にされた情報を意味する。本に書かれた情報や人間の知識としての情報など、そのままではコンピュータにより処理することのできない情報は含まれない。
8 <プログラムに準ずるもの>コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するものという点でプログラムに類似する性質を有するものを意味する。(青本第17版)
最終更新:2009年09月29日 17:42
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