(審判請求の方式)
第一三一条
審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。意商
一 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所(改正、平八法律六八)
二 審判事件の表示
三 請求の趣旨及びその理由
2 特許無効審判を請求する場合における前項第三号に掲げる請求の理由は、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならない。(改正、平一〇法律五一、平一五法律四七)意
3 訂正審判を請求するときは、請求書に訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を添付しなければならない。(改正、平一四法律二四、平一五法律四七)
旧法との関係 八六条
趣旨
本条は、訂正請求書の必要的記載事項及び訂正審判の場合に添付すべき明細書または図面について規定したものである。なお、平成八年の一部改正では、一号から「法人にあつては代表者の氏名」を削除した(改正理由は三六条の[趣旨]参照)。
二項は、平成一五年の一部改正において導入された規定であり、特許無効審判における裁判請求書の請求の理由の記載要件として、請求の根拠となる事実を具体的に特定すること、及びいかなる証拠で個々の事実を立証しようとするのかを記載することを要求することとした。
事実の具体的特定及び事実立証に用いる証拠の明確化を請求の理由の記載要件として求めていたのは、特許無効審判における審判請求人と被請求人との攻撃防御の機会を適切に担保することを背景としている。請求の理由の記載が曖昧であると、被請求人が反論の対象を特定できないため適切な防御ができなくなり、また、仮に反論の対象を特定しようとすれば、被請求人が請求人に釈明を求めることとなるため、被請求人に不必要な対応負担が生じ、かつ、審理の遅延を招くからである。同項はこのような問題を除去することを目的とするものであり、ここに規定する記載要件は、被請求人が裁判請求書の副本を受領した後、直ちに有効な反論をすることが可能な程度に請求の理由を構成する事実が特定され、それぞれの立証に用いる証拠との関係が記載されている場合に充足されることとなる。例えば、無効理由を基礎付ける事実としては、誰によって開発されたどのような先行技術がいつから存在し、どのような文献がいつどこで発行されたことに基づいて特許が無効となるのか、ということを具体的に特定することになり、また、事実ごとに証拠との関係としては、証拠として提出された文献のどの記載をもって先行技術等の存在を立証しようとしているのか明示することになろう。
なお、平成一五年の一部改正には、本条には請求書の補正に係る規定を設けていたが、特許無効審判における審判請求の補正について、例外的に容認する規定を導入するにあたり、一三一条の二を新設することとなったため、そちらに整理統合し、本条には審判請求の方式についての規定のみまとめた。
三項では、訂正審判について「明細書又は図面を添付しなければならない。」と規定しているが、これは、これらの書類を添付しない場合に方式違反になるかどうかについて争いが生じるのを避けるためである。なお、当然のことながら、審判請求書を提出する際は、所定の手数料を納付しなければならないことはいうまでもない。
さらに、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも若干の修正が加えられた。
[字句の解釈]
1 <当事者>拒絶査定に不服で審判を請求する場合及び訂正審判を請求する場合は当事者は請求人のみであるが、無効審判の場合は請求人および被請求人を記載しなければならない。
2 <代理人>法定代理人および委任による代理人をいう。代理人がいない場合は記載する必要はない。
3 <請求の趣旨>旧法(施行規則五一条)においては「一定の申立」と規定されていたが、民事訴訟法にならって請求の趣旨とあらためたものである。本欄の記載は、自己が裁判を請求する趣旨を簡潔、かつ、明確に表示すべきものであって、例をもって示せば、「第何号特許はこれを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める」(特許無効審判の場合)というごとこものである。審判官はこの請求の趣旨に記載されていない範囲については審決をすることはできない。たとえば、特許請求の範囲が二以上の請求項に係るものについて、その一つについてのみ無効審判が請求されている場合は、審判官は他の部分についても無効事由があると考える場合でも、審決はその請求のあった部分に止まらざる得ない。(青本第17版)
最終更新:2009年12月11日 23:41