旧法との関係 施規五二条
趣旨
本条は、共同審判について規定したものである。旧法においてはいかなる場合に共同審判を請求することができ、または請求しなければならないかについて必ずしも明確にされていなかった。わずかに施行規則五二条において「共有ニ係ル特許権ニ付特許権者ニ対シ審判又ハ抗告審判ヲ請求スル場合ニ於デハ其ノ共有者ノ全員ヲ以テ被請求人ト為スヘシ」と規定しているのみであった。したがって、たとえば、特許を受ける権利が共有に係り共同して特許出願をした場合において、その特許出願について拒絶査定があったときは、その共有者のうち一人が抗告審判を請求することができるかどうかということなどについても学説は分かれた。本条はこれらの点を明確にしたものにほかならない。
一項は、民事訴訟法にいうところの類似必要的共同訴訟に該当するものである(会社設立無効の訴や婚姻の無効の訴のように、特許の無効は審判において請求した数人について合一にのみ確定すべきものであるから)。ただ、特許無効の審判については請求項ごとの無効の審判を請求することができるので(一二三条一項ただし書)、同一の特許権についての無効審判でありながら甲は特許請求の範囲に記載された第一番目の請求項について請求し、乙は同じく第二番目の請求項について請求する場合があり、この場合は合一にのみ確定すべきものであるということにはならない。したがって、このような場合には本条第一項にいう共同審判にはならない(一八五条参照)。
なお、平成五年の一部改正において、訂正無効審判が廃止されたので、該当箇所を削除した。また、平成一五年の一部改正において、一二三条一項の審判及び一二五条の二第一項の審判を特許無効審判及び延長登録無効審判と規定する修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。
二項は、前に述べたように旧施行規則五二条の規定と同じもので、三項に規定する場合と同様、民事訴訟法にいう固有必要的共同訴訟に該当するものである。
三項は、二項の場合の逆で、特許権の共同者が審判請求人になる場合にあって、この場合も民事訴訟法にいう固有共同訴訟に該当するものである。本項の規定が適用あるのは拒絶査定対してしんp何を請求する場合及び訂正審判を請求する場合である。無効審判を請求する場合は、他人の特許権について請求する場合であるので(自己の特許権について無効審判を請求する場合は考えられないので)、ここにいう「共有に係る特許権について」には該当しない。
四項は、民事訴訟法四〇条三項と同じく、共同審判請求人または共同審判被請求人の一人について生じた中断又は中止の原因が全員に及ぶべき旨を規定したものである。
なお、民事訴訟法においては、本条に規定している事項についても規定している。たとえば、四〇条一項、二項等である。しかし、これらの規定は、大部分民事訴訟が当事者主義をとっていることを前提として設けられたものであるので、
特許法の規定としてはなじまないものとして、規定されていない。(青本第17版)