(審判官の除斥)実意商
第一三九条
審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一 審判官又はその配属者若しくは配属者であつた者が事件の当事者若しくは参加人であるとき又はあつたとき。(改正、昭三七法律一六一、昭五〇法律四六、平五法律二六、平一五法律四七)
二 審査官が事件の当事者若しくは参加人の四親等内の血族、三新等内の姻族若しくは同居の親族であるとき又はあつたとき。(改正、昭三七法律一六一、平一五法律四七)
三 審判官が事件の当事者又は参加人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。(改正、昭三七法律一六一、平一五法律四七)
四 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五 審査官が事件について当事者若しくは参加人の代理人であるとき又はあつたとき。(改正、昭三七法律四七)
六 審査官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
七 審査官が事件について直接の利害関係を有するとき。
(改正、平一一法律一五一)
旧法との関係 九一条
趣旨
本条は、裁判官の職務の関与についての除斥を規定したものであり、その趣旨はいうまでもなく審判の公正を確保するためである。次条には本条に規定する除斥原因があるときは当事者、参加人はその申立をすることができることとされているが、除斥原因のある審判官は職務の執行から当然に除斥されるのであって、除斥の申立についての判断があってはじめて除斥されるのではない。その意味では除斥の申立に対してその申立を認める決定がなされたとしてもそれは確認的なものであり、その後の職務の執行のみが違法になるのではなく、関与した当初から違法なのである。
一号の規定中、「配偶者」とは正式に婚姻の手続をした者であって、内縁関係や婚約関係は含まれない(ただし、内縁関係や婚姻関係は忌避の理由となり得る場合がある)。また「事件」の意義については広狭二つの解釈がある。すなわち、拒絶査定に対する審判事件とその審判において特許がされた後における当該特許権について無効審判とがここにいう同一事件に含まれるかどうかという点についての解釈である。この場合は別の事件と解すべきものであろう。
なお、従来は一号中にはカッコ書が昭和五〇年の一部改正により加えられていた。これは、改正前においても本条でいう特許異議申立人の中には訂正審判における請求公告に対するいわゆる訂正意義の申立人も含まれることと解されていた点を法文上も明らかにしたものであったが、平成五年の一部改正において、請求公告制度が廃止されたことに伴い、削除された。
二号、三号については別段説明をすることを要しないであろう。ただ「事件」については一号と同じような問題がある。
四号は証人又は鑑定人になったときであるが、現実に尋問された場合であって、単に尋問の申立があったにすぎない場合は含まれない。
五項は別段説明を要しないであろう。
六号は実体的にも旧法と異なっている。すなわち、旧法は「審判官カ事件ニ付審判官又ハ審判官トシテ査定又ハ審判ニ関与シタルトキ」と規定されていたので、拒絶査定に対する審判において審決をした審査官は、その審決に不服で訴が提起された後審決が取り消されて特許庁において再び審理が行われる場合にその事件に審判官として関与することができなかったのである。この点、旧民事訴訟法が「前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」と規定して同一審級において関与していしていたことはなんら除斥原因としていないことと著しく違っていたのであるが、現行法においてはこの点を民事訴訟法と同趣旨の規定に定めたのである。
七号は審判官が事件について直接の利害関係を有する場合に規定したものであるが、ここにいう利害関係は法律上の影響を受ける地位にあることをいい、単なる経済的な利害関係は含まれない。
なお、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、除斥の対象から特許異議申立人を削除した。(青本第17版)
最終更新:2009年12月18日 19:16