(法人でない社団等の手続をする能力)意商
第六条
法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
一 出願審査の請求をすること。(追加、昭四五法律九一)
二 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。(改正、昭五三法律三〇、昭六二法律二七、平五法律二六、平六法律一一六、平一五法律四七)
三 第百七十一条第一項[再審の請求]の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。(改正、昭三七法律一六一、昭五三法律三〇、昭六二法律二七、平五法律二六、平六法律一一六、平一五法律四七)
2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。(改正、昭五三法律三〇、昭六二法律二七、平五法律二六、平六法律一一六、平一五法律四七)
旧法との関係 該当条文なし
趣旨
民法、商法をはじめその他の実体法は団体に法人格を認めるについて相当の手続を強制し、しかもこの法人格を有する者にのみ権利能力を認めていこうとしている。にもかかわらず、社会には種々な団体が発生存在し実体法による制限のわく外において社会的活動を営み取引界にも登場している事実も見逃し得ない。こうした事実に着目して民事訴訟法においては法人でない法人でない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのある者については当事者能力を認めている(二九条)が、これと同様な考え方から、特許においても、一定の手続に限って法人格のない社団又は財団についても能力を認めようとするのが本条の規定である。本条において、無効審判を請求される場合や、訂正審判を請求する場合については規定されていないのは、法人格のない団体は権利能力がなく、特許権者となり得ないということにもとづく。
また、一項三号の場合は再審のうち一七一条一項の規定によるもののみを規定し一七二条一項の規定によるものを規定しなかったのは、法人格なき社団はもともと権利能力はないものであるから審決によって権利を害されるということはなく、利益ということについても同様であると考えたからである。
なお、昭和四五年の一部改正で一項一号を追加した。この改正で新設した審判請求制度は、第三者の出願審査の請求をも認めている(四八条の三第一項)。これは第三者であってもその出願の審査結果について利害関係を有する場合があり、その結論を早く得たいというケースであるからである。
すなわち、この第三者の出願審査の請求は、特許異議申立てと同様の意味を持つものと考えられるので特許意義の申立てと同様法人格のない社団又は財団にも出願審査の請求をすることを認めたわけである。
また、昭和六二年の一部改正において特許権の存続期間延長登録の無効審判が新設され、一二五条の二第一項の規定が新設されたので、同規定を本条一項二号及び三号並びに二項に追加した。
平成五年の一部改正においては、訂正審判における請求告知及び訂正無効審判が廃止されたことに伴い、本条中の該当箇所を削除した。
平成六年の一部改正においては、外国語特許出願固有の理由に基づく特許の無効の審判(昭和五三年の一部改正において本条に追加)が廃止されたことに伴い、本条中の該当箇所を削除した。
平成一五年の一部改正においては、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。また、一二三条一項の審判及び一二五条の二第一項の審判を、特許無効審判及び延長登録無効審判と規定する修正を行った。趣旨については一二一条を参照のこと。
[字句の解釈]
1 <社団>一定の目的のための多人数の結合体であって、その構成員個人の生活活動から独立した社会活動を営むと認められる程度に達したものをいう。したがって、組合のごとく契約関係によって結合している単なる個人の集合は社団ではない。
2 <財団>個人の帰属をはなれて、一定の目的のために管理される財産の集合をいう。たとえば、社会事業のため募集された寄付財産のごとくである。
3 <代表者又は管理者>その団体の活動機関のことで、その機関の名称が必ずしも代表者又は管理人というものであることを要しない。「定めがある」というのは団体の定款や寄付行為等で定めていることをいう。(青本第17版)
最終更新:2009年09月29日 17:44