(同前)
第一六〇条
特許査定、不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審判をすることができる。(改正、平一五法律四七)
2 前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。意商
3 第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用する。
旧法との関係 一一四条
趣旨
本条は、審査への差し戻しについて規定したものである。審判の段階において査定が取り消されるのは、次のような場合が考えられる。その一は審判の請求が正当であり、頬舌査定を持続することができない場合、その二は審査の手続に重大な欠陥があり、そのままでは審判の基礎に用いることができない場合、その三は査定の成立過程そのものに法令違反があり、査定の存在が疑問である場合である。旧法一一二条ノ二において「査定又ハ審判ノ手続カ法令ニ違反シタルトキハ抗告審判ノ審判官ハ其ノ査定又ハ審決ヲ破毀スヘシ」と規定していたが、これは第三の場合について規定したにとどまり、これは第三の場合について規定したにとどまり、その他の場合は取り消さなくてもよいのかという疑問を生ずる点で問題である。審判が審査の続審であるという審級構造からは、右のような規定がなくても一定の場合には査定を取り消すことができるのは当然であるので、現行においては旧法一一二条ノ二に相当する規定を設けなかった。
査定を取り消した場合、審判官は事件についてみずから審決をする権限を有することはいうまでもないが、必ずしもすべての場合に特許すべきかどうかについてみずから審決をする必要はなく、審査に差し戻すこともできる。一項はこのことをいわば注意的に規定したものであり、本条の重点はむしろ、二項にある。すなわち、審判官が査定取消の理由とした判断が無視されたのでは、上級審としての審判の意義がなくなるので、二項によってそれを防止したのである。したがって、ある特許出願が他の特許出願の後願であるということを理由とする拒絶査定が審判で取り消された場合には、その出願の後願でないと判断されたのであるから、審判官は重ねてその特定の出願の後願であるという理由で拒絶査定をすることはできない。三項は審査に差し戻す場合には、特許査定をしない旨を定めている。
なお、平成一五年の一部改正において、一二一条一項の審判を拒絶査定不服審判と規定する修正を行ったのにあわせて、本条でも形式的な修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。(青本第17版)
最終更新:2009年12月26日 16:38