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特許法第一六二条

(同前)
第一六二条
特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その日から三十日以内にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正あつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
(本条追加、昭四五法律九一、改正、平五法律二六、平六法律一一六、平一四法律二四、平一五法律四七)

旧法との関係 当該条文なし
趣旨
 本条から一六四条までの規定は、昭和四五年の一部改正で新設されたもので審査前置制度について規定したものである。
 なお、本条は平成五年の一部改正において、従来の一六一条の二の規定が移動したものである。
 審査前置制度は拒絶査定に対する審判において拒絶査定くつがえるものの大部分が拒絶査定後に明細書、図面について補正があったことによるものであるという実情に鑑み、そのような事件の処理をその拒絶査定をした審査官に再審査させることにより、審査官が処理すべき事件の件数を減らし、審判の促進をはかろうとするものである。本条前段は、拒絶査定に対する審判事件のうち審判請求の日から三〇日以内に明細書、図面について補正があったものについてのみ審査官が審査を行う旨を定めている。
 従来は、拒絶査定に対する審判事件は、すべて審判官の合議体が審判すべきものとされている。その場合、審判官は、出願内容の理解から取り組まなければならず、そのため審判事件の処理に長時間を要している。ところが、審判請求の際、明細書、図面について補正が行われている場合は、査定をしたときとは出願の内容がかわっており、もとの審査官が見ればすぐに特許してもよいような場合もある。そこで、審判請求の際に明細書、図面について補正が行われた場合は審判の前にもとの審査官に再び審査をさせれば、もとの審査官がもっているその出願に関する知識を活用し、その出願内容の理解やサーチに要する時間を節約でき、事件を簡易迅速に処理することができるのである。
 前置の審査は、「その請求を審査」するとあるけれども、審判請求等の方式等を審査するのではなく、その請求に係る特許出願を再審査するだけである。
 前置の審査を担当するのは、当該拒絶査定をした審査官である。その審査官が退官、転職などによりその職務を執行することができないときは、当該技術分野の出願の審査を担当する他の審査官がこの審査を担当するというのはいうまでもない。そして、審査前置はもとの審査官に審査させるという意味においては民事訴訟法三三三条の再度の考案に基づく更正と同じ性質をもつものである。
 なお、平成六年の一部改正において、特許前の異議申立制度が廃止されたことに伴い、審査前置においてした出願公告に対し特許異議の申立があったときは、審査官がその特許異議の申立を審査すべき旨を定めていた本条後段を削除した。また、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも同様の修正が加えられた。さらに、平成一五年の一部改正において、一二一条一項の審判を拒絶査定不服審判と規定する修正を行ったのにあわせて、本条でも形式的な修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。(青本第17版)
最終更新:2009年12月26日 16:41
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