旧法との関係 該当条文なし
趣旨
本条は、未成年者、青年被後見人等が手続をすることについての制限を規定したものである。未成年者でも青年被後見人でも特許権者又は実施権者となりえることから考えて、当然自己の名において手続をせざるを得ない場合があるわけであるが、実際の手続を代理人によらないで自らすることは、事実上むずかしいと思われる場合が少なくない。そこで自己の利益を手続の過程において十分に主張し防衛することができないこれらの者を保護するために本条の規定が設けられたのである。これと同様な考え方から民法においては行為能力の制度、民事訴訟法においては訴訟能力の制度が設けられている。本条はその性質から考えて民事訴訟の訴訟能力の規定とほぼ同様な内容を規定した。
なお、平成六年の一部改正において、準禁治産者(現在は被保佐人)又は法定代理人が、その特許権に係る特許異議の申立てについて手続をするときは、審判又は再審と同様に二項及び三項の規定は適用しない旨を四項に追加した。
また、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所は削除した。
[字句の解釈]
1 <未成年者>民法四条の規定による未成年者は法定代理人の同意を得れば法律行為をすることができるとされているが、
特許法上の手続については、すべて法定代理人によらなければすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるとき、たとえば、婚姻をしたときなどは、自らすることができる。
2 <成年被後見人>民法九条の規定によれば、成年被後見人の行為は取り消すことができるとされているが、本条違反の場合においては、成年被後見人の行為は無効である。平成一一年の民法の一部改正において「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については制限されることになったが、実質的な変更はない。
3 <法定代理人>何人が法定代理人であるかは民法その他の法令に従うわけであるが、通常未成年者については親権者又は後見人、成年被後見人については後見人である。
4 <被保佐人>民法一三条一項は被保佐人が行為をするに当たって保佐人若しくは保佐監督人の同意を要する場合を規定しているが、本条二項はこれと同趣旨の規定である。なお、保佐人若しくは保佐監督人の同意は一連の手続(民法一三条一項各号所定の行為)に対して包括的に与えられるもので、その中の個々の手続については与えたり除外したりすることはできない。
5 <後見監督人>民法八四八条から八五二条までが後見監督人(未成年、成年)について規定している。遺言で指定する場合と、家庭裁判所が被後見人、その親族若しくは後見人の請求によって、又は職権で選任する場合とがある。(青本第17版)